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5-0で勝利したホームでのワトフォード戦、モハメド・サラーが5ゴール1アシストの活躍と見せたが、今回の記事では「チームとしてどのような戦い方ができたか」について簡単に分析してみたい。この試合では早い時間に先制点を奪えたことがその後の展開を容易にしたという側面もあるが、なぜリバプールはチャンスを生み出し、5ゴールを奪うことができたのだろうか。また、試合で見られた問題点についても、本記事ではゲーゲンプレス、ビルドアップという2つの側面から検証を試みる。
①ゲーゲンプレス
この試合ではボールロスト直後のカウンタープレッシング、つまりゲーゲンプレスが非常に効率よくハマっていたという印象を受けた。前線のプレイヤーがボールを失うと近くの選手が瞬時に相手にプレスをかけ始め、かなり早い段階でボールを回収できていた。この試合でゲーゲンプレスが機能した理由として、まず「ワトフォードの戦い方」があげられる。
今節、ワトフォードはリバプールを相手に徹底的に自陣に引き籠りロングボール一発でカウンターを狙ってくる他の下位チームとは少し異なり、最終ラインをある程度高めに設定しボールを保持してからもショートパスを繋ごうとする意志を見せていた。スタッツを見てみるとワトフォードはこの試合、421本のパスを試みている(うち成功したのは302本)。一方で直近で対戦した他の下位チームのパス本数はニューカッスル315本(うち208本成功)、ウェストハム337本(うち235本成功)となっておりプレーモデルの違いがみられる。リバプールはこの手の相手を得意とする。
また、この日のリバプールの守備にはマンツーマンの色が濃く現れていた。ボールを失うと瞬時に切り替え、ボールホルダーに一番近い選手がプレスに行くのを皮切りに近くの選手がそれぞれの周りの相手プレイヤーをマークし、数的同数の状態に追い込んだ。結果としてワトフォードの選手たちの選択肢はロングボールとなり、ヘンダーソンやマティプ、ファン・ダイクといった選手たちに回収された。加えて、マンツーマンというマークの方法をとることでピッチ上に1対1の局面が多く生み出された。総合的にワトフォードの選手よりも個の力で勝るリバプールの選手がデュエルを制し、ボールを奪うシーンもこの試合では多く見られた。
②ビルドアップ
この試合において、ワトフォードがリバプールと戦う他の下位チームと異なった点はパスを繋ぐ試みを多く行うということだけではなかった。ワトフォードはリバプールのディフェンスラインでのビルドアップに対してプレッシャーをかけ、ボールを奪うことを試みてきた。この日のワトフォードのフォーメーションは5-2-3、ハイプレスと呼べるほどのものではないがリバプール守備陣に対してプレッシャーを与えてきた。ワトフォードの前線からの守備においてキーとなったのは前線の3枚と中盤の2枚。リバプールがディフェンスラインからビルドアップを開始すると前線の3枚が前に出ながらコースを限定。中盤の2枚もそれに続き高めのポジションをとることで五角形を形成する。
そして5角形の間でリバプールの選手がボールを受けると一気に囲みボール奪取を試みた。また、マティプやファン・ダイクからワトフォードの中盤とディフェンスラインの間に縦パスが入ることもあったが、その時も前線での守備と同じように高いラインを保ったディフェンスラインと中盤で挟み込むことでボールを奪おうとしていた。
リバプールは中央を使いながらボールを前に運ぶことが多いので、そのビルドアップの構造を狙われた形だった。実際、何度かヘンダーソンやワイナルドゥム、マネのところでボールを奪われピンチを招きかけたシーンも散見された。こういった、相手が前からプレッシャーをかけてきた時の悪い奪われ方をなくすということはリバプールの課題だろう。CLで対戦するマンチェスターシティは前線からプレスをかけてくるし、リーグ戦でもボールを持つことが多いリバプールに対して、前から出てくるチームが今後ないとも限らない。
一方で、この手の戦い方を選ぶチームが相手だとリバプールの強みが最大限生きるということも間違いない。ラインとラインの間のスペースを消すためにある程度ハイラインにならざるを得なくなり、ディフェンスラインの裏に広大なスペースを残すということは、モハメド・サラーやサディオ・マネに活躍する場所を与えるということだ。この試合においてもファン・ダイクやヘンダーソンから良質なフィードが裏のスペースへと飛び、ライン間でボールを受けた中盤の選手やマネが相手に囲まれるよりも早く前を向き、スルーパスを出すことで数多くのチャンスが生み出された。そして結果として5得点を奪い、勝ち点3を得ることができた。
そんな大勝の裏にある課題については少しずつ修正しながらCLと4位以内確保に向けて戦い続けてほしいものだ。
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