リバプールのセットプレー守備を考える -取りこぼしを阻止せよ!-

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トリコレッズ

トリコレッズ

日本ではマリノスファンなので、Redsの虜(トリコロール=マリノス)という意味でトリコレッズという名前にしました 戦術・選手分析などをしていきたいと思います

どうも、トリコレッズです。

初めての記事「アルベルト・モレノは何故復活したのか?」に対して、様々なリアクションを頂き、本当にありがとうございました。
今後、もっと良い記事が書けるように頑張ります!

さて、プレミアリーグ第1節vsワトフォード、皆さんはどう感じたでしょうか。
難しい試合になってしまいましたが、昨シーズンから直らない大きな問題点を皆さんも感じたことでしょう。

そう、「セットプレーの守備」ですよね。

下位チーム(もちろん今回は第1節だったためワトフォードは順位が下ではないですが…)との試合での相手コーナーキックなど、KOPの皆さんも気が気ではないでしょう。
今回はまさにそういったシチュエーションで2失点を喫している訳です。

というわけで、この2失点について分析してみましょう。ただし、主に大きな問題があるのは1失点目の方なので、そちらを重点的に解説しようと思います。

1失点目(WAT1-0LIV)

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まずはワトフォードに先制ゴールを許したシーンです。
8分、ワトフォードのCK。キッカーはホレバスです。
まず、キック前のセットがどうなっていたかを確認しましょう。

リバプールはゴールエリアの内側にラインを作り、ゾーンディフェンスの構えです。また、その外側にいるモレノ、ヘンド、ジャンは人を見つつこぼれ球に対応しようという並びでしょう。

ホレバスがキックの体勢に入るとカブールが走り込んで行き、そこにジャンがはじめはついていく素振りを見せますが、自分の横を通り抜けるあたりでなんとなくカブールを外してしまいます。
また、マティプは少しラインを上げようとする素振りを見せるも、カブールが飛び込んできたのに対応しようとし、ラインを下げるためのステップを踏みますが、カブールのスピードにステップが間に合わずバランスを崩してしまいます。

カブールは驚くほど高いジャンプを見せると、結局ボールは合いませんでしたが、ボディバランスを崩したマティプはジャンプできず。するとその後ろにオカカが走り込んできた上に、フィルミーノの対応が淡泊だったこともあって、結局オカカが中央でフリーに。
強烈なヘディングを合わせると、ミニョレはどうにか顔から肩あたりに当てますがボールの勢いは死にきらず、ゴールに吸い込まれます。

このプレー1つとっても、現在のリバプールが抱えるセットプレーへの問題点が浮き彫りになってきます。
いくつか気になる点がありますが、1つずつ挙げていきましょう。

(1)ジャンがカブールを自由にしすぎたこと

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まずは、ジャンがカブールを見るのか見ないのか問題。
ジャンに与えられた役割としては、巨体のカブールに飛び込まれると危険なためできるだけ自由を奪うことだったはず。
そのカブールがゾーンで守っているエリアにまで入っていったときにどうすることになっていたのかについてははっきりしませんが、ジャンより一列後ろにいたヘンダーソンの動きを見てみるとチャロバーに対して密着マークをして自由を奪っていたところから、やはりゾーンの守りに入っていない選手にはマンマークが命じられていたのではないでしょうか。

また、たとえゾーンまで追いかけなくても良いということになっていたとしても、カブールにとってはジャンを避けて入っていったぐらいしかジャンの存在が問題になっておらず、全くのフリーで入っていったのと同じ状況になっています。ジャンとしてはもう少し距離を詰めるでも、軽くハンドオフするでも、もう少し彼の自由を奪う方法があったはずです。

ちなみに、セットプレーからの2失点目(全体での3失点目)においても、ジャンは走り込んでくるカブールに対して軽く手を伸ばしただけで自由に飛び込ませています。なので、そもそもこういった決まりなのか(だとしたらさすがにその決まりは良くないと思うのですが…)、あるいはジャンは決まり事を誤解しているのではないか?という疑問さえ生まれてきます。

(2)マティプがゾーンかマークか一瞬悩んでしまったこと

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ジャンを気にせず飛び込んできた巨体のカブールはマティプの目の前に入っていきます。その際のマティプの反応も問題でしょう。

このマティプの動きをよく見ると、まずセットの位置から少しずつ前に出ていることが分かります。

(この動きがなんだったのか、やや不明です。相手選手をオフサイドにするためにラインを上げるなら理解できるのですが、その場合は少しずつではなくキックの瞬間に大きめの1歩をとるはずです。また、ライン内で一番ニア側にいたジニはラインを上げていません。これがジニのミスならばまだ分かりますが、ニアのストーンとしてはあのポジショニングは正しいはずですし…。)

しかし、カブールが勢いを持って目の前に入ってきたのと、ボールが自分よりもゴールに近い側に入ってきたことから、慌ててゴール方向に動き直します。ですが、サイドステップの動きだけではカブールに間に合わないため右足をクロスさせて戻ろうとするも、それまでのサイドステップの体重移動と足の運びが合わずにバランスを崩し、目の前でカブールに飛ばれたこともあってマティプはジャンプできなくなってしまいました。

もともと、ゾーンでディフェンスする際に迂闊にポジションを動かすのは危険です。一番の長身選手なのですから、来たボールは必ず跳ね返せるような準備をして欲しかったと思います。
結局、ボールはマティプの上空を通り過ぎてしまい、その裏に入ってきたオカカがゴールを決めるのですから。

(3)ゴール目前のゾーンを担当していたのがフィルミーノだったこと

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これは既に様々なところで問題視されていますね。
何故ゾーンディフェンスのラインの中央に入るのがCFなのでしょうか。
これは本当によく分かりません。

フィルミーノは目の前に入ってきたオカカに対し特別に体を当てたりすることもなく、相手の自由を上手く奪うことが出来ずにオカカはフリーでヘディングをたたき込むことが出来てしまいました。ですが、セットプレーの混戦の中で、勢いを持って入ってくる相手を上手くいなしながら自由を奪うのはなかなか技術が必要です。それをCFに任せるのは酷でしょう。

2失点目(WAT3-3LIV)

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痛恨の失点。93分でした。とりあえず勝ち点3さえ獲得しておけば、ここまで大荒れに荒れなかった…いや、逆にあの守備で勝っても問題点が曖昧になったままになった可能性もあるので、結局は良かったのかも知れませんが。

2失点目のセットは上の通り。同様にリバプールはゾーンで守っていますが、ラストプレーなのもあって人数がかかっています。ワトフォードはスタートはファーサイドに人数をかけ、マークがしにくい様にしていることがわかります。

僕が考えるに、2失点目は主に不運による失点です。
セットプレーは当然ですがキック側が有利なプレーであり、キック側がゴールに向かって勢いを持って入ってくるので、こぼれ球もゴール方向にこぼれることが多いのです。なので、確率的に言えばゴール方向にこぼれる方が可能性は高いですが、結果としてそのようにこぼれたことは不運だとは言えるでしょう。

(1)ジニがニアサイドでクリアし損ねたこと

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失点の直接の原因は、ニアサイドに入ってきたボールをジニがクリアし損ねたところにあります。ジニは入ってきた低めのボールに対してヘディングでのクリアを試みますが、ボールが低かったために額の良い位置に当てることが出来ず、頭頂部あたりでヘディングするような形になってしまいました。それが競っていたリチャーリソン(リチャードソンじゃねぇのか!)に当たってそのままこぼれてしまったのは、ミス+不運の組み合わせだったと言えるでしょう。

(2)ミニョレの弾いたボールがバーに当たってしまう不運があったこと

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また、ミニョレはリチャーリソン(リチャードソンじゃねぇのか!)のシュートに対して良い反応を見せてどうにか弾くものの、それがバーに跳ね返ってしまい、またそれがちょうど真下に落ちてきたことはさらなる不運だったと考えられます。

総括

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結局、3失点のうち2失点をセットプレーから奪われてしまったわけですが、一番大きな問題は

ゾーンディフェンスもマンマークも中途半端なやり方になってしまったこと

です。ゾーンディフェンスを担当する選手は自分のゾーンでは絶対に自分が弾くというプレーを、マンマークを担当する選手はマークした相手を絶対に離さないというプレーを見せるべきだったのですが、お互いに中途半端なプレーになってしまったことがこの2失点に繋がったでしょう。

もちろん、1失点目に関してはホレバスのキックの質も高かったです。
ゾーンディフェンスの一番の弱点は、各人の担当ゾーンのちょうど中間のエリアに入られたときに対応ができないということなのですが、そのエリアに敵選手が入ってきた上にぴったりとボールを放り込まれたので、対応がやや後手に回ってしまった点はあります。

ですが、それ以前にやるべきことが守られていない。そういった感覚は否めません。

提言

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CLプレーオフの対戦相手、ホッフェンハイムはどうやらセットプレーの攻撃に非常に強いチームらしいので、KOPはかなり不安に感じているようです。僕としても、もし万が一CL本戦に出られなければ、駆け込み補強もままならなくなる…と不安です。

プレーオフの2試合、またリバプールの弱点として狙ってくるであろうプレミア下位のチームに対して、リバプールはどうしたらよいのでしょうか?ここでは僕なりに提言をしてみようと思います。
(皆様もなにかお考えのことがあれば、是非コメント欄等にお寄せ下さい!)

(1)マンマークを増員・徹底する

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そもそも、ゾーンディフェンスをやるには、
「相手を見つつ(感じつつ)ボールを見る」を確実に行いながら、ゾーンに入ってきたボールは必ず跳ね返せるヘディングの強さを持ち合わせた選手が複数人必要です。

ですが、今のリバプールのCB陣を見てみると、ややそれには駒不足かな…と思います。
マティプはヘディングには強いですが一瞬集中を失うシーンが見られます。ロヴレンはボールウォッチャーになりがちで相手選手を見失うシーンがしばしば見られますし、もともとポカ属性持ちの選手です。クラヴァンは比較的安定していますがアジリティーに欠け、ジョー・ゴメスは若さ故の軽いプレーが見られることがあります。

これらのタイプの選手がいるチームでゾーンディフェンスをやるのはやや厳しいのではないでしょうか。
ゾーンディフェンスでCKの守備をやり続けているリバプールですが、現状の選手層ではこだわる意味がないようにも思えます(もしファン・ダイクが来ればそれも変わるのでしょうか)。
マンマークにすれば、手で相手の位置を確認するという方法が使えるため、ボールを見ながらでも相手の位置を把握出来るというメリットがあります。

とはいえ、今から基本をマンマークに切り替えるのは骨でしょうから、ゾーンは維持しつつマンマークを担当する選手を増員し、彼らにしっかりマークして貰う、というのが現実的な策かも知れません。
もちろん、マンマークにはマンマークなりの難しさもあるわけですし。

(2)セットプレー前に集中を回復する何らかの方法をとる

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リバプールの守備陣、なぜかエアポケットのように集中を失うシーンが散見されます。
それがセットプレーの際に、完全にボールウォッチャーになってしまう様な形で現れており、失点に繋がっているシーンが多くあります。

セットプレーはキック側が絶対に有利な場面。最大限の集中をしなければ大きなピンチを招くことは明らかです。
なので、セットプレー前に何か集中を回復するための方法をとるべきではないでしょうか(写真のように音楽を聴くわけにはいきませんが…笑)。

別に何でも良いのですが、選手同士で集まってプレーの確認をするとか、肩をたたき合うとか、そんなことでも違うと思います。
とにかく、「このワンプレー絶対に守りきる!」という強い意志が見られないプレーを見るのはサポーターにとっても辛いものです。リバプールの失点がいつも「あっさり」に見えるのは、実はこういった部分が大きいのではないでしょうか。

ただ、気合いを入れるために殴って貰うと、脳震盪を起こすこともあるので注意ですが…(笑)(松田直樹と栗原勇蔵のエピソードです)

とにかく、これ以上こういった失点を繰り返すわけにはいきません。
セットプレーの苦手を克服すれば、下位への取りこぼしも減るはずです!悲願のプレミア優勝に向けて、必ず成し遂げるべき課題だと僕は思います。

また長くなってしまいましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。

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2 件のコメント

  •  週2試合ペースの日程だと、負荷の大きいセットプレーの練習に割ける時間がかぎられますよね。そうなると、セットプレーの守備を急激に改善することは難しいので、セットプレーをなるべくあたえないようにインプレーで守備するというのが1番の打開策かなと思います。
     開幕戦の2失点目もスローインの流れから失点してます。スローインのひとつ前のプレーで、タッチライン際でモレノとジャンが相手をサンドして一度はボールを奪ったのですが、ジャンからモレノへのヒールパスが流れスローインになりました。ジャンがボールを奪った後により確実性の高いプレーを選択すべきだったと思います。
     3失点目は、交代で入ったゴメスがボールにくいついたところをあっさりとかわされFKを与えたのがそもそもの発端です。ゴメスは相手に体を寄せてクロスをあげさせないようにしながら時間をかけさせるべきだったと思います。
     以上のようにセットプレーのひとつ前のインプレーにも問題があるので、まずはそこから改善したいですね。

    • ご意見ありがとうございます!
      確かに、2失点目もそうでしたね。
      モレノとジャンで上手く挟んだ!と思っていたら、ジャンの軽率なプレーからあれよあれよと失点していましたね。
      シーズン中に出来ることとしては、インプレーを改善する方向性の方が確実で手っ取り早いのかも知れません。

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