ぶつかり合うプライドと後味の悪い判定~PL第5節エバートンVSリバプール~

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たくみ(サッカーライター志望)
大学2年生。 noteにてJリーグの選手記事から欧州サッカーのレビュー記事まで幅広く投稿中。 Twitterで精力的に活動。フォローや記事の拡散をお願いします。 岡山→山口

 4試合4勝と絶好調のエバートンと前節アストン・ヴィラに2-7と大敗したリバプールが火花を散らすマージサイドダービー。ダービーマッチという大事な試合に挑む前の両チームの状態はまさに対極。エバートンが前年度チャンピオンを粉砕して自信を確固たるものにできるか。リバプールが好調のライバルを叩いて自信を取り戻せるか。全世界が注目する一戦は良くも悪くも濃い内容となった。

試合結果

プレミアリーグ第5節

エバートン 2-2 リバプール

【得点】

  3分 サディオ・マネ(リバプール)
19分 マイケル・キーン(エバートン)
72分 モハメド・サラー(リバプール)
80分 ドミニク・カルヴァート・ルーイン(エバートン)

スタメン

画像1

リバプール

・大敗した前節アストン・ヴィラ戦で失点につながるミスをしてしまったDFジョー・ゴメスではなくDFジョエル・マティプがスタメン入り。

・MFチアゴがリバプール加入後初めてスタメンに名を連ねた。

エバートン

・前節からのメンバー変更はMFトム・デイビス→MFアラン、MFギルフィ・シグルズソン→MFアンドレ・ゴメスの2カ所。

・第4節終了時点で5得点と好調のFWドミニク・カルヴァート・ルーインとFWリシャーリソン、MFハメス・ロドリゲスのアタッカー陣は脅威だ。

右で作って左から仕留めるリバプールの攻撃

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リバプールは右サイドを起点として、中央を経由して左サイドからクロスを上げる攻撃でエバートンのゴールへ向かった。

 DFトレント・アレクサンダー・アーノルドやMFジョーダン・ヘンダーソンがポジショニングを微調整しながら右サイドの空いたスペースで、FWモハメド・サラーがDFリュカ・ディーニュを背負いながら、ボールを保持してタメを作る。
 そこから、相手DFラインとアンカーの間に下りたFWロベルト・フィルミーノとのコンビネーションで中央を経由して、ボールを左サイドへ展開。
 早いタイミングでオーバーラップしてきたDFアンドリュー・ロバートソンが深い位置まで侵入して高精度なクロスをボックス内に供給する攻撃で多くのチャンスを作った。

 開始直後のFWサディオ・マネの先制ゴールは右で作って、左から仕留めた形だった。
 特に前半、DFロバートソンがマークを振り切った状態でクロスを上げれたのは彼をマークしていたのがMFハメス・ロドリゲスだったからだ。
 MFハメス・ロドリゲスは左足の正確なキックと独特の攻撃センスを武器にチャンスメイクする攻撃的な選手。そのため、自陣に戻りながらの守備はあまり得意としていない。
 そこで、MFハメス・ロドリゲスの守備の負担を減らす役割を任されているのがMFアブドゥライェ・ドゥクレやMFアランだ。豊富な運動量と高い危機察知力によるカバーリングでMFハメス・ロドリゲスを攻撃に専念させる算段だ。


 しかし、リバプールの先制シーンは右サイドバックDFシーマス・コールマンが1人でDFロバートソンとFWマネを同時にケアしなければならない数的不利に陥ってしまう。
 もちろんこの場面ではDFコールマンへのMFハメス・ロドリゲスの守備のサポートはない。ならば、MFドゥクレやMFアランがカバーに来るはずだがそれもなかった。


 なぜなら、右から左に展開するときに中央のFWフィルミーノを経由したことで、エバートンの注意を中央に引き付けたからだ。中央でFWフィルミーノとFWサラーがワンツーをしたことでMFドゥクレとMFアランは外へのカバーリングではなく、中を埋めることを優先しなければならない状況になってしまった。右から左へ1発でのサイドチェンジだったら、エバートンのスライドは間に合っていたかもしれない。FWフィルミーノが中央で絡むことで破壊力抜群サイド攻撃が成り立つ。


 DFロバートソンの裏街道気味の突破とクロス、FWマネのポイントへ入ってくるタイミングとシュート精度はお見事だった。

ファン・ダイクの負傷交代という暗雲

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 開始直後の先制で幸先の良いスタートを切ったと思われたリバプールだったが、5分に最悪な事態が訪れる。最終ラインに立ちはだかる”門番”DFファン・ダイクの負傷交代だ。


 コーナーキックのチャンスにDFファン・ダイク、DFマティプのヘディングが強い選手がゴール前にポジションを取った。コーナーキックは相手に当たり、こぼれ球を拾ったMFファビーニョがファーサイドで待つDFファン・ダイクに高いボールを送る。


 そのボールに反応したDFファン・ダイクとGKジョーダン・ピックフォードが激突。DFファン・ダイクがオフサイドだったため、カードは出なかったが、GKピックフォードのプレーは危ないものだった。


 この試合のDFファン・ダイクのプレー時間は短かったが、エバートンのフォワードに入る縦パスに対して厳しくアプローチをかけて、自由にやらせないという強い意志を感じた。


 DFファン・ダイクがいなくなったことで守備だけでなく攻撃面にも影響が及ぶ。相手のプレスを無効化する対角線のロングフィードやセットプレーでのターゲットという彼にしかできないものがピッチから去ってしまった。DFジョー・ゴメスやDFマティプのパフォーマンスが悪かったわけではなかったが、背番号4はチームに欠かすことのできないスペシャルな存在だ。現地の報道によるとDFファン・ダイクは右膝前十字靱帯損傷で約7~8か月の離脱を強いられそうだ。彼の1日でも早い復帰と手術の成功を心から祈っている。

2失点から感じるハメス・ロドリゲスの存在感

1失点目

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 1失点目はコーナーキック、MFハメス・ロドリゲスのピンポイントクロスをDFマイケル・キーンがMFファビーニョの上から合わせたヘディングシュートだった。


 このコーナーキックを獲得したのはMFハメス・ロドリゲスからCB間にポジションを取ったFWカルヴァートルーインに長いグラウンダーのスルーパスが通り、角度のないところからの強引なシュートをGKアドリアンが弾いたという流れ。


 MFハメス・ロドリゲスのキック精度が高いのは周知の事実。そしてFWカルヴァート・ルーインが好調なのもディフェンス陣の頭の中に入っていたはず。安易にセットプレーを与えたくないし、サイドに開いていたMFドゥクレにDFジョー・ゴメスが釣られたとは言え、DFマティプはFWカルヴァート・ルーインをルーズにさせ過ぎた。MFハメス・ロドリゲスがスルーパスを出したのは相手陣内だったということもあるだろうが、注意が足りないんではないかと思った。4試合4勝のエバートン相手に十分な準備だったとは言えず、残念なシーンではあった。

2失点目

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 2失点目はまたもやMFハメス・ロドリゲスを起点にやられてしまった。右から左に流れてきたMFハメス・ロドリゲスがMFヘンダーソン、MFファビーニョ、DFアレクサンダー・アーノルドの三角形の中でCBから縦パスを受けて、大外から裏に抜けるDFディーニュを走らせるパスで攻略。DFディーニュの1タッチでのクロスを滞空時間の長いジャンプで空中で待っていたFWカルヴァート・ルーインがGKの重心の逆を突いた巧みなヘディングシュートで流し込んだ。

ハメス・ロドリゲスとアンチェロッティの最恐タッグ


 許した2失点どちらにもMFハメス・ロドリゲスが絡んだゴールだった。ブラジルW杯で輝きを放ったコロンビアのスターはアンチェロッティ監督の下、プレミアリーグという新たな舞台で完全に輝きを取り戻している。
 

 守備には多少難はあるものの、正確無比な左足でのチャンスクリエイト、空いたスペースを有効に使う高いサッカーIQ、彼にしか描けない攻撃のビジョンなどは一級品。好調エバートンの中心は背番号19であることは間違いなく、ハメス・ロドリゲスの守備の不安を目立たせないシステムをチームに浸透させたアンチェロッティ監督の名将ぶりは衰えを知らない。

こぼれ落ちた幻の勝ち越し弾

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 FWリシャーリソンの退場によって10人になったエバートンは縦に鋭い攻撃をチラつかせながら守っていた退場以前と比べて、ある程度自陣に引いた守備を余儀なくされる。


 91分、MFチアゴがFWカルヴァート・ルーインの脇でボールを持つと、身体をゴール方向に向けながら腰のひねりで鋭い縦パスをFWマネに通す。FWマネからの低いクロスを走り込んだMFヘンダーソンが流し込んで勝ち越し。かと思われたがMFチアゴからパスを受けたFWマネのポジションがオフサイドだったというVARの判定でゴールは取り消し。


 この判定は物議をかもし、改訂された競技規則の理解を広く促すものになるだろう。判定としてはボールを扱えない腕が出ていたらオフサイドにならず、ボールを扱える肩が出ていたらオフサイド。VARではFWマネの肩がわずかに出ていたという判定が下されたため、ノーゴール。白熱のマージサイドダービーは引き分けで幕を閉じた。

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