過去5シーズンのクロップ戦術の変遷について振り返る【リバプール雑談ラジオ】

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一気に戦い方が変わった18-19シーズン

タクヤ:17-18シーズンはダイクが来たりコウチーニョが抜けたりで、今に向けての過渡期、形がつくられていく途中のシーズンだったのかなってところですが、チャンピオンズリーグ決勝で負けてしまって。

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タクヤ:その後に入って来たのがファビーニョとアリソン。あとナビ・ケイタは前から加入が決まってたんですよね、ここで入ってくるけど。これでもういよいよ、ほぼほぼ現メンバー的にはそろったのかなという感じです。この18-19シーズンはチャンピオンズリーグは優勝ですけど、リーグはわずか1敗で2位だったというシーズンです。

グラッド:ここから一気に戦い方が変わった印象があります。

タクヤ:そうですね。

グラッド:前のシーズンからアーノルドがかなり飛躍して、あそこ(右サイドバック)を起点にできちゃうぞということになったのも一つありますし、あと何と言ってもアリソンとファン・ダイクがチームに加わって、戦略的に守り切れるようになりました。今までやっぱりディフェンスラインが曖昧だったので、1点取って守り切るという選択肢がなかなか持てなかったと思うんですけど、その選択をしても守り切れちゃうチームに変わってきたと思うので、プレッシングの頻度とかタイミングとかも、ヒートマップとかを見るとこのシーズンから大きく変わってるんですよね。

タクヤ:なるほど。確かに、アリソンとファン・ダイクがいるからこそどういう戦い方ができるのか、というのはさっきトリコさんも言ってましたけど、言われてすごい納得ですね。

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トリコレッズ:やっぱりこの二人は、たぶん現役で最高のセンターバックと最高のゴールキーパーですから、この二人がいて、今もそうですけど、割と最終的にはダイクとアリソンに祈るという形で守備を任せる時があるじゃないですか。それもできるし、それができるから最後そこに通されてもいいやと思うと、ちょっと重心低めにしたりして、タイミングを計ってプレスをかけて、スタミナも温存し、みたいな形もできるようになってきたのがこのシーズンあたりかなという感じです。

あとはさっきグラッドさんが言ったように、アレクサンダー=アーノルドはかなりでかいですよね。アーノルドが、ものすごい精度のキックを蹴れる選手が右サイドバックという比較的プレスがかかりにくいポジションに入ってきたことで、しかもサイドって奪われてもピンチになりにくいポジションでもあるので、じゃあそこから攻撃組み立てちゃえばいいじゃないという発想にはいけましたよね。

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グラッド:そうですね。このシーズン、両サイドバックですごい量のアシストをしてますもんね。25とか。

タクヤ:あの辺はもともと狙ってロバートソンとかは獲得をしてたんですかね。ああいうアシストを量産して、みたいなところも含めて。

トリコレッズ:もともと前任のモレノが不安定だというところから始まって、やっぱり攻守にしっかり走れるサイドバックが必要だというのは事実だったと思うんですけど、ここまでのタレントだと見越してたのかどうかはちょっとよく分かんないですね。

タクヤ:そうですよね。

グラッド:前線に、左だとサディオ・マネがいて彼のところが起点になるので、そこに左サイドバックのロバートソンが上がってうまく絡めばチャンスを演出できるというところと、あとは右側はサラーで、彼のところにディフェンダーが集まるので、そうなってくるとアーノルドの部分は相手からするとそんなにプレスをかけてこないと思うんですよね、サラーのところにかけたいので。そこに空いた時間とスペースで、アーノルドがほぼフリーでボールを蹴れるという。そういう理詰めしていくとメリットがあるところに、どこまで狙ったかは分かんないですけど2枚配置できたというのは、非常にチームが強くなりますよね。

タクヤ:いや、本当に。選手の能力含めてうまく組み合わせとしてもはまったなという感じです。

グラッド:はまってますよね。

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トリコレッズ:このサイドバック2枚の微妙な性格、プレースタイルの違いも、やっぱり前のウイングとうまく合っていけてますもんね。コンビネーションとかフリーランで入っていけるロバートソンと、ボールを持って正確なキックを蹴れるアーノルド。コンビネーションできるマネに、相手ディフェンダーを背負って引き付けられるサラーって、両サイド結構すごい組み合わせですよね。

タクヤ:確かに。

グラッド:そうですね。逆だとちょっとそこまで機能しない感じがしますね。マネって競り合いとかでボールをこぼす場合もあるので、ロバートソンが結構近くにいたりとかすることが重要だったと思うんですけど、逆にサラーにはそこまで近づき過ぎずにスペースを空けて、アーノルドも自分でボールを扱えるスペースを保つという、その関係性が非常にいいのかなと思います。

リバプールはパワープレイをしない?

タクヤ:なるほど。あと質問で来てたやつで、「両サイドから良質なクロスがあるにもかかわらず、パワープレー戦術をあまり採用しないことについてどう思われますか」という点はいかがですか。

グラッド:パワープレーとは?みたいなところはあるんですけど、ある意味ではファン・ダイクからサディオ・マネに蹴り込むみたいなことって毎試合やるので、そういう意味ではパワープレーをやってるかな。

タクヤ:そうですよね。結構ロングボールは蹴ってる感じはありますからね。

グラッド:意識的に蹴ってる。

タクヤ:では何をもってパワープレイというかですね。

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グラッド:オリギを真ん中とかで使い続けないのは、オリギをスタートで使った時の活躍する確率が低いからですね(笑)。

トリコレッズ:おっしゃる通りです(笑)。

タクヤ:パワープレーとして受けられる人があんまりいないという?

グラッド:そうですね。なので、パワープレーはしてるかしてないかで言うと、してるんじゃないかなと。あとオリギを使わないのは、オリギは役割が明確な時はいいんですけど、先発でいろんなことを考えながらプレーしなきゃいけなくなると、90分持たないことが多いです。

イタツ:この質問って、例えば試合終盤でダイクをワントップにするみたいなことをしないのはなんでか?ってことですかね。だとすると、さっき言ったみたいに守備の最後はダイクに祈る、なので、そこで失点したら意味がなくなっちゃうし、そもそも19-20は1点差を勝ち切る戦い方だったので、できるようなシチュエーションもなかったし、する計算もなかったというところかもしれないですね。

タクヤ:そういうことか。確かにセンターバックを最後に上げてみたいなのはないですね。

イタツ:コーカーみたいな時もありましたけどね、クロップは。

一同:そうそう!

トリコレッズ:スティーヴン・コーカー。

グラッド:コーカーは2試合ぐらいセンターフォワードで(笑)。(本職の)センターバックとしては一回も出てなかった。あんま覚えてない。

タクヤ:完全にコーカーはそのイメージですよね。

勝ち切る戦い方ができた19-20シーズン

タクヤ:それで昨シーズン、プレミアリーグ優勝した19-20シーズンはメンバーはほぼ変わらずで、戦い方としてはどう変わっていった感じですか。

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グラッド:さっきのお便りで、ミドルシュートが減ったんじゃないか?みたいなのが来てましたよね。

タクヤ:ありましたね。

グラッド:ミドルシュートはちょっと調べてみたんですけど、減ってますね。ボックスの外からのシュートは18-19シーズンが198本、19-20シーズンが173本なので20本以上減ってるんです。ただ、ボックス外からのゴールは18-19シーズン5本で、19-20シーズンは12本なので、印象としては確かに打ってる数は減ってるので減ってるなって感じるかもしれないですけど、めちゃめちゃ入ってるんですよね。

トリコレッズ:12本って結構すごいですね。

グラッド:結構すごい。

トリコレッズ:合計85点とかそんなもんですよね、昨シーズンで。7分の1ぐらいがエリア外からか。

グラッド:昨シーズンはミッドフィールダーの点数がすごく多いんですよ、リバプール。ヘンダーソンとかもそうですけど、ファビーニョとかも決めてますし、結構意識的に彼らがシュートに関与するというのをたぶんやったと思います。

ただミドルシュートって、適当に打っちゃうとカウンターを食らうリスクもあるので、打つエリアとか、こういうタイミングであれば打つけど、こういう場合では打たないみたいなところは、点を多く取られずに勝ち切るという考え方からすると、しっかり組織でやってたのかもしれないですね。

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トリコレッズ:どこでどういう状態だったら打っていいみたいな、そういう決まりは作られてたかもしれないですね。

タクヤ:確かに1点差の中だと、そういうのは結構大事になってきますよね。カウンター食らって、みたいになっちゃうので。

グラッド:あとは迫力みたいな話だと、確かに19-20はなんか分かんないけど勝てるみたいな、そんな印象を僕は受けました。ただずっと勝ってる、全然負けないみたいな感じでしたけど、それを完全に狙ってやってますよね。

得失点に対する勝ち点の効率がリバプールは圧倒的に高いので、別に5対0で勝たなくてもいいわけですよ、1対0で勝てば。5対0で勝ちにいこうとして、3対4になって逆転されて負けちゃったではしょうがないので。その辺を追求して、点差と時間帯と展開によって、プレッシングをかける場所もそうですし、攻撃参加する枚数もそうだし、シュート選択するかどうかみたいなところも含めて、決まり事みたいなのをしっかり決めてる印象を受けました。

タクヤ:期待勝ち点でしたっけ。

グラッド:はい、期待勝ち点。フットボリスタのWeb本誌にも書きましたけど、データで見ていくとその傾向は顕著ですね。

タクヤ:なるほど。その辺を含めてシーズン通して高いパフォーマンスで勝ち切るために、そういう戦い方にシフトしていった感じですかね。リーグ優勝も本気で狙いにいくというか。去年は本当に神懸かってたというか、最後の最後には勝っちゃうみたいな試合多かったですもんね。そういう練習をしてるみたいなのも話も出てましたけど。

トリコレッズ:0-2で負けてるという練習でしたっけ、2点差で。

グラッド:そうそう。

タクヤ:そういうシチュエーションで練習をしてる、みたいな。

グラッド:そう。出てましたよね。

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イタツ:戦術の話でちょっと気になるのが、17-18はサラーがすごくて勝てた。それでその翌シーズンはサラーに警戒が集まるだろうから、サイドバックを生かして勝つことができたという流れがあったと覚えていて。その翌年、つまり19-20をどうするのかなと思って見てたんですけど、結局、際どい試合をモノにするという、戦術というより戦う方針みたいなところが結構クローズアップされがちなんですけど、その際どい勝ちをモノにするために何をやったのかというところは、戦術班のトリコさん的にはどういうプレーの在り方に見てましたか?ちょっと難しい質問かもしれないですけど。

トリコレッズ:難しいですね。

タクヤ:面白い質問ですね。メンバーはほぼ変わってないですもんね。

イタツ:そうなんですよね。だんだん勝ちポイントが下がっていくというのは分かるんですよね。プレスの位置がゴールキーパーまで下がっていったみたいなふうに、サラーが攻撃の要、サイドバックが攻撃の要みたいな。その流れが続いてたのかなというのはちょっと気になります。

トリコレッズ:ちょっと僕も自分の書いた記事とかを読み直してみたんですけど、このシーズンって強いて新しくなったことを挙げるとすると、それまでのシーズンでは、ある程度ウイングが下がってきてボールをセンターバックから縦パスをつけるとか、そういう形をある程度狙ってたんですけど、このシーズンになった時に、ほぼ確実にサイドバックからサイドを経由してクロスを上げて、こぼれ球をヘンダーソンが拾ってサイド展開するとかっていう形になってたんですよね。

リスクをかけずに攻めるというのは一つ重要なことなのかなと思っていて。さっきも言った通り、サイドって一番カウンターのリスクというのは低いゾーンなので、そこでボールを持ってるということは一つ重要なのかなと思います。

タクヤ:だからこそ昨シーズンで言うと、ヘンドがいない時には結構そこの差が出るというところはあったりしたんですか。

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トリコレッズ:そうですね、ヘンダーソンの担ってる役割は、地味でしたけどものすごく重要だった気がしますね。やれる人が他にあんまりいないんじゃないかなという。

タクヤ:あと質問で来てるのが、シーズン最後の失速の原因は?というところですけど。これ「最後の」というのがどこの部分を指してるのかがいまいち分からないところではあるんですけど。

グラッド:コロナ中断明けのことなのかな?

タクヤ:中断明けのことか、もしくはその前のCLで負けたところとかワトフォードに負けたところとか、その辺も含めて言ってるのか?

トリコレッズ:ワトフォード戦は確かに、クロスを上げても中ではじかれ、回収役のヘンドもいないからカウンターを受け、ちょっとロヴレンが穴になっちゃったシーンもあり、みたいな、悪いところが凝縮して3点取られた感じはあったんですけど、シーズンやってりゃそういうこともあるよなという気はしますけど。

タクヤ:そうですね。

グラッド:あとはこのシーズン、先ほども言ったようにコンディショニングがすごい重要だったと思うので、どのタイミングでプレスをかけるかとか、19-20シーズンだけなんですよね、後半ラスト15分の得点が期待値を上回ってるシーズンって。そこで走り切れるような体力とかそういうのも含めて調整してきたと思うんですけど、あんな感じで中断が入っちゃうと結構そこの調整が厳しくなると思うので。

というのと、正直ほとんど優勝は確定してたわけじゃないですか。なので、この残り10試合とかに照準を合わせてなかった可能性はありますよね。次のシーズンに合わせてた可能性もあるかなと思いました。

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タクヤ:そうですね。中断明けは正直言ってそんな感じはありますよね。消化試合と言ったらあれだけど。なので、それを失速って言うのはちょっと酷かなというところはありますが。CLのアトレティコに負けたあたりとかは、トリコさん的にはどんな感じですか。

トリコレッズ:あの試合も、基本的にはワトフォード戦と負け方は変わらなかったと思います。正直、延長に入ってフィルミーノが1点取ったところでは行けたと思ったんですけどね。その後、ビルドアップのミスからスペースを突かれてカウンターを食らったシーンも含め、ちょっとその辺りの時期で、たぶんファン・ダイクに結構疲労が見られたかなというのは一つ、その時期の特有の問題と言ってはあるかもしれないですね。ファン・ダイクはほとんど、というか全く休みがないような、カラバオカップとかでしか休んでないみたいな状態だったので、やっぱり良い時のファン・ダイクと比べると、カバーリングのポジションは取ってるんだけどその細かい調整とか、一歩の足が出ないとか、それでカットできないみたいなシーンは見られたかなという感じがします。

リバプールに新陳代謝は必要?

タクヤ:いろいろ振り返っていくと面白いですね。そんな感じで新シーズンを迎えるわけですけど、プレミアリーグのチャンピオンとして迎える新シーズン、あえて課題を言うとすると何が挙げられますか。

トリコレッズ:(プレシーズン等で)新しくやってる4-2-3-1、本当は一回、昔シャキリが入った時にやりましたけど、あの時とはちょっとまた運用の仕方が違いますが、あれがプレミアリーグの対戦相手に対して本当に効くのかはちょっと気になりますかね。この前のアーセナル戦(コミュニティシールド)を見る限り、アーセナル相手にあれだけ行けるなら大丈夫かなという感じはしますけど。そこは個人的に注目したいポイントではありますね。

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タクヤ:あとは、2シーズン前の18-19と19-20とほぼメンバーは変わってないので、その辺の新陳代謝みたいなところで、どういうふうにその辺りの影響が出てくるのかなというのは割と個人的には気になっていて。3シーズンほぼほぼ同じメンバーで戦ったチームって、そんなにあるかなという。

グラッド:僕の記憶が正しければ、CL3連覇したレアルがそうだったと。

イタツ:確かに。ほとんど変わってないですね。

グラッド:だから必ずしも変えることがいいことだとは思わないんですよね。もちろん同じメンバーであれば緻密に組織ができていくわけなので、そういう意味ではそこがプラスに働いての昨シーズンの優勝だと思うので、それをうまく別の形にまた消化できればと。年齢的にもみんな脂が乗ってる感じで、すごい年老いた人がいるわけじゃないですし、ミルナーは全然関係ないので(笑)。

タクヤ:(笑)。

グラッド:なので、今シーズンまでぐらいは今の戦略のままでも行けるんじゃないかなと思ってますけどね。

タクヤ:変にいじる必要はないだろうというところですかね。

グラッド:その先を考えるともちろん新陳代謝とかが必要になってくるので、若手を獲ってたりしますけど。

タクヤ:確かに若手が育ってる感じもありますしね。なるほど。

トリコレッズ:最近、この移籍期間では結局17歳1人しか獲りませんでした、みたいな時がちょこちょこあったじゃないですか。あれもたぶん、ある程度クロップは、それが実際に物になるかは別として、やっぱりその辺の先を見据えた行動なんだろうなとは思いますけど。

タクヤ:じゃあ新シーズンに向けてというところは、また別でも録っていきたいと思いますが、取りあえず今回についてはこれまでのクロップ戦術の変遷というところで、19-20シーズンまでを振り返ってきました。ありがとうございました。

※本記事は、リバプール雑談ラジオ#008 過去5シーズンのクロップ戦術の変遷について振り返る(2020年9月10日配信)」を書き起こして編集したものです。

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