守備陣の堅守にジョタの先制点も…終了間際にこぼれ落ちた勝ち点3【PL第10節リバプールvsブライトン】

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藤井圭

小学生の頃にフェルナンド・トーレスの影響でリバプールサポーターになった20代男。他メディアにて学生サッカーの記事を寄稿中。

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　その決断が下された瞬間、ユルゲン・クロップ監督は苦笑いをするしかなかった。VARにより一度流れたプレーは巻き戻されPKを献上。90分間守り続けた1点差は後半アディショナルタイムに追いつかれて1ー1のドローで決着した。

　この試合でスタメン入りしたアリソンがリバプールでの100試合出場を達成した。負傷者続出のCBにはファビーニョとナット・フィリップスを起用。右サイドバックにはネコ・ウィリアムズが今季リーグ初スタメン。同じく今季リーグ初スタメンとなった南野拓実が中盤に入り、3トップには前節からサディオ・マネが外れモハメド・サラーが入った。

ネットを揺らすもスコアは動かせず

　前半はリバプールがボールを保持するも決定的なシーンを作れない。対するブライトンはリバプール守備陣の背後にボールを集め、アリソンとの1対1を狙うが、アリソンの的確な飛び出しから難を逃れる。すると18分、右サイドからネコ・ウィリアムズがペナルティーエリア内でアーロン・コノリーを倒してブライトンにPKを与えてしまう。しかしキッカーのニエル・モペーが蹴ったボールはポスト右に外して得点ならず。リバプールは失点のピンチを免れる。

　ゴールネットを揺らしたのは33分。アリソンのキックを右サイドで受けたフィルミーノがDFラインの裏へボールを出すと抜け出したサラーがGKとの1対1を決めて先制点を決める。はずだったが、VARでのチェックでつま先が出ているためオフサイドの判定。ノーゴールとなってしまう。41分にはゴール右からジョタが攻め込むとクリアされたボールを南野がペナルティエリア外で拾いシュートを放つ。アウトにかけたボールは曲がりきらずGK正面でキャッチされてしまう。前半はそのままスコアレスで終了する。

　後半開始とともにヘンダーソンを投入。ネコ・ウィリアムズに変えて右サイドバックはミルナーが務めた。46分には右サイドのスペースを突かれるとカバーに入ったナット・フィリップスが危機を回避。50分にはブライトンのカウンターからハーフウェーライン近くでダニー・ウェルベックが抜け出すも、ファビーニョが素早くカバーリング。難なくマイボールにするなどCBコンビが相手の攻撃の芽をつんだ。

待望の先制点は絶好調男から

　60分にスコアが動く。ロバートソンが左サイドから中央のサラーに出すとワンタッチでジョタへパス。ボールを受けたジョタは逆サイドの方向へ切り込むと右足を振り抜く。グラウンダーのシュートはニアポストへうまく流し込み、リバプールが先制点を奪う。

　ブライトンは失点直後の63分、アダム・ララーナを投入する。しかしララーナはプレー中に負傷して71分にアリゼラ・ジャハンバクシュと交代。古巣との再会初戦は8分間のプレーとなってしまった。また3分後にはミルナーがハムストリングを負傷して交代。リバプールはけが人リストに新たに名前を加えることとなった。

後味の悪い結末

　82分のフリーキックのチャンス、ロバートソンのボールに途中出場のマネが頭で合わせて追加点…とはいかず、VARのチェックによりマネのオフサイドで得点は取り消されノーゴールに。再び1点差で試合は展開される。

　リバプールの1点リードで迎えた89分。ロバートソンがペナルティエリアでクリアしようとしたキックがウェルベックの足に当たる。一度は流されてプレーは続けられるものの、VARによって巻き戻され再びチェックが入ると、ファールの判定。主審はペナルティスポットに指を差し、ブライトンにPKが与えられることを伝える。ブライトンは第3節のマンチェスター・ユナイテッド戦でも試合終了した後にVARによって巻き戻されてPKを与えて敗戦した。今度はその逆の展開となり、PKを確実に決めて同点に追いつく。結局このまま1ー1で終了。リバプールは終盤で勝ち点3を取りこぼす結果となった。

VARではなく選手ファーストで

　ジョタの先制点に100試合出場のアリソンは的確な飛び出しでピンチを抑えてファビーニョとナット・フィリップスのカバーリング、サラーの裏へ抜け出して決めた幻のゴールなど選手の好プレーはたくさん見られた試合だった。しかし、この試合の主役となってしまったのは選手ではなくVARだ。今後もVARについて多くの議論が交わされるだろう。それでもサッカーというスポーツにおいて主役にいるのは必ず選手であるということを願っている。