過去5シーズンのクロップ戦術の変遷について振り返る【リバプール雑談ラジオ】

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ユルゲン・クロップはいかにしてリバプールFCをヨーロッパ、イングランドのチャンピオンチームに作り上げたのか。2015年秋に監督就任して以降の戦術の変遷について、

  • シーズンごとの勝ち方の変化
  • 選手獲得から見えてくる狙い
  • 堅実な戦い方ができるようになった理由
  • ミドルシュートは減った?
  • 新陳代謝は必要か?
などの観点で、LFCラボライターのグラッドイタツトリコレッズタクヤKOPが振り返る。

※本記事は、リバプール雑談ラジオ#008 過去5シーズンのクロップ戦術の変遷について振り返る(2020年9月10日配信)」を書き起こして編集したものです。

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ゲーゲンプレスが色濃くでた就任当初

タクヤ:じゃあさっそく始めていきます。今日も頂いているレター(質問)に回答していきます。19-20シーズンでは、その前のシーズンに比べて、攻撃力よりも堅実な戦い方も目立った印象でした。しかし停滞した試合では、ミドルシュートなどの違う攻撃が少ない印象でした。19-20シーズン後半でゴールできない要因はなんだったのでしょうか。テーマとしては17年から20年における戦術の変遷、失速の原因です。よろしくお願いします」と。結構いろんなのが詰め込まれている質問ですが。

あともう一個、ちょっと似た質問として、「CLバルサ戦のようなオリギのセンターフォワードでの起用法や、両サイドからの良質なクロスがあるにもかかわらず、パワープレー戦術をあまり採用しないことについてどう思われますか」と、戦術系の質問がきています。

フォーカスされているのが19-20シーズンという感じだと思うんですけど、17年から20年の変遷というところで、せっかくなのでクロップがリバプールに来た2015年10月からおよそ5シーズン経って、当時からどう戦術、メンバーも含めて変わって今の形が作られたというところを、シーズンを追って振り返っていければなと思っています。

Embed from Getty Images

タクヤ:まずクロップが来たのは15-16シーズンですね。このシーズンは、印象に残っているところとしては、何と言ってもヨーロッパリーグのドルトムントに逆転勝利したり、ヨーロッパリーグ決勝は負けちゃいましたけど、たぶんこの辺が印象に残っている試合かなと思います。このシーズンでの戦い方の特徴みたいなところって、何か思い付くところってありますか?

グラッド:このシーズン、クロップが途中から来たシーズンですよね。

タクヤ:途中(10月)からですね。たぶんその後の冬の移籍市場もそんなに動いてなかったような気がしますね。

グラッド:このシーズンは、シーズン序盤で結構失速していて、リーグで4位以内が厳しいみたいな状況だったので、クロップは狙うはヨーロッパリーグとカップ戦、それでリーグ戦は結構いろいろ試すみたいな形だったかなと思います。就任して初戦どこ相手だったかちょっと忘れちゃいましたけど、みんな信じられないぐらいプレスかけてて。スパーズ戦かな?

タクヤ:スパーズ戦でしたかね。

トリコレッズ:そうですね。

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グラッド:後半残り20分とかで誰も走れなくなって。クロップが自分のアイデンティティーを示して、どれだけ選手がそこについて来れるのかというのを試した初戦で、そういったものが続いてテストのようなリーグ戦だった気がします。そこで実際ベンテケとかは切られちゃいましたし、そんなシーズンだったかなという印象を持ってます。

トリコレッズ:スパーズ戦でいきなり前の試合から走行距離が10㎞増えたとか、なんかそんな感じでしたよね。

グラッド:ああ、そうそう。

タクヤ:トリコさん的には、何か印象に残ってるところとかありますか。

トリコレッズ:やっぱり今グラッドさんが言ったように、このシーズンは何か一番ゲーゲンプレスっぽさというのか、ここから2、3シーズンぐらいはゲーゲンプレスを前面に押し出してて、特に最初のシーズンは、誰ができてどういう編成にしていくかの形を探っていったようなシーズンに思います。そうか、この年はベンテケがいたんですね。

タクヤ:そうですよね。今いるメンバーだと、フィルミーノがいたぐらい?

グラッド:オリギもいましたよ(笑)。

タクヤ:オリギか。そうですよね、ヨーロッパリーグで決めてますもんね。

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グラッド:あとヘンダーソンとミルナー。

トリコレッズ:そんなもんですね、確かに。

タクヤ:そんな感じで、クロップ体制2年目が翌シーズンで、ここのシーズンオフの間に結構、人員整理してるんですよね。

グラッド:そうですね。ここは獲ってきたのがマティプとワイナルドゥムと…。

タクヤ:マネですね。

グラッド:マネと。あとカリウス?

タクヤ:はい、そうです。なので、ここで今の主力を何人か既に獲ってるというところで、クロップが当時から目指したかったチームづくりというのが、既に始まってるんだろうなという感じもうかがえるんですけど。

グラッド:そうですね。たぶんクロップはマネをかなり欲しがっていて、ゲッツェも噂はありましたけどマネを獲りました。マネはサイドプレーヤーですけど前線にターゲットができたことで、クロップの戦い方がここで一つ整理できたのかな。ベンテケがそういう役割をできたらよかったけど、ちょっとゲーゲンプレッシングが合わなかったので放出されて。前のドルトムントだとレヴァンドフスキが分かりやすくその役割をしてましたけど、マネがサイドで起点になることで、一つクロップの戦い方というのが分かりやすく明示されたのかなと思います。

タクヤ:いきなりアーセナル戦で、結構衝撃的なゴールを決めてましたしね。

グラッド:そうですね。

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タクヤ:イタツさんは、このシーズンの思い出は何かありますか。

イタツ:このシーズンは、自力でCL権を獲得したというところですかね、最後の最後で。前回のCL権はスアレスブーストみたいな印象が残ってたんで、このシーズンは着実に無名の選手たちが団結して、という感じです。最後、結構連勝したりしたんですよね。アウェーのウェストハム戦とか苦しそうだったけど、そこであんまり出てなかったスタリッジが活躍したりとか。最終節もホームでミドルズブラに勝てない?やばい?みたいな雰囲気が漂った時に、前半終了間際にワイナルドゥムが決めて、とか。クロップへの信頼がさらに増したシーズンですかね。

グラッド:ここもワイナルドゥムですからね(笑)。

タクヤ:そんな感じで、最後は自力で4位フィニッシュでCL出場権を獲得して、次がクロップ3年目となる17-18シーズンで、ここのシーズンオフでもまた選手を結構獲っていて、サラーとロバートソンと、あとオックスレイド=チェンバレンあたりがここで加入してますね。

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グラッド:クラバンもここからかな?

タクヤ:クラバンもそうですね。

イタツ:クラバンは一個前でした。

タクヤ&グラッド:あ、一個前か。

グラッド:ソランケ?ソランケも一個前かな?

イタツ:ここです。ソランケと、あと冬にダイクが来てます。

タクヤ:そうですね。

3シーズン目で変わり始めた戦い方

グラッド:この16-17シーズンまでは結構、前のシーズンも含めてですけど、トリコさんも言っていたようにいわゆるゲーゲンプレッシングというのがクロップの代名詞だよねって言われていて、まさに、みんなめっちゃ走る、みたいなサッカーをしていた印象です。

トリコレッズ:そう。それが割とこの17-18シーズンとその次の18-19からちょっと変わってるところはありますよね。

グラッド:そう。そこに溝がある感じがする。

タクヤ:その辺のポイントって、この17-18シーズンの途中でコウチーニョが冬に移籍するわけですけど、移籍の話自体はもう開幕のタイミングから出ていたわけで、その辺って何か関連してたりするんですかね。

トリコレッズ:確かに、コウチーニョは彼一人でゲームを決められる選手ですけど、クロップ的にどうなんだという。ゲーゲンプレスの話にちょっと戻っちゃいますけど、それほど適性を示していたというわけではなかったですよね。

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グラッド:そうですね。本当にこのシーズンまでは、結構4対3とか2対3とか5対1とかそういう打ち合いがスコアとしても多くて、まさにコウチーニョに集めて彼に仕事をさせて、ちょっと守備面でほころびが出てしまうけど打ち勝つみたいな感じでした。まあコウチーニョが守備面とか最後まで走り切るという面で、結構厳しい局面があったんですけど、なにしろ彼の決め方がえぐかったので(笑)。

タクヤ:(笑)。そうですね。

グラッド:それでもコウチーニョを中心に据えざるを得ないということでやってたんだと思います。

トリコレッズ:でも、この年の冬にダイクが入って、その次にアリソンが来て、それで次のシーズンから戦い方が少しずつ変わっていくということを考えると、センターバック、ゴールキーパーにどんな質の選手を置けるかというのは、結構大きな問題だったのかなという気がします。そこがある意味ちょっと不安定な場合は、前からガツガツ行って点を取って勝とうという戦い方にしてたし、せざるを得なかったのかなという点もちょっとありますよね。

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タクヤ:ああ、確かに。17-18シーズンで印象的な試合というとどれになるんですか。CL決勝は覚えてますけど。

グラッド:マンチェスター・シティに4対3で勝った試合とかは印象的でしたけど。これはコウチーニョが抜けてからかな。

イタツ:やっぱりゲーゲンプレスをまだコントロールしようとしてないというか、フルパワーでずっとやり続けるという時期ですよね。だから、シティ戦は一時4-1だったのに4-3になったり。ローマとの2試合も5-2と4-3ですからね。チャンピオンズリーグ準決勝でアグリゲート7対6って結構あり得ないですよね。

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タクヤ:ローマ戦といえば、イタツさんがアウェーを見に行って。

イタツ:そうですね。

タクヤ:グラッドさんがホーム?

グラッド:そうですね。行きましたね。

タクヤ:すごい。ホーム・アンド・アウェー。

イタツ:記事連載みたいにしよう、みたいに話してましたね(笑)。

タクヤ:すごいぜいたくな(笑)。

安定感を欠いていた過渡期

グラッド:このシーズンはローマ戦とかも含めて面白かったですけど、開幕初戦が3対3でワトフォードに引き分けたりとか。その後アーセナルに4-0で勝った後に、シティー戦5-0で負けてマネが退場して、バーンリーに引き分けて、みたいな。スパーズにも4-1で負けて、その後ウェストハム戦に大勝してとか、結構安定しない感じでしたよね。

イタツ:そうですね。セビージャ戦も3-0で勝ってたのに追い付かれましたよね。チャンピオンズリーグのグループステージで。

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トリコレッズ:マンチェスター・シティに4-3で勝った試合の後に、スワンズに負けたんでしたっけ(笑)。

イタツ:そうです。

グラッド:この当時はこういうの「まあ、そうだよね」みたいな感じでしたよね(苦笑)。

トリコレッズ:ネタとして楽しんでましたね。

タクヤ:もともと試合前から「なんか嫌な予感がするな」って言ってたら本当になる、みたいな。

グラッド:今はないですよね、あんまりそういうことは。

タクヤ:今はないですね。

グラッド:やっぱり勝ち切れないみたいなことがよくあるシーズンでした。

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タクヤ:でもこのシーズンは、今思うとやっぱり、キーパーもアリソンが来る前年だから、ミニョレが出たりカリウスが出たりで、結構時期によってどっちが出るか変わってた気が。

グラッド:そうですね、変わってましたね。

タクヤ:最後のほうはもうカリウスになってましたけど、たぶんミニョレが出てた時期もありましたよね。

グラッド:このシーズンCL権を取れたのは、サラーがいっぱい点を取ったからなんですよ。このシーズン、サラーが32点取ったので。

タクヤ:サラー、加入1年目で。

グラッド:1年目ですごいゴールを決めまくってましたね。エリア内で何人もかわしてゴールとか、ミドルとか、すごいのを決めていて。コウチーニョが抜けたからこそ、後半戦はよりサラーが活躍をして。かつ守備のバランスも、ダイクが途中で入って良くなったという。そんな、狙い通りじゃないにしても結果オーライなシーズンでしたからね。

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