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シティ総括
ペップ革命とは、有り体に言うと「ちゃんとしたことをちゃんとやろう」ということです。
ハーフスペース、5レーン理論、ポジショナルプレーなど、用語化されるとそれだけでアレルギー的に拒否してしまう人もいますが、プレーそのものとしては、「選手の間を取る」「ある局面でボールキープのための最適なポジショニングをする」という目的のために多くのサッカー経験者がやっていることなのです。フリーでボールを受けたければ相手の目の前ではなく少しずれた場所にポジショニングしますし、3対3ぐらいでボールをキープしようと思ったらトライアングルを作りながら相手のギャップに入り込むはずなのです。
しかし、それを言語化、理論化することにより全ての選手への浸透を(才能に必ずしも頼ることなく)可能にし、プレーとしての「再現性」を確保したところが革命なのです。
サッカーというスポーツが足でボールを扱うということ、すなわちプレーそのものの難易度、不確実性が高いことから、どうしても選手個人の瞬間的な「曲芸」がフィーチャーされてきた面が強いのですが、それは戦術として期待すべきところではありません。
戦術とは論理であり、論理とは少なくとも起こる確度の高い現象に依拠すべきであって、偶然性を根拠にするべきではないのです。
サッカーから偶然性をできるだけ排除し、論理的に攻撃・守備を構築するという考え方そのものがサッカーにおけるパラダイムシフトであり、ペップのもたらした革命と呼べるのでしょう。
(これだけでは全くペップの思想を言い切ることはできていませんし、僕自身も全てを正しく理解しているとは到底言いづらいのですが……)
しかし。しかしです。
我々リバプールはある意味で極めてメンタルなチームであり、ロジカルなチームであるシティとは対極です。
でありながら、あるいはであるからこそ、群雄割拠のプレミアリーグにおいてシティに敗北を味わわせた唯一のチームなのです。
あくまで私見ですが、マンチェスター・シティに勝利するという確率において、リバプールは他のCLベスト8のチームに比べても遜色ないかむしろ優れていると僕は考えています。
この試合、恐らく多くの部外者はシティ絶対有利だと考えていることでしょう。しかし、我々KOPはむしろ逆のことを考えているのではないでしょうか?
勝負のポイント・キープレーヤー
1.シティのサイド攻撃を止められるか
崩しの局面でシティはサイドを執拗に利用してきます。それは強力な両ウィンガー&両IHのコンビネーションを上手く使いやすいからでしょう。このサイド攻撃をしっかりと止めることが出来るかどうかがリバプールの守備にとって大きなポイントです。
キープレーヤー:トレント・アレクサンダー・アーノルド
クラインの復帰が間に合うかどうかも問題ですが、恐らくこの試合もTAAが起用されることになるのではないでしょうか?
今シーズンはクラインの怪我により継続的な出場機会を得ているKOP期待の超新星ですが、やや波のあるパフォーマンスであることは事実です。
強烈なスピードと正確なクロス、勇猛な攻め上がりによって大きく評価を上げた試合もあれば、ポジショニングの難や飛び込みの軽さにより手厳しい批判を受けた試合もあります。最近ではユナイテッド戦、パレス戦共に狙い打ちにされたこともあり、大きく評価を下げてしまっています。
しかし、彼は負けず嫌いのスカウサー。この大一番で汚名を返上しようと意気込んでいるのではないでしょうか?
彼のパフォーマンスがリバプールのサイドの守備を大きく左右することは事実です。是非、我々の批判を吹き飛ばして欲しいものです。
2.中盤の選手達が正しいポジショニングを出来るか
リバプールの守備の問題といえばCB、GK問題が大きく取り上げられることが多いですが、実はリバプールの難の1つであると思われるのが中盤の選手達のポジショニング能力。
前述しましたが、前方向へのプレッシングは得意なものの、相手のポジションを基準として正しいカバーリングポジションを取ることは苦手にしている選手が多いです。その守備のギャップを突かれると、シティのパス回しの餌食となってしまうでしょう。
キープレーヤー:ジョルジニオ・ワイナルドゥム
ジニは本来IHの選手ではないのですが、持ち前の献身性、飛び出しの嗅覚を活かしてよく頑張ってくれています。ですが前述のようにカバーリングのポジションをとることはやや苦手としている印象で、特に下がりながら正しいポジションを取るということにはそれほど長けていないように見えます。彼のプレーで中盤のバランスを上手く保てるかどうかが、中盤でのシティとの激しい戦いを制するキーとなるでしょう。
ちなみに、ジニがスタメンでなければここはジャンになります。彼も高い身体能力と豪快なタックルの印象がありますが、繊細なポジショニングを出来るかどうかが彼自身の殻をもう一段階破れるかどうかの境目になるでしょう。
3.シティの守備を切り裂く「意外性」を生み出すことが出来るか
極めて組織化されたシティというチームだからこそ、力押しであったり、強引なドリブルなどで意外と崩すことが出来るということは見てきたとおりです。リバプールというチームは強引なまでのハードプレスから奪ったボールを超高速カウンターすることが大の得意だというところから、今シーズンは互角の戦いを繰り広げていられるのではないでしょうか。
キープレーヤー:アレックス・オックスレイド・チェンバレン
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強引でパワフルな中盤からの突破といえばこの男。パレス戦では途中出場であったこともあり、シティ戦では先発出場するのではないでしょうか。リーグでのシティ戦第2戦での先制点のような、推進力を前面に押し出したプレーを見せて欲しいものです。
前向きにプレビューしてきましたが、もちろんかなり厳しい相手であることに間違いはありません。
しかし、CLでのリバプールは特別な強さを見せてきたチームであることもまた事実。
相性の良さも活かし、シティを撃破して勢いを付け、ほぼ15年ぶりのビッグイアーを掴み取って欲しいものですね。
それではこの辺で。長くなりましたが、ここまで読んで下さってありがとうございました。
ボビーが競り勝ったのはストーンズですね!
4-3の試合の2点目のシーンのことですね?
確かにそうですね、失礼しました。ご指摘ありがとうございます!
「勝負のポイント・キープレイヤー」が見事に的中!!しましたね。
「ロジカルなチームに勝つ」って、ホント気分爽快♪です。
でも「ペップ・シティを本気で怒らせた!?」エティハドの
2stレグは・・・やっぱり怖いです。
正直言って、TAAは予想を遙かに上回る活躍ぶりを見せてくれましたね!
チェンボのスーパーゴールも、ジェラードを彷彿とさせる素晴らしいものでしたし……!!
ペップがこのまま指をくわえて見ているとは考えにくいので、何か必ず仕掛けてくるはずですね……恐ろしいです。
時間があれば、この試合の分析をして、その最後の方で次の試合も展望していきます!