ジェレミー・フリンポンのプレースタイル/プロフィール解説|リバプール選手名鑑

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かぴばろ
体重だけならファンダイクとコナテに勝てるデブ。静岡生まれ池袋住みの癖に成り行きでなんの縁も無い横浜の水色のチームも追っているデブ。

基本プロフィール

画像出典:LFC公式HP

  • 選手名:ジェレミー・フリンポン
  • 生年月日:2000年12月20日
  • 国籍:オランダ
  • 身長:172cm
  • ポジション:RSB, RWB, RSH, RWG
  • 背番号:??
  • チームキャリア:セルティック(SCO/19-20~), レバークーゼン(GER/21-22~), リバプール(ENG/25-26~)
  • 市場価格:€ 50.00Mill.
  • 契約終了年:2030年6月30日

プレースタイル

非常に優れたアスリート能力を有する右サイドのスペシャリスト。シャビ・アロンソが率いたバイエル・レバークーゼンに於いては3-4-2-1の右WBを務め、2023-24シーズンのリーグ無敗優勝に大きく貢献した。

ストロングポイント

画像出典:LFC公式HP

先ず最も目立つ特徴はそのスピード感溢れるプレー。2024-25シーズンのブンデスリーガではチーム内最高、リーグでも7位となる36.34km/hのトップスピードを記録している。

リバプールでは23-24シーズンにドミニク・ソボスライが叩き出したトップスピード記録にサポーターが度肝を抜かれたということがあったが、その際の彼の数字は36km/h台であったことから、フリンポンがかなり高い走力を有していることがうかがえる。(ちなみに、24-25シーズンのチーム最速記録はジャレル・クアンサーが叩き出した35.47km/hとなっている。)

トップスピードと同様に注目したいのがスプリント力。ブンデスリーガではスプリント回数のランキングに於いて24-25シーズンに1021回でリーグ2位、更に23-24シーズンには1006回でリーグ1位につけている。圧倒的な走力で右サイドを制圧するフリンポンの存在は、レバークーゼンにとって大きな武器の一つであったと見て間違い無いだろう。

優れたトップスピードを記録しているが故にオープンスペースを単騎突破する破壊力に特化した選手というイメージが付きがちかもしれないが、複数人に囲まれている状態から細かいボールタッチを駆使してスペースに抜け出したり、対面した相手選手に緩急を付けたドリブルで駆け引きし、優れたアジリティを生かして置き去りしたりにするシーンもめずらしくない。

ダイナミックなスピードと足元の技術を存分に駆使し、攻撃面では強大な飛び道具としてチーム全体をよりゴールライン近くに押し上げることの出来るポテンシャルを備えているフリンポンだが、身体能力以外の面に目を向けてみると、謂わゆる“脳筋っぽさ”を良い意味で感じさせない選手でもある。

キックの精度が特段ズバ抜けているタイプでは無いのだが、前述の攻撃力を活かして敵ゴールに近づいた後、そのプレースピードの中で冷静にパスの出しどころを見極めてより可能性の高いスペースや選手にボールを出し、チャンスを作り出すことが出来る。ボール保持の際も闇雲にエゴイスティックなドリブルで無理な突破を図ろうとするばかりではなく、味方とのパス交換を駆使してフリーになったスペースに走り込むという場面もある。

23-24シーズンにはWBとしてリーグで9G/7Aという驚異的な記録を残しているが、それもフリンポンの持ち合わせる身体能力と堅実な判断能力が生み出した結果と言えるだろう。

チームへの献身性の高さも魅力の一つと言って差し支えない。技術・能力的な部分はともかく、守備をすることが必要な場面では積極的に自陣に戻って守ろうとする姿勢を見せてくれる。

前述の圧倒的なスプリント回数だが、通常サッカーというのは(当たり前の話ではあるが)どのチームも100%攻撃のみをしている訳ではないため、極端な例えをするならば攻撃の場面のみで積極的に走っている選手がスプリントの回数を稼げることはあまり無いと考えて良い。そういう意味ではフリンポンの異常なまでのスプリント回数こそがチームのために攻守でハードワークできる選手であることを裏付ける何よりの証明と言っても過言では無いだろう。かつてのリバプールは、右SBのトレント・アレクサンダー=アーノルドが度々見せる守備意識の低さにサポーターが頭を抱えるというシーンも見受けられたが、フリンポンであればそういった怠惰なプレーに対して悩まなくてよくなるかもしれない。

また、キャリアを通じて怪我が少なく稼働率も高い点もありがたい。より強度が高く、過密日程となるイングランドに於いても離脱せず同様の働きぶりを見せてくれるようならば計算が立つのでそこも期待したいところだ。

前述の通りレバークーゼンでは3-4-2-1の右WBを務めていたが、オランダ代表ではその高い攻撃力を評価されてか4-2-3-1の右SHを務めている。アーネ・スロットは24-25シーズンを4-2-3-1の基本フォーメーションで戦い抜いてリーグ優勝を勝ち取った。しかし、今季は右SBのアレクサンダー=アーノルドが退団。そして右SHのモハメド・サラーも契約を延長したとはいえ、いつ衰えが見え始めてきてもおかしくない年齢であることは否めない。そうでなくとも、現状のスカッドに於いてサラーに次ぐ右SH要員で頼りになる選手が不在という状況だ。

これらのことを踏まえた上で、スロットがフリンポンをどのように起用するのか非常に興味深い。仮に大方の予想である右SBではなく右SHでの起用が増えたとしても、23-24シーズンにリーグ戦で9発を叩き込んだ自慢の攻撃力を遺憾無く発揮してくれればチームの助けになることは間違いないだろう。

ウィークポイント

画像出典:LFC公式HP

身体的素質と言ってしまえばそれまでの話ではあるのだが、身長が172cmとシンプルにサイズに欠けるところがあるため、空中戦ではどうしても分が悪くなる。

24-25シーズンのリーグ戦におけるフリンポンの空中戦勝率は35%となっており、これは57.9%を記録したコナー・ブラッドリーと比べると大きく劣る(データ出典元:Opta)。そのため、フリンポンがクロスやロングボールなどで狙われるシーンが多くなる可能性は否めない。ただし、フリンポンと入れ違いになったアレクサンダー=アーノルドの空中戦勝率は18.75%なので、そちらとの比較では一応上回っている。

ストロングポイントで献身性が高いことを述べたが、純粋な守備力という点ではまだまだ荒削りな部分がある。爆発的なスピードを備えているため相手がスペースを前進してくる際に追いつくこと自体は可能だが、サイドでマッチアップした際に守備の軽さを露呈するシーンは度々見受けられる。例えば、対面している状況から簡単に釣り出されてクロスを許すシーンは散見される。

前提としてスピードと一定の守備意識があるという点ではアレクサンダー=アーノルドよりもはるかに評価できる部分ではあるが、いずれにせよフリンポン自身も右SBとしてプレーするのであれば守備に於ける粘り強さを少しずつでも身に付けていく必要がありそうだ。

ストロングポイントでも述べた起用法についての話になるが、現在フリンポンの主戦場は右WBか右SHである。4バックの右SBとしてのプレーは、欧州5大リーグのレベルには及ばないスコティッシュ・プレミアシップのセルティック時代と、ブンデスリーガの降格圏を彷徨っていたシャビ・アロンソ就任以前のレバークーゼン時代の2つが主となる。

このことからフリンポンはSBとしては5大リーグの上位を争うレベルの中でプレーした経験に欠けるため、もしリバプールが彼を右SBとして起用した上で優勝争いに臨むようであれば、ある種それは未知数の試行であると言える。

しかし、リバプールのCBには、未だ世界最高のCBと名高いフィルジル・ファン・ダイクと、圧倒的なフィジカルでアレクサンダー=アーノルドのリカバリーを勤め上げていたイブラヒマ・コナテという非常にハイレベルなコンビが聳え立つため、フリンポンのキャリアの中で最も充実した右SBでの時間を過ごせるかもしれない。

このオランダ産スピードスターをスロットがどう起用するのかは、新星リバプールに於ける大きな注目ポイントの一つと言っていいだろう。24-25シーズンは選手の特性を大いに活かすスロットの手腕を見ることが出来たからこそ、フリンポンの活かし方にも期待をせずにはいられない。

明るいキャラクターで、すでに多くのリバプール・ファンを魅了しているフリンポン。一刻も早くアンフィールドの右サイドを力強く駆け回る彼の姿が見たいものだ。

 

エピソード・小ネタ

画像出典:LFC公式HP

◆オランダ・アムステルダムで産まれた彼は7歳の頃に家族と共にイギリス・マンチェスターへ移住し、マンチェスター・シティのアカデミーへと加入。そこからプロデビューする直前まで同チームでプレーを続けたため、プレミアリーグのホームグロウン枠の資格を持っている(21歳になるまでにイングランドorウェールズのチームで3シーズンまたは36ヶ月以上プレーしていることが条件のため)。

◆実はマンチェスター・シティではなくリバプールのアカデミーへの加入を望んでいたフリンポン。しかし、家族は運転しておらず、リバプールまで通うには距離が遠かったため、バスで通えるシティのアカデミーを選ぶこととなった。

◆出生地のオランダ、母親のルーツであるガーナ、移住先のイングランドと、3つの代表の資格があったフリンポン。それでも最終的には自身の生まれ故郷かつ父親のルーツでもあるオランダ代表を選択することを決めた。

◆フリンポンの父親はリバプール・ファンであるらしく、フリンポンの幼少期には一緒にLFC TVを見ていたのだとか。早速加入発表直後にはクラブ公式SNSにてフリンポンが家族とリバプール加入の喜びを分かち合う動画が公開されており、サポーターの心を温めてくれている。

◆とても陽気な性格をしており、レバークーゼンでは愛されキャラかつムードメーカーのような役回りだったらしい。オランダ代表公式SNSが3月に公開した動画では陽気にはしゃぎながらライアン・フラーフェンベルフやファン・ダイクと仲良くスキンシップを取っているシーンが映っている。

◆レバークーゼンの24-25シーズンホーム最終試合となったドルトムント戦、先制ゴールを決めた彼は一目散にタッチラインに向かって走り、退任が決まっているシャビ・アロンソへと抱きついた。それは、自分をここまで戦える選手にしてくれた指揮官への惜別の思いが溢れ出しての行動だったのだろうか。とにかく、こういった人間味溢れるキャラクターが彼の愛される所以だと感じる。

◆リバプール以前に所属していたセルティックとレバークーゼンではそれぞれリーグ優勝メンバーの一員になっているため、実は優勝請負人と言えるのかもしれない。リバプールでもビッグタイトルを掲げる彼の姿を見届けたいものだ。

◆コナテが日本のアニメ好きであることはもはやリバプール・ファンの間で周知の事実だが、フリンポンも同様の趣味があるらしい。彼のSNSには度々NARUTOをオマージュしたかのような投稿がされる。是非来日ツアーの際は素敵なNARUTOグッズにでも巡り合って欲しい。

◆Goal.comのYouTubeチャンネルにて「リバプール、マンチェスター・シティ、アーセナルの3チームからベストイレブンを選ぶ」という企画にてフリンポンにインタビューを実施。彼はマンチェスター・シティから6人、リバプールから5人の選手を選び、アーセナルからは選出が0人だった。

◆母親のルーツであるガーナを訪問し、若者とサッカーをしたり孤児院の子供たちと触れ合ったりするという優しい性格も併せ持つ。

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3 件のコメント

  • ご指摘・ご提案ありがとうございます。
    背番号の方修正いたしました。
    稼働率はイングランドサッカーの環境の異質さを考えて言及しようか迷って触れなかったのですが、ご提案を頂いたためやはり追記させていただきました。
    また何か読んでいてご提案などあれば是非ご教示ください!
    未熟ではありますが、今後ともLFCラボをよろしくお願いいたします!

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