[リバプールCL対戦相手分析]マンチェスター・C〜赤き魂は蒼き頭脳を打ち破れるか〜

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トリコレッズ

トリコレッズ

日本ではマリノスファンなので、Redsの虜(トリコロール=マリノス)という意味でトリコレッズという名前にしました 戦術・選手分析などをしていきたいと思います
2試合目:PL第23節 リバプール4-3シティ

迎えたリターンマッチ。リバプールのスタメンはそれほど大きく変わっていません。レギュラーポジションを奪った選手としてはカリウスとロバートソンですが、他の選手はローテーションや怪我人の事情です。

シティはフォーメーションを4-3-3に変更。攻撃の売りを両ウィングに求める形になっています。

試合展開

試合そのものは1試合目と同じで激しい攻め合いになります。リバプールがシティのビルドアップのタイミングから組織的なプレスをかけてショートカウンターに持ち込もうとすれば、シティはウィングへのロングボールを用いてプレスを回避、サイドでの勝負に持ち込みます。このプレスの段階で、リバプールのフォーメーションが何種類かに分かれていたことが少し話題になりましたね。

前半1点ずつ奪い合うと、後半にリバプールの攻撃力が爆発。長めのカウンターでのロングボールをボビーがオタメンディに競り勝って収め、落ち着いて決めて2点目を奪うと、そこからはイケイケのハードプレスでシティのビルドアップを破壊。約8分で3ゴールを奪い、4-1と試合を決定づけます。

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……と思ったんですが、85分以降にシティにあっさりと2ゴールを奪われ、結局最後までドタバタのある意味極めてリバプールらしい試合に。しかし勝ちきって、無敗シティに唯一の土を付けたチームとなりました。

試合スタッツ

ポゼッション、タッチ数、パス数ではシティが圧倒している様に見えますが、プレースタイルとしてリバプール的にはそれほど気にはなりません。それが証拠に、シュート数、枠内シュート数、タックル数ではリバプールがリードしています。

シティの攻撃②

シティの攻撃の基本はもちろん変わっていません。トライアングルの形成を基本としたポジショナルプレーなのですが、1試合目とフォーメーションが変わっていることはもちろん意味があります。
大きく言うと「中→外→中」から、「外→中→(外→)中」という目標になっています。これを解説していきましょう。ピックアップするのは18分58秒付近のプレー。

この試合で非常に多かったのがハーフウェイライン付近からオタメンディが逆サイドのウィンガー(スターリング)めがけてロングボールを蹴り込んだところから攻撃が始まるパターンです。この時点で当然のようにデブライネはハーフスペースにポジショニングしており、リバプールとしては細心の注意を払ってスライドすべきシーンです。


スターリングにボールが入ったタイミングでダイレクトにロボの裏を取ろうとしたデブライネですがここはロボの立ち位置が良くそうはいきません。そのため、デブライネは自分の元いたスペースに戻り、上がってきたウォーカーと共にトライアングルを形成します。

ウォーカー→スターリング→デブライネとワンタッチでパスが通り、リバプールは一番危険なスペースで一番危険な選手をフリーにしてしまいます。恐らく正しい対応としては、
1.ジニはバックラインに戻るのではなくデブライネのいるハーフスペースにプレスする
2.実際のプレーでは1.のジニの代わりにハーフスペースに戻ったマネはウォーカーをチェックする
これによって、少なくとも同数でプレスできます。できることならジャンもフェルナンジーニョへのパスコースを切りながら近づいていきたいところです。現実では数的不利に陥っており、これではシティを止めることは全く不可能です。

ボールを受けたデブライネはここからディフェンスラインとキーパーの間にクロスを送り込むも良し、もう1回スターリングを使ってさらに揺さぶりをかけるもよし(このシーンではやや無意味に見えますが:ただし、スターリングがその素振りを見せることにより、ロボはデブライネへの対応ができないという意味では価値がある動きです)。ここでは、デブライネの最も得意とするプレーの1つである前者を選択します。


中央の対応も微妙っちゃ微妙ですが、あの高速クロスに対して一瞬の動き出しというシーンではアグエロの嗅覚、マーク外しはワールドクラスです。CBが悪かったと断定することは出来ません。
何にせよリバプールはほぼ完全に守備を崩されており、最後アグエロに合わなかっただけで、理論的には失点もののシーンでした。

また、リバプールの守備が上手くいったシーンも見ておきましょう。時間は47分16秒付近です。

リバプールの定位置守備のシーンです。最前線のボビーが後方(恐らくチェンバレン)に指示を出し、4-2-3-1のフォーメーションにしています。

これで見ると、かなり典型的な4-2-3-1になっていることがわかります。この目的は、フェルナンジーニョに対するマークを明確にすること、さらにシルバ、デブライネがハーフスペースで自由にならないようにすることです。


フェルナンジーニョを封じられたシティCB陣は、CB同士でパス交換した後にデブライネへ縦パスを入れますが、それを狙っていたリバプールはチェンバレン、ジャン、ロヴレンの3人で囲んでボールをカット。奪い返すことに成功しました。

ただし、これと同じようなシーンにおいてシティの攻撃が成功したパターンもあります。53分37秒付近のプレーです。

さっきとほぼ同じ4-2-3-1でリバプールはセット。ただし、トップ下の位置には今回はジャンが入っています。
シティの狙いとしては、守備的MFが2人になったことにより生まれた二人の「間」のスペース。
また、今回のプレーでは、ボビーが一人でプレスするような形になってしまっており、後ろからの連動がないため、ボビーを外すとその後は単純にシティが数的有利になるシーンになってしまっています。

そのスペースを使うのが下りてきたCFなのがシティの特徴。今回はアグエロが下りてきてボールを受けます。このパターンに対するリバプール側の対応が決まっておらず、基本的にリバプールのCMFは前方向には強いものの後ろを気にしながらポジショニングするというのが苦手なので、あっさりとアグエロをフリーにしてしまっています。


ボールを受けたアグエロはターン。中央に引きつけておいて、左サイドのサネを使います。ここではゴメスが対応したものの、ギャップをついてボールを運び、強みであるウィンガーを使うというシティの狙いとしては完結しています。

シティの守備②

それほどピックアップするシーンはなかったのですが、リバプールの1点目のシーンを見ておきましょう。8分34秒のシーンです。

カリウスのロングキックからのシーン。カリウスがスタメンに定着し始めた頃は、恐らく「とにかくセービングに集中しよう」ということでボールはとりあえず蹴っ飛ばしていた感じがありましたが、最近少し改善してきましたかね?



ロングボールをサラー、ボビーが競り合い、こぼれ球をチェンバレンが拾います。


そこからチェンバレンは猛然とドリブル。オタメンディのスライディングが来る前に思い切ってミドルシュートを放ち、エデルソンの脇を抜けてゴールしました。

こう見ると、かなり単純な攻撃なのですが、それに対してはシティとしても普通に弱みを抱えていることが分かります。オタメンディやストーンズは悪くないCBですが別にスーパーなCBではなく、フェルナンジーニョも読みが鋭くクレバーな素晴らしいアンカーですが、機動力に優れた選手というわけではないため、意外と強引に攻め込むことは可能です。

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4 件のコメント

  • 「勝負のポイント・キープレイヤー」が見事に的中!!しましたね。

    「ロジカルなチームに勝つ」って、ホント気分爽快♪です。

    でも「ペップ・シティを本気で怒らせた!?」エティハドの

    2stレグは・・・やっぱり怖いです。

    • 正直言って、TAAは予想を遙かに上回る活躍ぶりを見せてくれましたね!
      チェンボのスーパーゴールも、ジェラードを彷彿とさせる素晴らしいものでしたし……!!

      ペップがこのまま指をくわえて見ているとは考えにくいので、何か必ず仕掛けてくるはずですね……恐ろしいです。
      時間があれば、この試合の分析をして、その最後の方で次の試合も展望していきます!

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