【リバプール対戦相手分析】クリスタル・パレス〜現代に蘇った“恐竜”〜

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トリコレッズ

トリコレッズ

日本ではマリノスファンなので、Redsの虜(トリコロール=マリノス)という意味でトリコレッズという名前にしました 戦術・選手分析などをしていきたいと思います

(本来は、「タイトルに王手! パレスに勝ってホームで決めるぜ!!」的なタイトルになるはずでした……)

で、お久しぶりです。トリコレッズです。最近なんかちょくちょく顔出してます。

さぁ、仕切り直して難敵クリスタル・パレス戦をプレビューしてみましょう。週末に行われた、ボーンマスvsパレスの試合を見直しつつ、エバートン戦で見えたリバプールの課題や特徴と照らし合わせていきます。

ボーンマス0-2クリスタル・パレス @バイタリティ・スタジアム

スタメンとフォーメーションはこちら。共に4-3-3スタートです。ボーンマスは後半からフォーメーション変えましたけどね。

ボーンマスを見てみると、右ウィングのスタメンにはリバプールからのレンタルで加入中のハリー・ウィルソン。左はジョシュア・キング、中央にカラム・ウィルソン。メンツでいうと結構豪華なんです。

ちなみに、さまざまなチームから興味をもたれまくっているでお馴染み、突貫小僧ライアン・フレイザーが契約を更新せず、6月末でチームを離れるようです。

https://www.bbc.com/sport/football/53106288

ボーンマスもメンバーはなかなかですが、パレスの3トップはそれに輪を掛けて豪華です。アイェウ・ベンテケ・ザハって、子供はまず間違いなく泣いて逃げ出し、パブで巨大なパイントグラスを抱えたビール腹のおじさん達が「やっぱりイングランドのフットボールはこうでなくっちゃガハハ」みたいなことを赤ら顔でのたまうはずです(自粛はしっかり守りましょうね)。しかも監督がホジソン!プレミアリーグを真っ黒になるまで煮詰めたみたいな豪華メンバーです。

クリスタル・パレスFC公式Twitterより引用

「恐竜」とか呼ばれたこともあり、アラダイスやパーデューと並んですっかりオールドスクールな監督という印象が強いホジソンですが、この日はなかなかどうして見事なモダンフットボールを披露していました。詳しくはこの後見ていきます。

ちなみに、この試合のDAZN英語実況で触れられていたのですが、ホジソンが監督業を始めたのが1976年。で、この日の対戦相手、ボーンマスを率いるエディ・ハウ監督が生まれたのが1977年だそうです。……やっぱ恐竜じゃね?

ついでに、パレスでもう一人言及しておきたいのがガリー・ケイヒル

クリスタル・パレスFC公式Twitterより引用

テリーと共にチェルシーで一時代を築いたCBは昨夏契約切れでパレスに入団。正直、もう「終わった」のかなと思っていたのですが、いやいやそんなことありません。ベテランCBらしい、落ち着いた読みと危機察知力が光るクレバーな選手になっていました。

では、そんなこんなでハリー・ウィルソンうぉっちやっていきましょう!

パレスの攻撃:ベンテケに当てろ!ウィングが走り込め!!……だけじゃない

試合を見る前は、「最前線がベンテケで、監督がホジソンなら、どうせ放り込みだろ」と思っていました。

しかし、見てみるとなかなか組織化された崩しを披露。見てみましょう。

パレスがボールを持つと、両ウィングはハーフスペースに絞り、SBが高い位置を取ります。中盤はクヤテとミリボイェビッチが低め、マッカーサーは少し前という感じでした。

主にボールを動かすのはミリボイェビッチで、サイドに展開してIH、SB、WGが連携してサイドを突破します。10’00ぐらいからのシーンを見てみましょう。

バックラインからのビルドアップでC.ウィルソンのプレスを剥がし、サイドに張ったマッカーサー→ザハ→ミリボイェビッチと繋ぎました。アイェウは試合中自由に動きまくっていたので、右サイドからここまで来ています。この時点で、パレスは左サイドに「オーバーロード」しています。要は人がいっぱいいるってことです。

アイェウが下がってきて、ミリボイェビッチ→アイェウ→アーンホルト→アイェウとパス交換します。この間に、マッカーサーやアーンホルトがじりじり上がってきて、パレス左サイドの密度が高まってきていますね。

アイェウがボールをキープしている間に、アーンホルト、マッカーサーはさらに少しずつポジションを上げます。また、マッカーサーがブルックスの裏に入り込もうとしているのも見逃せません。

で、マッカーサーにボールが入ります。ブルックスはできればカットしたかったですが、ボールを持っているのがアイェウでは、なかなか後ろのパスコースまで気が回らないのもわかります。で、マッカーサーにボールが入った瞬間、ザハがプルアウェイしながらバックラインの裏を狙います。

ステイシーのタックルの直前でマッカーサーがザハにボールを預けると、ザハはエリア内へ侵入してシュート。ボールは浮きましたが、左サイドをパスワークで突破したシーンでした。

こんな風に、ボールを持ったら結構丁寧にサイドを突破していたパレス。恐竜だなんて、いやはや失礼いたしましたという感じです。

ちなみにですが、もちろんロングボールを蹴り込むパターンもあります。その場合はスコット・ダンから左斜めに蹴り込んで、ベンテケ、ザハ、アイェウのうち誰かが競るという感じです。この3人は全員空中戦も戦えるところがさらに嫌らしいですね。アイェウ、スタートポジションは右のはずですが、前述の通りめちゃめちゃ自由に動き回っていました。

パレスの守備:整理されたプレッシングと走るザハ

さて、続いてパレスの守備です。実際、リバプールと戦う際にはパレスはまず守ってくるでしょうから、こっちに時間を割きましょう。

パレスの前プレスはこんな感じ。

基本は、リバプールのプレスと同様に、ウィンガーがサイドへのパスコースを遮断します。

で、相手のCBどうしのパス交換をスイッチとして、ウィングがサイドを切りながら寄せます。それに連動して中盤も相手を掴んで、蹴り込ませて奪い取るという感じです。結構ちゃんと仕込まれた、いいプレスでした。ボーンマスは足下でプレスを剥がすことができず、蹴らされてしまっていました。

ただ、じゃあ蹴ったら必ずしもダメなのかというと、意外にそうでもないのが狙い所です。というのも、中盤が上がっていくのに対して、最終ラインはそれほどラインを上げないからです。機動力の問題だと思いますが、そうすると中盤と最終ラインの間にスペースができます。実際、カラム・ウィルソンがここでボールを受けるシーンも見られました。

次に、パレスのブロック守備を見てましょう。下がってブロック守備するときには、4-5-1のラインを形成。ここで特に目立ったのが、右サイドから左サイドへの誘導でした。中盤ライン5枚のうちほぼ4枚が右サイドに集まることもあり、そちらからの突破は許さない!という強い意志を見せます。

するとボーンマスはまぁ当たり前のように逆サイドへ展開。このときに凄かったのがザハです。アーンホルトが対応して時間を稼いでいるうちに、前線から猛然とプレスバックし、アーンホルトと協力してボールを奪う姿が印象的でした。

まぁでも、瞬間的にとはいえ、こっちサイドではアーンホルトとウィンガーが1対1というシーンはありました。なので、狙い所にはなるといえるでしょう。ボーンマスがこちらから攻略できなかったのは、突破を得意とするわけではないウィルソンが右WGだったことも影響したかも。

パレスの守備で1点気になったのが、アイェウの守備対応でした。中盤5枚の右サイドを守っていたアイェウは、相手のCBがボールを持っているときに飛び出してボールを奪いに行くシーンが何度かあったのですが、その対応はどちらかといえば自身の裏のスペースを空ける結果に。そこを使われ、突破を許す場面もありました。

アイェウも頑張って守備をした結果なので責めるのはかわいそうですが、ここは狙い所になりそうですね。そう考えると、リバプールは基本、左サイドを上手く使って前進したい感じがします。左に寄せて右にドカンとサイドチェンジし、右WGが勝負……とかね。

エバートン戦のリバプール、どうだった?

さて、ではリバプールの様子をちょっと見直してみましょう。詳細なレビューはたくみさんの記事がありますので、ここではパレス戦に関連しそうなことをちょこちょこと。

1.左サイドどうなるんだ問題

もともとロバートソンのコンディションが上がらずエバートン戦ではミルナーが左SBを務めていましたが、たくみさんも指摘している通り、通常SBが幅を取っているリバプールにとってはちょっと厳しい人選になってしまいました。しかも、試合中でそのミルナーも負傷。パレス戦に向けた人選が、より不透明になった感は否めません。

リバプールFC公式Twitterより引用

ですが、さきほども触れたとおり、左サイドは前進に使いたいところ。とすると、SBの人選も極めて重要です。また、クロップが「メンバーを変える」と明言したように、左WGもどうなるのか分かりません。

さらにさらに。リバプールにとっては、パレス戦の次の試合がエティハドでのシティ戦です。言うまでもなく、全力を傾けるのはそちらの試合になるでしょう。

というわけで!パレス戦の予想は、左SBロボ、左WGオリギ。オリギはうまい立ち位置を取ってパスを引き出すというタイプではないので、大丈夫かちょっと不安は残りますが、IHも上手く絡んで左サイドに数的優位を作り出して欲しいものです。

ロボのコンディションが上がらない場合には、恐らくラルーチくんとかになるでしょう。無理矢理やらせるとすればヘンドですが、流石にどうでしょうね……ミルナーじゃないんだから

2.CBどうなるんだ問題

こちらも負傷者が出てしまったのは残念です。しかも、この試合ハイパフォーマンスを見せていたマティプでした。

そもそもエバートンはかなりあからさまにダイクとファビーニョを消してマティプに持たせていましたが、マティプも鋭い縦パスを何回か披露。自らが持ち上がる“進撃のマティプ”も合わせて、ただ外に流すだけではないところを見せました。

また、この日のマティプは守備対応も好調。リシャーリソンとカルバート・ルーウィンはコンディションも良さそうで、瞬間的なスピードで裏を狙ってくる嫌らしい相手でしたが、彼らに入れるためのパスをカットしたり、1対1で粘り強く時間を作ったりと、マティプも落ち着いて対応していました。

ただ、マティプはつま先か何かに問題を抱え、負傷交代。ミルナーの負傷に伴ってゴメスが既に出場していたこともあり、CBにはロヴレンが入りました。

リバプールFC公式Twitterより引用

で、その、ロヴレンのパフォーマンスがちょっとイマイチで……。エバートンの攻撃時の加速がかなりよかったのもあるのですが、ターンが遅れるところからはじまり、その後うまくボディバランスを整えられないまま、無理に対応してバランスを崩してしまうようなシーンも散見されていました。元々スピードのある相手への対応を得意とするタイプではないにせよ、不満の残るパフォーマンスでした。

とすると、恐らくパレス戦はゴメスがCBに入るでしょう。ゴメスであればロングキックの精度も高いですし、スピードがあるのでザハやアイェウとも互角にやりあえるはずです。ライン間にロングボールをピタっと落とせるほどにはキック精度が高いわけではないのがネックですが、まぁそこまで小言を言うのは、やや多くを求めすぎている感じもします。

ちなみにですけど、左SBゴメスはやっぱり厳しいですね。SB本職の選手でもないので仕方ないですが、加入当初に突然左SBをやらされたときから、左足クロスが蹴れない問題は抱えたままです。

3.右サイドどうするんだ問題

リバプールFC公式Twitterより引用

エバートン戦は、左サイドの問題がある意味右サイドにも波及してしまった感じがあります。南野、前半は比較的良いパフォーマンスでしたよね。特に試合開始直後からは、右サイドのヘンド&TAAと良い関係を築き、トライアングルを連続的に形成して、うまく前進していた感がありました。

ただ、前半途中からそういったプレーがどんどんと少なくなっていったのは気になりました。サイドを二人に任せてしまったのか、自身は右ハーフレーンでうろうろするだけというシーンが多くなり、試合への関与を増やせないままハーフタイムで交代となりました。

南野に代わってチェンボが投入されたところからも分かるように、エバートン戦の後半では、機能しない左サイドに代わって、右サイドで強引な突破が求められていました。この点に関しては、南野はサラーはもとよりチェンボにも劣ってしまうでしょうね(この試合のチェンボの出来がどうだったかはさておき)。

サラーであれば強引に相手を背負うことができるので、相手を少なくとも一人はピン留めすることができます。チェンバレンもスピードと突破力があるので、相手SBとしては放っておける相手ではありません。

南野も、スピード、ドリブルともに及第点だと思うのですが、チームの武器とするにはやや足りません。前半を通じて右サイドをコンビネーションで突破しつづけていたなら話は違ったかも知れませんが、そこも前半のうちに出にくくなってしまっていたのがネックでしたね。

で、パレス戦のファーストチョイスはサラーでしょうか。その後のシティ戦も考えて早めに交代する可能性もありますが、恐らく右WGには突破が求められるため、南野というわけにはいかないかもしれません。

リバプールFC公式Twitterより引用

ただ、南野はCFであれば十分出場機会があると思います。もともとクロップがターンオーバーを明言しているので、エバートン戦で前半で下がった南野は、場合によってはCFで先発出場かも?とも思います。期待です。


エバートン戦、ちょっと残念だったのは事実です。ですが、エバートンはシェイマス・コールマンを筆頭に堅い守備対応を見せ、リシャーリソンも脅威であり続けました。リバプールの攻撃の手の少なさも含めて、引き分けは妥当だったでしょう。

それでも、リバプールが30年ぶりのリーグ制覇に一歩ずつ近づいていることは間違いありません。引き分けで良いとは言いませんが、勝てるときにしっかり勝てばそれでいいのです。油断というより、それだけのことを今シーズンは既に積み上げてきているのです。

パレスはかなりの難敵です。また、いつもは赤く燃え上がって選手の背中を押す要塞アンフィールドも、この日ばかりは静まりかえることでしょう。ですが、必要以上に恐れることはありません。まずはパレスにしっかり勝って、エティハドで優勝を決めるのも乙なものかもしれませんね。

(一応ですが、リバプールがパレスに勝ち、シティがチェルシーに引き分けるか負ければ優勝決定のはずです)

リバプールFC公式Twitterより引用

ではでは、最後はなんかよくわからないけど陽気になる画像でも見てお別れです。今度は王者になってお会いしましょう!

(シティ戦のプレビュー書くかもしれないけど)

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