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カンプ・ノウで行われた1st legではバルセロナを前に0-3の完敗。逆転に向け希望の光であったモハメド・サラーとロベルト・フィルミーノの両エースは怪我により2nd leg欠場。誰もが不可能だと考えた絶望的な立場で、クロップとその選手たちは「信じるもの」を貫き通し、言葉を失うような美しい夜”アンフィールドの奇跡”を成し遂げた。
そんなレッズの物語の完遂を拒むのは、奇しくもヨハン・クライフ・アレナの地で同じく奇跡を生み出した同胞トッテナム・ホットスパー。11年ぶりに実現したプレミア勢同士の対決を制し、奇跡の物語を完結させるのはどちらのクラブになるのだろうか。

画像出典:LFC公式Twitter
LFCラボではそんな奇跡の舞台を最大限楽しむため、今回も対戦相手サポーターへのインタビュー企画を実施。対戦相手について深く知ることで、更なる楽しみ方ができればと思う。
快くインタビューに応じてくださったのは、プレミアサポーターにはお馴染み、スパーズファンの「スパーズ・ジャパン」さん。
深い知見を活かして普段からTwitterでキレのある主張を発信するスパーズ・ジャパンさんが、自チームのユニフォームを意識してか「白い巨塔」を見ながら、スパーズのリアルな声を届けてくれた。
スパーズ・ジャパンさんインタビュー
今季のスパーズの評価
スパーズはこの3シーズンを主力選手がほとんど変化せずに戦ってるけど、2シーズン前の2016-17シーズンの勝ち点86で2位、昨シーズンが77で3位、今シーズンは71で4位と結果は悪化しているからね。CLでの快進撃はポチェッティーノが常々言ってる通り、カップ戦だから「運」の要素が大きい。
本当の実力を評価すべきは1シーズンを戦い抜くプレミアリーグだよね。
ただ、ワールドカップで多くの主力選手が満足にシーズンの準備ができなかったこと、「補強ゼロ」で戦力の強化ができなかったこと、新スタジアムの完成が遅延したことなど、逆境が多いシーズンであったのは事実で、リーグの戦績もシーズン中盤の年末の過密日程や、シーズン終盤戦の疲労が出やすい所でわかりやすく失速したから、チームの実力を評価するにはその点を考慮しなければならない。
プレミアリーグで4位になってCL出場権を獲得したのはスパーズにとってノルマ達成。
そのうえで、CLファイナル進出という大快挙を成し遂げたことには満足しなければいけない。

画像出典:Tottenham公式Twitter
まもなく6年目を迎えるポチェッティーノ体制でのチームの実力を純粋に評価するとなれば、今シーズンは「評価保留」。
プレミアリーグの勝ち点を重視したいからね。
単純に過去2−3シーズンと比べて勝ち点が少ないからといって、劣っているわけじゃない。
それは確かだよ。
ただ、今シーズンにシティ(98ポイント)とリバプール(97ポイント)の叩き出した勝ち点が、これからスパーズが目指すベンチマークになるよ。
来シーズンこそポチェッティーノの長期体制の成長の真価を、プレミアリーグの勝ち点で測れるはずだよ。
基本布陣
負傷者が多かったシーズンだったため、シーズン中は出場する選手によってシステムを変えることが頻繁にあった。
でも、特徴的なのはポリバレントな選手によって試合中にシステムを変え、劣勢の改善を図れるようになったことだと思う。
ファイナルで負傷者がすべて復帰し、ベストメンバーが組めることを想定するとスタートは4-2-3-1の布陣となりと予想している。
ただし、この布陣が試合中にもちろん変わっていくよ。
攻撃の基本メカニズム
スパーズとリバプールの攻撃の大きな違いは「両サイドバックの攻撃参加」でゴールという結果が出せているかどうかだ。
2シーズン前、カイル・ウォーカーとダニー・ローズの両サイドバックはプレミアリーグ随一の運動量と破壊力を誇っていたけど、今シーズン、アーノルドとロバートソンのようにはサイドが攻撃の起点となっていないね。
その差がファイナルの勝敗を分けることにならないことを祈るばかりだよ。

画像出典:UCL公式Twitter
現状、スパーズの得点力への期待は、クウォーターファイナルのヒーローであるソン・フンミンとセミファイナルのヒーローであるルーカス・モウラ、そして休養十分で復帰してくるハリー・ケインに寄せられるはずだね。
相手守備にわずかの時間と空間の隙間があれば単独でゴールを奪えるアタッカー3人。
その後ろから、リバプールの破壊力を考えれば守備のバランスもケアしながらのプレーとなるであろうデレ・アリとエリクセンが加勢する。
シーズン終盤にチームに離脱者が続出したことの「怪我の功名」として、デレとエリクセンが中盤の低い位置でのプレーを任されたことがあると思っている。この2人がゴールの「お膳立て」を担う「脇役」に回るだろうね。
守備の基本メカニズム
トリッピア、アルデルヴァイレルト、フェルトンゲン、ローズの4バックのラインの前にシソコが入る。
デレとエリクセンの中盤の守備では心許ないと判断されれば、守備的MFであるダイアーやワニアマがシソコの横に並ぶことになるだろうね。
リバプールのサイド攻撃やカウンターの速さと決定力を考えれば、両サイドバックの積極的な攻撃参加は控えることになるだろう。 それでも、スパーズは「引いて守備を固める」チームでは無いから、ポゼションを高めながらピンチを減らすことを狙うはずだ。それはリバプールも同じだよね。
となると熾烈なポゼション争いが繰り広げられ、ハイプレスの応酬になるんじゃないかな。
守備の「ミス」が致命傷を与える危険性が両チームにある。
勝者からヒーローが生まれる、一方で、敗者にはミスによって批判を受ける選手が生まれてしまうかも知れない。
昨シーズンのカリウスがそうだったね。スパーズはセミファイナルのアヤックス戦のセカンドレグで序盤の2失点に絡んだトリッピアが結果次第ではそうなっていたんだよ。
ストロングポイント
「補強ゼロ」がシーズン中の疲労に繋がった反面、同じメンバーで続けていることにより戦い方のオプションが増えているのは心強いね。
アヤックスとのセミファイナルの2試合でも、さらには4月1日のアンフィールドでもそうだったけど、ポチェッティーノの指揮のもとで戦局が劣勢であっても、変化を加えることによって主導権を握り返す「修正力」は高くなっている。
そこに鬼軍曹ポチェッティーノ仕込みの「走力」がファイナルまでの十分な準備期間によって取り戻せていれば、試合時間の経過に連れてスパーズの地力を見せつけることができるだろうと期待をしているよ。

画像出典:Tottenham公式Twitter
ウィークポイント
繰り返すけどサイドバックの守備は不安なんだ。
とりわけキーラン・トリッピアの集中力を欠いたボールへの対応にはサポーターの不安が膨らんでいるからね。
W杯で輝いた持ち前のクロスの精度は、フリーキックでこそ生きるものの、そもそも攻撃参加の積極性がおそろしく低く、サイドでボールを受けたトリッピアが「バックパス」をするたびにため息がでるほどだよ。 替わりとなる選手として負傷で離脱していたオーリエや本職がセンターバックの若手フアン・フォイスが起用される可能性もあるだろうが、いずれもトリッピアと一長一短であることは否めないね。
ポジション的にマッチアップするのがリバプールの攻撃のベストプレーヤーであるマネとなることを考えると不安で不安でしょうがないんだ。
ここは一つ、シソコになんとかしてもらいたいね。

画像出典:Tottenham公式Twitter
ファイナルでキーマンとなりうる選手
長らく不在であったケインこそがファイナルでヒーローになることをすべてのスパーズ・サポーターが願っているはずだよ。
ただ、ケインは1トップとして最前線に張っているのではなく、よりプレーエリアを広くとることを予想しているんだ。
ソンやルーカスという他のゴールゲッターのスペースを生み出し、さらにケイン自身がパサーとしてもミドルシューターとしても、よりボールに絡んで、決定的な仕事ができると思うからね。

画像出典:Tottenham公式Twitter
特にハイプレスの守備に走り回る姿勢が素晴らしいんだ。単純な守備の貢献だけじゃなく、その労をいとわない姿勢が周りのチームメイトに与える影響は本当に大きい。あまりに積極的すぎて、シティ戦では結果的にはそこまでしなくてもというプレーで負傷してしまったのだけどね。
そして、リバプール・ファンならご存知であろう。ケインはファールをもらうのが実に上手く、且つ、スパーズはセットプレーからのゴールが多い。試合を観ているKOPだけでなくリバプールの選手が苛立ちを覚えるほどのケイン無双を期待しているよ。
リバプールの要注意選手
アリソン・ベッカー。
昨シーズンの同じ舞台を振り返れば、最大の違いはキーパーだ。

画像出典:LFC公式Twitter
アリソンが弟の結婚式にでも参加するために欠場してもらって、ミニョレが先発すればスパーズは大きく勝利に近づくと思うんだけどね。
予想スコア
両チームが2点以上決める。
そもそも試合を楽しみたいから、「スコアを予想する」のが好きじゃない。
どうしても「予想」したから「当てたい」と思っちゃうよね。その気持ちが試合を観戦中に雑念となって襲ってくるのが嫌なんだ。
例えば試合前に「2-1でスパーズ勝利」と予想したとして、実際は「2-0で80分を経過」する。そこで「ここから1点失点したら予想的中だな」なんて思いたくない人間なんだ。もちろん、そういうのが楽しい人もいるだろうけどね。
でも、スコアについて予想しているのは、両チームがともに大量ゴールを決める可能性があるということだね。
おまけ


たとえば自分の子供であれば「好き」の度合いを比較できない。そんな感じです。



これは趣味の世界ですが、オールド・ファン的な趣向で、英国系選手への思い入れはあります。
ロバートソンやアーノルドもそうですよね。
私は別に英国人じゃないので、変な思い入れですが。

W杯でもイングランド代表は応援してしまいますしね。





シューズに画鋲を入れたらどうだろうか・・・
って考えてます。
ゴール裏の観客席に奥さんと生娘を座らせたらどうだろうか・・・
逆に枠に蹴り込むか。



QFまではVARが大暴れでしたが、SFはほとんど出番無しでしたね。
Finalはどうなるか。


無冠なところですかね。
チームの歴史は、「タイトル」だけで語ることはできませんが、どうしても海外サッカーのファン≒ビッグクラブのファンは、「タイトル」偏重はところがあります。

「タイトル」は無くても十分に愛するクラブの魅力はある。
それを体現していたのが、今シーズンでプレミア2位になったリバプールであり、ジェラード時代の(プレミアのタイトルに届かなかった)リバプールです。
無冠でありながらも、新しいファンを増やしてる今のリバプールの魅力を、これからタイトルを獲るようになったとしても忘れないで欲しいですね。
「タイトル」こそが絶対だとなれば、過去を否定することになります。





今の弱いチームだって十分に魅力的だってことに。



これは、バルセロナの「クラブ以上の存在」と同様、先程言った通り、他クラブからすれば鼻につきます。
ある意味、どのチームも「世界最高だ」と標榜してるので、どっちもどっちですが、その程度が強いように思います。メディアがそう煽るところもあるんでしょうが。
どのファンにとっても、当然、自分が応援するチームが「世界最高」であり、「クラブ以上の存在」ですからね。

他クラブのファンに好かれたらそのファンが「ユニフォームを買ってくれる」なら、好かれたほうが良いですけど。
「嫌われる」ことも重要です。


最後にひとこと
最後に正直に言わせてもらうと、せっかくチャンピオンズリーグ・ファイナルに進出したんだから、ボリスタとかエルゴラとかにコラムを寄稿したかったのに、なんでリバプール・ラボなんだろう、って思いがあるんだけど、でも、楽しいからいいや。

編集後記
優勝したシティを除くとプレミア史上最多の勝ち点を獲得しながらも、悲願のリーグ優勝を達成することはできなかった今シーズンだったが、選手、そして我々サポーターの心には微塵の失意も浮かばなかった。
それはクロップが言った「これは我々がファンと一緒に戦う最初のタイトル争い。最後ではない」という言葉はもちろん、自力優勝の可能性がない中、最後の最後までチームを信じ続け、自分たちの全力を出すことができた、タイトルが取れなくとも圧倒的に充実した時間によるものだと感じた。
そしてそれはファイナルの舞台でも変わらない。マドリードの地でも変わらず選手を信じ続け、リバプールの持つ全力を世界に見せつけることで、今シーズンの有終の美を飾りたい。

画像出典:LFC公式Twitter
思い起こせばバルサ戦はもちろん、グループリーグで敗退していてもおかしくなかった。
それでも各国の王者を倒してここまで来れたことにはとても感慨深いものがある。
Allez Allez Allez!
1年前、キエフの地に置いてきた「大切な忘れ物」を取り返すために。
最高のフットボールの夜が僕達を待っている!
YNWA
マジスタ#7
今までに何度このビッグイヤーを掲げるジェラードの画像を見たことでしょうか。
去年からずっと、ヘンドが花吹雪の中で同じカップを掲げる画を思い浮かべていました。
今年こそ、今年こそは必ず、ファンみんなが思い浮かべたその画を現実にして欲しいと願います!