【リバプール対戦相手分析】エバートン〜熱戦のダービーは、まさかの塩試合に?〜

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トリコレッズ

トリコレッズ

日本ではマリノスファンなので、Redsの虜(トリコロール=マリノス)という意味でトリコレッズという名前にしました 戦術・選手分析などをしていきたいと思います

皆様、お久しぶりです。トリコレッズです。
3試合ぐらいプレビューをすっ飛ばしてしまいましたね。どうも失礼しました。
急に忙しくなってしまったのですが、学会の予稿の登録も済ませたのでもう大丈夫です!(どうでもいいですね)

あと、以前の記事に対するコメントで頂いたのですが、やっぱりレビュー記事もやろうと思います。
全部っていうのは無理でしょうが、ビッグゲームについてぐらいはやりたいですね。
多分、最初はこのエバートン戦になると思います。っていうかチェルシー戦についてやればよかった。

さ、週末は大事なマージーサイドダービー!張り切ってプレビューしていきましょう。
レビューするのはPL第15節、エバートン対ハダースフィールド戦です。

スタメン・フォーメーション図

エバートンはルーニー、シグルドソン、マイケル・キーン、ピックフォードなどの大型補強を行ったもののまさかの大低空飛行。それによって、ロナルド・クーマン監督を解任しましたが、その後任がビッグ・サムことサム・アラダイスっていうのもどうなんでしょうねっていう感じ。ちなみに、ビッグ・サミーになると我らがリバプールのレジェンド、サミ・ヒーピアになっちゃうからデリケートです。
あと、期待の若手デイヴィスは、カート・コバーンをより情けなくした感じの顔に見えませんか?これもどうでもいいですね。

ハダースフィールド・タウンは今シーズン昇格してきましたが、昇格組にしてはなかなかの戦いぶりというところでしょうか。クロップ監督の現役マインツ時代からの親友、デイヴィッド・ワーグナー監督のもと、我らがLFCのようなゲーゲンプレッシングを見せるチームとして奮闘しています。選手個人として知っている人は多くはないですが、日本人としてはオーストラリア代表の主軸、アーロン・ムーイは気になる存在でしょう。

試合展開

前半はなんというか堅い展開に。ハダースフィールドのハイプレスが機能していたこともあり、エバートンはビルドアップよりもロングボールを選択する場面がかなり多かったです。しかもピックフォードからのキックが、ボール自身の質は悪くないのですがいかんせんコースが悪く、前線のキャルバート・ルーヴィンにはほとんど収まらず。レノンの単騎での突破が一番チャンスを生んでいた展開でしたが、それも大してシュートなどには繋がりません。
ハダースフィールドとしてもやや攻撃の精度を欠き、前半はほぼ何も起きませんでした。

後半になるといきなり試合が動きます。47分、中盤の奪い合いからボールを受けたレノンが右サイドからカットインしグラウンダーのパスを中に送ると、ルーヴィンが巧みにヒールパス。ラインを突破したシグルズソンが冷静に流し込んで先制します。

以降はまた膠着した展開が続きますが、73分にまたも一瞬の隙を突いてエバートンが追加点。
中盤での奪い合いからルーニーがボールを拾うとそこから絶妙なスルーパス。ルーヴィンは受けるときに流しすぎ、CBに追いつかれますが、打ったシュートがちょうどCBに当たってディフレクションしてゴール。2-0になります。

Embed from Getty Images

79分にはルーニーに代えてマイケル・キーンを投入。5バックにして手堅く守りきり、2-0で勝利しました。

試合スタッツ

エバートンからすれば、これでいいのかというスタッツ。前半途中には確かポゼッション4:6ぐらいにはなっていたはずです。
それでも勝ってしまうのだから、ある意味アラダイスのチームなのですが。

エバートンの攻撃

シーズン開幕前に予想されていたのとはだいぶ違う形の攻撃でした。
堅く守って素早く仕留める、アラダイスのチームになっています。ただ、別にその精度が高くないので、単に攻撃の機会を潰しているような気が…。まぁ、それでも最終的に勝ってしまえばよいという割り切りが、残留請負人のアラダイスらしいところなのでしょう。
そのスタンスをエバートンでも変えないところは流石です。

と、いうわけで、恐らくダービーでも堅く守ってくるだろうということから、攻撃というよりも守備にフォーカスして解説していきたいと思います。

エバートンの守備

さて、エバートンの守備ですが、前からの守備のシーン、リトリートでの守備のシーン、2つをピックアップしてみましょう。
まずは前からハメにかかるシーン。時間は前半30分です。

ハダースフィールドがボールを持つシーンで、エバートンの選手達はほぼフォーメーション図通りに並んでいます。ゲイェが少しあがっており、2列目に吸収されていますがどちらかといえば2列目の上がりを促している様子です。

バックパスに合わせて2列目の選手が押し上げ、相手を押し込めます。
ここで確認すべきなのは数的関係。相手がバックラインのうち3人+GKで5人なのに対し、CF+2列目の5人でプレスをかけに行っています。お分かりとは思いますが相当過激なやり方で、前から奪いきれなければ当然後ろでは(GKを除いて)人数が足りなくなるわけですから一気に大きなピンチを迎えることになります。

GKまでバックパスを返したところでルーヴィンはもう一段階外側を狙います。GKにもそれは見えるので、切り返して同サイドを狙います。ルーヴィンもそこで切り返して追いかけ、ややプレッシャーをかけることには成功しています。


ただ、よく見ると2列目の選手の連動が乏しく、その後のパスコースを消せているわけでもありません。
すると、ここから縦パスをつけられ、そこに2ライン間を1人で任されていたゲイェが必死に飛びつく様な状態に。エバートンの守備において非常に大きな役割を果たしているのがこのゲイェで、主に横方向に、広い範囲を一人で守備している状態になっていました。


ここでゲイェがどうにか食らいつき、その間に2列目が素早く下がってくる仕組み。その下がり方はなかなか速く、ハダースフィールドにも有効なパスコースがなかったこともあって崩されることは防ぎました。
ただ、ゲイェのゾーンに2人かけられたらどうするつもり?となると、恐らく単純にそこを増員するのでしょう。

リトリートの守備の場面は、さっきのシーンと時間的にかなり近いのですが、前半29分のシーン。

4バックがペナルティエリア幅まで収縮し、その両サイドはSHがバックラインの高さまで下がって迎撃します。
シメオネ・アトレティコが採用していた方式で、CBとSBの間のスペース、いわゆるニアゾーンを徹底的に塞ぐ形です。

ただし、必ずしも常に6バックの並びになっていたわけではなく、結構サイドハーフは自由に出たり入ったりしていましたし、人数的には足りているのでCBやSBも下がりながらボールを受けに行く選手に対してついて行っていました。

マーク相手が簡単にボールを落とすと、バックラインに再度戻ります。この画像が一番並びがわかりやすく、数字で言えば6-3-1という状況。2列目の3人がやや自由に動き回ってフィルター兼バックラインで拾ったボールを受ける役割になっていました。ただし、大体の場合では1トップに簡単に蹴っていました。

エバートン総括

監督がシーズン途中で交代する事態になったため、補強時点での思惑からはかなり外れたことになっているようです。
途中就任となったのがアラダイス監督で、まずは守備!というチームコンセプトがビンビンに感じられます。
正直言ってこの試合の前半戦も全く面白くない試合でしたし、観客がブーイングする場面も見られたのですが、そんなことはお構いなしの上に結局勝ってしまうあたり、甘く見るのは禁物でしょう。

しかし、ウィリアムズの足下や働き過ぎのゲイェ、ルーヴィンのボールを収める力、ルーニーの頭皮など、不安材料は少なくないように思えます。ここ数試合はリバプール側がマージーサイドダービーで好結果を残していることもあって、我々としては恐れすぎることはない様に感じます。

勝負のポイント・キープレーヤー

1.エバートンの守備をどう突破するか?

この試合、もしかしてエバートンは5バックになるのではないか…?とも思います。アラダイス戦術としては基本4バックですが、割り切ってこの試合後半に見せたキーン、ホルゲート、ウィリアムズを3人中央に並べてくるパターンもあり得るのではないかなと思います。
そうでなくても、守備時には最終ラインに4バック+2サイドハーフを並べてくる形になるので、かなり割り切って守備してくることは確実です。

今シーズンのリバプールは下位相手から勝ち点を奪っていることもあって、昨シーズンのように引かれると攻められない!という状況にはなっていませんが、それなりのレベルの相手に引かれた場合(ホームでのユナイテッド戦0-0のように)には苦しくなる場合があります。まぁ、当たり前っちゃ当たり前なんですが…。

キープレーヤー:ロベルト・フィルミーノ

Embed from Getty Images

もう、僕はこの選手が大好きです!笑
そういう話ではないのですが、相手の守備ラインが堅く閉めてくる場合において、特にこの選手が非常に重要になるでしょう。
狭いスペースでもボールを受けてキープする能力、相手の嫌なところにふらふらっと現れる嗅覚、献身的な前からの守備など、相手の守備ラインをつり出したり乱したりする能力にかけては非常に高いものがあると思います。さらに、決定力にかけてもどんどんと磨きがかかっています。
CLでもクロップにしては珍しく72分という早いタイミングで交代させてもらい、週末に向けての時間を貰ったと考えるべきでしょう。

2.カウンターからのコンビネーションを抑えきれるか?

怖いのはこれで、例えばルーニーあたりがボールを引き出し、シグルドソンなどの走りながらボールをコントロールすることを苦にしない選手に渡り、運動量豊富なデイヴィスが絡むと、そのまま勢いを持ったコンビネーションで一気に崩される可能性があります。ハダーズフィールド戦でも、試合後半には少しずつコンビネーションで崩すシーンも見られていました。
これを防ぐには、恐らく中盤からボールを渡されるタイミングで奪うことが必要になるでしょう。

キープレーヤー:ジョーダン・ヘンダーソン

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僕が今のリバプールで一番好きな選手です!笑
天丼はともかく、彼の危機察知能力が非常に重要になってきます。今シーズン彼の守備がそれほど上手くいっていないように見えるのは、危機察知能力はそう簡単に下がる能力ではないので、恐らく体が思ったほど動かないのでしょう。詳しいことは分からないのですが…
昨シーズンの彼は、怪我も多かったですが、試合に出れば中盤の底でシンプルにボールをはたき、時には大きな展開でテンポを変えつつ、中盤がスカスカになりがちなリバプールにおいてプレスの「2の矢」として1の矢で奪いきれなかったボールにどこでもプレスをかけて奪いきる、かなりスーパーな活躍をしていたと僕は思っています。
カンテさえいなければ、そして怪我さえ少なければ、リーグ最優秀のアンカーに間違いなし!と推していたほどです。

そんな昨シーズンの彼がもう一度見たい!と強く願っているのは僕だけではないでしょう。
CLでは完全に休みを貰い、移動もなかったため、フィジカルコンディション調整は比較的容易だったはず。
キャプテンがダービーで大活躍して復活&大勝利!最高の流れではありませんか。

3.セットプレーへの対応

効率重視のアラダイスにとって、セットプレーほど重要なことはありません。基本的には確実にチャンスに出来るプレーだからです。
その上エバートンにはシグルドソンという正確なキッカーがいます。
今シーズン度々批判されてきたリバプールのセットプレー守備もありますし、ここは注意が必要です。

キープレーヤー:シモン・ミニョレ

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マティプが負傷中のこともあり、この人がセットプレーで守備を統率する必要があります。
ミニョレはハイボール処理を常に不安視されていますが、最近は飛び出して触れないとか飛び出さないとかいうシーンは少しずつ減ってきているように思います。まぁ、まだありますけど。
リバプールのセットプレー守備の問題点を簡単に言うと「誰が何をするのか何となく決まってない」というところで、GKが強い統率力を示すことが出来れば劇的に改善する気もしています。


リバプールはホームでCLでしたが、エバートンはキプロスへの遠征。そこは多少の差です。
キプロスってギリシャのあたりか…?と思って調べてみたら、

なんか徒歩の時間になってしまいましたが笑、距離としては4100km程度のようです。遠いですね。
ですが、エバートンは遠征にほとんど主力を帯同させていないため、言い訳をされるほどのことではないでしょう。
とにかくサポーターも熱くなるマージーサイドダービー。今のエバートンの状況から言うと、塩試合に持ち込んで1点差を狙ってくる…みたいな状況も考えられますが、ミッドウィークのCLのような、胸のすくような快勝を期待しましょう!

それではこの辺で。YNWA!

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3 件のコメント

  •  こんにちは! 塩アラダイスから~の、ビンビン守備してぇ~の、ルーニーの

    素晴らしいアシスト・・・分析が見事に的中しましたね♪ 勝てる試合でした

    が!?内容は悪くなかったです。 過密日程の中、リヴァプールの選手達はしっか

    りハードワークしてると思います・・・この調子なら「魔の1月」も乗り切れそう

    ですね。   

    • 背番号4さん、コメントありがとうございます!

      考えてみると、悪い予想だけ当たってしまいましたね苦笑
      前半がっつり守られた中で1点取って折り返せたときには後半に期待したのですが、やはり、早いタイミングで2点目をとれなかったことが大きな原因かなぁと思います。

      KOPの方々にも少しずつ不満が溜まっているようですが、(シティ以外は)混戦が続いているので、まだまだ戦い続けて欲しいですね!とにかく昨シーズンのような地獄の1月だけはやめて欲しいものです…。

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