モハメド・サラー徹底分析〜「エジプト王」のゴール量産理由を紐解く〜

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勝てば28年ぶりのワールドカップ行きが決まるコンゴとの一戦。最前線で無慈悲なスピードをふんだんに使うレフティーはこの日も好調で63分にチームの先制点を挙げる。終了間際88分にコンゴに追いつかれるも、アディショナルタイムにPKを獲得しチームはベンチ含めて勝ち抜けが決まったかの様に大喜び。「待て、PKの3割は外れる」という冷静な心配も無用、ゾーンに入ったチームのエースは左足を振り抜き完璧なコースへボールを沈める。No10のユニフォームに身を纏う25歳は、自身が生まれてからまだ自国がそこで戦う姿を見たことがない世界の大舞台へエジプト代表を導いた。

画像出典:Mohamed Salah公式Twitter

モハメド・サラー
1992年生まれ
左利き
エジプト代表
リバプール所属

サラーが最初に欧州サッカーの舞台で脚光を浴びたのは2011年。スイスの名門バーゼルで存在感を放った彼はエジプトのメッシと称されプレミアリーグに舞台を移す。この時リバプールはウィンガーとして彼の獲得を目指すも当時チーム再建中であったレッズは十分な移籍金を捻出できず、サラーは£11mでチェルシーの一員となった。彼はブルースと5年半の長期契約を結んだが、モウリーニョ率いるチェルシーでは出場機会が限られ2シーズンで先発出場は7試合に留まる。彼は当時の自分を「まだ子供だった」と振り返っている。

画像出典:LFC公式Twitter

しかし、チェルシーでの苦い経験は新天地での躍動につながっていた。半ば戦力外の形でフィオレンティーナにレンタル移籍するやいなや7試合で6ゴール1アシストを記録。毎週の様にサラーの名がネット上を飛び交う。翌シーズンはチェルシーから買い取りオプション付きでローマへ。ローマでは2シーズンを過ごし合計83試合34ゴール24アシスト。114分に1回直接ゴールに絡んでいる。

そして2017年夏の移籍市場に£34.5mでリバプールへ。チームのエースはプレミアでの再挑戦を希望し、ローマはキャッシュが必要だった。当時この移籍金は「割高」と評されることも少なくなかったが、印象というのは気を抜くと認知を歪める怖いものだ。彼がまだ「子供だった」頃のチェルシーでの挫折が、セリエAで2年連続叩き出したとてつもない記録を過小評価させたのだろう。その半年後市場価格は£100m以上とも言われ、火も煙もない所から「レアルマドリー」という単語さえ絡めて報道される様になる。

画像出典:Mohamed Salah公式Twitter

リバプールでは公式戦37試合出場時点で31ゴール11アシスト。70分に1回直接ゴールを生み出している。7ヶ月で2度プレミアリーグ月間最優秀選手を受賞。圧倒的である。フィリペ・コウチーニョが抜けた穴を埋めるどころではなく、クロップリバプールに完全にフィットした快速アタッカーはクラブのアイコンとなる。移籍市場で獲得をして5年契約を結んだ半年後にクラブが新規契約の準備をはしめるという極めて異例な動きも見せている。規格外のスピードを持ちながら大柄のディフェンダーを背負いながら適切な判断を下せるバランス感覚を持ち合わせ、ストライカーの嗅覚も備えつつあり、献身性は当然持っている。筆者はこの類の選手をゲームの外では殆どお目にかかったことがない。

モハメド・サラーはセリエAで力をつけ、リバプールの地で破壊的なパフォーマンスを見せ、世界が注目するアタッカーにまで到達した。技術があり小回りが効く足の速いプレイヤーはどのクラブでも重宝されるだろうが、このエジプト人FWが特別なのは毎週得点を決め続けていることである。本記事ではそんなサラーの飛躍をできるだけ客観的なデータを元に分析していく。

画像出典:Mohamed Salah公式Twitter

まずはこの序章でサラーの基本情報としてプレースタイルを簡単にまとめたい。「印象」によった誤った解釈をできるだけ排除すたさるためにデータを元に欧州のサッカー選手の特徴をまとめているWhoScoredを頼りにすると、彼の試合開始時のポジションは81%が右サイドのアタッカー、残りの19%はセンターのアタッカー。続けてサラーの強みは「スルーパス」「キーパス」「フィニッシュ」「ドリブル」「ロングシュート」と分析されている。サイドを主戦場とするアタッカーらしいドリブルやパスのスキルに加えて、直接自らがゴールを決めるプレーも得意だと評価されている。

リバプール加入当初は「スピードのあるアタッカーだが決定力には欠ける」という声も少なくなったが、彼はそのような評価を覆していかにしてプレミアリーグ再挑戦の一シーズン目で世界屈指の点取り屋として自身の名を轟かせたのか。サラーの得点数はローマ期(1617)でシーズン14ゴール、リバプール期(1718第29節終了時点)ではPKを除くとシーズン31.2ゴールペース。90分あたりの得点数は1年間で1.71倍になっている。

※リバプール期からPKキッカーを務め始めたため本記事の得点データからPKによる影響は除外。

本記事では以下3つの仮説を順に検証する形でサラーのゴール数の向上の理由を紐解いていく。

  1. 所属チームの攻撃力が上がった
  2. サラーのプレーエリアが変わった
  3. サラーの能力が向上した

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