アレクシス・マクアリスターのプレースタイル/プロフィール解説|リバプール選手名鑑

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基本プロフィール

画像出典:LFC公式Twitter

  • 選手名:アレクシス・マクアリスター
  • 生年月日:1998年12月24日
  • 国籍:アルゼンチン
  • 身長:174㎝
  • ポジション:DMF, CMF, AMF, LMF
  • 背番号:10
  • チームキャリア:アルヘンティノス(ARG/16-17~), ブライトン(ENG/19-20~), ボカ・ジュニオルス(ARG/lona:19-20), リバプール(ENG/23-24~)
  • 市場価格:€ 65.00Mill.
  • 契約終了年:2028年6月30日

プレースタイル

画像出典:BHA公式Twitter

中盤であればほぼ全域でプレーでき、攻守両面において高いプレゼンスを発揮するアレクシス・マクアリスター。身体的にも技術的にも高い水準を持ち、インテリジェンスも素晴らしい。ゲーム風に言えば能力値のバランスが良く、総合値も高いと言ったところだろうか。現時点ですでに完成度の高いMFといって差し支えないだろう。

ストロングポイント

アレクシス・マクアリスターは非常に万能なMFであり、様々なポジションや役割に対応することができる。キャリアの初期でプレーしたアルヘンティノスではより高い位置で多く起用され攻撃面で持ち味を発揮していたが、徐々に低い位置でのプレーも増やしていき、攻守両面において隙のないMFとして完成度を高めていった。

実際にブライトンでは4-2-3-1や3-4-2-1のドイスボランチの一角やトップ下をメインにプレー。また、アルゼンチン代表では4-3-3の左インサイドハーフ(あるいは4-4-2の左サイドハーフ)でプレーし、カタール・ワールドカップの優勝に大きく貢献したことは記憶に新しい。また、他にもアンカーや2トップの一角ではあるがストライカーの位置でプレーすることもあった。4-3-3がメインとなるリバプールでは主にIHとしてプレーすることになるだろう。

フィジカル的な観点から見ると、174cmという小柄なサイズに加えて、絶対的なスピードや純粋なパワーなどなにか傑出した武器を持っているわけではない。ただ、ハンディキャップを持つほどの弱点を抱えているわけではなく、むしろイングランドの地で十分にプレー出来ていることを踏まえればフィジカル的なクオリティの水準は平均以上と評していいだろう。コンタクトプレーを恐れることはなく、アジリティやクイックネスといった部分も秀でているため、技術的なレベルの高さも相まって狭いスペースでのプレーを苦にしない。

攻撃の局面ではエリアを問わず上手くボールを引き出しつつ、密集地帯でも失わない流麗なテクニックとプレス耐性でボールを前進させる。基本的にはドリブルにせよパスにせよ前を向く意識が強く、リスキーなチャレンジをすることも少なくない。ただマクアリスターはリスクとリターンの天秤を見極めるのが上手く、無謀なチャレンジをすることは稀。これは彼の状況判断能力や戦術眼が優れている証だろう。

テクニカルな観点から見ると、トラップ・パス・ドリブル・シュートといった基本的なスキルのクオリティは総じて高く、さらにそれらを安定して繰り返すことができる。低い位置でプレーした際に(例えばフィルジル・ファン・ダイクのような)一発で展開を変えてしまうロングパスを蹴ることは稀で、基本的には細かくボールに触れながら周囲の選手とのコンビネーションや自らのキャリーでボールを前進させる傾向が強い。

実際にマクアリスターとリバプールの主なIH陣(チアゴ・アルカンタラ、ジョーダン・ヘンダーソン、カーティス・ジョーンズ、ハーヴェイ・エリオット)とのパスの傾向とパス成功率を比較したのが下記のデータだ(対象は22-23シーズンのプレミアリーグ。Optaのデータを参照)。

マクアリスターはバックパスのパーセンテージがチアゴに次いで少ない16.92%であり、それでいてパス成功率は87.27%とこちらもカーティスに次ぐ2番目の成功率を誇る。基本的にはバックパスが多ければ多いほどパス成功率は上がるため、バックパスが少ない上に成功率も高いマクアリスターは、チアゴは別格だとしても他のIH陣と比べると優秀といえる。実際に91.19%と高い成功率をマークしているカーティスのバックパスの割合は24.16%。これはマクアリスターが6回に1回なのに対しカーティスは4回に1回と、後者の方が1.5倍もバックパスを選択しているということだ。

スキルフルで創造性も備えるマクアリスターは、カウンター以外でファイナルサードを攻略する術を持ち合わせていないリバプールを大いに助けてくれるだろう。彼以上のテクニックとクリエイティビティを持った選手はチアゴだけであり、シーズンを通して見ればその溢れんばかりの才能と引き換えにあまりにも怪我による離脱が多いチアゴ以上に安定した活躍を披露してくれるのではないか。

そう、マクアリスターは怪我への耐性が信じられないほど高いのである。キャリアを通じて怪我などによる離脱はほぼなく、観測できる範囲では1試合しか怪我によって欠場したことがない。人数だけは一丁前に揃っているのに残念ながらクオリティが伴っておらず、さらに怪我耐性が低い選手ばかりだったリバプールのMF陣を考えれば彼の驚異的な耐久力は非常に魅力的だろう。

さらに、セットピースやPKのキッカーとしても大きな期待がかかる。とりわけPKの上手さには定評があり、ブライトンで担当した2022-23シーズンの6本全てのPKを成功させている。プレミアリーグでのマンチェスター・ユナイテッドとの試合では、スコアレスで迎えた90+7分というほぼラストプレーに近い状況で冷静にPKを沈めチームを勝利に導いたこともある。対戦相手や試合状況などを考えれば相当なプレッシャーがかかるシーンであることは間違いなく、このことからも彼のPKの上手さがわかるだろう。

とはいえ、ゴールを狙える位置のFKやPKが蹴れるかどうかは単純な上手さだけでなく、チーム内でのヒエラルキーや政治力に影響される。特にPKはモハメド・サラーという絶対的なキッカーがリバプールにはすでに存在しており、サラーがピッチにいるときは確実に彼が担当するだろう。ただ、いずれにしてもFKやPKが上手い選手が多いことに越したことはない。マクアリスターがキッカーを巡って争うタイプではないことも幸いといえる。

また、やや意外かもしれないが空中戦もそこまで弱いわけではない。リバプールの主なIH陣と比較すると、ヘンダーソンが52%、チアゴが36%、カーティスが33%、エリオットに至っては20%という数字に対し、マクアリスターは60%の勝率を誇る(22-23シーズンのプレミアリーグ、Opta)。174cmというサイズを考えればこれはかなり立派な数字だろう。もちろんセットプレーの際に頼りになるというわけではないが、ミドルサードにおけるMF同士のエアバトルなどであれば思っていたよりも期待できるかもしれない。

マクアリスターはサイズ不足を補うほどの際立ったジャンプ力やバネを備えているわけではないので、この数字は彼がボールの落下地点を見極める能力や、視野の広さ、ポジショニングのセンス、タイミング感覚といった空間認知能力や戦術眼が優れていることの現れといえる。例えばインターセプトを狙う際もフィジカルを利して強引に奪うのではなく、ポジショニングやプレーを読んで巧みに奪い去っているという印象だ。

フィジカル/テクニカル共に水準の高いマクアリスターだが、このタクティカルな部分こそが彼の最大の長所と言っていいだろう。どのポジションで起用されても/どんな役割を託されても高いパフォーマンスを安定して披露するユーティリティ性や戦術的な柔軟性、試合展開を読み解き常に最適なポジショニングやプレーを選択できるインテリジェンスなどは卓越したものを持っている。

得意の攻撃面だけでなく、90分間を通して守備の局面でもアグレッシブに振る舞うことができる点も素晴らしい。小柄ながら接触プレーを恐れず、積極的にプレッシングに向かう勇敢でエネルギッシュな性格はアルゼンチン人としての気質の現れだろうか。

そのメンタリティやパーソナリティを含め一人の選手としてほぼ完成されており、高い万能性も踏まえればすでにワールドクラスのMFと評しても過言ではないレベルに到達している。感覚的にはモナコからやって来たときのファビーニョに近いと言えばわかりやすいだろうか。リバプールはマクアリスターにとって初のメガクラブとなるが、ここでこれまで見せてきたものを変わらず発揮することができれば名実共に世界最高峰のMFとして称されることだろう。

ウィークポイント

 

画像出典:マクアリスター公式Instagram

マクアリスターはメガクラブでも自身の能力を遺憾なく発揮すれば十二分に主役となりえる選手だが、だからといって主役級の活躍を毎試合期待するというのは違うだろう。選手としてのプレースタイルとパーソナリティのどちらから見てもマクアリスターはいわゆる縁の下の力持ちタイプ。チームを勝たせるために地味な仕事を淡々と、それでいて確実にこなしてくれる選手であり、ある意味でユルゲン・クロップ政権下のリバプールのMFらしいとも言え、これからのパフォーマンス次第ではその究極系とも言える存在になるかもしれない。

例えばマクアリスター以上に圧倒的なフィジカルやテクニックを兼ね備えた(あるいはそのどちらかが傑出した)MFはいるし、攻撃面で見たとき彼以上に独力でファイナルサードを攻略しゴールやアシストという目に見える数字を残すMFもいる。ただ彼はそういった攻撃面で大きな貢献を果たしつつ守備の局面でもチームのために献身的に戦ってくれる選手であり、両局面において10点は届かずとも7~8点を常に安定して出してくれる。そんな彼に明確なウィークポイントはあるのだろうか?

結論から言えば、このように万能なマクアリスターのウィークポイントを探すのは難しいが強みが弱みにもなりえる、ということは考えられる。例えば「器用貧乏」という言葉があるように、彼は「なんでも器用にできる反面、他の誰にも負けない絶対的ななにかを持っているわけではない」と言ってもいいかもしれない。物事は常に表裏一体であり、マクアリスターがより高いレベル/環境下に身を置くことでその壁にぶち当たる可能性も否定できない。

待ちに待ち望まれた新しいMFかつ背番号10ということで救世主的な扱いを受けている節があるかもしれないが、そういった見方でマクアリスターを捉えているとピッチ上での貢献度にややギャップを感じてしまうかもしれない。主役になりえるが、試合後の感想で「マクアリスター“も”素晴らしかったですよね」といったような、むしろそういう扱いを受けているときがチームも彼自身も一番輝いているのではないかと筆者は感じている。

もちろんこれが彼のウィークポイントであるかと言われればそういうわけではないのだが、「独力でチームを勝たせるような絶対的な選手」というわけでもないということだ。ブライトンではそういう試合が少なくなかったように思えるが、逆にいえばそれだけブライトンというクラブの中でマクアリスターは傑出した存在になっていたということだろう。彼一人の加入でリバプールの中盤が世界最高クラスに進化するということはないので、そのような過度な期待は禁物であると肝に銘じておきたい。

とはいえ彼が持つクオリティは現在のリバプールのMF陣の中でも最高クラスであるため、期待してしまうのはサポーターの性。大切なことは、彼の選手/人間としての特性を正しく認識し向き合っていくことだ。当然、リバプールでプレーすることによって新たな課題が見つかる可能性はある。しかし、それを克服し自身のキャリアを通じて見せてきたものをリバプールで見せることができれば、繰り返しになるが名実共に世界最高峰のMFとして称されるだろう。

エピソード・小ネタ

画像出典:マクアリスター公式Instagram

◆マクアリスターの出身地は、アルゼンチンのラ・パンパ州サンタローサ。リバプールFCと同じ1892年に建設された都市である。

◆「Mac Allister」という姓からわかるように、ルーツはスコットランド/アイルランドにある。彼の曾祖父にあたる人物がアイルランドのダブリン出身で、1865年にアルゼンチンに移住したという。

◆「Mac Allister」という名前は非常に多くのカタカナ表記/発音があるため、どう呼ぶかで困った人も多いだろう。候補としては「マック・アリスター」や「マクアリスター」、「マック・アリステル」「マクアリステル」、「マカリスター」、「マカリステル」などがあるだろうか。パターン的には「Mac」を「マック」と「マク」、あるいは後ろと繋げて「マカ」、そして「Allister」を「アリスター」と「アリステル」をそれぞれ組み合わせている。

では、どれがいいのだろうか?結論から言うと、「マック・アリスター」か「マクアリスター」あるいは「マカリステル」である。それぞれを解説していこう。

まず、彼の母国アルゼンチンでは、「Mac Allister」を一般的に「マカリステル」と呼ぶ。母国での呼び方を忠実に再現したい場合は「マカリステル」ということになる。

一方で、彼の名前のルーツである英国風だと「マック・アリスター」や「マクアリスター」となる。違いは、簡略化されているかどうか。この名前の本来の呼び方であり、彼がイングランドでプレーしていることもあってこの呼び方を目や耳にする機会がもっとも多いかもしれない。

では「マック・アリステル」や「マクアリステル」あるいは「マカリスター」はどうなのだろうか。これも結論から言うと、英語風と母国語風のミックスとなってしまうためやや違和感がある。

まず「アリステル」というのは母国語であるスペイン語風の呼び方だ。例えばサッカー好きなら「スーペルゴラッソ」という言葉をご存知だろう。これは英語でいうところの「スーパーゴール」である。「Super」が「スーパー」と「スーペル」となるように、「Allister」も「アリスター」と「アリステル」となるわけだ。

そして「Mac」の部分は英語風にいくのであれば「Mac Allister」と分かれているため「Mac」単体で考えてあげた方がいいだろう。要するに「マック」や「マク」である。もしこれが「McAllister」であれば繋げて「マカ」となっただろう。例えば昔リバプールに所属していたギャリー・マカリスターは「McAllister」である。

つまり「マック」or「マク」と「アリステル」の組み合わせは前者が英語風で後者が母国語風のミックス、逆に「マカリスター」の場合は「Mac Allister」という名前で考えたとき、前者が母国語風で後者が英語風のミックスとなり、どちらにせよやや違和感があるというわけだ。

ただ、ここまで説明しておいてなんではあるのだが、そもそもこういったものを忠実にカタカナで再現するということ自体に無理があるというもの。例えば「マカリスター」と呼ぶのが間違いかと言われれば別に間違いというわけでもないし、クアにもカにもどっちにも聞こえるので、ここら辺はもう各々の判断に任せたい。

◆「Mac Allister」という姓の由来だが、まず「Mac」の方はアイルランドやスコットランドで使われるゲール語で「〇〇の息子」や「〇〇の子孫」といった意味を持つ。そして「Allister」の方は、ゲール語の「Alasdair」に語源があり、さらにその起源はアレクサンドロス大王で知られる「Alexandros」にある。アレクサンドロス(アレキサンダー)がアラスデアに変化し、さらにアリスターに変化したというわけだ。ちなみにアレクサンドロスという名前は、古代ギリシャ語で「男(人)を守る者」という意味を持つ。そして「Alexis」という名前であるが、察しのいい人はお気づきかもしれない。そう、当然だがこのアレクシスも同じ語源であり、古代ギリシャ語で「守る者」。これに古代ギリシャ語で「人、男」の意味を持つ「アンドロス」が組み合わさることでアレクサンドロスとなる。そういうわけでアレクシス・マクアリスターという名前は、姓も名もほぼ同じということだ。

◆家族の多くがサッカー選手である。父のカルロスはアルヘンティノスやボカでプレーし、アルゼンチン代表ではディエゴ・マラドーナとも一緒にプレーしていた経験の持ち主。また、フランシスとケヴィンという2人の兄もプロであり、それぞれロサリオとアルヘンティノスでプレーしている。さらに叔父のパトリシオ(カルロスの兄)に至っては日本でのプレー経験があり、現・浦和レッズの前身である三菱自動車工業サッカー部に1991年から1年間所属していた。

◆父カルロスは政治家としての顔も持ち、2015年から2018年にかけて当時のアルゼンチン大統領マウリシオ・マクリの下でスポーツ庁の長官を務めていた。

◆アルゼンチン代表としてカタール・ワールドカップを制覇したマクアリスターは、ブライトンに所属する選手として初のW杯ウィナーである。自分たちのクラブから初めてW杯の優勝メンバーが出たということでブライトンは大いに沸き、彼が休暇を終えて戻ってきたときはクラブ総出で彼の優勝を祝っている。

◆笑い方がちょっと独特で、それをネタにされることもしばしば。

◆リバプールでの背番号は10番に。クラブのレジェンドであるスティーブン・ジェラードの8番も考えたが、10番を選んだという。

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