アレクサンデル・イサクのプレースタイル/プロフィール解説|リバプール選手名鑑

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基本プロフィール

画像出典:ニューカッスル公式

  • 選手名:アレクサンデル・イサク
  • 生年月日:1999年9月21日
  • 国籍:スウェーデン
  • 身長:192cm
  • ポジション:CF, LWG
  • 背番号:9
  • チームキャリア:AIKソルナ(SWE/15-16~), ドルトムント(GER/16-17~), ヴィレムⅡ(NED/loan:18-19), レアル・ソシエダ(ESP/19-20~), ニューカッスル(ENG/22-23~), リバプール(ENG/25-26~)
  • 市場価格:€ 120.00Mill.
  • 契約終了年:2031年6月30日

プレースタイル

リバプールがイングランド史上最高額の移籍金で獲得した、世界最高峰のCFだ。フィニッシャーとして傑出しているだけなく、自らチャンスを演出することもできる万能型で、フィジカル、テクニカル、タクティカルのどれを取っても一級品。リバプールの新たなエースストライカーとして圧倒的な活躍が期待される。

ストロングポイント

フィジカル的な観点から見ると、192cmというサイズに手足の長いすらっとした、いわゆる長身瘦躯な体格。身体のコーディネーションに優れているため動きに鈍重さはなく、身のこなしは比較的軽やか。そのためややパワー不足にも思えるが、プレミアリーグの屈強な猛者たちと十分に渡り合えるだけのコンタクトの強さもある。

また、サイズに見合わぬスピードの持ち主で、アジリティやクイックネスのレベルは高い。特にストライドが大きいので加速力があり、オープンスペースを独力で攻略しフィニッシュまで持って行ってしまうだけのトップスピードを備えている。サイズ、パワー、スピードと、総合的に見てフィジカル能力はハイレベルだ。

テクニカルな観点を見ても、トラップやドリブル、パス、シュートといった基礎的な能力は総じて高い。低い位置からドリブル突破を仕掛けてチャンスメイクをしたり、ファーストタッチで相手のマークを外しそのままターンをしてシュートまで持ち込んだりと、技術レベルの高さを感じさせるシーンは多い。特にドリブル能力は凡百のCFと一線を画すレベルにあり、狭いスペースでも苦にしないどころか強引にチャンスを生み出せるだけのクオリティを持つ。

実際に自身初のプレミアリーグ月間最優秀選手に選ばれた2024年12月の1ヵ月間においてイサクは17回のチャンスを創出しているが、これはリーグ全選手の中で最多の数字だ(出典元はOpta)。この月は8G/2Aのイサクが受賞し、7G/7Aを記録したモハメド・サラーが逃したことで話題になったが、もしかすると最多チャンスメイクという点も評価されたのかもしれない(単純に、リバプールではなくニューカッスルでこの成績を残した、という点が高く評価されただけの話かもしれないが)。

上記の点に加えて、常に最適なプレーやポジショニングを選択できる戦術眼や判断能力も備えている。最前線に留まることなくワイドに開いたり中盤に降りたりしてプラスアルファを生み出し、単騎での打開はもちろんのこと、周囲の味方を上手く使いながらファイナルサードを攻略することのできる選手だ。そしてストライカーでありながら利他的なメンタリティを持ち合わせ、自らがシュートを選択できる場面でも、よりゴールの確率が高い位置に味方がいた場合は迷わずそちらを使うことができる。

また、前線から積極的に守備へ参加する姿勢も素晴らしい。2024-25シーズンのプレミアリーグ前半戦においてイサクはファイナルサードで11回のボール奪取に成功。CFとしてはボーンマスのフランシスコ・エヴァニウソンに次ぐ2番目の好成績を記録している。同様に、ハイ・ターンオーバー(オープンプレー中に相手ゴールから40m以内で始まるポゼッション)に繋がったプレッシャー数においても90分間平均3.4回と、こちらもスパーズのドミニク・ソランケに次ぐ2番目の数字だ。

話は少しずれるが、イサクに先駆けて獲得したフロリアン・ヴィルツもまた積極的に守備を行ってくれる選手で、彼は24-25季のブンデスリーガで最多のハイ・ターンオーバーを記録している。そしてリバプールは24-25季に最もハイ・ターンオーバーからゴールを決めたチームでもあり、一見すると守備は不得手そうなイサクとヴィルツだが、その実守備面においてもリバプールにマッチした選手だ。

イサクは極めてプレーの幅が広く、“9番”だけでなく“10番”的な要素も兼ね備えた選手で、CFに得点能力のみならずチャンスメイクやプレッシングなど多くのタスクを要求するアーネ・スロットにとりイサクは正に理想的なストライカーといえる。フィジカルとテクニックに、優れたクリエイティビティとインテリジェンス。全ての能力が高いレベルでバランスよくまとまっている点が、彼を万能型かつ世界最高峰のストライカーたらしめているのだろう。

ウィークポイント

画像出典:ニューカッスル公式

前述の通りイサクは現代のストライカーに求められるあらゆる能力が高く、すでに完成された選手であるため明確な欠点は然程多くないが、気になる点を見ていこう。

弱点として特に顕著なのが、サイズのわりに空中戦が強くない点。下記の表は、イサクとプレミアリーグの主なストライカー(マンチェスター・シティのアーリング・ハーランド、アーセナルのカイ・ハヴァーツ、リバプールのダルウィン・ヌニェス、チェルシーのニコラス・ジャクソン)の空中戦のデータ(プレミアリーグ過去2シーズン分)をまとめたものだが、勝率は約28%と5人の中で最も不得手にしているのがわかる(ハヴァーツはMFとしてのプレーも多いが、それでも驚異的な数字だ)。

イサクは身長こそ高いものの、細身でしなやかなタイプ。コンタクトの強さを武器としているわけではないのでやや仕方ない側面もあるが、CFとして3割を切る数字は流石に物足りず、クロスやロングボールのターゲットとして大きな期待はできないかもしれない。リバプールはCFの頭めがけてクロスを多用するスタイルではないため、あまりフォーカスされずに済みそうなのが不幸中の幸いか。

ただ、もっとも気になるのはやはり怪我耐性の低さだろう。特にインテンシティの高いイングランドに来てからは無傷でシーズンを乗り越えたことがなく、離脱頻度はやや高めである。傑出したクオリティの持ち主ではあるものの、その故障歴から高額な移籍金での獲得をやや不安視する声がサポーターやファンから出ていた。

しかし、スロットはプレータイムの管理が非常に上手く、加えてウーゴ・エキティケという二番手にするには惜しいレベルのストライカーをすでに擁しているため、リバプールであればプレータイムを分散し怪我のリスクを抑えながら運用していけるのではないか。避けられない怪我は仕方ないが、杞憂に終わることを期待したい。

イサクがニューカッスルで見せていたプレーは世界最高峰と評せるものであり、すでに持てるポテンシャルのほぼ全てを発揮している。年齢と完成度を考えても伸びしろ自体はそれほどあるわけではなく、どちらかといえば自身初となるメガクラブでこれまでと変わらず同じようなプレーを披露し、数字を残せるかどうかだろう。これに関しては蓋を開けてみないとわからないが、リバプールという世界の頂点を争うクラブでプレーすることによって、また一段上の選手(名実共に世界最高のストライカー)になれるかもしれない。

イサクを巡って大きな騒動に発展したことは言うに及ばず、獲得にかかった移籍金も英国レコードだ。イサクにかかる重圧は計り知れないが、彼の獲得はクラブが持つ大いなる野心の具現化であり、素晴らしい未来の到来を予感させる。リバプールとイサクの覚悟がピッチの上でどう現れるのか、楽しみにしたいところだ。

エピソード

画像出典:ニューカッスル公式

◆「アレクサンデル(Alexander)」という名前の起源は古代ギリシャ語にあり、「人を守る者」という意味を持つ。

◆代表は生まれ育ったスウェーデンを選択しているが、両親はどちらもアフリカのエリトリア出身。

◆史上4人目のプレミアリーグ8試合連続ゴール記録を持っている。イサク以外の3人は、リバプール時代に達成したダニエル・スターリッジの他、ルート・ファン・ニステルローイとジェイミー・ヴァーディである。

◆グレン・ヒーセンに次ぐ、リバプール史上2人目のスウェーデン人選手である。

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