ありがとう。ジョルジニオ・ワイナルドゥム。

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グラッド
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ジョルジニオ・ワイナルドゥム。

彼がリバプールにやってきたのは2016年の夏。ユルゲン・クロップがやってきて最初の夏の移籍市場だ。

5年契約を結び、時にセンターバックを任されたり、時にバルセロナ相手にセンターフォワードを担ったりしながら、合計237試合18,209分リバプールFCの選手としてピッチに立ち続けた。

クロップ政権でこの数字を超えるのはシーズン途中のクロップ就任時に既に在籍していたロベルト・フィルミーノだけである。中盤の選手としては、全てのシーズンで最も多くの試合に出場した。

「心臓を2つ持つ」「水を運ぶ男」

そんな異名の通り、彼は試合の最終盤になる程、強烈に相手を追い、ボールを奪うとタンクの様に加速し強靭なフィジカルで迫るマーカーを弾き飛ばしながら前線に運ぶ。それでいて殆ど怪我をせず得点も決める。

こう書くと、フルシーズン攻守の柱となる非の打ち所がないMFを想像するかもしれないが彼にも弱点がある。

ジニはクロップから「君は試合に入れないで終わることがある」と皆んなの前で言われ、

「皆んなの前で言うなよ」と焦った事がある、と過去のインタビューで明かした。

皆んなの前で言われても大丈夫である。
君が試合には入れていない時は、サポーター含め全員が気づいている。

ただ、このオランダ人MFがゾーンに入っている時も皆んなが気がついている。隠し持つテクニックとフィジカルの掛け合わせから繰り出される大胆な仕掛けは幾度となくアンフィールドを沸かせた。

1617シーズン最終節ミドルスブラ戦。勝てばCL権を獲得できるという緊張感が漂う一戦、攻め続けながらも中々ゴールを奪えずに迎えた前半終盤、抜け出したNo.5がゴール右上に突き刺したシュートは間違いなくワールドクラスのストライカーが見せる一撃だった。チームはこの試合に勝利しクロップにとってリバプールでのCL初出場を決めた。

ここからクロップリバプールのCLの旅が始まる。
そして、クロップにとって初となるCL優勝を手繰り寄せたのもまたこのオランダ代表だった。

忘れもしない、1819シーズンCL準決勝セカンドレグバルセロナ戦。ファーストレグを0-3で落とし奇跡を起こすしかない一戦。ベンチスタートとなったジニ・ワイナルドゥムはロバートソンの怪我により後半途中から出場。ピッチ脇でクロップの話を聞く彼の目は、先発メンバーに入らなかった事への怒りと共に、どこか狂気じみたものを感じさせる。

その10分後。

ジニは既に2ゴール目を決め満員のアンフィールド で込み上げる感情を爆発さていた。呆然とするリオネル・メッシ、ルイス・スアレス、フィリペ・コウチーニョ。アンフィールドは完全に要塞と化し、ディボック・オリギが4点目を決め大逆転を収めた。そして、決勝でスパーズを破りビッグイヤーを手にした。

チームはその翌シーズン、サポーターが30年待ったリーグ優勝を果たした。ジニのリバプールでの最終年となった2021シーズンは、怪我人続出によりクロップが最も苦しんだ年とも表現されるが、最終的にはリーグ3位を手にした。どちらのシーズンも最も長い時間ピッチに立っていたMFはジニ・ワイナルドゥムであった。

クロップと共にリバプールにやってきてクラブの歴史を創った。そして、最後の最後までチームを、監督を支えた。そのプロセスで見せる、愚直に走り続けてタスクをこなし、時にムラがありながらもピッチに立ち続け、エモーショナルな一戦では明らかに異質なパフォーマンスを見せる彼の姿には、クロップリバプールのサッカーが詰まっていた。

画像出典:Gini Wijnaldum 公式Twitter

赤いシャツを着てアンフィールドのピッチをフルシーズン無尽蔵に走り回る彼も、試合から消える彼も、そしてリバプールに奇跡を呼び込む彼の姿も、もう見ることはない。

ジニ・ワイナルドゥムなしのリバプール。

来季、感情的にも、戦術的にも追いつくかはわからないが、5年間の契約を全うし新たな旅に出るレジェンドに惜しみのない拍手を送りたい。

ありがとう。ジョルジニオ・ワイナルドゥム。

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