ヘンリーの投資スタンス「トレンド・フォロー」を基にFSGのチーム運営を考察〜「トレンドの芽」を追う〜

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ヘンリー

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ヘンリーです。FSGやオーナーであるジョン・ヘンリー関連の記事を書いていこうと思っています。基本まったりとやっていきます。

3『現在』「トレンドの踊り場」

①セイバー・メトリクスが広がったことによる優位性の低下

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(アスレティックス)

このマネーボールの本が出版され、大ヒットをしたことや、アスレティックスやレッドソックスなどのセイバー・メトリクスを導入した球団の躍進によって、現在ではセイバー・メトリクスは球団運営において急速に広がっていきました。latimes.comの記事によれば、そのセイバー・メトリクスが広まったことにより、以前と比べて「過小評価された選手の発掘」が難しくなったことを挙げています。

「ウェブサイトBaseball Prospectusの作家であるKevin Goldsteinは以下のように述べます。「最近、すべてのチームにこのような分析を行なうスタッフがいます。 アスレティックスは、以前は優位を得ていましたが、今日の選手はより適切に評価されています。だから、楽にダイヤモンドを見つけるのは難しいのです。

http://articles.latimes.comより引用

 

また、この記事によればセイバー・メトリクスが浸透する前は選手獲得において他チームに対して優位性を持つことが出来ましたが、レッドソックスを筆頭に資金力があるチームにもそのノウハウが知れ渡ったことによって、データ分析を使って「過小評価された選手」を発掘してもより高い年俸を提示されて持って行かれてしまう点も挙げています。

つまり、「トレンドの芽」を他チームに先んじて発見し、それを活かそうとも、それがトレンドとなってしまうと他チームに対する優位性が失われてしまうと言うことが出来ます。

②ゲーゲン・プレス使用チームの拡大と適合選手の移籍金の増加

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(ナビ・ケイタ)

クロップのドルトムント以降、ホッフェンハイムやライプツィヒ、レバークーゼンのようにゲーゲン・プレスを採用するチームが結果を残すことが増えていき、ゲーゲン・プレスは特に真新しいものでは無くなっていきました。

以下に挙げるのは、ゲーゲン・プレス採用チームの中からザルツブルグ、レバークーゼン、ホッフェンハイムの放出金額をランキングにしたものです。

 

・ザルツブルグ

名前 移籍先 シーズン 移籍金
1 Naby Keïta RB Leipzig 16/17 29,00 Mill. €
2 Sadio Mané Southampton 14/15 23,00 Mill. €
3 Jonatan Soriano BJ Sinobo Guoan 16/17 15,00 Mill. €
4 Kevin Kampl Bor. Dortmund 14/15 12,00 Mill. €
5 Alan GZ Evergrande 14/15 11,10 Mill. €

https://www.transfermarkt.com/jumplist/startseite/verein/409を参照

 

・ホッフェンハイム

名前 シーズン 放出先 移籍金額
1 Roberto Firmino 15/16 Liverpool 41,00 Mill. €
2 Niklas Süle 17/18 Bayern Munich 20,00 Mill. €
3 Kevin Volland 16/17 Bay. Leverkusen 20,00 Mill. €
4 Carlos Eduardo 10/11 Rubin Kazan 20,00 Mill. €
5 Luiz Gustavo 10/11 Bayern Munich 17,00 Mill. €

https://www.transfermarkt.com/jumplist/rekordabgaenge/verein/533を参照

 

・レバークーゼン

名前 シーズン 移籍先 移籍金
1 Heung-Min Son 15/16 Spurs 30,00 Mill. €
2 André Schürrle 13/14 Chelsea 22,00 Mill. €
3 Hakan Calhanoglu 17/18 AC Milan 22,00 Mill. €
4 Kevin Kampl 17/18 RB Leipzig 20,00 Mill. €
5 Émerson 00/01 AS Roma 18,00 Mill. €

 

https://www.transfermarkt.com/bayer-04-leverkusen/rekordabgaenge/verein/15を参照

 

以上のように、ゲーゲン・プレス採用チームから放出された選手の移籍金の上位のほとんどがここ数シーズンであることが見て取れると思います。もちろん、ここ最近の移籍金のインフレという要素はありますが、ゲーゲン・プレス採用チームが結果を残していくにつれて、その戦術に適応した選手の値段も高くなっていると言えると思います。

こうして見てみると、今現在ではゲーゲン・プレスはある程度浸透してしまい、適応した選手を安く買うことは難しくなってしまっているというマネーボールが浸透したMLBと同じような現象が起きていると言えます。

このように何か「トレンドの芽」を発見してもそれが広まってしまうと他チームに対しての優位性が取れなくなってしまいます。それを踏まえ、次の章ではMLBとサッカー界で今現在起きている現象から、次なる「トレンドの芽」を考察していきたいと思います。

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2 件のコメント

  •  今回の記事も、すごく面白かったです。 ボクもMLBを見るのですが・・・

    マー君の「ボールの回転数データ」表示をみて・・・「そんなトコまで可視化すん

    の!?」って最近、驚いた次第であります。 

     「ゲーゲン・プレスの可視化」となると・・・やっぱり岡崎慎司だと思います。

    彼のプレイはワールドクラス!!っていう事実がデータで証明されるでしょうね♪

    •  背番号4さん、コメントありがとうございます。
      「ゲーゲン・プレスの可視化」と岡崎は面白い視点ですね!
      記事で書いているように、FSGは過小評価された選手の発掘を重点的に行なっていますが、まさに岡崎は既存の評価基準では評価しづらい選手だと思います。
       
       テクノロジーの発展と共に、新たな評価基準で評価されることが増えていくと思いますが、まさにそれは岡崎のような選手なのかもしれませんね!

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