リバプール・サポーターズクラブ日本支部とは〜LFCの歴史を支え、伝えていく〜

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リバプールFCは1892年に創設されて以来、リーグタイトル18回、UEFAチャンピオンズリーグ5回、UEFAカップ3回、UEFAスーパーカップ3回、FAカップ7回、リーグカップ8回、コミュニティーシールド15回、スーパーカップ1回のタイトルを獲得している。過去に数々の名選手が所属し、世界中のサッカー好きを感動させる試合も見せてきた。名門クラブであることは確かだ。

 

他方、プレミアリーグ創設以降はリーグ優勝とは縁がなく、2005年のイスタンブールの奇跡後は主要タイトルの獲得は遠ざかっている。それでも世界中に数多のサポーターを持ち高いブランド力を維持。結果として、デロイトが発表している1516シーズンの年間収入のランキングでは唯一CLに出場していないチームとしてトップ10入りした。世界有数のビッグクラブであることに疑いの余地はない。

また、視点を日本に移しても、リバプールFCは熱狂的なサポーターを多く抱え、ジェラード引退後も変わらず人気を博している。日本でのプレミアリーグのグッズの売れ行きはリバプールFCが抜きに出ているという話さえ聞いたことがある。冷静に観察すると、なぜ、世界的に有名なカリスマプレイヤーがいる訳でもなく、CLからも遠ざかっている異国のチームに日本で人が集まるのだろうか。その理由の一つがリバプールFCがこれまで育んできた「歴史」であることは間違い無い。歴史は金では買えない。ただ、日本でその歴史を支え、伝えている存在を忘れてはならない。「リバプール・サポーターズクラブ日本支部」だ。本記事では、そのリバプール・サポーターズクラブ日本支部について紹介をしていく。

リバプール・サポーターズクラブ日本支部とは?

まず、知っておきたいのはリバプール・サポーターズクラブ日本支部はLFC本体から認定を受けているものの、あくまで非営利団体として無報酬(ボランティア)で活動をしているということである。私もNPOで働いた経験があるが、突発的な感情から起こる「思いつき」ではなく、自身のエピソードに裏打ちされた熱い「志」がそこになければ継続して価値ある活動を行なうことは極めて難しいと痛感した。リバプール・サポーターズクラブ日本支部は1995年に設立されて以来、会長の平野さん、代表の田丸さんをはじめ十数名のスタッフの方によって歩みを重ねている。その根源がリバプールFCに対する一人ひとりの強い思いであることに疑いの余地はない。

リバプール・サポーターズクラブ日本支部
元画像はリバプール・サポーターズクラブ日本支部のサイトより

以下、公式ホームページからの引用であるが、ここには「ファミリー」という言葉が数多く使われている。実際に代表の田丸さんとお話する機会を頂いた際にも「LFCファミリー」にまつわるエピソードを聞かせてくださった。他のクラブが真似しようとしても真似出来ない「ファミリー」というキーワードがある限り、リバプールFCはビッグクラブであり続けると。

リバプールFCには、「クラブと世界中のサポーターは1つの大きな家族である」という考え方があり、その理念は「グローバル・LFCファミリー」という言葉で表現されています。オーナー、スタッフ、選手、地域住民、そして世界中にいるサポーターが、リバプールFCというクラブを介してつながり、家族のように寄り添い、世界のどこにいてもお互いを助け合い、サポートし合う。それが「グローバル・LFCファミリー」です。このような考え方は、ヒルズボロの悲劇の犠牲者のご家族に、今もクラブと世界中のサポーターが寄り添い、支援しているさまによく表れています。

リバプール・サポーターズクラブ日本支部の活動を通して、日本のファンの皆さんにクラブや世界じゅうのサポーターとのつながりを感じていただき、皆さん一人一人に「グローバル・LFCファミリー」の一員であることの誇りと喜びを感じていただければ幸いです。(リバプール・サポーターズクラブ日本支部のサイトより引用 ※一部中略)

日本におけるリバプールFCのサポーターの数は海外クラブの中では勿論多い方だ。しかし、現在消費が活発化しはじめ、娯楽に飢えているタイやインドネシアなどの国と比べるとその数は劣る。Jリーグがあり、サッカー以外にも娯楽が飽和している日本の市場環境の影響だと推察されるが、やはりサポーター数が多いマーケットにLFC本部も投資をする。クラブ経営を行なう上で至ってまともな判断であるが、日本に住む身としてはやや寂しさもある。

しかし、日本にはリバプール・サポーターズクラブ日本支部の存在があることで、自国にも公式に認められた団体が活動していることによるクラブへの親しみやすさを感じられるだけでなく、リバプールFCと直接つながる機会を得ることもできる。マーケット規模としては他国には及ばない中でも、自国にこうした環境があるのは実に誇らしく、また、とてもありがたいことであると筆者は感じている。

リバプール・サポーターズクラブ日本支部は具体的に何をしているのか?

では、リバプール・サポーターズクラブ日本支部は実際に何を行っているのか。端的に述べると、リバプールFCをサポートするための活動であり、また、日本のサポーターに「LFCファミリー」の一員としてクラブをサポートしているという意識を持ってもらうための活動だ。以下にその具体的な内容を紹介していく。

リバプールFCのオフィシャル・メンバーシップ加入の促進

クラブをサポートするための活動としてわかりやすいのは、日本支部の全会員にリバプールFCのオフィシャル・メンバーシップに加入してもらっていることだろう。クラブに払うメンバーシップ登録料はクラブの収入になるため、リバプールから遠く離れた日本からでもクラブの経営を直接サポートすることができる。メンバーシップを毎年更新することでクラブを「ただ好きでいる」だけでなく「サポートしている」という意識が強まっていく。

アンフィールドでの観戦チケットの正しい購入方法の発信

アンフィールドでの観戦チケットの正しい購入方法の発信も日本支部が力を入れていることの一つだ。リバプールFCのチケットの販売方法は少し変わっている。基本的にオフィシャル・メンバーシップに加入していないと買えない上に、「メンバー販売」と呼ばれるチケット販売は1シーズンにたったの2回(7月と11月)しか行われないのだ(開幕から12月末までのすべての試合のチケットを7月に、1月から最終節までのすべての試合のチケットを11月に一斉に販売する)。 日本支部では、この「メンバー販売」に関する情報を公式ホームページやSNSで発信しているほか、オフィシャル・メンバーシップに加入していなくても購入できる食事付きの「ホスピタリティ・パッケージ」というチケットについての説明も行っている。

クラブのチャリティ活動への協力

日本支部はクラブのチャリティに協力することにも力を注いでいる。リバプールFCの公式チャリティであるLFCファウンデーションや、キャラガーが運営する23ファウンデーションへの協力をホームページやSNSで呼びかけているほか、定期的にチャリティイベントを開催し、その売り上げをLFCファウンデーションや23ファウンデーションに寄付している。

 
リバプールFCや選手がチャリティに力を入れているのは、このクラブに「ファミリー」という考え方があるからこそであり、地域社会への貢献を重視する伝統があるからこそだ。日本のファンもクラブや選手のチャリティに協力することで、「LFCファミリー」の一員であるという意識をより強くし、クラブのこの素晴らしい伝統を共に守っていくことができるわけだ。そのために日本支部は、日本のファンが参加できるチャリティの情報を積極的に伝え、チャリティイベントを開催するなどして定期的に寄付を行っている。

その他の活動

その他、過去にはイアン・ラッシュが来日したLFCサッカースクール開校記念会への参加や、日本での観戦会などのイベントを主催するなど、日本支部は日本にいながらもサポーターがリバプールFCを身近に感じられる活動を行なっている。

イアン・ラッシュ
元画像はリバプール・サポーターズクラブ日本支部のサイトより

リバプール・サポーターズクラブ日本支部では、日本各地での観戦会や、リバプールのシャツを着てフットサルを楽しむ機会など、日本のファンの皆さんが互いに交流できる場も提供させていただいています。Facebookを使って、リバプールについてオンラインで気軽に話したり情報交換したりすることもできます。現地観戦経験の豊富な会員も多いので、これからアンフィールドに行ってリバプールの試合を観たいと思っている方には、役立つ情報を得られる機会も多いと思います。(リバプール・サポーターズクラブ日本支部のサイトより引用)

リバプール・サポーターズクラブ日本支部は多面的な活動でクラブを支援し、また、サポーターが正しくクラブを支援するための架け橋となっているのだ。

最後に

Twitterのフォロワー数、Facebookのいいね数だけを取っても、日本よりもアジア諸国の方がリバプールFCのサポーターの数が多いことは明らかであるし、その結果、リバプールFCはインドネシア、マレーシア、タイ、オーストラリアなどで親善試合を行なっている。もちろん、一人一人の熱とその国のサポーターの多い少ないは全く関係ないが、やはり日本におけるサポーターの数が増えて欲しいという気持ちは間違いなく筆者の胸の中にある。つまりは、リバプールFCの歴史や魅力をより多くの人に届けられればとLFCラボの管理人として思うのだが、その前に、それらを20年以上伝え続け、クラブを支援する架け橋となっているリバプール・サポーターズクラブ日本支部のことを、新しくリバプールFCに興味を持たれた方を含めて知っていただきたい。そんな思いと共に本記事を置いておく。

※この記事はリバプール・サポーターズクラブ日本支部に承諾をいただいて公開しております。

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