マイケル・エドワーズからのオープンレター

マイケル・エドワーズからのオープンレター
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MAKOTO
関東在住。頭の中の6割がフットボール(リブァプール)、3割がWWEです。

11月11日、日本では“ポッキー&プリッツの日”が最近は定着しつつあるこの日、スポーツダイレクターのマイケル・エドワーズが2021-22シーズン終了をもって退任し、後任に現アシスタント・スポーツダイレクターのジュリアン・ウォードが就任することが公式発表されました。

この話自体は結構以前に報じられていたので、驚きというよりは“とうとう正式にきたか”といった感じでしたね。

公式発表にあわせてエドワーズがサポーター向けにメッセージを出してくれたのでちょっと訳してみました。

マイケル・エドワーズからのオープンレター

10年というのはどんな人の仕事にでも結構長い時間です。

フットボールの面では一時代と言っても差し支えないでしょう。サポーターに相応しいレベルにまで期待値や基準を到達させることが決してできないリバプールのようなクラブでは特にそうです。

この期間このクラブに関わることができたのはまさに特権と言えるものでした。一緒に仕事ができて幸運に思える人たちと共に成功を楽しめたおかげです。

ですが、どんな良いことでも終わらせなければならないものです。私の場合、最近リバプールのスポーツダイレクターとして最後の夏の移籍市場を終えました。

こうして書くことさえ少々変な気分なんですが、今シーズンの終わりに私は自分のノートPCを梱包して、AXAトレーニングセンターのオフィスを離れることになります。

ただ、そうする前に機会を用意して、私が先に進もうと考えた理由を説明したいと思ったんです。ここのサポーターはそうするに値している人たちだと私が強く信じているからです。

一番望まないのは根拠のない憶測です。リバプール・フットボールクラブにとっては特に私が去る以上に良い手段はないと思ったんです。私の世代のほとんどの人と同じで、子供の頃はテレビでリバプールをよく観ていました。その頃の英国フットボールで最も支配的なチームの1つでしたからね。

テレビに映る自分のアイドルの真似をしようと裏庭で何時間も過ごしたものですが、彼らの誰にも近づけなかったことは言うまでもありません。子供の頃から、リバプールの選手の誰もがこのクラブを代表する為に基準を設けて生活していることは分かっていました。文字通りベストであるか、チームの一員としてベストになる為に貢献できる必要があるんです。

ですから、自分がアンフィールドに辿り着くなんて絶対にありえないことが実際に起こるとは想像もできませんでしたし、この5年間の役職に就くなんてことも思いもよりませんでした。

いつも私は1つのクラブにいるのは最大でも10年と計画しています。ここで働くことは大好きなんですが、変化する必要性も大いに信じています。これは個人にとっても、職場の上司にとっても良いことだと思っています。ここで過ごした時間で、私たちはとても多くのことを変えてきました。願わくばより良い変化であったならと思っています。

ですが、新たな誰かが異なる視点や新しいアイデアをもたらすことで、上手くいけば元々あったものを構築したり変化させたりすることができます。それがビジネスやフットボールクラブを前進させる手段だと信じています。進化する必要がありますし、この種のプロセスの中心にあるのは常に人です。その進化は常にリバプールの歴史の中心にありますし、それは変わらないことの1つだと願っています。

私の妻も証言してくれるでしょうが、私はこういうことがまったく得意ではありません。私はいつも先を見据えていますし、ここ数年はこの役職を辞める時期が近付いていることを考えていました。

後任がジュリアン・ウォードなのはまったくもって相応しい人選だと思っています。私の場合と同じで、彼から多くの話を聞くことはできないと思いますが、この機会に言っておきたいのは、クラブ内外で彼と出会ったすべての人に大歓迎される決定だと言わざるを得ないということです。

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ジュリアンは長年この役割の為に必要なスキルを身に着けてきました。彼の成長には強調できるいくつもの要素がありますが、6年前のローン部門設立において彼が見せた優れた仕事は特にそうだと言えます。彼は選手とクラブに多大な利益をもたらし続ける長期的プロセスの基礎を築いてくれましたが、それだけでなくその時期はスポーツダイレクターが扱う多くの側面に対する彼の学びを加速させるものでもありました。

彼は昨年、アシスタント・スポーツダイレクターに就任し、それから12ヵ月間、彼はこの役割において成功に不可欠な様々な側面を身に着けてきました。繰り返しになりますが、ジュリアンの就任はthe Liverpool Wayにおける重要な要素だと私が信じているものに完全に一致しますし、この内部昇格は専門知識や経験、制度的な知識が本来あるべき形で大事にされていることを保証すると言えるものです。

今シーズンの残り期間、私はリーダーシップの移行を完了するまで、彼をサポートし続けますし、眠ることを知らない男マイク・ゴードンと緊密に協力していきます。

退団の決意をマイクに知らせた時、彼は私が次に持つことになるパートナーシップが彼と共有したものと同じくらい良いものになることを願っていると言ってくれました。

ユルゲンやその前任のブレンダンとは、何年にもわたって数多くの決断を下してきました。その中のいくつかは他よりも上手く作用したと言えますが、すべての決断はリバプールFCにとって最善の利益となるよう下されてきました。

マイクは自分が脚光を浴びることを嫌いますし、彼が通りを歩いていてもほとんどの人は彼に気づかないでしょう。それを見ていて私はいつも面白がっているんですけどね。ですが、彼は本当に賢い男で、勤勉で戦略的な知見を持ち、幅広い人たちと繋がることのできる人物です。

私を抜擢し、信頼してくれたのがマイクでした。彼は私にチャンスを与えてくれ、自主性や責任を持たせてくれました。それは私が常々感謝していることです。彼の目立とうとしない姿勢もあって、彼が私の部署だけでなく、クラブの日常業務全般にどれほど関わっているのかを多くの人に認識されていないことは分かっています。

彼はLFCに対する情熱をとても持っていますが、これは彼のコミットメントやこのクラブを可能なかぎり競争力を持つ存在にする為に全力を尽くそうとしていることからも明らかです。

彼ら自身が承認した物事で、FSGはいくつかの過ちを犯したかもしれませんが、多くの物事で彼らの判断が正しかったことは見落とされがちでもあります。彼らと長い間緊密に協力してきた者として、彼らが勝利とクラブに対してどれほど情熱を持っているのかを私は知っています。

私がこのクラブで過ごした10年間におけるリバプールの変化は、名称以外には類似点があまり多くないと言えるものですが、特にマイクは多くの功績が認められるべき人物であるはずです。

私と会った人たちは、必然的に私たちが関わった契約や選手たちのことを尋ねてきます。移籍市場での動きが私が果たしてきた役割のエキサイティングな部分の1つであることは私も分かっています。選手の売買はとても興味深いもので、特に私たちが獲得した選手がポジティブな変化をもたらしてくれた時は楽しかったものです。

ですが、すべてのことと同じですが、一緒に働いてきたチームがあって、そのハードワークと専門知識が組み合わさった結果であることは決して見過ごされたり過小評価されるべきものではありません。

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デイブ・ファローズとバリー・ハンターは、私が加わった翌年にリバプールに加わりましたが、ワールドクラスのスカウト部門を構築する上で不可欠な存在でした。

バリーを知らない人の為に言いますと、多くの人は知らないでしょうが、彼はかつてはハードヒットを厭わない北アイルランド人センターバックで、今はフットボールの人名辞典とも言える連絡名簿を持っています。彼はいつも外出していて、平均的なオスの象よりも多くの食べ物を片付けるような男です。

デイブはシンプルにGoogleです。彼ほどの記憶力の持ち主や革新的なソリューションが必要な時に既存の枠組みに捉われない考えができる人間を私は他に知りません。

何年もの間、私は“スタッツマン”というラベルを付けられていて、私をよく知る人からしたらかなり笑える話だったでしょう。もちろん、スタッツマン(統計担当者)はいます。彼の名はイアン・グラハムといい、デイブやバリーのように私がここに来て間もなくDecision Technologyという会社からやって来ました。

彼がリバプールのファンだと知っていたことは、ジョン・ヘンリーや私にとっては、クラブのコンサルタントとしてではなく実際にクラブに加わるように彼を説得するのに十分な理由でした。イアンと彼のチーム(ダフ、ティムにウィル)は私にとっては天才の集まりで、間違いなく世界のフットボール分野においてベストな人たちです。

一般的に信じられていることとは違って、私たちが“スタッツ”だけで選手たちと契約したりはしませんが、彼らの調査から提供された情報は意志決定において重要な役割を果たしています。それはビデオ、書面によるレポート、身元調査やスタンドからの古き良きスカウト、それらすべてが大きな意思決定のるつぼに放り込まれます。あらゆる情報が決断を下す上でリスクを軽減してくれるんです。

そうした人たちの外側では、ウッディ(デイビッド・ウッドファイン)が物事を繋ぎ合わせる為にいてくれました。私と長年の知り合いでもあるこの元イギリス海軍将校は、これまで出会ってきた中でも最もまめな男です。彼がスーツケースに荷造りしているのをよく見かけますね。ともかく物事を成し遂げる上で問題を見事に解決してくれる人物です。

私たちは一緒にチームを組み、ジョナサン・バンバーやプレストン・ジョーンズ、ダニー・スタンウェイの努力や献身と共にやって来ました。いわば近年このクラブが多くの選手たちを“売買”するのを支援してきたグループです。

その他には監督と選手というあらゆるものの中で最も重要な人たちがいます。こうした人たちがいなければ何も起きやしません。かつてハリー・レドナップが私に“要は選手たちに尽きるんだぞ。エド。”と言ってくれましたが、彼は正しいですね。こうした人たちが心血を注いでくれましたが、リバプールのようなクラブで彼らが受けるプレッシャーは計り知れません。

私は彼ら一人一人に多大な敬意を払っていますし、彼らが近年享受してきた成功は、あらゆる場合において十分に彼らに値するものです。彼らはリバプールのようなクラブでプレーできて幸運ですし、リバプールは彼らがいてくれて幸運です。

いつも尋ねられる質問がもう1つあって、それは“あなたが好きな選手は誰?”というものです。

これは答えるのがとても難しい質問で、答えようとしたこともありません。

でも、私が飼っている犬の名前はボビーということだけ言っておきます。

私たちが選手を獲得する時、ユルゲンは成功する要因は自分に50%、選手自身に50%あるといつも言っています。ユルゲンのことや彼がクラブの為にしてくれたことを今わざわざ話す必要のある人はいないと思いますが、彼がここに来たタイミングや彼が実践した哲学、リーダーとしてのキャラクターはリバプールで永遠に記憶されると思います。

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リバプールの監督になることは、おそらくプレーするよりも難しいことでしょう。このシャツには重圧がかかる、と彼らは言うでしょうが。

ですが、彼はファンに大変多くの喜びをもたらし、クラブの歴史的価値観の多くを再確認させてくれました。クラブの偉大な監督の1人として歴史にその名を残すでしょう。彼は厳しい要求をしてくる男で、パデルテニスだろうとチャンピオンズ・リーグ決勝だろうと勝ちたいと思う男です。

私がLFCで過ごした時間で彼はビックリするくらい見事にチームを率いてきました。ジュリアンとユルゲンはとても良い関係性を築いていますし、共に前進してくれるでしょう。彼らがクラブにさらなる成功をもたらしてくれると私は確信しています。

LFCで共に働いたスペシャルな人たちはもっと大勢いますし、それがこのクラブをとても素晴らしい職場にしている理由です。

ですが、新しいトレーニング・グラウンドが完成し、多くの中心選手が長期契約を結んでクラブへのコミットメントを示してくれ、皆のハードワークの一部がトロフィーに生まれ変わりました。

冒頭で述べたように次に進む時が来た訳です。

シーズンの残り期間中は私もまだいる訳ですが、私はこの機会を利用して、共に働いたすべての人に心からの感謝を伝え、チャンスを与えてくれたFSGに感謝の意を表したいと思った次第です。

YNWA

エドワーズと後任についてちょっとだけ

エドワーズは2016年11月にスポーツダイレクターに就任して以来、サラー、ロバートソン、オックスレイド=チェンバレン、ファンダイク、ファビーニョ、ケイタ、シャキリ、アリソン、アドリアンとリバプールがチャンピオンズ・リーグ優勝やプレミア・リーグ優勝(もちろんスーパーカップやクラブワールドカップ優勝も)を果たす上で重要な役割を担った選手を数多く獲得し、他にもエリオット、南野、シミカス、チアゴ、ジョタとチームのさらなる成長に向けた選手獲得にも貢献してくれましたし、それと並行して余剰戦力となった選手を本来の評価額以上と思われる移籍金で売りさばき、リバプールの難しい台所事情をうまく切り盛りしてくれてもいました。

2020-21シーズンの冬の移籍市場ではセンターバック陣の緊急事態を受けて、ほとんど軍資金なしの状態からデイビス&カバクの獲得という荒業もやってのけてくれましたね。まぁかたや出番なくローン移籍、かたやローン期間終了でサヨウナラということになってはいますが。

まさに彼は(主に資金面で)無茶苦茶なオーダーに文句ひとつ言わず(実際には言っていたと思いますが)に黙々と任務を遂行し、クロップ政権下のリバプールを影で支えてくれた超功労者と言って差し支えないでしょう。

ホント感謝しかありません。

次のお仕事の噂もチラホラ出ていたりもしますが、新天地での成功をお祈りしたいです...が、まだ冬の移籍市場やその他諸々のお仕事は残っていると思うのでそちらもしっかりお願いしたいですね。

そして、エドワーズという奇才が去った後、空いた席にはジュリアン・ウォードが就任することになっています。

ウォードは2020年12月に現在のアシスタント・スポーツダイレクターに就任していますが、それ以前は“loan pathways and football partnerships manager”という役職に就いていました。

ローン進路兼フットボール・パートナーシップ・マネージャーと私が訳した役職がどんなことをやっているのかは以前私がブログで紹介したこちらの記事も参照いただければと思いますが、要約すると若手選手のローン移籍に関する各種業務を取り仕切ったり、ローン先の候補となる各クラブとの関係を構築したりする役職だったようです。

あくまで想像ですが、昨年12月の時点でエドワーズ退任は決まっていて、その後任としての準備期間の為にアシスタント・スポーツダイレクターという役職に就いていたのかもしれませんね。

エドワーズが去った後にリバプールの台所事情が急に良くなる訳ではないでしょうし、ウォードの手腕にも期待したいところです。

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