[リバプールCL対戦相手分析]レアル・マドリード〜In Kyiv, we’ll win it 6 times〜

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トリコレッズ

トリコレッズ

日本ではマリノスファンなので、Redsの虜(トリコロール=マリノス)という意味でトリコレッズという名前にしました 戦術・選手分析などをしていきたいと思います
CL Round of 4・2nd leg レアル・マドリード2-2バイエルン・ミュンヘン @サンチャゴ・ベルナベウ

リターンレグはサンチャゴ・ベルナベウ。アウェイで勝利を得たレアルが優位な状況ですが、このレベルの試合ではまだまだ油断は出来ません。

レアルは1st legからフォーメーションを変更。バスケスをSBに、アセンシオ、コバチッチ、ベンゼマをスタメンに入れました。

攻めなければならないバイエルンとしては、負傷離脱したロッベン、ボアテングに代えてトリッソ、ズーレがスタメン入り。また、ハビマルティネスに代えてチアゴを投入し、より攻撃的に振る舞おうという意図が見えます。

試合展開

試合開始から、少なくとも2点が必要なバイエルンが攻勢をかけます。
この日レアルの右SBに入ったバスケスを狙って左サイドを起点に攻撃すると、早速3分。右サイドまで展開してからクロスボールを上げるとそのこぼれ球を1st legと同様キミッヒが押し込んでゴール。逆転への気運が高まります。

しかし11分。高い位置を取っていたレアルの左SBマルセロがクロスボールを上げると、ニアサイドに走り込んだクリスティアーノ・ロナウドにCBが気を引かれ、その裏でベンゼマがフリーに。確実に合わせて同点に追いつき、アグリゲートスコア3-2として再度突き放します。

そこからはバイエルンが左サイドはリベリとアラバ、右サイドはキミッヒを用いて攻め込み、レアルはそれを奪うとモドリッチやクロースを軸としたキープにマルセロの攻め上がりなどがコンビネーションし、最後をロナウド、ベンゼマが狙う形。状況はやや膠着しながら後半へ向かいます。

そして迎えた後半開始直後。キックオフから自陣右サイド深くでボールをキープしたバイエルンは、トリッソがGKへバックパス。ウルライヒがそのボールの処理を誤り、後ろに流れたボールをベンゼマが無人のゴールへ流し込みます。1st legに続き、バイエルンは痛恨のミスから失点してしまいます(ウルライヒ本人がSNSで謝罪しているため、僕が何か言うところではないのでしょうが、個人的にはどちらかといえばトリッソのやや強引なバックパスが、はっきりとではなくても引き金を引いたと思っています)。

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この失点でややメンタル的に焦ったか、直後10分ぐらいはバイエルンにもミスが増え、攻め込みながらもなかなかシュートに持ち込めないようなシーンが増えていきますが、攻勢を強めていくごとに少しずつシュートを撃ちながら流れを掴んでいきます。
CBのズーレやフンメルスも攻撃に参加し、レアルとしては守勢からのカウンターを狙っていく流れになりますが、迎えた63分。
ズーレがドリブルで持ち上がるとキミッヒとのパス交換からレアル左サイド深くまで入り込みます。そこにセルヒオラモスがつり出されると(よく見ると、一応クロースも反応しているのですが、何故かラモスが行きます。レアルの守備の多くの場合はラモスの異常なほど高い危機察知能力と判断スピードで相手の攻撃の芽を摘み取っているために、この場合は少しラモスが行きすぎてしまったのでしょう)、そのスペースに入り込んだハメス・ロドリゲスがズーレからのクロスをボレー。一度はヴァランに阻まれますが、こぼれ球を再度右足で押し込んでこの試合2-2の同点、アグリゲートスコア4-3に持ち込み、1点取ればバイエルン逆転突破という形になります。

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そこからバイエルンは身長のあるヴァーグナー、ハビ・マルティネスを投入し、クロスボールを放り込みまくってイケイケで攻撃しますが、CBを中心としたレアル守備陣のシュートブロックと、ケイラー・ナバスの神懸かり的セービングにより最後の最後でネットを揺らすことが出来ません。
レアルはベイルを投入してベイル、ロナウドの行ってこいカウンターサッカーへ移行。さらにカゼミーロ、ナチョを投入して守備固めを狙います。

最後の最後までバイエルンが攻め続けますが、このままタイムアップ。レアル・マドリードが3年連続のCLファイナル進出を決めました。

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レアルの攻撃②

戦術的な攻撃シーンとしては、この試合において見るべきところがそれほどなかったのですが、一応レアルの1得点目のシーンを確認しておきましょう。攻撃としては極めて単純であり、バイエルンも一応組織的な守備をしっかりと見せているのですが、レアルの各選手のクオリティの高さ、そしてクリスティアーノ・ロナウドの存在感で点を取ってしまう、そこがレアルの恐ろしいところです。ただし、実はこのシーンで本当に1番頑張っているのはベンゼマ。もちろんスコアラーなのですが、それ以前にもパスコースを丁寧に作り出したり、相手の死角から飛び出してマークを外す巧みさが光ったりしています。

レアルの定位置攻撃の基本はサイドを基準に、SBと中盤センターのコンビネーションからサイドか中央かどちらかを突破、クロスボールを上げるかスルーパスを出すか、という感じです。詰まったらサイドチェンジで逆サイドに振りもう1回同じことをやります。今回は左サイドで詰まってから右サイドへ展開し直したシーンで、右SBバスケスがボールを受けます。フォローにはモドリッチが近寄ってきています。モドリッチはすかさず中央の状況をチェックしています。ベンゼマは左サイドで作っていたときに下がってパスコースを作り出しており、そこから元ポジションへ戻って今度は右サイドのフォローへ向かう途中。最前線でバックラインを押し下げる仕事を担うロナウドと仕事を分担しています。


モドリッチにはコバチッチとベンゼマの2つのパスコースが存在しており、ここではいったんコバチッチに下げる方を選択。ベンゼマは下がったうえボールが出てこないことになりましたが、まずここで必ずパスコースを作りに動くのが素晴らしい動き。さらにここからの動きも秀逸なので注目しておいて下さい。全体的に少しずつレアルが押し込んでいるため、左SBマルセロはさらに高い位置まで進出し、ボールを引き出します。バイエルンはコンパクトなラインを作っていますが、奪いどころを設定しておらず、モドリッチにプレスに行った時に全体のラインを押し上げたりもしていません。中央のズーレ、フンメルスの空中戦に強いコンビで跳ね返そうという発想なのでしょうか。

マルセロが高い位置でクロスボール体勢に入ったところで、最前線のクリスティアーノはニアへ向かいます。バイエルン守備陣はやはりこの選手の驚異的な身体能力を恐れ、クリスティアーノのマークに引きずられています。そこで巧みなのがベンゼマの動き直し。いったん下がっていたことを利用して、クリスティアーノの背後に隠れるようにポジションを上げ、そこからファーサイドへ流れることで相手のマークの目をそらす動き方をしています。

この段階で、ロナウド(とアセンシオ)がニアに入っているため2CB、さらに左SBのアラバまでニアに引きずり込まれています。ここからファーサイドへ少しずつ流れていくベンゼマを、アラバはチェックできていません。

上手く外してファーに入り込んだベンゼマにボールがあってゴール。バイエルンとしては驚くほどあっさりとゴールを奪われた印象でしたが、そもそもクロスボールに対する2CBと相手CFのマッチアップで優位を奪えているかというところが微妙なため、クロスを上げさせて跳ね返すという発想が正しかったかどうかから議論の余地アリです。結局、クリスティアーノの存在感とベンゼマの巧みな動き出しでマークを外されてしまいました。

レアルの守備②

2試合目は特に守備についてピックアップしたいシーンが山盛りです。こういっちゃなんですが、とにかく守備の意識が低い!
基本的なトライ&カバーという発想がそもそも無いのか、一応4-4のブロック的な並びを作ったりするのですが、誰かがプレスに出たときにカバーをしておらず周りの選手がただ立っているので、そこを使い放題入り込み放題。失点シーンを中心に確認していきましょう。
まずはバイエルンの1点目、2分28秒のシーンです。

フンメルスの展開から、左サイドでリベリーがボールを持ったシーン。基本的に気になるのは、バイエルンがバックラインからサイドハーフへ単純にボールを展開しただけのシーンに対し、レアルは全体的にラインが低い+スライドが効いていないこと。ラインの低さは2試合通じて見られています。恐らく、守備は結局のところラモス、ヴァランが跳ね返すという決まりなので、彼らが前を向いてディフェンス出来るようにラインをしっかり下げているのでしょうが……

アラバ、ハメスがバスケス、カゼミーロを引っ張ったことにより、そこに大きなスペースが生まれています。モドリッチはバスケスを献身的にカバーしていましたが、リベリーとの1対1を止めることが出来る選手というものがそもそも多くなく、モドリッチもカットインを止めることは期待できません。陣形を整えるのが遅いためバスケス、カゼミーロのスペースをカバーする選手がおらず、マークの受け渡しもままなりません。

リベリーはそのままカットイン。そこにさらにトリッソとレバンドフスキが入り込んでおり、ここでは裏のレバンドフスキを選択します。


レバンドフスキが受けると、ラモスとマルセロを引きつけてから右サイド(の恐らくミュラー)へ。レバンドフスキはそこからカットインを見せます。スコアラーのキミッヒは今のところまだ普通の右SBのポジションにいますが、そこから長い距離を走ってあそこに入り込んでくる嗅覚というか感覚が素晴らしいですね。
ただし、1つ気になるのはこのときのアセンシオの対応。サイドバックがつり出されCBはクロス対応で中央に戻るためニアゾーンが大きく空くシチュエーションになり、そこを塞ぎに戻ってきているのはいいのですが、だからといって走り込んだキミッヒをなんとなく逃しています。ここにもカバーが効かないという大きな問題が顔を出しており、そもそもニアゾーンを誰も塞がないシーン、あるいは塞いでも特に反応しないというシーンが複数回確認されています。


クロスボールをラモスがはじき返しますが、そのこぼれ球にはフリーのキミッヒが。ここをマークするためにアセンシオは帰ってきたのではないのか……?と思うのですが、何にせよゴールを奪われています。

これに類するシーンとしては、19分05秒。

バイエルンの定位置攻撃から、中央でボールを持ったハメスが左サイドに展開、アラバがボールを持ちます。バスケスがリベリーにチェックしに行った関係で、右サイドの守備はモドリッチが担当しています。モドリッチ、華麗な司令塔タイプというイメージも強いですが、結構献身的に守備をこなす姿も好印象です。
やや状況が複雑になるので矢印をレアル、バイエルンで白、赤の2色に分けて解説していきます。まずレアルの2選手、バスケスとコバチッチは、モドリッチとヴァランの間に生まれたニアゾーンのスペースをカバーしに走ります。バイエルンはレバンドフスキがファーサイドへ敵CBの意識を引っ張り、ミュラーはまず最初縦抜けを狙い、そこにボールが出ないと後ろからニアゾーンへ入り込みます。この動きの巧みさ、いやらしさがミュラーらしいところです。

途中でリベリーにボールが渡ったため、バスケスは途中で帰陣を止めリベリーへ対応。その代わりにコバチッチがニアゾーンのカバーにまわり、これ自身は悪くないのですが、コバチッチが完全にボールウォッチャーになってしまっているためミュラーへの対応が全く出来ていません。背後から来たため対応が難しいシーンともいえますが、それなら背後からのコーチングがあってしかるべきです。が、ボールが出てからしかコバチッチはミュラーの存在に気づいていないことからそれもなかったのでしょう。

結局オフサイドも取れず大きなピンチのシーンに。ニアゾーンのカバーをするという意味ではしっかりと行われていたシーンでしたが、カバーポジションに入っただけで守備的にはそれほど価値のあるものにはなっていません。

さて、1st legでも気になったのがDFラインと中盤ラインのギャップ。基本的にDFラインが低くないか?と思うシーンが多く、広大なバイタルエリアをよく使われていました。中でも見ておきたいのは41分13秒からのプレー。

レアル自陣深くからのFKをフンメルスが跳ね返し、中盤でヘディングの応酬があった後にアラバがボールを収めたシーンです。この段階では中盤とDFラインは比較的コンパクトに保たれています。ただし、ラモスは体が後ろを向いており、早い段階でラインを下げて置きたい構えです。ポジション的にはマルセロは中盤ラインですが、この後後ろ向きに動くという意味で同一ラインと捉えています。

アラバからリベリーへ渡ったところで、モドリッチ、バスケスがプレスに行きます。モドリッチは少し前に出ていたのでラインとは呼べませんが、中盤全体としてもラインを下げずにプレスで対処しようとしています。ですが、前述した通りバックラインはすでに先ほどより数mほど下がっています。

そのプレスを交わされると、案の定巨大なスペースがレアル陣中央に生まれています。トリッソがそのスペースへの抜け出しを狙っており、リベリからのパスが通ればかなりのチャンスというシーンになっています。またそのさらに外側ではミュラーがマルセロよりも内側を取っており、その次の段階まで見据えて動き出しています。ここでもいわゆるニアゾーンを利用されており、全体としてバックラインの横方向のコンパクトネスが足りていません。


ボールを受けたトリッソはミュラーへスルーパス。わずかに長くなりましたが、大きなチャンスを迎えるシーンでした。

と、レアルの守備の穴について色々といってきたわけですが、恐らくレアル自身としてはそのことをそれほど重視していないでしょう。なぜなら、何度も言いますが彼らは「最終的にはラモスかナバスがなんとかする」という方針でやっているからです。
さて、それでは実際にラモスがどうにかしたシーンを見てみましょう。16分57秒からのシーンです。

バックラインからのパスを受けたハメスに対しレアルはプレスをかけますが、ハメスの華麗なターンでプレスをかわします。バックラインは相変わらずディフェンシブサード前端程度の位置で、かなり大きなスペースがハメスの前にあります。セルヒオ・ラモスはバックライン左から2人目、画面左端にぎりぎり映っている選手です。

ハメスは右サイドのミュラーへのパスを選択。先ほどのシーンと同じように、マルセロとラモスの間のニアゾーンを利用されています。が、お分かりになるでしょうか。セルヒオ・ラモスただひとり、ラインを下げるのをこの瞬間に止めています。

セルヒオ・ラモスがこのスルーパスを見事にカット。素晴らしいの一言です。この危機察知能力と、その察知した危機に対して反応するための身体能力、どちらも超一流としかいいようがありません。


そのこぼれ球が再度ハメスにこぼれ、トリッソがそれを追い越して右サイドへ展開します。まだレアルの守備陣が崩れている間にクロスボールを放り込もうとしてきます。が?


このクロスボールをセルヒオ・ラモスが見事にカット。結局彼一人でボールを奪いきって見せたのです。

また、前述した2シーズン前の決勝アトレティコ戦がそうだったのですが、あの試合ではカウンターを得意とするアトレティコにあえてポゼッションさせて攻撃のリズムを奪うという戦略を採っており、それがよく機能していた覚えがあります。もちろん世界のトッププレーヤー達ですから、いざとなればブロック守備もできるのでしょうし、それを彼らに納得させる指揮官がいるという意味では、決勝でのレアルが組織的な守備を見せてこないとも限らないでしょう。

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