[リバプールCL対戦相手分析]ASローマ〜空中戦を乗り越えキエフに至れ〜

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トリコレッズ

トリコレッズ

現役大学院生 日本ではマリノスファンなので、Redsの虜(トリコロール=マリノス)という意味でトリコレッズという名前にしました 戦術・選手分析などをしていきたいと思います

こんにちは。トリコレッズです。
リバプールにとって10年ぶりのCLベスト4、対戦相手は大逆転でバルサを下したローマに決まりました。
グラッドさんの記事にもありましたが、楽なドローかといえば決してそんなことはありません。極めて組織的であり、また優れた飛び道具を持つ危険なチームです。

というわけで、バルセロナを大逆転の末下したRound of 8の2試合を徹底的に分析していきましょう。

CL Round of 8・1st leg バルセロナ4-1ローマ @カンプ・ノウ


まずはカンプ・ノウでのバルサ圧勝1stlegから。スタメンは上のようになっています。
バルサは今シーズン、バルベルデ政権になってから導入したフラットな4-4-2。
右SBにはネウソン・セメド、1列前にはセルジ・ロベルトを入れています。
多くの場合にはセルジ・ロベルトを右SBに、右SHには怪我から復帰したデンベレやパウリーニョが入っていましたが、この2試合ではセメドをチョイスしています。
ローテーションの意味もあるかもしれませんが、少なくともこの試合においては成功していたように思います。

ローマはこの試合4-3-3。チームとして鍵を握るのはCFのジェコ、さらに左SBに入ったコラロフの元シティコンビ。中盤のストロートマンやデ・ロッシなどの働き者も非常に重要です。

試合展開

ローマはバルセロナのDFラインへのハイプレスを仕掛け、ビルドアップを遮断、バルサにロングボールを蹴らせて回収する方法をとります。
そこからローマとしてはロングボールをジェコに当ててポストプレーさせたり、ジェコがバックラインのギャップを突いて走り込んだりというパターンを採用していましたが、ジェコがやや孤立気味。
バルサとしては、いわゆるバルサらしいトライアングル形成からワンツー、フリックなどを駆使してローマのプレスを剥がしてメッシ、スアレスの超強力2トップを狙う形。序盤は膠着状態が続きます。

迎えた38分、バルサのCKのこぼれ球をローマが展開しようとしたところをラキティッチがカット。イニエスタがボールを持つとその横パスに必死に足を伸ばしたデロッシに当たったボールが無情にもゴールへ。OGでバルセロナが先制します。

Embed from Getty Images

後半にも基本的には展開は変わらず。バルサはボールキープ時には左サイドのイニエスタ&アルバ、カウンターでは右サイドのセルジロベルト+2トップという形を中心に攻め込み、ローマとしてはバルサのサイドの裏を突こうとロングボールで攻撃してきます。

しかし後半、CKでバルサが追加点を挙げるとさらにカウンターから上がっていたピケが押し込み3点目。試合は大きくバルセロナへ傾きます。
ですがここで諦めないのがローマ。試合を通じて前からのプレスの強度、そしてカウンターのスピード感は失われず、点差は付いても試合を引き締め続けます。

その攻撃的な姿勢が実ったのが80分。左サイドからのグラウンダーのクロスをジェコが押し込み、貴重なアウェイゴールを手にします。

Embed from Getty Images

しかし終了間際にスアレスがもう1点を挙げ、バルセロナは4-1で1st legを快勝。突破に向け大きく前進しました。

ローマの攻撃①

この試合、ローマはプレスからボールを奪ってカウンターというシーンが多かったので、攻撃・守備と2つの局面に分けて解説するべきではないかもしれませんが、とりあえず定位置に近い攻撃のシーンを1つピックアップし、プレスからのカウンターは守備のコーナーで解説していきます。

シーンは47分54秒以降の場面。

バルサは前からプレスをかけ、アリソンを含めるとローマ4対バルサ3でパスコースを切りつつローマのビルドアップを押し込んでいきます。また、その後のパスコースにもしっかりマークが付いています。
ローマはこれに対して、ショートパスでのビルドアップにこだわらずロングボールをジェコに向けて放り込みます。


ボールはジェコへは届きませんが、こぼれ球をローマが拾います。バルサは前プレスをかけていたこともあり、中盤以降は明らかに手薄になっています。ローマがボールを拾ったシーンでは人数が5対5となっています。




そこからローマは左サイドへ展開。その間にローマ、バルサともに選手が少しずつ来ますが、数的には7対7の同数のままです。バルセロナのウィークポイントはここで、前プレスに関しては組織的に行うことが伝統的にできているのですが、そこを突破された後について組織的な取り決めがなく、明確な奪いどころのないまま進撃を許しています。最終的にはCBの個人能力頼みというシーンが多く、まぁ大抵それでどうにかなってしまうのですが。


ローマは左サイドからクロスを放り込むと、最終ラインでのマッチアップではバルサ2(or3)対ローマ4という完全に数的有利の状況まで作り上げており、クロスこそ合いませんでしたが完全に崩しきったシーンでした。

ローマの守備①

さて、それではローマの仕掛けた「バルサ崩し」について見ていきましょう。4分54秒からのシーンです。

バックパスでピケがボールを持ったシーン。この瞬間にペロッティがボールを持ったピケへ、ジェコがウムティティへ、ペレグリーニがラキティッチへそれぞれマークを開始します。

ただし、さすがにジェコはウムティティへは届かず、ウムティティはボールを持ちます(ジェコのプレスも、それほど熱心ではありません)。ここでのパスコースは2種類、
①左サイドへ展開
②ウムティティが少し持ち上がり、ストロートマンを引きつけたところでイニエスタが下がってきてパスコースを作って受ける
があります。ただし、①についてはフロレンツィが警戒していることが分かるため、ここでは②を選択します。

しかし、下がってきたイニエスタに対して(恐らく)デロッシがついてきており、結局ウムティティが下がってパスコースを作り直し、イニエスタがダイレクトで返すしかなくなっています。


ウムティティは下がってきたブスケツに返してビルドアップの仕直しを選択。すると、先ほどのシーンと同じように、ボールを受けるブスケツ、横パスのコースピケ、縦パスのコースラキティッチに対しすべてプレスを始めています。

ここでもピケに対してのプレスは間に合いませんが、ペロッティはサイドを目視確認し、サイドへの展開を牽制しながらプレスを続けます。

ここでもう1度ピケには2択。そのままサイドに展開するか、下りてきたメッシにパスするかです(一応縦パスでセルジロベルトもあり得ますね。ただしコラロフがぴったりとマークしているので、アンティチポの可能性があり危険なパスコースではあります:今後の解説のため、余裕があればこの時点でのセルジロベルトのポジショニングを覚えておいて下さい)。しかし、さっきと同様サイドへの展開は狙われているため、メッシへの縦パスを選択します。ですが、そこにはデロッシが。


メッシに縦パスが入った瞬間にデロッシがナイスタックルでボールを奪取。
ローマの守備をまとめると、
バルサがバックラインでボールを持った瞬間にパスコースに対してプレスを仕掛け、横パスを誘発するとそこからサイドを牽制しつつプレスすることで縦パスを呼び込んで潰す
というもの。この2試合ではこれを基本形として、そこから様々な攻防が見られました。

派生系として、先ほどとほとんど同じシーンであるにも関わらずバルサがビルドアップに成功したシーンも見ておきましょう。33分04秒からです。

上のシーンにおいて、ウムティティが持ち上がった状況と全く同じ並び方。その後の展開も実はほぼ全く同じです。

ウムティティがブスケツに下げて、

ブスケツとピケにプレスをかけ、

ピケにボールが入るとサイドを切りにかかります。しかし、大きな違いはここから。

先ほどのシーンと、セルジロベルトのポジションを見比べてみて下さい。先ほどのシーンではローマ左SBのコラロフの目の前あたり、絞った位置にいたセルジロベルトが、このシーンではサイド際に位置しています。これにより、コラロフのプレスから逃げることが出来ています。

サイドに開いたセルジロベルトへパスが入ったことでローマの守備陣が外に開きます。このことにより、バルサとしては最もボールを渡したいメッシの周りに、それほど大きくないながらもスペースが生まれています。


メッシ、セルジロベルトのパス交換でローマのプレスを回避、ビルドアップはこれで完了です。
このように、1st legはローマのプレスとそれをかわそうとするバルサの攻防を軸として展開しましたが、ローマの一瞬の隙とバルセロナの個人技を交えたコンビネーションプレイによる突破で、試合展開から考えるとやや予想外の大差が付いた試合になりました。

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