【リバプール対戦相手分析】セビージャ〜働き者の3センター対決〜

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トリコレッズ

トリコレッズ

日本ではマリノスファンなので、Redsの虜(トリコロール=マリノス)という意味でトリコレッズという名前にしました 戦術・選手分析などをしていきたいと思います

皆様こんにちは。トリコレッズです。

前回のプレビュー企画初回、セインツ戦プレビューはどうだったでしょうか?
もうちょっと軽いものになっているはずだったのですが、気がついたら文字数的にはモレノ編と似たような字数に…

さ、気を取り直して。
今回はCLグループステージ第5節の対戦相手、セビージャを分析していきます。
この試合に勝てばGS突破が決まる大切な試合!難敵ですがぜひ勝って欲しいですね。

と、いうわけで今回は、セビージャのCL第4節、スパルタク・モスクワ戦をレビューしていこうと思います。

スタメン・フォーメーション


両チームのスターティングメンバーは以上の通り。

まずセビージャですが、CL第1節のリバプール戦と比較すると大きな違いは両ウィングでしょうか。アンフィールドでのリバプール戦では右ヘススナバス左コレアでしたが、この試合では右にサラビア左にはマンCで一瞬レギュラーだったでお馴染みノリートが入っています。

また、リバプールファンを公言する、アッガーの後輩デンマーク人、シモン・ケアーはリバプール戦でも先発出場です。
ちなみに後述しますが、セビージャの3センターの並びは便宜的なもので、この通り並んでいることはほぼありません。バネガがアンカーで残り2人がインサイドハーフという役割でもありません。単に公式のフォーメーション図がこう書いてあったというだけのことなのであしからず。

スパルタク・モスクワとなると知らない名前もやや多くなりますが、多少知っているといえばこちらもバイエルンに一瞬所属していたでお馴染みザーダール・タスキや、ミランにいたことは知っていましたが実はチェルシーから4シーズン連続ローン中のマリオ・パシャリッチぐらいでしょうか。

試合全体の流れ

前半からセビージャがボールを握って攻撃を仕掛けます。開始直後にビッグチャンスを掴むと、そこからセビージャが調子を上げます。セビージャ伝統的なハイライン・ハイプレスが機能し、モスクワのビルドアップを遮断、そこからサイドへ展開して攻撃を仕掛けるパターンが多く見られました。
モスクワのブロックも、距離感など決して悪くはないのですが、それでもセビージャは質的優位で殴れる状況に。
ただし、たまに発動するモスクワのカウンターは脅威になっていました。

そんな中迎えた前半30分、左サイドからのセビージャのCK。キッカーはバネガ。モスクワはマンツーマンでよく対応していたのですが、ラングレが細かく動いてマークを外すと高さでねじ込み先制。

その後はカウンターでやや危ない場面を作られるシーンが増えますが、次のゴールもセビージャに生まれます。中盤でのプレスをかわされて危険なシーン!かと思いきや、縦パスを奪ってカウンターに入るとコンビネーションから左サイドを突破。逆サイドに振ると、攻め上がったバネガが相手を一歩かわして左足でシュート。
セインツ戦のサラーの1点目のような、ビューティフルゴールがゴール左に吸い込まれてセビージャがリードを広げます。

Embed from Getty Images

そこからはお互いにプレスを掛け合って奪い合う場面が増えますが、途中出場のモスクワの71番イヴェリン・ポポフ(この選手についてwikiで調べたら、2006年の日本代表の柳沢のユニフォームを着ている写真が出てきたんですが、どういうことなんでしょう…?)がセビージャのプレスをはがしまくり、グルシャコフにパス。グルシャコフのシュートは阻まれますが、こぼれ球を途中出場のゼ・ルイスが詰めて1点を返します。

ですが、反撃もここまで。2-1でセビージャが勝利しました。

試合スタッツ

WhoScored.comより引用

スタッツを見てみると、ポゼッションの差こそあれ、シュート数は同数、枠内シュートも5対3と、データからすれば互角の試合であることが裏付けられています。

セビージャの攻撃

セビージャのビルドアップの方式について書くわけですが、実を言うと現在発売中のある雑誌においてセビージャに対して書いてあることと同じです(まぁ、同じチームについてのことなので当然っちゃ当然なんですが)。それを読んでいる方は飛ばして下さっても構いません。


2CBがボールを持つと、基本的にエンゾンジが下りてきてボールを受けます。このときバネガがその隣辺りまで下がってきて、エンゾンジをサポートすることもあります。
そこから残りのインサイドの選手に展開して攻撃をするわけですが、次の一手のパターンとしては両ウィングと入れ替わりながらサイドで1対1を仕掛けるか、コンビネーションでサイドを崩すパターンが多かった気がします。印象ですが、右サイドは1対1、左サイドはコンビネーションが多かったかなぁと思います。


ビルドアップの初期段階(GK,CB,エンゾンジ辺り)でプレスをかけられた時には、CBあるいはSBからのロングボールが基本的なパターン。右CB→右WG、左CB→左WGの場合が多いですが、左からはCFへのロングボールというパターンもそれなりにあった気がします。

セビージャの守備

高い位置ではハイライン・ハイプレスとマンツーマンマークの併用です。相手のビルドアップ時に、中盤の底でハブになるタイプの選手(リバプールで言えばヘンダーソン)にボールが入ったタイミングで3センターの誰かがプレスにかかり、他の選手が前へのパスコースを塞ぎながらバランスを取る形です。バックラインも連動して周囲の選手をマンツーマンで掴みます。

そこをくぐりぬけられた場合がやや厳しく、マーク対象がいない選手がとりあえずボールを遅らせておいて3センターが頑張って帰ってくるという方法をとっていました。
ただし、3センターには仕事が多すぎて帰ってこられない場合も少なくありません。これについては後述します。

また、人を掴む意識が強すぎるのか、意外とあっさり裏のスペースが空いていたり、背後にいる選手を見落としたりする場合もありました。

リトリートしてからの時間のある守備においては、ディフェンシブサードあたりから密着気味のマンマークを敢行。縦パスを相手CFに入れられた場合には、CBがすかさず飛び出してアンティチポ(英語でいうanticipation=予知、相手の縦パスに対して背後からDFが飛び出すor足を出してボールを奪うプレーのこと)を狙っていました。参考までに、前回のCLでのリバプールとの対戦ではサラーに対しエスクデロが密着のマークを行っていました。

(ちなみにマネに対してはメルカドはマンマークしていませんでした。これは、メルカドはそこまで足が速くないのでマンマークではついていけないこと、逆に1対1の駆け引きには長けているのでドリブル勝負に持ち込まれても大丈夫ということがあったのでしょう。)

セビージャ総括

前半はモスクワのプレスがそれほどきつくなかったこともあり、セビージャが一方的に近い形で攻撃を進めていました。ですが、後半に入るとモスクワのプレッシャーが高まり、流れをモスクワに奪われるような場面も増えていきます。逆にセビージャもハイプレスでボールを奪い、ショートカウンター合戦のようなやや落ち着かない試合展開に。後半だけ見れば互角といえる試合でした。
結果としては勝ったものの、この試合のセビージャから、彼らのどんな特徴が見て取れるのでしょうか?

セビージャの一番のポイントは「3センターの働き具合」です。

フォーメーション図のところでも言及しましたが、3センターはフォーメーション図通り並んでいるわけではほとんどなく、ビルドアップ時、攻撃時、守備時などで随分と形が変わっています。
ただ常に言えることは、「働き過ぎ」だということ。

ビルドアップ時にはCBの一列前まで下がってパスコースを供給し、パス交換しながらボールを前に進めます。そこから各所へパスを散らしながら自らは駆け上がり、ウィンガーやサイドバックと連携しながらフィニッシュの局面まで絡むことを求められています。

ボールを奪われたら奪われたで、相手が繋いでくるようならタイミングを定めて前からのプレスやマンマーク、それを外されるorロングボールで攻められたときには全力で戻ってディフェンスラインのサポートをしなければなりません。

実際これはあまりに仕事が多く、プレスを外された後を追いかけるような元気は残っていない場合が多かったため、センターのプレスを外した後には結構バイタルで自由に出来る状態が多かったです。特にバネガはエンゾンジよりもフィニッシュの局面に絡むことを求められていたので(この試合でも1ゴール挙げています)、体力的にはきつそうです。

また、ビルドアップ時のエンゾンジのパス能力もやや問題に。これについては試合のポイントの点で詳しく解説します。ここにハイプレスをかけられてビルドアップが上手くいかないという状況が見られました。

勝負のポイント・キープレーヤー

前回のセインツ戦のプレビューでは、各チームのキープレーヤーの紹介を行っていたわけですが、そこから少し変更します。
一人の選手に的を絞りすぎると、前回の試合でゴメスをキープレーヤーとしてピックアップしておきながら試合に出場しなかったとかいう悲劇が起きかねないので(ややトラウマです笑)、今回は試合の趨勢を決めるような戦術的キーポイントと合わせてキープレーヤーを紹介します(これなら、プレーヤーの方が入れ替わっても戦術的に見るべきポイントは変わらないと思いました)。

1.どちらのチームが上手くビルドアップできるのか

これが問題になるのは当たり前っちゃ当たり前なんですが、モスクワ戦や前回対戦を踏まえるとここが大きなポイントになる気がします。

セビージャにおいてはまずパス出し役として仕事をするのがエンゾンジになるわけですが、プレスを自ら回避する能力はそれほど高くなく、もともとショートパスの精度もそれほど高くなく、ロングパスを蹴ることも稀なので、エンゾンジに対してしっかりとしたプレスがかけられると相手のビルドアップは比較的簡単に遮断できるのではないかと思います。事実前回対戦でも、リバプールが押し込んでいる時間帯にはボビーあるいはインサイドハーフがエンゾンジにプレスをかけることによってボールを奪うことに成功し、相手を敵陣に押し込むことに成功していました。

また、相手がプレスを回避してロングボールを蹴ってきたときには、正面からのロングボールに対する競り合いにおいては滅法強いデヤン・ロヴレンがいるため、そこまで大きく心配することはないでしょう。

一方のリバプールも同様に、ヘンドに対して厳しめのプレスをかけられる時間帯はやや苦しくなる傾向にあります。
ヘンドはフリーでのパス精度は高いのですが、プレスをかけられたときにやや雑になる傾向があり、ショート・ロングパスともに味方に繋がらないシーンも見られます。
そこを上手くサポートすることが出来るかが問題になるでしょう。

キープレーヤー:ロベルト・フィルミーノ

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ボールをキープするテクニックや味方との連携に強みを持つボビーですが、献身的な守備も彼の大きな特長です。
1試合通して追い続けることは、攻撃に体力を残しておくという観点からもやめた方が良いですが、エンゾンジに対してプレッシャーをかけることが相手のビルドアップ遮断に繋がるでしょう。
ちなみに言うと、ボビーを休ませる時間帯においては、エンゾンジは無視して受け手に狙いを定めた方が良いでしょう。エンゾンジから絶妙なパス!というのは想像しにくいので、受け手をカバーしておけば大したことにはならないはずです。

2.サラーにマンツーマンマークが付くのかどうか

前述の通り、前回CLで対戦した時にはサラーに対しエスクデロがマンマークを敢行。
もともとゾーンの考え方がないため、相手の陣形に合わせてバック4そのものがペナ幅よりかなり縮まるような場合もあり、そのときには流石にCBとのポジションの兼ね合いは考えていたようですが、少なくともディフェンシブサード以降では外に開こうがフリーランでカットインしてこようが、見ているのではなく体ごとついて行っていました。

もちろんのことその担当部分にはスペースが空きます。一般的にはセンターハーフあるいはウィンガーがカバーするべきところなのでしょうが、前述の通りセンターハーフの彼らは役職過多で間に合わない場合もありますし、見ている限りあまり決めごと化されているようにも見えません。どちらかといえばウィンガーの方がサイドのケアをしていた感じがあります。

そのため、サラーがエスクデロを連れ出し、そこで出来る外or中のスペースを上手く活用することが出来ればセビージャの守備をかなり乱すことが出来るでしょう。
もちろん、サラーに対してマンツーマンを仕掛けてこなければ、サラーがボールをフリーで受けることが出来ます。現在のリバプールにとってはそれが一番の武器になるでしょう。

キープレーヤー:ジョー・ゴメス

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今度こそ!(笑)ジョー・ゴメスです。
週末のセインツ戦ではTAAが先発だったので、恐らくゴメスが右サイドバックで先発することでしょう。もう一回外したらキープレーヤーの選定そのものをやめようかな…(苦笑)。
サラーがエスクデロを中に引っ張り込んだときに幅を使いながら攻め上がり、フリーでボールを受けることが出来れば、大きなチャンスを作ることが出来るでしょう。

他にも、週末は温存されておりこの試合でようやく帰ってくることが予想されるララーナには注目したいところです。


ちなみに、先週末に行われたラ・リーガ第12節、セビージャ対セルタ戦のスタメンは以下の通りです。


リコ、ケアー(75分途中出場)、バネガ(65分途中出場)、イェデル、ナバスはベンチスタートなので、彼らがリバプール戦に出場する確率は高いのではないでしょうか。

強敵であることに代わりはありませんが、この試合に勝てばGS突破を決めることが出来ます。
最終節を楽な気持ちや選手起用で迎えるためにも、この試合はとにかく絶対に落とせないですね。

それでは今回はこのへんで。チャオ(倉敷アナウンサー風)!

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