【リバプール対戦相手分析】アトレティコ・マドリー〜イメージチェンジは成功?失敗?〜

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トリコレッズ

トリコレッズ

日本ではマリノスファンなので、Redsの虜(トリコロール=マリノス)という意味でトリコレッズという名前にしました 戦術・選手分析などをしていきたいと思います

お久しぶりです。トリコレッズです。ユナイテッド戦レビューするとかいってから消え去ってしまいました。すみません……。

プレミアリーグ史上初のウィンターブレイク(正直時期も長さも微妙)を終え、リーグ戦ももう再開しました。さらにチャンピオンズリーグRound of 16も再開し、またもや過密日程がはじまりましたね。

ではでは、チャンピオンズリーグRound of 16の対戦相手、アトレティコ・マドリーを分析していきましょう。ラ・リーガ・サンタンデールの前節、バレンシアCFvsアトレティコ・マドリーの1戦を見ていきます。

バレンシアCF2-2アトレティコ・マドリー@エスタディオ・デ・メスタージャ

スターティングメンバーは以下の通り。

バレンシアはここ2シーズンほど躍進を見せています。個人的には2000年代初頭、カニサレスやアイマールがいた時代のバレンシアの印象が強く、強いバレンシアが戻ってきた!という感じです(あの頃はBS1で「リーガ・エスパニョーラ」がやってましたね〜)。

メンバーもなかなか優れた選手揃いですが、プレミアファンとして気になるのはガブリエウ・パウリスタとエリアカン・マンガラの「お前らプレミアでもう少しできなかったんかい」CBコンビ。どっちも良い選手なんですけどね。

バレンシアCF公式Twitterより引用

あと、今シーズン最初にはピーター・リムオーナーとの確執が噂されたマルセリーノ監督が解任され、セラーデス監督が就任するなどの事件もありましたね。僕の以前の記事でも言いましたが、若き日のリアム・ギャラガーに似てます。

バレンシアCF公式Twitterより引用

一方のアトレティコ・マドリーは、闘将チョロ・シメオネが就任してもう9シーズン目を迎えています。ただ、CL決勝に進出した13/14シーズンのチームや戦術とは、ずいぶんと雰囲気が変わっています。

スタメンを見て気になる最近のアトレティコの特徴は、中盤4枚がすべてボランチタイプの選手だということ。守備のタスクが多いアトレティコの中盤は、ウインガータイプの選手が何人もフィットできなかったという歴史もあります。そのためかどうかはわかりませんが、シメオネは「ウィンガーに守備が出来ないなら、中盤全員ボランチにしちゃえばいいじゃない!」というアントワネット様的な発想に行き着いたようです。

この試合目立っていたプレーヤーを先に触れると、14番のマルコス・ジョレンテ。レアル・マドリーの下部組織出身ながら、昨夏に“禁断の移籍”でアトレティコへ移籍してきました。この試合でも1ゴールを挙げています。

アトレティコ・マドリー公式Twitterより引用

では、この試合を見直しながら、アトレティコの攻守の狙いを見ていきましょう。

アトレティコの攻撃〜左で作って右の槍〜

さて、まずはアトレティコの攻撃です。もともと、細かいパスをつないで攻撃するタイプのチームではなく、この試合でもあっさりと長いボールを前線に蹴り込んで攻撃をスタートする場面が非常に多かったです。

特に標的となっていたのが、8番のサウール・ニゲス。最前線のビトーロ(185cm)も高さがありますが、主なターゲットは左サイドのサウール(184cm)。屈強なCBではなく、サイドバックとのミスマッチを狙ったのでしょう。

左サイドにいるサウールを活用してボールを前に運び、最終的に右サイドから攻撃を仕掛けるというのがパターンです。

GKオブラクなどから、サウールに向けてシンプルにロングボールが入ります。このとき、周囲のコケやトーマス、ロディなどは周囲に密集を作り、こぼれ球を拾いやすくしています。

攻撃時に目立っていたのが、ジョレンテが中に絞り、大外を右SBアリアスが駆け上がってくるパターン。アリアスは試合後半左SBに入った時間帯もありましたが、そのときも縦への推進力を活かしてサイド奥深くへ突進する姿がみられました。

ここからはコレアが裏を狙うなどしてシュートを狙っていました。ただ、攻撃のパターンが多彩だとか、非常によく練られていたとかいうようには思いません。最前線では選手個々の技術とアドリブ的なコンビネーションに任せられていた点も少なくないように思います。

まぁ、どちらかといえばアトレティコは守備からのカウンターのチームであり、細かいところは昔と今で違うものの、その大まかなイメージは今でも同じです。では、どんな守備をしていたのか見てみましょう。

アトレティコの守備〜前から奪いきれないと意外に脆さあり?〜

一昔前のアトレティコの守備といえば、4-4-2の極めてコンパクトなブロックを作り、時には6バックに近い形になりながら、両CBとGKで水際対策、という感じでした。

しかし、特に今シーズンのアトレティコは違います。かなり前からしっかりとしたプレスをかける一方、最終ラインでのブロック守備にはやや難ありかな?という点も見られました。

簡単にアトレティコの印象を述べると、攻撃的というよりは前がかりなチームです。まずは、前半成功していた前線からのプレッシングを見ていきましょう。

まず、バレンシアの狙いはアトレティコの2トップの外側からビルドアップすることです。

これに対し、まずバレンシアのCBの一角にボールが入ると、アトレティコ2トップのうち片方が、サイドに追い込みながらのプレスを仕掛けます。

バレンシアのSBにボールが入ると、アトレティコのSHが激しくプレスします。また、周囲の選手はパスコースを消すため、マンマークを行います。特に大事なのが2トップのもう片方がコンドグビアを消すことで、コレア、ビトーロのコンビはこの仕事をしっかりこなしていたように感じます。

これだけプレスがかかってしまうと、バレンシアの攻撃は“窒息”させられたようなもので、ここから苦し紛れのロングボールを蹴らされ、アトレティコに回収されるような場面が目立ちました。この形で、前半10〜40分程度まではバレンシアの前進を止めていました。

ただ、前半40分以降はバレンシアの対応策が見られます。その対応策とは、「パレホがビルドアップを助ける」というもの。

(なんか、書いてて「上手くいってなかったら人増やして助けるのは基本だろ」と思えてきましたが、まぁそんなもんです。こういう記事を書くとき試合の流れや展開、戦術について色々考えますが、以前読んだ記事に「戦術分析の8割は分析家の考えすぎ」的なことが書いてあってものすごく納得しました)

ここでは、2トップの脇をパレホが使っています。すると、バレンシアの右サイドでは、瞬間的に3(パレホ、ヴァス、フェラントーレス)対2(コケ、ロディ)になっているため、コケは迂闊にプレスに行けません。これで、バレンシアはコケのプレスを受けずにサイドを前進することができます。

そうやって前進された後、アトレティコに弱点が見えます。それは、いわゆる「チャンネル」の守備です。

まず、「チャンネル」とは、簡単に言えばCBとSBの間のスペースのことです。ここを相手攻撃陣に使われると、SBが対応するのかCBが対応するのか曖昧になる上に、シュートもスルーパスもクロスも全てが可能な位置なので、守備陣としては使われたくない場所です。

さて、このあとアトレティコはどんな感じでチャンネルを使われてしまうのでしょうか?注目の結果はすぐ後!チャンネルは、そのまま!!

〜CM明け〜

パレホからヴァスへボールが通り、フェラン・トーレスは中に入ります。このとき、フェラン・トーレスがコケを引っ張ったこともあり、ヴァスへはロディが対応します。

一方で、アトレティコのCBは中央を塞ぐのが第1タスク。グエデスの存在も気になったようで、フェリペは中寄りにポジショニングを移します。

SBが外に対応し、CBは中に絞る。すると?

開いた!!かなりやばそうなとこ!!!

チャンネルが見事に開いたうえ、SBの裏というおまけ付き。

フェラン・トーレスがボールを受けたタイミングで、グエデスが走り込みます。ボールを受けたグエデスはエリア内からのクロス。クロスそのものはフェリペかトーマスにカットされましたが、そこで得たCKから同点ゴールを決めました。

まぁ、それは結果論なんですが、とにかくこの崩しはアトレティコの弱点をあぶり出したように思います。多分、チャンネルを埋めるのはCHの役割なんですが、CHのうちでも守備的なトーマス・パーティも、どちらかといえば前に出て守備することを得意とするタイプの選手。この「チャンネル埋め」が曖昧になってしまうシーンが多く見られました。

チャンネルを使われると危険なことはよく知られているので、シメオネ就任直後のアトレティコでは、とにかくこのスペースを空けない!ということが徹底されていました。具体的には、相手の攻撃でサイドを使われてもSBは出て行かない、という対応をしていました。サイドを対応するのは主にサイドハーフの仕事で、そのため6バックになる場合もあったんですね。

攻守のポイント・キープレーヤー

1.ロングボールへの対応を正しく行えるか

前述したとおり、アトレティコはあっさりと中盤を飛ばして前進してくることを厭わないチームです。その際にターゲットになるのがサウール。彼を左サイドに置いた場合、マッチアップするのは空中戦には難のあるTAAになる可能性が高いです。なので、空中戦で競り勝つというよりは、こぼれたボールをしっかり回収することを目標とするべきでしょう。

キープレーヤー:ジョーダン・ヘンダーソン

リバプールFC公式Twitterより引用

リバプールでこぼれ球回収と言えばヘンド。最近は攻守に渡ってパフォーマンスが冴え渡りまくっており、ほぼ毎試合でゴールに絡みつつ、持ち前の危機察知能力を発揮して特にTAAの裏のスペースを埋めています。

ファビーニョが先発復帰するかにもよりますが、ヘンドは右IHorアンカーでのスタメンが濃厚でしょう。こぼれ球を中盤でしっかりと回収し、精度の高いロングボールを相手SBの裏へ蹴り込む──という、流れが見えてきました。

2.サイドバックをつり出せるか

アトレティコの守備の弱点として触れたチャンネル。チャンネルをしっかり使うには、まずはSBを外に引っ張り出すことが必要です。サイドの高い位置までボールをしっかりと運べるかが重要になるでしょう。

キープレーヤー:サディオ・マネ

リバプールFC公式Twitterより引用

ノリッジ戦では怪我明けとは思えないハイパフォーマンスで決勝ゴールを決めたマネ。左SBのロボとはまさに結婚闘魂行進曲「マブダチ」なコンビネーションを見せており、マネが幅を取ればロボがインサイドを爆走し、ロボが幅を取ればマネが中で受け、ワンツーなどのコンビプレーも炸裂しています。

そういう意味で言うとここはキープレーヤーマネというよりは、マネとロボの左サイドコンビともいえますね。


ディフェンディングチャンピオンとして、苦しみながらもグループステージを突破しましたが、本番はもちろんここから。この後は世界のトップオブトップとの試合が続いていくはずです。

日程も過密になる中ではありますが、史上最強ともいえる我らがリバプールであれば、多くのタイトルを取る力があるはずです。今シーズンも世界中に強いリバプールを見せつけて欲しいですね。

リバプールFC公式Twitterより引用

それではまた。YNWA!!

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