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移籍やら怪我やらいろいろとありながらも、19/20シーズンを早速2連勝でスタートした我らがレッズ。
そんな中迎える第3節は、初めてのビッグ6対決となるアーセナル戦です。ではでは、早速アーセナルをプレビューしていきましょう。第2節、アーセナル対バーンリーの試合を見直していきます。
アーセナル2-1バーンリー @エミレーツ・スタジアム
スタメンは上記の通り。
アーセナルのスタメンで気になるのは、今シーズン新加入のダビド・ルイスとダニ・セバージョス。ダビド・ルイスはチェルシーからの電撃移籍後初先発のこの試合で、ゲンドゥージとともにアブドゥルラフマン兄弟を結成。実況の下田さんを参らせることに成功しました。
ちなみにこれがオマル・アブドゥルラフマン。
Embed from Getty Imagesで、セバージョスはレアル・マドリーでは出場機会に恵まれなかった選手ですが、スパニッシュらしいテクニカルさに、勤勉なハードワークを足し合わせた素晴らしい選手です。アーロン・ラムジーの8番を継承したあたりからも、チームからの期待を感じますね。まさしくタイプ的にはラムジー感もあります。その他には、ウィロックやネルソンなどの若手勢でしょうか。今シーズンはプレミアのビッグチームもイングランド人の若手をそれなりに多く起用している感じがしますね。いい傾向だと思います。
そして右SBはメイトランド=ナイルズ。
一方のバーンリー、昨シーズンは7位を獲得しました。“赤毛のモウリーニョ”の異名を取るショーン・ダイシ監督率いるオールドスタイルなチームですが、十分に組織化されれば今でも通用する強さを持っているスタイルであることがわかりますね。
Embed from Getty Images赤毛……?
GK、両CB、2トップは中堅チームではトップクラスの質でしょう。GKがポープ、ジョー・ハートってちょっと恐ろしい。今のリバプールより厚いじゃないですか。こちとら加入数週間のエイドリアーーーン!と、あとはド若手だぞ。カムバック-珈琲屋-
試合展開
ガナーズのビルドアップをじっくり見よう
まぁ大方の想像通りに、アーセナルが握り、バーンリーは奪ったら放り込む形で試合が進んでいきます。アーセナルは中盤のウィロック、ゲンドゥージ、セバージョスが動き回ってパスコースを創出しながらボールを進め、ネルソンは縦に突破、ラカゼット、オバメヤンがシュートの局面に顔を出します。
昨シーズンからエメリ体勢になったアーセナルは、結果の出にくい時期もありましたが、第2節の姿を見る限りモダンで組織化された優れたチームになっているように感じます。プレー原則はいわゆるポジショナル・プレーで、それ自身にはもはや真新しさはないのですが、例えばシティや我らがリバプールとは活かしたいポイントが違うので、それらのチームとはやはり異なる構造となっています。では、ビルドアップの局面を見てみましょう。
0. 基本フォーメーションのかみ合わせはこんな感じ
スタートポジションは4213なので、バーンリーの442の中盤以前と並べてみましょう。
フォーメーションががっつり噛み合ったときには、バーンリーの2トップは背後でアーセナルのCHへのパスコースを切りつつ(いわゆるカバーシャドウ)、CBへプレスし、ボールをサイドへ誘導します。CBからサイドバックへボールが出ると、そのタイミングでサイドハーフがプレスし、バーンリーのCHも連動しながらボールを奪いにいくという狙いでした。
1. アーセナルの対応:サイドにひし形の典型的ビルドアップ
それに対するアーセナルの対応は複数ありましたが、第1パターンがこちら。CHのうち1枚(ウィロックが多かったように感じます)がCBと並ぶ位置に下りながら、SBを押し上げます。CHのもう一人がボールサイドへ寄り、サイドに美しいひし形を作り出します。ここで気になる動きを見せていたのが新加入のダニ・セバージョス。高いテクニックと戦術眼を兼ね備えている彼は、上手い感じにウロウロして、CHのポジションまで落ちてビルドアップを助けたり、ひし形の頂点へ移動してボールを受けたりと、タイミング良くボールサイドに顔を出していました。ボールを受ければ高いキープ力とターン力でボールを保持しながら前を向き、攻撃の起点となっていました。
2. セバージョスが下りてきてその他もろもろ
第2パターンはこちら。というかこっちがメインルートです。トップ下のセバージョスが下りてきて、1+2+3またはさらにCHが1列下りて1+3+2でビルドアップ。この3センター全員が持てるわ運べるわで、なかなか厄介でした。
第2パターンの具体的な崩し方で気になったのが、8分20秒ぐらいからのプレー。このときの狙いは「オバメヤンvsベン・ミーのわかりきったスピード対決」に持ち込むことです。
さて。まず第1段階、前述の通りさっきと大きく違い「セバージョスが下りて」きます。セバージョスが下りてきて3センターになると、テクニックがあるセバージョスを気にして相手CHが引きつけられます。次の第2段階で注目するのは、「ウィロックの立ち位置」。オバメヤンのスタートポジションが右ウィングだったことも関係するのでしょうが、重要なのは相手の左サイドの守備を薄くすること。そのため、ウィロックは少し右サイド気味に開いて、相手左SHのマクニールまで引きつけます。
ここでもう一つ重要なのが、ナイルズが高く上がって相手左SBのピーテルスの気を引いていること。それによってオバメヤン対ミーの1対1が成立した瞬間に、ダビド・ルイスからのロングパスで一気にオバメヤンが裏を狙います。ここではダビド・ルイスのボールが少し流れましたが、オーガナイズされた見事な攻撃でした。他のパターンとしては、ラカゼットがハーフスペースに下りてきて縦パスを受けたり、左大外からのボールでラカゼットが裏を狙ったりと、最終的な崩しは選手個々のプレーにゆだねられていた感じです。ただ、その最終局面にはやや問題を抱えていた感じもあります。
で、セットプレーから無理やりにラカゼットがねじ込んで先制したのはいいとして、試合の基本的な進行はその後も変化しません。奪ったら中に蹴り込むバーンリーに対して、アーセナルは3センターと強靱な2CBで対応。
バーンリーもちょこちょこ良い感じの「アーセナルビルドアップ崩し」を見せていたので、ちょっと見てみましょう。29分50秒あたりのシーン。端的に言えばこのプレーは「CHを消してあとは1対1でガッツリ潰そう」ということです。ここから急に画像が大きくなりますが決して気にしない。すいません。
ダビドルイスがボールを持った段階で、セットされたバーンリーの2トップがガナーズCHへのパスコースを切ります。このシーン、映像で見てみると、バーンズがウィロックのポジションを細かくチェックしていることがわかります。その上で、後ろにいるコークがウィロックを監視し、まずは中切りをしっかりと行います。
ダビドルイスは横パスを選択。そのタイミングで、バーンズはダビドルイスへのリターンを切りながらソクラティスへプレスし、ガナーズ右サイドへ追い出します。そこから連続的にプレスし、ナイルズへマクニール、パスコースの確保のためにハーフスペースへ下りてきたラカゼットへコークが、それぞれ1対1でアタックします。
結局、サイドで3つの1対1を作って、コークが後ろ向きのラカゼットからボールを奪いきりました。このぐらい、サイドへ追い出しながら局所的に1対1を作って奪いきれれば大きなチャンスになり得ます。
ただし、バーンリーが同点ゴールを奪ったのは、アーセナルが攻め上がった後のカウンターから。超高速カウンターがあるリバプールとの試合でどこまで人数を掛けて攻撃してくるかは不明ですが、エメリだったら自分の哲学に殉じてくる感じもしますね。ナイトランド・メイルズの裏のスペースがやっぱり狙い所でしょうか。
その直後にはガナーズが見事な崩しで左サイドを突破し最後はネルソンがネットを揺らすも、惜しくもオフサイド判定でノーゴール。これはVARではなく普通に副審が旗上げてました。
Embed from Getty Images(画像に他意はありません)
オバメヤンやらセバージョスやらが代わる代わるハーフスペースへ顔を出しつつ、周りの人間と流動的にポジションチェンジしながらゴールへ迫る、理想的な崩しでした。
結局そのまま前半終了。アーセナルとしては崩しの最終局面でなかなかシュートに持ち込めなかった印象があるでしょうか。バーンリーは先制を許したところではどうなるかと思いましたが、“赤毛のモウリーニョ”ことショーン・ダイシ監督のプランに沿って、自らの強みを発揮し続けた結果としての前半1-1は十分すぎる結果でしょう。
Embed from Getty Images赤毛……
やっぱり前半にはご不満だったか、個人的にはよーく見るとベネディクト・カンバーバッジに似て無くもないと思うウナイ・エメリ監督は後半開始から今夏の補強の目玉、ニコラ・ぺぺを投入します。
Embed from Getty Imagesただし、後半は前半とほぼ同じ流れで話が進んでいき、特に真新しいプレーもないように感じたので、さっくりと飛ばしていきます。あ、そういえばガナーズが勝ち越しました。
それはともかく、一つ気になるのは72分付近のプレーや74分30秒ぐらいのプレーで、ダビド・ルイスからの浮き球パスが見られたことです。
本当にざっくり説明するとこういうことです。バーンリーの中盤以前の6人は、基本的に前からボールを狩ろうとしてきます。それは、ガナーズの基本が足下でのビルドアップにあるからでしょう。そこで威力を発揮するのがダビドルイスの精度の高い浮き球パスと、スルスルッと下りてくるラカゼット。スピードのあるオバメヤンやぺぺが裏を狙うことで、相手バックラインを押しとどめる、いわゆるピン留めの動きをしていることも重要です。また、セバージョスもラカゼットからの落としを受けに動いていて、チームとしてこのプレーも狙っていることが感じられます。
ダビドルイスが加入したことの大きな価値はこれでしょう。十分なビルドアップ能力を持ったCBが入ることで、地上戦を基本としていても、一発でその裏を狙うプレーが期待でき、そのことがさらに地上戦を楽にしてくれるという好循環が生まれます。つーかダビドルイス800万£って安くない……?マグワイアなんか一桁上だぞ……
そんなこんなで2-1でガナーズが勝利したこの試合、MOMは間違いなくダニ・セバージョスでしょう。
Embed from Getty Imagesレアル・マドリーから期限付きで移籍した彼ですが、高いボールテクニックと戦術眼を披露。まさに司令塔として試合を支配しました。個人的には、勝ち越しゴールの際にどでかいガッツポーズで喜びをあらわにしていた点もポイント高いです。
試合のポイント・キープレーヤー
1. 3センター同士の対決に勝てるか
アーセナルの3センターはテクニックと戦術眼に優れていることがこの試合からもビシビシ伝わってきましたが、リバプールの3センターはどちらかといえばハードワークとプレッシング能力に優れた選手達。この3センター同士の対決で上に立てるかが、試合を決める分水嶺でしょう。
キープレーヤー:ジョーダン・ヘンダーソン
Embed from Getty Imagesクロップの信頼ぶりを見るに、恐らくこの試合も3センターはジニ-ヘンド-ファビーニョになるのでしょう。中でも、ヘンドはアンカーで磨き上げた危機察知能力をIHのポジションでも活かしており、鋭い出足からボールを奪って前線3人に散らす働きを見せ続けています。彼が、ジニやファビーニョと連動しながら相手の3センターを封じ、カウンターに繋げることができるかが重要なポイントになるでしょう。
しかし写真のヘンドとジニ、ちょっと怪しいレベルの親密さ……
2. 相手SBの裏のスペースを上手く使えるか
攻撃時にはSBまでしっかり上がって、5レーンを埋めようとするガナーズ。そのぶん、奪われた直後には自陣に広大なスペースを残すことになります。明らかにカウンターに強い3トップを擁するリバプールにどう対応してくるかという問題もありますが、やっぱりエメリは哲学に殉じてくる気がするんですよねぇ。
キープレーヤー:サディオ・マネ
Embed from Getty Imagesセインツ戦でも、試合展開をガン無視した強烈なシュートを叩き込んだマネ。特に、彼のリバプールデビュー戦の相手でもあったガナーズ相手には強烈な結果を残しています。
なんか引用元を間違えた気もしますが、基本的にガナーズはリバプールにとって相性の良い相手です。3トップが火を噴く気がしてなりませんね。
さて、ヨーロッパチャンピオンとして迎えた19/20シーズンの第3節、相性が良いとはいえ向こうも2連勝と調子が良いガナーズです。油断は禁物、首位決戦はガッチリ勝って早めに他チームにプレッシャーを掛けまくっていきたいものですね。
最後に、卑劣な強盗に苦しむエジルとコラシナツにエールを送りつつ、
YNWA!!
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