【CL決勝超直前分析!】スパーズ〜伝説の鳥はマドリードに降り立つ〜

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トリコレッズ

トリコレッズ

日本ではマリノスファンなので、Redsの虜(トリコロール=マリノス)という意味でトリコレッズという名前にしました 戦術・選手分析などをしていきたいと思います

また、ここに帰ってきました。
チャンピオンズリーグ決勝の舞台に、リバプールは1年ぶりに帰ってきました。

昨シーズン涙をのんだ、あの悔しさを取り返すために、マドリードまではるばる乗り込んできました。

画像出典:LFC公式Twitter

……まぁ、対戦相手はマドリードじゃないんですが(そもそもレアルのスタジアムでもないし)。
対戦相手はトッテナム・ホットスパー。いやウェンブリーでやりなさいよこの試合。

今シーズンのリーグ戦ではダブルを決めた相手ですが、一発勝負の決勝にはあまり関係ないと思った方が良いでしょう。
というわけで、スパーズ対アヤックス、こちらも劇的となったCL準決勝を振り返っていきましょう。
ちょっと時間がないので簡単なものになってしまいますが、ご了承をば。

1stレグ スパーズ0-1アヤックス@トッテナム・ホットスパースタジアム

スタメンはこちら。

スパーズはケイン、ソンフンミンの両方を欠く試合。フォーメーションは3-4-2-1(エリクソンワニャマアリの3センターという解釈もありますかね)、ジョレンテを先端にルーカスとアリが2シャドウに入る形。怪我人続出、出場停止もありということで苦しい台所事情ですが、個人的に注目なのはエリクセンワニャマのダブルボランチでしょう。大丈夫なのかこれ。

一方のヤング・アヤックス。
ディフェンディングチャンピオンのレアル・マドリード、CL番長クリスティアーノ・ロナウド擁するユヴェントスを次々と破って準決勝へ進出してきました。その特長はなんといっても魅力的な攻撃。4-3-3ですが、いわゆるオランダの4-3-3ではありません。
なかなか美しいポジショナルサッカーを見せてくれました。どちらかといえば、この2試合でアヤックスの方をよく見てしまいました。
しかし、フレンキー・デ・ヨングは既にバルセロナへの移籍を決めており、
デ・リフト、ファン・デ・ベーク、ダヴィド・ネレスらに移籍の噂があるとのこと。
この美しいチームは今シーズンだけの儚い夢になってしまうのでしょうか。

そんなこんなで始まったこの試合を解説しながら、スパーズを分析していきましょう。

序盤 〜ハマらない3421、ダブルボランチの関係性に隙あり?〜

序盤戦を支配したのはアヤックスでした。
狭いスペースでのパス回しを恐れず、多くの選手がポジションを何度も取り直してパスコースをしっかりと作りだしながらコンビネーションでブロックを突破していきます。
特に、スパーズはダブルボランチの付近に隙あり。エリクセンとワニャマのポジショニングが悪く、トライ&カバーの関係もままならないため、ハーフスペースを使われる状況を打破できません。

少し見てみましょう。11分24秒付近のシーン。

⓪前提:ワニャマとエリクセンの立ち位置。縦関係っぽい?

①エリクセンが飛び出し、縦パスを受けようとするも、相手右サイド(タグリアフィコ?)にカットされる

②アヤックスはネレスがハーフスペースに落ちてボールを引き出す。スパーズはワニャマが反応→バイタルに大きなスペース

③ネレス、タディッチ、上がってきたタグリアフィコのトライアングルでサイドを突破、防壁はバックラインのみに

という形。リターンレグ後半の3142の際もそうなのですが、バイタルに大きなスペースがあります。まぁリターンレグ後半はほぼファイヤーフォーメーションだったため単純な比較はできませんが(あのときはアンカーがエリクセンだったと思いますし)、何にせよ中盤後方以降の守備強度にはやや疑問があります。

さらに20分30秒付近のシーン。

①エリクセンが右サイド深くまでプレス(この図だと何にもないところに走ってますけど笑)

②エリクセンのプレスは届かず、デヨングにパスが通る。ワニャマが続いてプレス、その背後にスペース。

③アルデルヴァイレルトが飛び出してきて潰すもファウル。

まぁ、このシーンはハーフウェイライン付近なので、アルデルヴァイレルトも思い切って出てきたという側面はあると思います。が、何にせよバイタルのスペースを使われているのは事実です。

スパーズとしてはジョレンテに当ててから2シャドウを活かしたいところなのですが、ただサイドバックあたりから前線に蹴り飛ばすだけでは、全体としてのコンパクトさを保つことが出来ておらずボールを拾えません。
そんな中でアヤックスが先制。狭いところをパスワークで突破し、横にも縦にも相手をしっかり動かしながら、フリーの選手を作り出しました。
ファンデベークも超フリーではありましたが、CL準決勝で相手はロリス、簡単なシーンとはいえないでしょう。
それでもしっかりネットに収めきりました。

スパーズとしては、前からのプレスがはまるシーンは良いけれども、そうでないとかなり深くまで攻め込まれ、奪ったボールもとりあえずジョレンテへ蹴り込むしか手がない状況。

フェルトンゲン負傷交代 〜4-3-1-2へ変更、思い切った中央攻撃へ〜

そんな中、流れを変えたのは皮肉なことに負傷者でした。フェルトンゲンが接触で頭を打ち、そのままシソコと交代。フォーメーションも4-3-1-2とし、アンカーにワニャマ、エリクセンを左に移動してきました。
個人的には、負傷があったとはいえこの修正は見事。スパーズの侮れないところは、そのゲームプランの多さ、そして試合中にそれを修正できるところかと、この試合を見ていると思います。

するとロングボールを中央の密集で拾うことで、少しずつボールを前へ運べるようになったスパーズ。しかし、決定的なシーンを作るまでには行けません。

一方、アヤックスはそのコンビネーションを活かしてチャンスを作ります。さらに、4-3-1-2の構造的弱点である中盤サイドを利用し、突破していきます。

ネレスがポスト直撃のシュートを放つなど、もう一点取れそうなシーンはあったのですが、追加点を奪うことはできず。
結局、ファーストレグは0-1でアヤックスが先勝しました。

2ndレグ アヤックス2-3スパーズ

スタメンはこちら。

アヤックスは、試合直前でネレスが負傷のためスタメン落ち。かわりにカスパー・ドルベリを中央に入れて、タディッチをサイドに出しました。

スパーズはソンフンミンが復帰。ジョレンテを外し、試合開始直後から4-3-1-2を採用しました。

やっぱり強いアヤックス 〜トリッピアー、それはあかん〜

始まった2ndレグ、いきなりアヤックスが先制します。コーナーキックから、目の前に密集があったとはいえトリッピアーがあまりに簡単にデリフトのマークを外してしまいました。フリーとなったデリフト、余裕でヘディングを叩き込みました。

スパーズはやはり4-3-1-2で中央に人数をかけ続けます。パターンは多くなく、やや苦しい試合展開に。
アヤックスはさらに追加点を奪い、135分終わった段階で3-0。スパーズ、残り45分はかなり厳しい状況に追い込まれました。

力づくでこじ開けたスパーズ、崩壊していったアヤックス

ロープ際まで追い込まれたスパーズは、ここでワニャマに変えてジョレンテを投入。エリクセンをアンカーにした3142で、とにかくボールを前線、中央に運ぼう大作戦に出ます。
大きかったのが、その形で取り切った反撃の1点。
自陣での相手FKを奪うと、ローズが上がっていた相手CBデリフトを股抜きでかわして前線へロングフィード。あとはまぁ、ルーカス速っ!としか言いようのないゴールです。

暴力的な個人技でこじ開けると、ここからスパーズが猛攻に出ます。
アヤックスが苦しかったのは、やはり若いチームと言うべきか、ここからガタガタと最終ラインの統率が失われていってしまったこと。
もともとしっかりとしたラインでオフサイドを狙う!などのチームではなかったと思いますが、これ以降はかなり厳しいことになります。ボールを見る選手、ボールが出そうな選手を見る選手はまだとりあえずいるのですが、ラインが整っていないこともあって大きなスペースがあり、またそこに走りこんでくる選手へのカバーがほぼ一切できていませんでした。

2失点目のシーンなどは象徴的で、左右に振り回されるがままに選手が右往左往し、GKオナナがビッグサーブを見せるも、余裕がないためそのこぼれ球をうまくクリアすることもできません。結局そこから拾われ、ルーカスに見事なシュートを叩き込まれました。

まぁ実質ファイヤーフォーメーションなので、アンカーエリクセンの周囲までボールを運べればかなりチャンスが作れるのですが、ジィエフのシュートが再度ポストを叩く不運もあり。

そして最後の最後にルーカスがハットトリックでこじ開け、大逆転での決勝進出を果たしたのでした。

スパーズのストロングポイント

リバプールにも負けない前線のタレント力

この2試合を通じて、緻密な崩しなどは見られなかったスパーズですが、それま前線のタレント力あってのこと。
決勝に間に合わせてくるであろうケインに、ソンフンミン、ルーカス、アリなどを合わせた前線は、リバプールのそれに勝るとも劣らないと思います。
独力での突破力もあり、コンビネーションもあり、狭い局面もカウンターも(どれかといえばショートカウンターが1番の脅威ですが)あり、トリッピアーの精度の高いキックからのセットプレーもあり、攻撃面を取り上げればきりがありません。
ジョレンテを投入して高さ勝負にすることも一応できます(ダイクやマティプに勝てるとは思いませんが)。
前線からのプレス回避が重要なポイントになるでしょう。

キープレーヤー:ジョエル・マティプ

ジョエル・マティプ

画像出典:LFC公式Twitter

ファンダイクのロングフィードやパス能力はよく知られたところ。だからこそ、重要なのはマティプです。
ロングフィード、間を割る縦パス、そして持ち上がるドリブルなど、マティプが攻撃の端緒として機能するシーンは数多くあります。
アリソンとダイクを含め、ビルドアップで後手を踏まないことです。

あともう一つ気になったことがあります。
スパーズは、2トップ1トップ下だったり1トップ2シャドウだったりと、前線中央に選手が多い場合が多いため、中央を封じてサイドで奪う前プレスが、アヤックス戦では見られました。
リバプールでは本職サイドバックのロボや、特にアーノルドは、ビルドアップの段階から高い位置を取ることが多く、ビルドアップでは深いワイドの位置にCBが開いたり(いわゆる?観音開き)、IHが落ちたりします(多くはミルナー、たまにヘンド)。そのローテーションを機を見て行えるかもポイントです。

スパーズのウィークポイント

第1プレッシャーライン以降の守備

前プレスを積極的にかけるチームの宿命ではあるのですが、プレスを外された後には広大なスペースが残ります。特に、スパーズはここの人選がやや難しい印象を持ちました。
エリクセンは守備的なタスクを狙ってここに置かれるタイプではないためそれを責めるのはお門違いですが、パスコースの切り方や、突破された後のディフェンスラインとの連携に不安が大きいと思います。
ボール奪取力とフィジカル能力ならワニャマですが、個人的にはあまり守備範囲が広い方には感じていません。バランスでいえばシソコですが、もう一列前で使いたいタレントでしょう。
一時期前のヘンドの様な、帯に短し襷に長し、相対的にはよくやっているんだけど絶対的には少し足らない、という感じがします。
我らが攻撃陣をもってすれば、そこまでボールを運べれば、ビッグチャンスを作り出すことが難しいということはないでしょう。

キープレーヤー:ロベルト・フィルミーノ

フィルミーノ

画像出典:LFC公式Twitter

帰ってきました我らがラテン男(帰ってくるよね?)。
隙間に入り込むこともできれば、CBをバチバチやりあえる強さもあり、スキルも決定力も走力も歯の白さもゴールパフォーマンスのバリエーションも、全てを兼ね備えたボビーのプレーは必見です。


カリウスが、チェンボが、多くの選手たちが。

大のおじさんが、若い娘が、年端もゆかぬ子供が。

キエフで、リバプールで、恵比寿で、人目もはばからず泣き濡れたあの朝。

「必ず帰ってくる」と誓ったヘンドの言葉を信じ、苦境のグループステージも、絶望のバルセロナも、乗り越えて戦ってきました。

リーグ戦との2冠は、わずか1ポイント差でシティに阻まれたものの、ここには自分たちでつかみ取れるタイトルがあります。

もう美談はいらない。もう悔し涙は流さない。もう誰にも文句は言わせない!

必ず、必ず、必ず勝つ!!!

全力で応援しましょう。

You’ll Never Walk Alone

画像出典:LFC公式Twitter

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