[18/19シーズン・ワンテーマプレビュー第2弾]シャキリはどこで起用する?選手層の強化との兼ね合いは

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トリコレッズ

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現役大学院生 日本ではマリノスファンなので、Redsの虜(トリコロール=マリノス)という意味でトリコレッズという名前にしました 戦術・選手分析などをしていきたいと思います

こんにちは、トリコレッズです。
18/19シーズンのワンテーマプレビュー、第1回はお楽しみ頂けたでしょうか。

第2弾となる今回も、新加入選手を軸に新シーズンを展望してみましょう。
今回はジェルダン・シャキリ。降格したストーク・シティから、彼のクォリティにしては明らかに格安で獲得することが出来たスイス代表アタッカーです。

シャキリ公式twitterより。”we need you”感がめちゃくちゃ強い。

これまで多く右WGで起用されてきましたが、PSMでは中盤中央でのプレー機会も与えられていました。
そんな彼の適正ポジションはどこなのでしょうか?PSMでのプレーを分析しながら考えていきましょう(コークさんによるシャキリの選手名鑑はこちら)

シャキリ@ウィング

本来のポジションだけあって悪くない。が、現WG陣の牙城を崩せるかというと……

まずは彼の本来のポジション、というかこれまで起用されてきたポジションであるウィングについて。PSMではナポリ戦後半にサラーが交代した後、あるいはトリノ戦後半の投入後に右WGに入っていたと思います。

今回のPSMで非常によく目に付いたのが3トップを軸とした選手間の流動的なポジションチェンジ。シャキリは裏抜けでボールを受けるタイプというよりは足下に受けて1対1を仕掛けるタイプの選手なので、受けに下がったところを他の選手が入れ替わりで使うパターンがよく見られました。サイドに張って受ける際にもそこからのカットインが基本で、SBのオーバーラップとの組み合わせに可能性を感じることがありました。
まずトリノ戦61分23秒から。

多分グルイッチが中央でキープしてシャキリへ。このときの右SBアーノルドは今この位置にいます。

そこからシャキリはカットインを開始。ボールが足下から離れない技術と瞬間的なスピードがあるため相手DFも釘付けになっていますが、相手もダブルチームで対応しているため突破は難しいところです。が、そこで入れ替わりにアーノルドが外を使うことで空いたスペースを利用できます。

そこからアーノルドがクロス。最終的にシュートはキーパーにセーブされましたが、今回は張り出したシャキリからのコンビネーションプレイでサイドを突破しました。

次に見ておくのはシャキリが下がってきて受けるパターン。同じトリノ戦、72分35秒からです。

シャキリが大外から中盤ラインよりも下がった位置まで受けに来ます。

そこからシャキリは中央に切れ込み、さっきと同じパターンで今度は代わったクラインとスイッチ。自分はそこからそのまま上がっていきます。

クラインは前にいたカーティス・ジョーンズへ。そのまま大外を攻め上がります。また、シャキリが上がってきたことによりCFのスタリッジが代わりに下りてきてボールを受けます。

スタリッジが受けてそこからサイドへ。相手はこの流動的なポジション変化について行けず完全に後追いになっています。結局ファウルを受け、良い位置でのFKを得ました。

シャキリの特徴といえば爆発的な加速を軸とした高速ドリブル、またそのままトップスピードの状態で強烈なシュートや正確なスルーパスを放てるところでしょう。ドリブルでの突破力はワールドクラスと言っても過言ではなく、アクロバティックなバイシクルのシーンからもわかる様に身体能力もかなり高いものがあります。普通のチームであればウィングでのスタメン当確という質の選手でしょう。

……が、争う相手が悪すぎる。サラー、マネは現在世界最高のウィンガーのうちの一人といって間違いありません。さらに、「スリリング・スリー」と呼ばれる我らが3トップは高速カウンターで全速力で走りながら利他的に振る舞い連携できる選手たちです。正直、ユニットとしての破壊力は世界最高であり、誰が入っても彼らほど効率的にゴールを生み出すことはなかなか難しい様に思えます。
能力が近しければ、すでに連携が出来上がっているユニットを使う方がいい、というのは当然の話。今からサラー、マネをシャキリに置き換えることは、悪手ではなくても最善手では決してないでしょう。

シャキリ@センターフォワード

ライン間に降りる動き、周りの選手の使い方はスムーズ。身長のなさがネックか?

前述のナポリ戦途中出場後、サラー交代前まではシャキリが中央だった気がします(最前線は流動的なためマネが中央に入っている様に見えるシーンもありましたが)。それまでやっていたのかは分からないのですが、それほど悪くは見えませんでした。確認しておきましょう。ナポリ戦51分57秒からのシーンです。

GKも交えたビルドアップから左サイドに展開したシーン。やや危険だと思ったか、マネがボールを受けに下がっていきます。シャキリは今はバックライン上で相手を押し下げる役目を担っています。

チームはパスワークで(これもなかなか見事なパスワークでした)左サイドを打開、マネはハーフスペースからダイアゴナルに大外レーンへ抜けていき、右CBをつり出します。シャキリの目の前にいたクリバリは恐らくその動きが見えていたのか、そのカバーリングを意識して後ろ向きに走っています。一方、シャキリはクリバリから離れる動きで一回下がってライン間でパスを引き出します。

ここで両CBの意識を引きつけ、マネへワンタッチでスルーパス。

マネがスピードを活かして突破。ここから個人技でかわしてからシュートも出来ますし、逆サイドのサラー、また遅れて入ってくるシャキリを狙うことも出来るシチュエーションになりました。この状況を生み出したのはシャキリのライン間へ下りてくる動きだったでしょう。

シャキリとボビーのどちらを中央に入れるにせよ、二人ともいわゆる「偽9番」の役割を与えられています。相手の隙を見てライン間に顔を出し、中盤からのパスを引き出してウィンガーにスルーパスorウィンガーと連携してサイド深くを突破、あるいは相手CBを引き出してウィンガーやIHに飛び込むスペースを作り出すのが仕事です。
この仕事をシャキリはそつなくこなしていますが、ここも争う相手が悪い。ボビー・フィルミーノは昨シーズン偽9番としてほぼ完璧な仕事を見せてくれました。スピード、テクニック、決定力、フィジカル全てに優れており、周りを使いながらゴールシーンを効率的に生み出していく能力は本当にピカイチだと思っています。シャキリはフィジカルが強いものの、身長がないというネックもありますし、スタリッジがPSMでは復調を示している現在、CFで起用すべき理由がそれほどある様には思えません。

シャキリ@インサイドハーフorトップ下

中盤から推進力を出せるか。チーム内最激戦区もチャンスはあるとみる

お次は中盤インサイドハーフ、あるいはトップ下のポジション。彼のリバプールデビューとなった、ユナイテッド戦後半途中出場からは恐らくトップ下で起用されていました。あの印象的なバイシクルシュートもこの試合で生まれています。

ドリブラーの選手なのでボールを受けたらグイグイ突破していくタイプかと思いきや、意外に受けては簡単にはたくタイプのプレーを繰り返し見せていました。まず見たいのは65分56秒のプレー。

トップ下からやや下りてきたシャキリがパスを受けます。そこからターンして逆方向へ流します。

自ら動いてリターンを受けます。

そこから再度受けてターン、飛び出してきた選手へもう一度流します。ターン力、キープ力を活かして中盤でボールを受け、簡単にパスをはたく、なんというか実にトップ下らしいプレイが目立っていました。ファンタジスタ系ではないですが、チームのポゼッションを円滑に運ぶための仕事をしていました。

また、もう一つ印象的だったのは、トップ下に入ったときには積極的に裏抜けのプレーを見せていたこと。さっきのプレーのちょうど一分前、64分55秒のリバプール2点目のシーンです。

バックラインでのパス交換のタイミングで、シャキリが裏へのボールを要求。恐らくボールを持っているのは期待の若手、ナサニエル・フィリップス。余談ですが、フィリップスのプレシーズンでのプレーはかなり良い印象を受けました。スピードもあり、キックも正確、肝心の守備もそつなくこなしているように見えます。

フィリップスからの正確なロングフィードがシャキリに届きます。相手CBも気づいて対応していますが、ここがシャキリの強さ、巧さ。収めきってターンします。

そこからスタリッジに落とし、スタリッジが右足シュートでゴール左隅を正確に打ち抜きゴール。対戦相手の問題もありますが、ウィングではあまり見せなかった裏抜けでボールを引き出すプレイをこの試合では何度か見せており、そこからクロスを上げるなど攻撃を活性化させていました。

ただし、インサイドハーフは現チームで最激戦区であることは事実です。攻撃的、守備的の2タイプに分けて列挙してみると、

  • 攻撃的インサイドハーフ……ケイタ、ララーナ(、チェンバレン)
  • 守備的インサイドハーフ……ミルナー、ジニ(、ヘンド、グルイッチ?)

ケイタ(とグルイッチ)はどちらとも言える選手ではありますが、とりあえずは各ポジション2人ずつ揃っていると言えます。シャキリを起用するのであれば攻撃的インサイドハーフ枠でしょうが、ケイタ、ララーナの両方をベンチに置くか、ケイタと並べて起用することになると思われます。
流石に贅沢な感じもしますが、IHとして起用したくなるシャキリの大きな利点が「運べる」こと。昨シーズン、チェンバレンがインサイドハーフとしてフィットした最大の理由は、運ぶドリブルが出来るのが彼だけであり、パスワークで相手を崩せない時に強引なまでのパワフルなドリブルから一人でフィニッシュできるところが非常に重宝されたからです。チェンバレンは残念ながら今シーズンアウトレベルの大怪我を負ってしまった様ですが、その役割の選手は膠着状態の試合を動かすために不可欠であり、シャキリをこのポジションで起用することは考えられます。ナビ・ケイタも運べる選手のようですが、PSMではそれほど見せていなかったように思います。

シャキリ@スーパーサブ

現実的な処遇か。ただし、ベンチに置くレベルの選手ではない

これまで3ポジションでの起用法を考えてきたわけですが、そもそもリバプールの昨シーズンの問題点といえば層の薄さでした。各ポジションスタメン選手はかなりのレベルの選手を揃えることができたものの、怪我人の多発にも伴って、ベンチには大きな背番号の若手を入れるしかないような状態に。チームの将来からすれば悪いこととは言えないのですが、CL決勝でサラーが負傷退場した後にウィングに入れられるのが怪我明けのララーナしかいなかったような状態を解消しようというのが今移籍ウィンドウの目標だったはずです。

特にウィング陣の層の薄さは深刻で、若手以外で言えばイングス、スタリッジ、チェンボ、ララーナなど、他に適性ポジションがある選手たちを起用するしかない状態でした(途中交代でモレノが入るパターンも少しだけありましたが、あれって継続しないんですかね)。

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そう考えると、シャキリに一番求めたい役割は「マネ、サラーを休ませる要員」になってしまうのではないでしょうか。IHでなら継続的起用の目処も立ちますが、するとウィンガーの控えがいない問題が解決しません。そうなると、本当のことを言えばシャキリはベンチに置いておきたいのですが、でもやっぱりそれは勿体無いよなぁ……という感じはかなり強いです。

総評

最初はIHとウィングでの途中起用が主か。ポジションを奪うならIHが濃厚

ここまで見てきた通り、どこでも素晴らしい働きを見せることはできるでしょうが、

  • ウィングとしてはサラー、マネを下げる決め手がない
  • CFとしても、ボビーに対する優位性がなく、スタリッジも復調を示している
  • IHとしては他の選手と異なる特長があり、また今のチームに必要な特長でもあるが、選手層との兼ね合いの問題がある

という、台所事情的な難しさがあります。
結局のところ、少なくともシーズン開幕しばらくはベンチスタートからIH、ウィング両方で途中起用になることが見込まれるのではないでしょうか。そこでどれほどの印象を残せるかによって後半戦の起用法は変わってくるでしょうが、やはり同じタイプがいないという意味で、スタメンを奪うのならIHが濃厚でしょう。

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ややネガティブな書きぶりになってしまいましたが、チーム力の底上げとして極めて重要な存在になるであろう選手であることに間違いはありません。選手のタイプとしてはチームスタイルにぴったりフィットしていますし、背番号23の躍動に大きく期待しましょう!

それではまた。

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