イングランド代表のロシアW杯躍進で広まる「It’s coming home!」〜ジェラードも叫んだこの言葉と便乗する英国企業〜

イングランド代表のロシアW杯躍進で広まる「It’s coming home!」という言葉 〜それに便乗する英国企業〜
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ISHI
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プレミアリーグの開幕が間近に迫る中、今年の夏はロシアW杯で世界中が盛り上がりました。そんな中、多くの人の予想に反してイングランド代表が4位と健闘し、リバプールからもヘンドが中心選手として活躍し、トレントはグループリーグのベルギー戦W杯デビューを飾りました。

そんなイングランド代表躍進の傍で「It’s coming home!」という言葉がイングランド中に拡散したことをご存知でしょうか?

今回はその「It’s coming home!」という言葉についてご紹介しつつ、それに便乗した様々な企業などの取り組みとその狙いについて考察しました。普段、LFCラボでは裏方的なことの方が多く、あまり記事を書かないので少し緊張していますが、興味のある方に読んでいただければ幸いです。笑

ジェラードも叫んだ「It’s coming home!」

「It’s coming home!」は「ワールカップのトロフィーがフットボールの母国(ホーム)であるイングランドに戻ってくるぞ!」という意味です。ロシアW杯でイングランド代表がグループリーグを勝ち上がり、多くの強豪国が左の山に流れた中、イングランド代表がW杯で優勝する可能性が出てきて流行しました。

BTスポーツもインタビューでジェラードも「It’s coming home!」と叫んでいます。

下記は、イングランド内における「It’s coming home!」の検索トレンドです。コロンビア戦があった7月4日の週とクロアチアに敗れた週に大きく伸びており、注目を集めたことが分かります。

英国人の考える「It’s coming home!」

イギリス人サッカー解説者であるベン・メイブリー氏が弟の言葉を引用して「It’s coming home!」が流行った理由についてコメントしているので紹介します。

例年イングランド代表はW杯で成績が振るわず、優勝したのも1966年の母国での開催、ベスト4まで進んだのも1990年イタリア大会です。そんな状況がしばらく続いていたため、国民からあまり期待されていませんでした。(イングランドはあまり強くないと、潜在的に思っている人は多くいると思います。笑)

それが思ったよりも勝ち進んでしまって、どうすればいいか分からない、だったらとりあえず「It’s coming home!」と叫んで盛り上がろう、といった流れとなったのでしょう。

日本でも「〜半端ないって!」が流行ったように、こうしたスポーツイベントを通して「流行語」が生まれることがあります。こうした流行語は、ニュースやスポーツ番組で頻繁に報道されることで、国民が代表チームを応援しよう!という一体感に繋がります。

「It’s coming home!」に便乗する企業たち

イングランド代表のロシアW杯躍進で広まる「It’s coming home!」という言葉 〜それに便乗する英国企業〜

画像出典:LFC公式サイト

イングランド代表の躍進に伴って国民の関心が高まり、イングランド国内で「It’s coming home!」が流行ったことで、多くの企業が便乗して様々な写真をSNSに投稿したり、広告を出していたのでご紹介します。

British Airways

イギリスの航空会社であるBritish Airwaysは「It’s coming home!」という言葉と共に、「FROM MOSCOW TO HOME」と書かれたチケットをSNSにアップしています。また、下の枠には「GATE SOUTH」と代表監督であるサウスゲートを連想させたり、最後にイングランドがW杯を優勝した1966年の数字も記載されています。

Coca Cola

コカコーラは、多くの人々が集まり様々な広告が彩るロンドンの中心地「ピカデリー・サーカス」の17.56m x 44.62m もの巨大な広告スペースを貸し切り「BRING IT HOME(ワールドカップをイングランドに持ってこよう!)」という広告を掲載しました。

Aston Martin

イギリスの自動車ブランド「アストンマーティン」は「IT’S COMING HOME!」と自動車に書いたインパクトのある写真を投稿しています。

COSTA

コーヒーチェーンである「COSTA」は3つのライオンがカフェアートで描かれた写真と「IT’S COMING HOME!」と書かれた投稿をしています。3つのライオンはイングランド代表の愛称「Three Lions」からきています。

National Library of Scotland

スコットランドの国立図書館では、イングランドがフットボールの母国であることを象徴するような画像を投稿して、イングランド代表を応援しています。企業だけでなく図書館までもが便乗しています。

この他にも、飲食店や食品メーカー、軍隊のチャリティー団体までもが「IT’S COMING HOME!」に便乗し様々な投稿を通して、イングランド代表をサポートしている!というスタンスをアピールしています。ぜひ #ItsComingHome とハッシュタグ検索してみてください。

「It’s coming home!」への便乗=アンブッシュマーケティング

上記で紹介した投稿には実は1つの共通点があります。それは「World Cup」「FIFA」など直接的にW杯に意味する言葉が含まれていないことです。その理由は、これらの言葉はFIFAワールカップのオフィシャルスポンサーでなければ使用することができないためです。(コカコーラはオフィシャルスポンサーであるため例外です。)

しかし、これらの投稿を見た人々はイングランド代表を応援している投稿であるとすぐに認識できるため、同時にW杯のことを連想できると思います。そのため、W杯のスポンサーではないにも関わらずあたかもW杯と関連性のあるものだと人々は錯覚します。

それと同時にこうした投稿でイングランド代表へのサポートを表明することで、イングランド代表のファンや国民にポジティブなイメージを植え付けることができます。企業やサービス、団体のブランドイメージを高めることで、自社の製品やサービスの利用者の増加、新規顧客の開拓を図っています。

こうした公式スポンサーではない企業が大きなイベントに便乗して自社の宣伝や商品の販売を行うことを「アンブッシュマーケティング」と言い「便乗商法」とも呼ばれています。

W杯は全世界の人々の注目を集めるスポーツイベントのため、世界中に自社のアピールができるチャンスがあります。しかし、高額なスポンサー費を払わなければオフィシャルスポンサーを名乗ったマーケティングが行えません。それ以外の企業はアンブッシュマーケティングという形をとり、権利の問題に当たらない範囲でマーケティングを行う必要があります。

「It’s coming home!」のような流行語に便乗するのは直接的にW杯を表す言葉ではないため、アンブッシュマーケティングを行う上で非常に有効な手段です。イングランドは2030年のW杯招致を検討していると言われており「It’s coming home!」に関連する企業の取り組みは今後も増えていくでしょう。

スポーツとビジネス

W杯などの大型スポーツイベントの際に、試合や競技の部分に多くの人々の注目が集まるのは自然なことですが、その裏では様々な企業が自社のビジネスに活かそうと、様々な戦略を練っています。そうした部分に注目するとスポーツを楽しむ視点が増えるため、個人的にはすごく大好きです。

今回はアンブッシュマーケティングの話が中心でしたが、多くのスポーツはスポンサー企業によって支えられています。スポンサー企業によるスポーツマーケティングの中にも面白い事例はいくつもあります。リバプールのスポンサーによる取り組みなども、LFCラボで取り上げたいなと思っています。

企業によるスポーツマーケティングに興味を抱いた方へ

LFCラボでは基本的にSEOやサイトの分析などをさせていただいてますが、個人のブログやスポーツビジネスのメディアでスポンサーシップの分析記事を中心にライター活動もしています。もしご興味のある方がいましたら、ぜひ私の個人ブログサイトにも訪れていただけたら嬉しいです。

スポンサー企業によるマーケティング事例の紹介と分析、国内・海外のサッカーチームのスポンサー企業のリスト、ライターやコンサル活動の紹介などがメインのコンテンツです。最近ではJリーグの経営情報をグラフで可視化したりもしました。

個人ブログサイト「SPODIGI」
URL:https://spodigi.com/

最後に宣伝となりまして恐縮ですが、またLFCラボにも記事を書きたいなと思っているので、よろしくお願いします!

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