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基本プロフィール
- 選手名:アドリアン・サン・ミゲル・デル・カスティージョ
- 生年月日:1987年1月3日
- 国籍:スペイン
- 身長:190cm
- ポジション:GK
- 背番号:13
- クラブキャリア:レアル・ベティス(ESP/12-13~), ウェストハム(ENG/13-14~), リバプール(ENG/19-20~)
- 市場価格:€ 1.00Mill.
- 契約終了年:2022年6月30日
プレースタイル
ストロングポイント
シモン・ミニョレの後釜として、リバプールの第2GKを務めるスペイン人。やや細身でパワーに欠けるものの、前所属クラブのウェストハムでは公式戦150試合に出場しており、イングランドのスタイルには適応済み。
実際に、19-20季のプレミアリーグ開幕戦にて、正GKのアリソンが負傷退場するという幸先の悪すぎるアクシデントに見舞われたものの、加入間もないアドリアンがしっかりとその穴を埋め、リバプールは開幕8連勝を記録。アリソンがゴールマウスに復帰するまでの約2ヵ月間を、これ以上ない完璧な成績で守り切った。
プレミアリーグの経験が豊富だったこと、そして、優れたパーソナリティの持ち主であることが彼の迅速な適応を助けたのだろう。スペイン人らしく非常に陽気で、SNSからも彼の明るいキャラクターが見て取れる。彼のような性格であれば、新しいクラブ(しかも自身初のメガクラブ)に移ってすぐに溶け込むのも納得できる話だ。
GKとしての能力に目を向けると、やはりスペイン人らしく足元のテクニックはGKとしては水準以上。ゴール前にどっしりと構えるのではなく、機を見て積極的に飛び出すタイプで、前任者のミニョレと比べるとより広範囲のエリアをカバーできる。ビルドアップもまずまずで、ボールを失うだけの中長距離のパスはあまり行わない。基本的に後方からのビルドアップを選択することが多く、リバプールの戦術に則しているといえる。
肝心のシュートストップも、プレミアの中堅クラブでプレーしていただけあってやはり打たれ強く、セービングには安定感がある。反応速度の良さには定評があり、ダイナミックなビッグセーブを見せることも少なくない。
スパニッシュらしいテクニックや敏捷性に、プレミアで培った打たれ強さがミックスされ、能力的な穴は少ない。そのパーソナリティも含め、非常に理想的な第2GKといえる。
ウィークポイント
足元は水準以上といえども特別上手いというわけではないので、ビルドアップ絡みのミスが多いのが難点。繋ぐ意識は持ち合わせており、それなりの足元を有しているがゆえに、陣地回復を目的としたロングパスを選択してもいい場面でも無理に繋げようとするシーンが多々見られる。
また、そもそも中長距離のパスは苦手なのか、そこまで上手くない。それゆえの繋ぐショートパスなのだろうか。ただ、そうであっても割り切ってクリアを選択することも必要であり、この部分の判断力は磨いていくべきだろう。いくら戦術的に後方から繋ぐことが求められているとはいえ、明らかなリスクを取る必要はポジション的にもないといえる。
ディフレクティングにも改善の余地がある。せっかくセーブをしたのに弾く先が悪く、相手にプッシュを許してゴールを奪われる、というシーンが少なくない。ただ、この部分は反射神経やパワーといった純粋なフィジカル能力はもちろんのこと、シュートコースを読む力やポジショニングといった、より技術的なセンスも求められる。そのため、ここから急激な成長をみせるのは難しく、この部分のクオリティを要求するのはやや酷かもしれない。
ウィークポイントとして、ビルドアップにおける選択肢の少なさ/ミスの多さや、ディフレクティングを取り上げたが、ここはアリソンと差が特に大きいと思われる部分。世界最高のGKと比較されてしまうのはあまりにも可哀想だが、これも第2GKの宿命か。しかし、その第2GKと見たときのアドリアンは満足できるレベルにあるといえるだろう。クラブから求められている役割をアドリアンはしっかりと果たしているように見えるし、これからも文字通り後方からチームを支えてほしいものだ。
エピソード・小ネタ
◆2013年の夏、ウェストハム移籍の前に、元リバプールのGKペペ・レイナにアドバイスを貰ったそう。アドリアンがリバプール移籍決定を喜ぶ投稿をインスタグラムにした際も、レイナはその投稿に激励のコメントを送っている。余談だが、アドリアンがイングランド上陸を果たした13年の夏は、レイナがミニョレに押し出される形でイタリアのナポリへ移籍した年でもある。その後、ミニョレの代わりにリバプールへやってきたのがアドリアンとは、なにか不思議な巡り合わせを感じる。
◆14-15季のFAカップ(3rdラウンドのリプレイ)エヴァートン戦。決着はPK戦に委ねられたが、それでも勝負は中々決まらず、9番目のキッカーとしてアドリアンまで順番が回って来ていた。先攻のキッカーであるホエル・ロブレス(彼もまたGK)が外していたため、アドリアンが決めれば勝ちという状況。そんな中、彼はなんとキーパーグローブを外し間髪入れず助走、そしてゴールを決めてみせた。当たり前だが、外せばまたゴールを守るために付け直す必要がある。「俺が決めて試合を終わらせる」という凄まじい覚悟がなければできない勇敢な行動である。
Wishing a very happy birthday to @AdriSanMiguel! 🎊🎉 pic.twitter.com/VD8I4T2ZT2
— West Ham United (@WestHam) January 3, 2020
◆04-05季から始まったラファエル・ベニテス政権時に、急激に増えたスペイン人選手によって“リーガプール”とも呼ばれたリバプール。しかし、ラファが去った後、徐々にスカッドからスペイン人が減っていった。ホセ・エンリケが去ってからはアルベルト・モレノのみがファーストチームで唯一のスペイン人だったが、その彼も2019年の夏にリバプールを退団。ペドロ・チリベジャの立ち位置が微妙だったため、ついにリバプールからスペイン人が…と思われたものの、アドリアンが加入したことによって、クラブとスペイン人の繋がりは途絶えずに済んだ。
◆ウェストハムとの契約が満了し退団した後、移籍先のクラブが決まるまで、故郷セビリアのセミプロクラブであるUDピラス(Unión Deportiva Pilas)というチームでトレーニングを積んでいた。リバプール移籍が決まった際、アドリアンはUDピラスに対する感謝として、お礼の手紙と共に、スポーツ用品やスポーツ器具用ギフト券のプレゼントを贈った。彼の誠実な人柄がわかる、素晴らしいエピソードである。
◆前述のプレミアリーグ開幕8連勝に貢献するだけでなく、CL王者としてEL王者チェルシーをイスタンブールの地で迎え撃った、19-20季のUEFAスーパーカップでもゴールマウスを守り優勝に貢献。PK戦に縺れ込んだものの、チェルシー5番目のキッカーであるタミー・エイブラハムを見事にストップ。自身初となるタイトルを、自ら手繰り寄せてみせた。優勝後のインタビューで、アドリアンを称えたユルゲン・クロップの「エイドリアーン!」とは、映画『ロッキー』の名シーンから。
“ADRIAN!!!!!!!!”
Of course Jurgen Klopp has gone full Rocky Balboa on us 😂
🎤 @DesKellyBTS pic.twitter.com/BZzG4hNXxo
— Football on BT Sport (@btsportfootball) August 14, 2019
◆スーパーカップでヒーローになったアドリアンだが、その日の夜に起きたジェームズ・ミルナーとの出来事を、BBCに明かしている。優勝した日の深夜、ミルナーはアドリアンに「今夜は君がトロフィーを持っていきなよ」と言ったそう。最初はミルナーの言葉が理解できなかったものの、続く「君よりいい人がいるかい?」という言葉で理解できたそうだ。ミルナーの粋な計らいによって自室にトロフィーを持って行けたため、現地に訪れていた兄弟や親友にトロフィーを披露することができたそうだ。
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