ハーヴェイ・エリオットのプレースタイル/プロフィール解説|リバプール選手名鑑

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コーク

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選手の分析記事をメインに、好きな音楽のネタを絡ませた記事も。ライター名はコカ・コーラから。あと櫻坂46の田村保乃さんのファンです。よろしくどうぞ。

基本プロフィール

画像出典:エリオット公式Instagram

  • 選手名:ハーヴェイ・エリオット
  • 生年月日:2003年4月4日
  • 国籍:イングランド
  • 身長:170cm
  • ポジション:AMF, RWG
  • 背番号:67
  • チームキャリア:フラム(18/19)、リバプール(19/20~)、ブラックバーン・ローヴァーズ(ローン:20/21)、リバプール(21/22~)
  • 市場価格:15.00m€
  • 契約終了年:2026年6月30日

プレースタイル

ストロングポイント

画像出典:エリオット公式Instagram

ハーヴェイ・エリオットはこれまでのキャリアにおいてそのほとんどを右のウイング(左利きなので、いわゆる逆足WG)として過ごしてきたが、その資質からすれば適性があるのはワイドのアタッカーではなく、インサイドハーフ(やトップ下)だろう。本質的にはMFにより適性があり、リバプールの標榜するフットボールのスタイルを考えれば、なおさら右WGではなくIHの方が能力を発揮できるタイプだ。

170cmというサイズはMFとして見ても小柄な部類に入るが、両脚に優れたパワーを秘め、アジリティやクイックネスといった瞬間的な速さは十分。身体のコーディネーションもまずまずで、アクロバティックなフィニッシュを披露することもめずらしくない。ただし、(詳細は後述するが)フィジカル的な観点から見た場合にエリオットの優れている部分はそれぐらいのもので、フィジカル的なアドバンテージを持っているとは言い難い。

テクニカルな観点から見た場合、トラップやパス、ドリブル、シュートといった基本的な技術はどれもある程度優れている。特にトラップは目を見張るものがあり、パスのバリエーションやタイミング感覚なども良いものを持っている。とはいえ、テクニカルな部分も10代の選手としては優れているが傑出したクオリティを誇るわけではなく、右足も拙い部分が目立つ。技術的にも、彼は対峙するDFを手玉に取るような超絶技巧の持ち主ではない。

それでは、フィジカル的なアドバンテージがゼロに等しく、それを補って余るような傑出したテクニックを持つわけでもないエリオットが、なぜフラム時代にプレミアリーグの最年少出場記録を更新する若さでピッチに立ち、リバプールに移籍後もポジションを確保できているのか。

もちろん、身体能力は(アドバンテージになるほどではないが)トップリーグの舞台でも十分通用しているし、技術的な部分はこれといった穴がなく、年齢を考えればむしろ高いレベルにある。身体能力が全く通用しなかったり、技術が足りずボールをまともに扱えなかったりすれば、いくらなんでも試合に出ることは難しい。

そんなエリオットだが、彼の真価はそういったゲームで数値化しやすいような部分にあるのではなく、タクティカルやメンタルといった部分にこそあるというのが筆者の見解だ。同年代の選手に比べて遥かにそういった能力を備えているからこそ、若くしてデビューを飾り、メガクラブでも地位を築くことができたと思われる。

例えばエリオットの長所である少ないタッチでボールを捌く一連のプレーは、彼の優れた戦術眼の現れだろう。ベースとなるトラップやパスの技術があってこそ実現できる芸当ではあるが、エリオットと年齢もポジションも近いカーティス・ジョーンズは、彼以上のボールスキルを持ちながら試合中にそれを披露することは少ない。カーティスは判断能力に難があり、やや独善的に振る舞いがちな傾向が強いからだ。それに対してエリオットの判断能力やプレービジョンはこの年代の選手にしては驚異的なレベルにある。

自身に求められているプレーを実現できる戦術的なインテリジェンスは卓越しており、センスの高さを感じる。若い選手は自分ができる最大限のプレーを披露しようと空回ったり、逆に遠慮がちになり消極的なプレーに終始してしまったりすることが往々にしてあるが、エリオットはそのどちらでもなく、淡々と自分のすべきことをピッチの上で見せることができる。それでいて、基本ボールを持った時に無理な仕掛けこそしないものの、好機と見るや高難易度のプレーにもチャレンジするような大胆不敵な一面もある。

これらのことからも分かるように、エリオットの魅力を語る上で欠かすことのできないポイントの一つが、極めて優れたパーソナリティだろう。周囲の選手がワールドクラス揃いでも気後れすることない強靭なハートの持ち主で、ピッチ内外問わずその振る舞いもこの若さにしてすでに完成されつつある。もちろん、若さからくる過ちを起こすことがなかったわけではないが、そういったことを教訓とし、成長の糧へと変えることのできる選手だ。

また、メンバー外や大怪我といった自身にとって困難な状況に直面した際のレジリエンスも素晴らしい。身体的にも技術的にもまだトップの選手たちに及ばない部分があるため試合中に存在感がなくなることも少なくないが、とはいえプレーの安定感や継続性は同年代の中で群を抜く。

これまで述べてきたように、エリオットはワールドクラスの選手たちと比較した場合に劣る部分は多いものの、それは当然で致し方のないことだ。比較対象を彼らと同じ年代の選手に限れば、彼はすでに世界でも指折りの選手と評していいレベルに到達している。

そしてなにより、リバプールにおけるエリオットという選手をたらしめる最大のポイントは、フットボーラーとして優れたタレントの持ち主であること以上に、リバプール愛から来る一サポーターとしての側面ではないだろうか。

エリオットは家族の影響で幼少期からリバプールのファンとして育ち、そしてリバプールでプレーするという夢を叶えた選手だ。端的に言えば、ファンの夢想を体現したような選手であり、スカウサーとして生まれ育ったわけでもない彼は、ある意味で最もファンに近い存在の選手と言っていいかもしれない。

夢のリバプール移籍を勝ち取ったからこそ、より一層自覚を持ちリバプールの選手として相応しくあろうとする姿勢がエリオットからはとても感じられ、そんなエリオットをファンは愛し、そして彼はまたそれをエネルギーに努力をする。そういった好循環が彼の成長を手助けしているように思う。環境が人を育てるということは往々にしてあるが、彼の場合はまさしくその典型的なパターンだろう。日進月歩の成長を遂げるエリオットに期待したい。

ウィークポイント

画像出典:エリオット公式Instagram

フットボーラーとしてエリオットに最も欠けているものは、純粋なフィジカル能力だろう。現代のアスリート基準で見れば、良くても水準程度の部分があるにすぎず、それによって選手としての絶対値の上限が決まってしまっているのは無念と言わざるをえない。

エリオットがリバプールのWGとして不向きな理由も、このアスリートとしての能力の欠如からくるものだ。リバプールのWGには他クラブよりもフィニッシャーとしての役割が強く求められ、ショート/ロング問わずカウンターを独力で完結できるようなスプリンターとしての能力や、1vs1あるいは1vs2などシーンでの突破力、そしてラストの局面において決定的な違いを生み出すフィニッシャーとしての性能を備えている必要がある。

その観点から見た場合、エリオットはファイナルサードを独力で攻略してしまうような極めて優れた個の能力があるわけではない。また、多くの面でそれは天賦に左右される身体的な能力の欠如によるものであるから、今後の成長による劇的な改善は望み薄だろう。

そもそもエリオットのプレースタイルは、WGとしてプレーしていたときから振る舞いはFW<MFといった趣であった。常に相手の最終ラインと駆け引きをしながら裏抜けを狙ったり、あるいは単騎での突破を狙ったりするような典型的なFWのプレーを見せることはあまりなく、その一つ前のプロセスにおいて、少ないタッチ数でボールを捌きながら機を見てラストパスを送り込むような、フィニッシュ以上にチャンスメイクを担うタイプだ。

エリオットのフィジカル的な特徴やプレースタイルを考えれば、リバプールのWGとしての適性が高いとは言い難い。以上のことから、彼のリバプールにおける基本ポジションは今後もIHと考えられ、WGでの起用はかつて所属していたアダム・ララーナのように局所的なものになりそうだ。

そんなエリオットにとってIHでの起用は、個人の打開力の限界を上手く隠す同時に、優れた戦術的センスの高さや周囲と連動したコンビネーションでの打開といった攻撃面での強みを上手く引き出すことができるのだが、反面、彼をこのポジションで起用することによる守備時の問題も少なからず発生する。

エリオットには連続したスプリントをフルタイム繰り返す持久力がまだなく、個人単体で敵を潰しきるような純粋なコンタクトのパワーや守備の技術も備えていない。彼のIH起用は守備の強度を落とす懸念があるため、より速く強く巧い選手と対峙することになる強豪との対戦時ではそれが顕著に現れかねない。

とはいえ、守備時の意識や積極性などは見受けられる上に、持久力や守備時の対応といった面は今後の成長いかんによって向上が期待できる部分だ。実際、身体の厚みは見る度に増しており、コンタクトに強くなればボールを奪い切るシーンも今後より多くなることが見込めるだろう。

総評

ハーヴェイ・エリオットはリバプールにおいて特に期待されている若手選手の一人ではあるが、(例えばトレント・アレクサンダー=アーノルドのように)そのポジションにおける世界最高峰の選手として君臨するレベルに到達できるとはあまり思えない。これは夢物語でしかないのだが、もしカーティスのサイズとフィジカル能力、ボールスキルに、エリオットの判断能力や戦術的なセンス、そしてパーソナリティを併せ持った選手がいれば、その選手は間違いなくワールドクラスのMFになれるはずだ。

ただ、メガクラブにおいて10代の頃から居場所を確保し、そして継続性を以てクラブに居続けることができる選手は極々一握りに限られ、それだけでも十二分に凄いことである。エリオットがワールドクラスの選手へと成長し、リバプールの主力選手として活躍できるかどうかはやや未知数だが、その一歩手前、準主力級として長きに渡ってクラブを支えてくれるような、そういった選手になってくれるのではないか。我々ファンのようにリバプールをこよなく愛するエリオットの未来を楽しみにしたい。

エピソード・小ネタ

画像出典:エリオット公式Instagram

◆「Elliott(エリオット)」という名前の起源は、旧約聖書に登場する預言者「Elijah(エリヤやイリヤなど)」にある。エリヤとは、ヘブライ語で「ヤハウェは我が神なり」という意味。そのエリヤが変化した「Elias(エリアス)」の愛称がエリオットである。

◆エリオットの子供の頃のアイドルはネイマールだったようで、バルセロナ時代の彼のプレーを参考にしていたようだ。ただ、フットボーラーとして尊敬している選手にはスティーブン・ジェラードを挙げていた。

画像出典:エリオット公式Instagram

◆プレミアリーグの歴代最年少出場記録保持者である。2019年5月4日に行われた、2018-19シーズンの第37節ウォルバーハンプトン戦にて、16歳30日で出場している。

◆フラム時代から神童と謳われ、リバプール以外からもオファーが殺到していたエリオット。スペインの巨人レアル・マドリードもエリオットを狙っていたクラブであり、実際に彼をマドリードに招待した。その際、エリオットに当時の主将であったセルヒオ・ラモスと会うことをクラブから提案されたのだが、リバプールのファンであった彼は過去に卑劣なプレーでモハメド・サラーを負傷させたラモスのことを嫌っており、その提案を断ったという。

◆リバプールに移籍して間もなかった頃の2019年10月、エリオットがフラム在籍時に2018-19のUEFAチャンピオンズリーグ決勝であるリバプール対スパーズの試合中に、ハリー・ケインを侮辱する言葉を浴びせていたことが発覚し、FAから処分を受けることがあった。

◆リバプールのU-19として2020年の3月に行われたUEFAユースリーグに出場したエリオット。そのラウンド16でベンフィカと対戦した際、エリオットがベンフィカのGKを務めていた小久保玲央ブライアンと一触即発の事態になったことで話題になった。

◆リバプールがプレミアリーグを制覇した2019-20シーズン、エリオットは優勝メダルを受け取る資格を満たしておらず(最低5試合に出場する必要があったが、彼は2試合のみの出場に留まった)、リバプールのファンからは可哀想だというメッセージが彼のもとに多く届いていた。しかしエリオットは「僕は選手としてでなく、チームとしてリバプールが優勝したことをとても喜んでいる。だから僕は一人のファンとしてこの優勝を祝うよ」と語り、ファンを感心させた。ただ、クラブに対して送られる優勝メダルの数は40個あり、条件を満たした選手に配布した後に余ったメダルの扱いは、クラブに裁量権がある。通常、監督がフリンジ・プレイヤー(例:第三GK)やバックルーム・スタッフに配布し、その例に漏れずユルゲン・クロップはエリオットにもメダルを渡したとのこと。

画像出典:エリオット公式Instagram

◆元リバプールで2021年の夏に現役を終えたスチュワート・ダウニングは、エリオットがブラックバーンへローンに行っていた際のチームメイトである。そんなダウニングはエリオットのことを非常に高く称賛しており、リバプールでも必ず成功できると太鼓判を押していた。

◆リバプールのアシスタント・コーチを務めるペピン・リンダースが明かすところによれば、エリオットはピッチ外でもモハメド・サラーから多くのことを学んでいるそう。例えばキャンプの際に、彼らがダイニングエリアで共に食事をしていたとき、サラーがエリオットに対して、「パンはそれくらいにして、あとはフルーツを食べるといい」とアドバイスしていたという。

◆2021年9月12日に行われた、2021-22シーズンの第4節リーズ戦にて、パスカル・ストライクのタックルを受けたエリオットは左足首の脱臼骨折という大怪我を負った。しかし、負傷後のエリオットのあまりにも大人な対応は大きな反響を呼んだ。まず、エリオットは負傷後に「彼のせいではないよ。レッドカードでもないし、ただのアクシデントだ」と語り、さらにストライクのチャレンジは悪質なものではなく、レッドカードは不服としたリーズの控訴が却下された際、そのニュースを伝えたスカイ・スポーツの投稿に対して「パスカルにとって残念な結果だ。僕はそれが間違っていると思う。でも兄弟はこれをすぐ乗り越えて帰って来るはずさ。ポジティブに行こう!」と返信している。さらに、彼は負傷後に運ばれた病院で、リバプールファンの少年ジェイコブ君と遭遇。そんなジェイコブ君に対し、エリオットはフットボールに関するアドバイスをしつつ、リーズ戦で使用していたユニフォームとシャツをプレゼントする素晴らしい対応をしたという。

◆少し前に入れていた“Z”のバリアートが矢沢永吉のロゴっぽい。

画像出典:エリオット公式Instagram

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