【リバプールのGK問題】 なぜアリソンを獲得してカリウスを放出したのかを考える

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こんにちは、コークです。今回は、リバプール最大の泣き所だったGKの移籍に関する話をつらつらと書いていきたいと思います。

アリソン・ベッカーの獲得

画像出典:LFC公式Twitter

ご存知の通り、リバプールは今夏ASローマからGK史上最高額となる7500万ユーロの移籍金でブラジル代表の守護神アリソン・ベッカーを獲得しました。

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GKにとんでもない額を支払いましたね。移籍金のインフレを感じますが、同夏にチェルシーがアスレティック・ビルバオからスペイン代表のケパ・アリサバラガラを8000万ユーロで引き抜いたのであっという間に更新されてしまいました。

当時のGKにおけるワールド・レコードとなったアリソンの移籍金ですが、彼の獲得に関する最大の話題はその天文学的なお金に関するものではなく、それまでのナンバーワンであったロリス・カリウスの処遇に関するものでした。

カリウスはキエフでのチャンピオンズリーグ決勝で衝撃的なミスを犯し、戦犯と言わざるを得ない立場に追い込まれていました。当然ですがリバプール・サポーターの間で「このままゴールマウスをカリウスに託していいのか?」という論争は巻き起こったものの、ユルゲン・クロップは変わらずカリウスへの信頼を明言していました。

KOPもカリウスを見守るというスタンスを取っていましたし、他クラブのサポーターの方からしてみればアリソンの獲得は青天の霹靂と言える出来事だったかもしれません。「あんなにカリウスのことを擁護してたくせに、結局裏切るのかよ」と、ご丁寧にカリウスの身を案じてくださった他サポの優しさを筆者は忘れません。

ただ、アリソンの獲得がカリウスに対する裏切り行為だとは筆者は全く思っていません。これには多くのリバプール・サポーターの方も同意していただけるのではないでしょうか。

GKはリバプールの泣き所だった

画像出典:marca.com

カリウスとシモン・ミニョレが守護神の座を争っていたGKは、リバプールにとって最大のウィークポイントでした。CLの決勝でミスをしたからアリソンを獲ったというわけではない、ということはご理解頂きたく存じます。あの出来事を抜きにしても、GKはずっと補強の必要性が叫ばれており、謂わばリバプールにおけるアキレス腱だったのです。

言ってしまえば、仮にカリウスがCL決勝で素晴らしい活躍を披露していたとしても、リバプールはアリソンの獲得に動いていただろうと筆者は考えています。

これが牽強ではないとする理由に、そもそも昨季のCL決勝進出はリバプールにとって望外の結果だったというものがあります。ですから、CLの結果云々は関係ないのです。もしもカリウスが決勝でミスをしたからアリソンを獲ったというのであれば、アリソンの獲得にリバプールは決勝の後から動き始めたはず。しかし、実際には少なくとも半年前の冬には夏のアリソン獲得に向けて動いていました。

もちろん、あのミスは新守護神を獲得するためのトリガーの一つではあったでしょう。ですが「ワールドクラスのGKの獲得に動けるのであれば動くべき」という状況はシーズンを通して不変であり、リバプールやクロップはクラブとして当然のことをしたまでなのです。

たしかにクロップやKOPはカリウスへの信頼を公言していました。ですが、それとアリソンの獲得は別物として考えるべきではないでしょうか?少なくない他サポの「だったらアリソンを獲るなよ」という声は理解し難いものでした。

アリソンはリバプールにとって、幾星霜を経てようやく手に入れた正真正銘ワールドクラスのGKなのです。当然、アリソンの到来によってカリウスの立場が危うくなるのは誰もが理解していたでしょう。しかし、プロの世界は無条件で復活を待ってくれるほど甘くはないのです。

以上のことを踏まえて、もう一度良く考えてみてください。リバプールはシーズンを通してずっとGKを補強すべきだとされていました。そのような状況でカリウスがCL決勝においてミスを犯したからと言って、「もちろんカリウスを擁護します。その現れとして、新しいGKは獲りません」となるでしょうか?ならないですよね。

CL決勝でミスを犯したカリウスに対するクロップの発言は、あくまでも「カリウスの今後を見守っていき、クラブとして支えていく」というものです。それは「これからもカリウスに正守護神としてゴールマウスを託し続けます」という意味ではありません。ちょっと、ここを勘違いしている他サポの方が多すぎて手前、驚きを隠せません。

カリウスの放出とミニョレの残留

画層出典:Kaeius公式Twitter、LFC公式Twitter、tbrfootball.com

さて、アリソンの獲得によって、リバプールはGKの余剰戦力を放出する必要性に迫られました。昨季の序列を踏まえれば、今季の序列はアリソン、カリウス、ミニョレ、ダニー・ウォード、アダム・ボグダンとなっていたはず。GKが5人というのは明らかに人員過剰ですので、2~3人ほどの放出は間違いないとされていました。

現に、ウォードはレスター・シティに完全移籍、アダム・ボグダンはスコットランドのハイバーニアンにシーズンローン(なお彼との契約は来夏で満了を迎えるため、事実上のお別れ)。カリウスとの守護神争い敗れた上にアリソンも来てしまったため、ミニョレも退団は不可避だとされていました。

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しかし、実際に移籍したのはミニョレではなくカリウス。移籍先はトルコのベジクタシュでした。彼の移籍は完全な予想外というわけではなかったものの、やはりそれなりに驚きはありましたね。移籍形態は買い取り義務オプション付きの2年間のシーズンローンで、公にはされていませんが出場数が全公式戦の5割を超えたらOPを行使しなければならないというものです。

リバプールとの契約は3年後の2021年夏までなので、ローン期間終了後、買い取り義務が発生せずに一旦帰って来る可能性もあります。しかし、ベジクタシュで控えに甘んじたカリウスが残りの1年をリバプールで過ごせるとはかなり考えづらい。つまりこの移籍は、カリウスの未来がリバプールにはない、ということを示唆しています。

カリウスはアリソンの到来によってリバプールを去りました。ですから「アリソンがカリウスを追い出した」というのは事実でしょう。これが、他サポの方が「リバプールはカリウスを裏切った」と叫ぶ声を強めている要因になっていると思います。しかし、プロの世界では至極当然の出来事であり、そこにアンフェアなものは一切存在しません。「決勝でミスしたからカリウスは追い出された」などというのは見当違いも甚だしいです。

例によって、他サポやメディアは「アリソンを獲得したから、いらない子になったカリウスは追い出された!」と騒いでいますが、そんなことはありません。カリウス自身が、移籍は自身が望んだことで、クロップには残って欲しいとお願いされたことを明かしています。

能力や年齢的な側面でミニョレより優れているカリウスが残留し控えとして有事に備えるというのは、かなり豪華な話です。彼はリバプールの野心を満たすための守護神には相応しいレベルにありませんでしたが、第二GKとしてみれば優秀な部類に位置します。

また、出場機会を理由にミニョレが退団を希望していたので、カリウスに残留を請うというのは十分に考えられる話です。とはいえ、GKは非常に特殊なポジション。控えとなる第二GKの役割は他のポジションの控えの選手とは少々事情が異なります。その観点から見た場合、ミニョレのパーソナリティはとても貴重なもので、ピッチに立たずともチームを支えられる存在です。

画像出典:theanfieldwrap.com

メンタル的な問題も考慮すれば、第二GKとしてより相応しいのはカリウスよりもミニョレでしょう。もちろん、能力的にもミニョレはカリウスと遜色がないレベルにあるので、彼もまた第二GKとして見れば優秀です。問題はミニョレも退団に傾いていて、残留がイメージしづらいということでした。

ただ、結果的にカリウス自身が移籍を望み、(本人の意思かどうかはせておき)ミニョレは残留しました。おそらく、カリウスの退団は避けられなかったでしょう。彼が精神的な問題を抱えていたことを考えれば、この夏にリバプールを離れるというのは正しい選択だったと思います。

とはいえ、いくらアリソンを獲得したからといって、カリウスとミニョレのどちらも今夏手放すのはあまりよろしくないです。移籍市場のルール改定により市場が開幕前に閉まる今夏、追加でもう1人、ミニョレ級のGKを連れてくるなんて余裕はありませんし、そもそもGK総入れ替えなんて危険すぎます。

ミニョレも出場機会を理由に移籍を希望していたので、彼が割を食った感は否めません。とはいえファーストにアリソン、セカンドにミニョレというのは、結果的にリバプールにとってみれば(少なくとも今夏においては)ベストなGK編成になったと思います。

あとがき

ミニョレ、移籍が出来なくて激おこミニョレ丸です。一時期はバルセロナ移籍なんてトンデモな報道もありましたが、あれは結局どうなったんでしょうか。リバプールがバルセロナ移籍に傾くミニョレを引き留める、なんてちょっと失礼ですが最高に面白くないですか?

ミニョレの代わりとなるGKを獲得出来れば、晴れてミニョレは移籍となりそうですが、問題はそれがいつになるかですね。冬の市場が開幕して、そこでリバプールがGKの獲得に動こうが動かまいが、ミニョレ(と彼の代理人)が移籍に向けて躍起になるのは間違いなさそうですが…。

お読みいただきありがとうございました。それではまた別な記事で!

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