スタッツから読み解くリバプールの総論 〜「戦術」かそれとも「選手層」か〜

klopp
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グラッド
KOP歴14年|リバプールFCラボ |数字で語る欧州サッカー 運営|@LFCjpにコラム寄稿|デジタルマーケティング的な仕事|ニュアンス翻訳|

‪2017年に入り大失速したクロップ率いるリバプール。総論としては、リバプールが勝てなくなった一番の問題はやはり「選手層」。異常な走力を前提とするサッカーを1シーズン継続するために、また、戦い方を適切にチューニングするためにも層の厚みが足りなかった。‬

‪選手層はここから厚くなることはないので、その中でなんとか勝たなければいけない。そんな状況で打ち手を間違えたり、なぜか遠征後にコンディション不良だったりするものでクロップが批判の的となっている。ただ、今季CL権を獲得することが最低銀のラインだとすると、適切な選手を揃えられなかった時点でかなり雲行きが危うい。補強資金に企てるキャッシュが欲しかったのか、中期的には構想外である人員を整理したかったのか枚数が足りない中で、アレンやマルコビッチを外に出し、サコを干してしまったことがやや悔やまれる。‬

 

‪筆者としてはダニー・イングスが戦力として捉えられており、マネがアフリカ杯で離脱する時期のジョーカーとして計算されていたのではないかと考えている。夏の市場でゲッツェやプリシッチに絶え間なくオファーを出していたことを考えると、アタッカーはもう一枚欲しかったのだろうがイングスがいるので枚数的にはギリギリ足りる算段だったのかもしれない。イングスの長期離脱が発表されたのが11月。彼がいれば勝点2や3は上積みできたかもしれない。‬

‪クロップは「マネが抜けることは当初からわかっていた」と冬の市場が開く前から語っていたので、新戦力を連れてくる算段が立っていたのではないかとも考えたが、実際はそうではなかった。オファーは悉く空振りに終わり、来夏への布石にはなったかもしれないが、冬の補強はゼロに終わった。マネが早めに帰ってこれたことで最高のコンディションでスパーズ戦に臨むことができたのは幸運だったが、FIFAとのいざこざでマティプを一定期間使えなかったのは誤算であった。スワンズ戦で彼を使えず2-3で敗れたことは記憶に新しい。その他、ジャンの不調やヘンダーソンとコウチーニョの離脱、スタリッジのフィットネス不足なども相まって、リバプールの選手層が十分ではないことは誰の目にも明らかになった。キャラガーは勝点を落とす度にそのことを口にする。‬

 

‪他方「選手層が足りないから仕方ない」では済まされないのが監督業だ。モイーズは「ベイルが来るはずだった」と嘆いてユナイテッドを追い出され、サンダーランドでも「約束が違う」と言いながら窮地に立たされている。クロップは、今、選手層について語ることの無意味さを理解している。コンディション調整のために暖かい地でキャンプをしたり、カップ戦は露骨なまでにメンバーを落としたり、フォーメーションを細やかに調整したりと試行錯誤しながら複数の施策を打っている。ただ、その結果が数字に表れない理由は対戦相手に対策され始めていることであると筆者は推察する。‬

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