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Footballistaを中心とする大手メディア、ならびにnoteやYouTubeなどで一般ユーザーの間にもどんどん浸透し今まで以上に大きな注目を集めている「戦術」。監督同士の奥深い駆け引きとそれを実現する選手の逞しさを理解するとフットボールの味わいが増す。
一方、分析記事を読み、そんなことがあったのか!と完全に事後でしか唸れないイタツ。理解が深まった喜びと同時に、なんでぼくには見えないの、と焦る。 憧れつつも一向に目が育たない戦術分析。なんとかならないものか…。
それなら詳しい人と試合を見ちゃえばいいじゃないか!
というわけで、3月7日ランチタイムキックオフで行われたプレミアリーグ第29節リバプール対ボーンマスの試合をLFCラボが誇る戦術班メンバーと観戦し、プレビュー、生解説、レビューをして頭を鍛えようというイベントを開催しました。
座談会記事のように会話のプロセスから”戦術クラスタ”の頭の中をさぐっていきます。少し長いですが、COVID-19に伴うお暇のお役に立てればと思います。
それではプレビュー編から!
- プレビュー編
- 戦術分析との出会い
- 試合の見方
- ボーンマスについて
- リバプールのサイドについて
- スタメン発表
- リバプールの人選
参加メンバーは以下の通り。
講師:トリコレッズ(戦術班筆頭)
木靴屋(戦術班・ウィルソンウォッチャー)
学生:イタツ(現地特攻班)
タクヤKOP(デザイン・カルチャー班)
戦術分析との出会い
イタツ:今日はありがとうございます!僕はFootballistaで読んで衝撃を受けて以来、戦術の話を読むのが好きなんですよね。スポーツだから体を動かすことのほうが重要だ、と思い込んでいたんですが、むしろ体を動かすことと同じくらいそっちが主体なんだな、と。 LFCラボ戦術班筆頭のトリコさんは、戦術分析の世界に出会ったのにきかっけはあるんですか?
トリコレッズ:難しいですね笑 性格だと思います。いろんなことが起きている、その理由が知りたい、と思ったことが最初だと思う。
タクヤ:プレー経験はあったんですよね。
トリコ:小学生までですけどね。センターバックだったので、センターバックが好き。やっているときは分かってなかったです。辞めてから俯瞰して見れるようになって、サッカー面白いなと思うようになりました。それがちょうどバルセロナが流行っていた時期くらいかな。あの時くらいから今のようなモダンな戦術の話というのが盛り上がっていたのでその流れに乗ってみたいな、というのがありましたね。
イタツ:見ていたものに仕掛けがあるんだろうなと思って色々考えていた、と同時に一般的にも戦術分析というものがポピュラーになってきた、ということなんですねえ。
トリコ:そうですね。
イタツ:すごい!ちゃんと乗れてる人ですね笑
一同:笑
イタツ:木靴屋さんはいかがですか。
木靴屋:僕は小中高プレーしていて。トリコさんと同じように、やっているときはわかってなかったですね。突貫小僧だったんで笑。やめてから試合見るようになって、Twitterとかでそういう分野を知った。特に『フットボール戦術批評 』 に書かれている方々のブログを追ったりしてました。
試合の見方
イタツ:試合中ってどこを見ればいいんでしょうか。最初は並びとか誰が空いてるとかわかるけど、ずっと追い続けられないんですよね。
トリコ:時間帯にもよりますね。最初5分はあまり見ないです。最初だけ前プレスしたりやたら気合入れようというチームもあるので。そこから15分まではボールを見ずに割と全体を見ます。画面全体を。ボールが動いているのはわかるけど、どこにあるかをだいたい把握しておく程度で。
イタツ:15分くらいまではぼんやりなんですねえ。
トリコ:そうですね。そこまででで大体狙いを把握しますね。
イタツ:どのように起きたことを「狙い」と判断するんですか?
トリコ:単純に繰り返されているかどうかですね。純粋に起こった事をメモに書いていきます。こういうプレーがあった、こういうプレーがあった、と。例えば、今回の予習で見たチェルシー対ボーンマスについてのノートを見ると「チェルシーが比較的早く5バックのブロックを作った」と書いてあるんです。それが今日の狙いかどうかは別として、いったん情報を把握して「さっきもあったな」となったら狙いといえるのではないかと思います。
イタツ:僕は最初の5分に狙いが凝縮されているのかな!と思ってました。
タクヤ:僕もです。
イタツ:いくつものフラグがあって回収されたフラグが狙い、というイメージだと僕の中ではしっくりきます!
トリコ:チームにもよるんですけどね。最初気合入って途中から変わるチームもあります。モウリーニョのユナイテッドとかそうでした。最初はプレスかけてきたのに途中からバスがやってくる笑。
試合の流れ
イタツ:ちょっと違う直感的な話ですが、サッカーって流れとか雰囲気が非常に重要じゃないですか。そういうのは分析に影響を及ぼしますか。
トリコ:それはありますよね。「戦術」と言うと難しいけど、試合で何が起きたかを振り返るときに、1点取って「さあいこうぜ」って気持ちになっているチームはもう戦術云々になっていない状態のこともある。それが面白さでもありますよね。
タクヤ:勝負の流れって結構あるイメージです。麻雀で例えると、変な捨て方するとそのあと全然良いのが来なくなったりするんですよね。僕はもう麻雀ずっとやってないけど笑
イタツ:いま麻雀盛り上がってますよね。Mリーグっていうのが始まって。
木靴屋:全然興味なくても話入ってきますよね笑。
イタツ:知りたくなるくらい興奮したツイート流れてきますね笑。麻雀でも流れは重要なんですね。
タクヤ:逆にそれがすべてですね。運の要素が大きいので。ミスるとほんとツキがなくなる。ツキを手放す瞬間ってのがあるんですよね。
イタツ:ほんとにカイジっぽい笑
Embed from Getty Images
タクヤ:サッカーだと、変なパスミスとかで流れが変わっちゃうことありますね。逆にいいミドルシュートが飛んで雰囲気がよくなったり。僕はそういうターニングポイントを試合中探すのが好きですね。戦術関係ないけど。
トリコ:そこに対して戦術的にできることが選手交代だと思う。チームの調子が上がってきた時に選手入れ替えて陣形変えよう、とか。そこが絡んで流れが変わると面白いと思う。
イタツ:なるほど。そういう意味でも選手層は大事ですね。
ボーンマスについて
イタツ:ボーンマスは442と433を使い分けてるとか。
木靴屋:そうですね433というか、4141というか。でもちょっとよくわからない!笑 あまり内容が変わっているように見えないです。チェルシー戦(第28節)はだいぶ良かったと思いますが。コバチッチとジョルジーニョの脇のスペースを使えていました。そこからゴールも生まれているし。ここ最近では一番ボール回っていましたね。
イタツ:ボーンマスは本当はボールを持ちたいチームですよね。
木靴屋:そうでしょうね。エディ・ハウ(監督)としては。ゴールキックもエリア内で受けたりしてますし。ただそれが今年実っているかと言うと… 前からプレスに行ってはがされてしまってます。ミドルゾーンで構えるのがうまくないですね。結構苦戦しています。
イタツ:「ミドルゾーンで構えるのがうまくいない」っていうのは…?
木靴屋:我慢できない。出ちゃうんです。チェルシー戦の1失点目のキングとかそうです。4141で構えていたけど、左のキングがセンターバック(CB)に出ちゃう。そこで中使われてジェームズまで運ばれクロス入れられている。
一同、DAZN映像を確認。
イタツ:確かに・・!
木靴屋:ここの入られ方は嫌だったなーと思います。
イタツ:ボーンマスの試合一応2試合見たのですが、キングは攻撃でかなり軸になっていましたが、その裏返しで穴にもなっているんですね。
木靴屋:トリコさんも記事で書いてましたが人への意識が強いです。サイドハーフが戻って守備するシーン多いんですが、それで剥がされてる。ハリー・ウィルソンもやられてます。
イタツ:攻撃もサイドが魅力であるのと同時に守備の穴もサイドなんですね。
木靴屋:そうですねキングが時間作ってくれないときついです。
トリコ:面白いですよね。攻撃でサイドすごい行って、ひっくり返されて裏もあるし、ブロック作ってても自動であいてしまう。
イタツ:良さでもあるけど前に出る気持ちが強い選手が多いんですね。
木靴屋:ハイプレスはいい。構えちゃってそこからの守備がうまくない。引くなら完全に引いちゃったほうがよさそう。
リバプールのサイドの管理
イタツ:サイドを攻めないといけないというのはどのチームも戦術としてあると思うんですが、リバプールの場合、サイドが攻めあがった時のリスクマネジメントはどうしてういるんでしょうか
トリコ:正直言ってそこはヘンダーソン頼み笑。
一同:笑
木靴屋:あとダイクですかねえ。
イタツ:リバプールは普通の433ではないですよね。サイドバックがかなり高い位置で幅をとっている。空いた部分はダイクと相方が頑張ってヘンドも下がってきて守備をする。というロジックなんでしょうか。それに支えられてきたのにヘンドがいないからここにきて苦しんでいると。
トリコ:それもあると思うし、ヘンド不在は攻撃的にも厳しいです。どのチームもサイド2枚はいるので、サイドバック(SB)なりサイドハーフ(SH)なり。最悪リバプールのSBとウインガー(WG)をがっつり捕まえておくと2対2でセットになって自由に蹴れない、と守られている所をヘンドが助けに行ってアーリークロス送ったり、逆サイドでロボに渡して入れてもらうとかできていました。それがないんです。いまインサイドハーフ(IH)でいうとチェンバレンは前への意識が高い。ボビーと入れ替わることもある、でもサイドのサポートができていないです。
タクヤ:今日誰がやるんですかね。
イタツ:さて、スタメンを見ましょう!
スタメン発表
📝 TEAM NEWS 📝
— AFC Bournemouth (@afcbournemouth) March 7, 2020
🔺 King out with hamstring injury
🔺 Stanislas comes in out wide
🔺 Team unchanged elsewhere
Here's how we line up for our @premierleague clash with Liverpool.
Live blog 👉 https://t.co/kERDkrz4Hv#LIVBOU // #afcb 🍒 pic.twitter.com/Jb1cDMkXYc
木靴屋:キングがいない!代わりはスタニスラス。
イタツ:ビリング気になります。2節前のバーンリー戦では地道な役回りに見えたのですが、チェルシー戦は攻めに効いてませんでしたか!?
木靴屋:ビリングはリーチが長い。推進力もある。ただプレッシングのタイミングが早い時があるんですよね。いいタイミングで行けると圧迫感は出ます。しかし、キングいないのはでかいですね。
イタツ:カラム・ウィルソンはどうですか。裏に走れるし、収めるのが役割でしょうか。
木靴屋:キングとウィルソン、的が2枚あるのはいいですよね。前半戦はそれが戦法だった。押し込んで、そこからセットプレーという流れが大方。ただそれも減ってきた。ばれたのかな?
トリコ:どうしてくるでしょうね。スタニスラスをどこで使うか。チェルシー戦はキングの代わりに左に入ってました。逆の右サイドは連携もいいです。持ち上がりが早いSBステイシーとその周りを激しく動き回るWGフレイザーがいて。スタニスラスがどちらのサイドに入るか、どういうプレーするか要チェックですね。
木靴屋:逆にウィルソン右、フレイザー左で始まって、ウィルソンが交代して、フレイザーが右にまわってスタニスラス左、ということもあったかなあ。あースタニスラスじゃなくて、ダンチマだったかもしれませんが。
イタツ:・・・!マジでボーンマス見てますね!笑 ほんとにこの試合がランチタイムで良かった!!
一同:笑
木靴屋:ボーンマスは晒されて1対1となると厳しい。アケは強いがそれ以外はあっさりいくシーンも見られる。
トリコ:そうするとリバプールは左を使いたいですね。ステイシー&クックのほうがアケ&スミスより不安はあるし、前はたぶんスタニスラスだし。
(イタツ脳内: なるほど! リーグでも屈指のCBアケ、突破力と連携があるスミスのコンビは手ごわそうなので、その逆から攻めたほうがいいというのは理にかなっているな。)
リバプールの人選
タクヤ:ミルナー!しかしロボがいない・・・ベンチにもいない。
トリコ:アトレティコ戦を見据えてですかね…。
タクヤ:先発予定だったんですが違和感あったので念のため、とのことです。
木靴屋:あーロボが一番酷使されていますよね。
イタツ:急遽SBのミルナーの裏を突かれてしまうんでしょうか。
木靴屋:いやーでも基本的にボールは持つでしょう。
トリコ:CBにゴメスが入ったので、ワトフォード戦よりはいいパスがでてくるはず。
木靴屋:ゴメス、ロングボールがここ1,2か月でうまくなりましたよね。運ぶのはもともとうまかったですが、対角へボールを蹴れるようになったのは驚き。
トリコ:ダイクともうほぼ同じレベル。ロヴレンがきつかったのはそこです苦笑。ボールの持ち方ちゃんとして、いいとこみて、縦のパス出さないと攻撃詰まっちゃうのにな、っていう。出せるときに出せていないところは多々ありました。厳しい相手でいいパスコース消されていたというのはありますけど。左サイドでいうと、ロボとマネはいいコンビネーションでスピードアップしてましたが、ミルナーとマネの連携はどうなのか、気になります。
イタツ:サイドのコンビネーションほんと大事ですね。
トリコ:今は生命線ですね。
イタツ:リバプールはいつも通り中から攻めてだめならサイドバックから?
トリコ:そうですね。ただ最近気になっているのがジニのポジションの低さ。ファビーニョと並ぶような位置でボールさばいてそのままだったことがあった。ジニが奥まで進出してるかどうか、を気にしたい。逆にチェンバレンが出て4213気味だったこともある。そこでバランス取れてればいいが。この前は縦パスが入らなかったこともありチェンバレンが前に行っても何にもならなかった。
木靴屋:チェンバレンも難しい。スペースありきのプレースタイル。中途半端にミドルプレスかけてきたところでその後ろで持てればミドルシュートにとって最高の場面を作れるがボーンマスがどう出てくるか。
トリコ:チェンバレンは17-18のシティ戦。あれは彼の一番生きるMAXのパフォーマンスだった。
イタツ:チェンバレンの一番の魅力はミドルレンジなんでしょうか。
トリコ:そうですね。逆に繊細さがない。大事なパスがずれるときが結構ある。
イタツ:ミドルシュートを決めさせるための設計もあるんですか?
トリコ:たぶんそれが昔のストーミングリバプール。中盤の選手の動きが激しくなりますが、その分相手をひっくり返した後のスペースができやすくなります。チェンバレンが持ち上がるにはいいスペースがあったが、今は引かれちゃうので、そうなるとなかなかいきにくい。他に手がないとはいえ、IHこの2枚はすこし不安。
木靴屋:この2枚はミドルパスがなくなる。ジニはリンクマンとしていいが、長い展開がない。
トリコ:そうなるとロボもいないし、やはりアーノルド、ダイク、ゴメスのロングパス蹴れる勢に注目したいですね。長いパスでの広い展開を逆サイドにたくさん見せられると、調子のいい時のリバプールという感じになる。サイドチェンジがたくさん出せるか。
ポイント
ボーンマス:サイドの人選/1対1の弱さ
リバプール:ジニが前に行けるか/サイドチェンジ
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タクヤ:さて、みなさんずばりスコア予想は!
トリコ:地味に…。1-0かなあ。 ほんとにハラハラすると思う!
木靴屋:2-1かな 点は取れると思う。まあスコア予想に意味ないですから!
タクヤ:3-1で!
イタツ:イタツは夢を見て3-0です!
試合&レビュー編へつづく!
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