【リバプール対戦相手分析】マンチェスター・U〜奢ることなく勝利を掴め〜

The following two tabs change content below.
トリコレッズ

トリコレッズ

日本ではマリノスファンなので、Redsの虜(トリコロール=マリノス)という意味でトリコレッズという名前にしました 戦術・選手分析などをしていきたいと思います

いろいろありながらも、未だにプレミア開幕から全勝を保っているリバプール。今節は、永遠のライバル 、マンチェスター・ユナイテッドとのナショナルダービーです。

Liverpool FC公式サイトより引用

黄金期を迎えんとしているリバプールに対して、まるでかつての我々を見るような混迷を極めるユナイテッド。ですが、この試合だけは特別な気持ちを持って挑んでくるでしょう。我々も油断なく立ち向かい、叩きつぶすまでです。

というわけで、今回は2週間前の前節、ニューカッスル対マンチェスターのユナイテッド対決を振り返っていきましょう。さぁ、「弱い方」と呼ばれるのはどっちだ!!(にやにや)

ニューカッスル1-0マンチェスター・U @セント・ジェームズ・パーク

スタメンはこちら。ニューカッスルは新加入の快足ドリブラーサン・マクシマンがこの日も強烈なパフォーマンスを見せます。

また、我々として気になるのは左SBのウィレムス。強烈なパワーを誇る攻撃的左SBで、リバプールも失点を許しました。

Embed from Getty Images

一方のユナイテッド、怪我人続出で苦しい台所事情になっています。個人的には、マタってこの夏を過ぎてもまだユナイテッドにいたんだっていう感じがするんですが、相変わらず良い選手です。

とはいえ、今シーズンのユナイテッドの“ウリ”はやはり左WGのダニエル・ジェームズでしょうか。ベイルともギグスとも例えられる、ウェールズ出身の快足ウィンガーです。

Embed from Getty Images

今調べていて分かったんですが、この選手のフルネーム、「ダニエル・オーウェン・ジェームズ」。

うん、敵。アンバサダー?なんだそりゃ?

Embed from Getty Images

ユナイテッドの攻撃〜瞬間的には良いものを見せている、が〜

さてさて、それではまずユナイテッドの攻撃から見ていきましょう。

ビルドアップ時のフォーメーションは4-2-4とでもいうべきでしょうか。ウィンガーが1列上がり、CFとトップ下も合わせて相手DFラインに警戒を強いる形です。ニューカッスルが引いて対応していたためもありますが、バックラインとボランチ2人は比較的自由にボールを持っていました。

その中で特に前半、ビルドアップにおいて目立っていたのがハーフスペースの使い方。ユナイテッドのビルドアップは、絞ったウィンガーや下りてきたCF(ラッシュフォード)、あるいは少し流れたトップ下(マタ)がハーフスペースに入り、そこからサイドなどへ展開する姿が見られました。

具体的に見てみましょう。25分10秒ぐらいのシーン。

マクトミネイ㊴がボールを持つと、ウィンガーのジェームズ㉑が絞ってハーフスペースに入ります。ジェームズが空けたサイドのスペースは、ヤング⑱が上がってきて埋めます。

ボールを受けたジェームズは上がってきたヤングへ展開。ここで巧みだったのが、マタ⑧の動き出しでした。サイドのヤングにボールが渡ったことで、ニューカッスルのディフェンスライン(イェドリン㉒とシェア⑤)はそれぞれスライドしてヤングとの距離を詰めます。ここでラッセルズ⑥もスライドすればスペースは生まれないのですが、マタがあえていったん逆に動くことで、つられたラッセルズはスライドすべき方向と逆に動き、シェアとの間に大きなスペース(白丸で示したもの)が生まれてしまいます。マタはそこを目指して動き直します。

受けたマタはもう一度ヤングのいるサイドへ展開。その間にラッシュフォード⑩が中央に飛び込み、ヤングのクロスを合わせる形が整いました。

サイド深くを取ったヤングからクロス。ですが、ラッシュフォードはニアに飛び込まず一瞬立ち止まったため、ヤングのクロスと軌道が合わず、シェアにクリアされました。

全体の崩しとしてはかなり良かったと思うのですが、ここが現在のユナイテッドの問題点のように感じます。最後のフィニッシュの段階でどうする?という形が明確には見えてこず、チーム全体として共有されている感じがないのです。まぁ、例えばモウリーニョ時代にも個のタレントの力をもって最後の3分の1を突破するシーンは多く見られたチームではありますが、現在は突破できていません。つまりは、単純にユナイテッドの前線のタレントがそのときに及ばないということでしょう。だとすればそれを解決するための戦術が必要なはずなのですが、それが見えてこないのが今のユナイテッドの苦しいところです。

とはいえ、ユナイテッドはもっとサイドから適当にクロスを放ったり、突破力のあるウィンガーに任せてクロスを放ったり、なんだかんだで81本クロスを放ったりするイメージだったのですが、ある程度論理的な崩しを見せているんだなぁと感じました。単発ではありますが。

その際に重要な役割を果たしていたのはマタ。やはりこの選手は非常にサッカーIQが高く、細かくポジショニングを取り直すことでフリーでボールを受け、チームのポゼッションを潤滑にしていました。

Embed from Getty Images

しかし、後半マタが下がってからは、チームとしての連動した崩しというものはなかなか見られなくなってしまいました。ボールを受けた選手とそこに一番近い選手ぐらいは連動しているものの、3人目まで意識して動いていないため、スペースを作ってそこを使う、というところまで利用できていません。

その中で、連動が見られた数少ないプレーがこちら。68分近くのプレーです。狙いは、相手3バックの脇のスペース。

ユナイテッドがボールを保持しています。マグワイアから、サイドに開いたヤングへパスが通ります。ニューカッスルは(ややガタガタしていますが)5-4-1で対応しています。

ヤングへの対応にはイェドリンが出て行きます。一方、中央ではラッシュフォードと交代投入のグリーンウッドがいるため、3バックは簡単に外に開くことは出来ません。こういう場合、大抵は空いたスペースにマクシマンが下がって対応していましたが、それもこの場合は間に合わず、ペレイラへのマークができていません。

ペレイラがボールを受け、クロス。ラッセルズが一応対応していますが、間に合ってはいません。クロスはファーサイドへ流れたものの、3バックの構造的な弱点を突いた崩しが出来ていました。

多分、選手の感覚的に狙うべきところは分かっているのでしょう。それをもっと構造化して、狙って突くことができるようになれば……と思います。

ユナイテッドの守備〜基本的な問題は解決されていない〜

次は、ユナイテッドの守備を見てみます。……といっても、根本的な構造は昨年レビューしたときと変わりません。問題は、前線とバックラインが分断されており、押し込まれた際の守備がボールウォッチャーになりがち、という点です。では見てみましょう。26分40秒ぐらいのシーンです。

ユナイテッドのコーナーキックがニューカッスルに奪われた直後です。ニューカッスルはバックラインでボールを回し、ユナイテッドはそれに対して前線からプレスを掛けます。ラッシュフォード、マタ、ジェームズがそれぞれ前に出て、フレッジも(即座に後ろに戻りますが)プレッシングで前に出てきています。ニューカッスルはプレスとの対決を避け、シンプルにロングボールを放り込みます。

ロングボールはサイドへ流れたジョエリントンへ。トゥアンゼベと1対1になります。まず、一つ気になるのは、前からプレスに行ったのにバックライン低くない?ということ。前からプレスに行くなら、バックラインももう少し上げてコンパクトに保つ必要があるように感じます。この場合は被カウンターだったので仕方ない、とも言えますが、セットされた守備の時にも見られていた問題です。

ジョエリントンは上がってきたアルミロンへ落とします。その間に、ユナイテッドの選手は下がって(ニューカッスルの選手は上がって)きます。

アルミロンがボールをキープすると、トゥアンゼベに加えて下がってきたフレッジ、ダロトも対応。1対3で対応!というと堅い守備っぽいですが、ゴール前で3人も使うということは、必ずどこかにフリーができるということです。ここでは、M.ロングスタッフにプレッシャーがかかっていません。

ロングスタッフはマクシマンへ展開。すると、今度は下がってきたペレイラとマクトミネイが対応します。マグワイアやヤングが余っているのですが、そこで上手くマークを受け渡したりはせず、目の前に来た選手にボールが入ればみんな対応する、という感じです。

マクシマンの突破は許さなかったものの、そこで時間を作っている間にロングスタッフに対するカバーが効いたりするかというとそうでもありません。結局、マクシマンがロングスタッフに返したボールへのプレスがかかり切らず、シュートを許しました。バー直撃で事なきを得ます。

実は、ユナイテッドの失点シーンもそんな感じ。ユナイテッドのCKを奪ったニューカッスルはカウンターを仕掛け、マクシマンがドリブルで持ち運ぶと攻め上がってきたウィレムスへ。ユナイテッドの守備陣はそれぞれの選手に集中しすぎ、飛び込んできたM.ロングスタッフへの守備が甘くなっていました。またもやバイタルエリアからのミドルシュートを許し、失点していました。

リバプールの目線からすると、狙い所としては、深く押し込んでからバイタルエリアへ飛び込んでシュート、というのが見えてくるでしょう。そういえば、昨シーズンのユナイテッド戦の2点目も、左サイドを突破したマネにユナイテッドの守備陣が5〜6人ほどつられ、マネからのクロスのこぼれ球にシャキリが詰めたシュートでした。

勝負のポイント・キープレーヤー

1. SB裏のスペースを封じられるか

あくまで印象として、それほど規律だった動きを見せている印象のなかったユナイテッドですが、狙った場所を崩すための連動した動きは、ニューカッスル戦でも何度か見られました。リバプール戦で狙ってくるとすれば、SBの裏でしょう。攻撃的で時には前線まで張り出すことが多いリバプールの両SBは、諸刃の剣としてその裏に広大なスペースを残すことがあります。その部分を、スピードとテクニックがあるユナイテッドのウィンガーに使われないようにすることが非常に重要です。

キープレーヤー:ジョエル・マティプ

Embed from Getty Images

……これどういう体勢なんだ……?

まぁそれはともかく、昨シーズン中盤以降評価を高め続けているマティプ。元々総合的なレベルの高いCBではありましたが、特に今シーズンに入ってからは出色のパフォーマンスを見せています。難しい対応を迫られるシーンもあるでしょうが、彼が守備で先手を取り、ダイクがバランスを見るというコンビネーションを見せられれば盤石でしょう。

2. バイタルエリアからのミドルシュートを沈めよ!

何度も触れてきましたが、深くまで入り込んだときのユナイテッドのバイタルエリアには大きなスペースが空きます。そこからミドルシュートを沈めるのが、ユナイテッド攻略の一番の近道という感がします。

キープレーヤー:ジョルジニオ・ワイナルドゥム

Embed from Getty Images

今シーズン一番苦しんだといってもよいシェフィールド・ユナイテッド戦でも、今回のインターナショナルマッチウィークでも、火を噴いたのはジニのミドルシュートでした。彼は、決めるべきところで必ず決める男です。

少しだけジニについて語らせて頂くと、ジニは「空いたスペースを感じとる能力」が高い選手です。なかでも特筆すべきなのは、そのスペースに早く入りすぎないこと。

前にスペースが空いていると、相手にばれないうちにそこに入り込みたいため、味方がそこにボールを送り込む準備が出来る前にそこに飛び込んでしまうことがあります。すると、自分で自分のスペースを潰してしまう場合も、少なくありません。

ですが、ジニが後ろから飛び込んできてシュート!という場面を思い出してもらえばわかるように、彼はトップスピードのままシュートを放つことができます。それは、つまりギリギリまで待ってスペースに飛び込んでいるということ。一瞬待ってシュート、などの「間」がないため、相手DFはジニを捕まえることができないのです。


確かに、ユナイテッドは今、かなり厳しい時期を迎えています。恐らく、暗黒期といってもよい状態でしょう。かつてチームを支えたような圧倒的タレントがチームを去り、タレントがいないときでも絶対的なカリスマ性で勝利に導いてきた指揮官も、今はスタンドで見つめているだけです。

一方の我らがリバプールは、まさしく黄金期の入り口に立っていると言えるでしょう。昨シーズン、リーグ戦ではシティに惜しくも栄冠をさらわれましたが、プレミアリーグ史上3位の勝ち点を獲得。またCLでは、獲得回数単独3位となる6度目のビッグイヤーを勝ち取り、一昨シーズンの雪辱を晴らしました。ピッチを見ても、アリソンやダイク、ロボ、そして説明不要のフロントスリーなど、世界トップクラスの選手が勢揃いです。指揮を執るのは世界随一のモチベーターで、分析班や各種コーチにも隙がありません。数字や状況だけをみれば、リバプールが負けるはずがないでしょう。

しかし、それこそがダービーマッチの恐ろしさ

我々だってあの地獄のような時期、それでもユナイテッドとの試合だけは勝利を掴み取ったことがあったはずです。ダービーマッチとはそういう試合です。

彼我の状況の差に慢心し、十分な準備を怠れば、赤い悪魔は一瞬で我々から勝ち点をさらっていくことでしょう。しかし、逆に言えば、しっかりとした準備をすれば我々の方が強いチームで、勝利を勝ち取ってしかるべきす。それは結果が示していることです。

やってやりましょう。慢心無く、勝利を掴み取りましょう。それこそが、我々が望みに望んだプレミアリーグのタイトルへの推進剤になってくれるはずです。

それではまた。YNWA。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA