【リバプール対戦相手分析】サウサンプトン〜ハーフスペースの攻め合いに?〜

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トリコレッズ

トリコレッズ

日本ではマリノスファンなので、Redsの虜(トリコロール=マリノス)という意味でトリコレッズという名前にしました 戦術・選手分析などをしていきたいと思います

皆様お久しぶりです。トリコレッズです。
なんというか…前回の投稿からかなり経ってしまいましたね。どうも失礼しました。
元来大学院生というものは必要に迫られないとやらなくなってしまうもので…いや、正直言って投稿した2つのネタ以外良いネタが思いつきませんでした。
あとあの分析は我ながら細かくしすぎて負担が高く、ちょっとそれ以降面倒くさくなっていたのも事実です。たぶん、読んで下さった皆様も結構疲れたのではないでしょうか…?

と、いうわけで、マイペースに続けられるぐらいのもので、定期的に投稿できる様な企画がないもんかな〜と思っていたところでふと気がつきました。

「そういえば、試合レビューはあるけど、プレビューはあんまりないな」
「リバプールについての分析とか解説とかは多いけど、対戦相手の詳しい分析はあんまりないな」
「ビッグチームについてはリバプール以外のチームでも選手がわかるけど、中堅以降はよくわかんないな」

まぁ、対戦相手についてのレビューまでしないのはリバプールFCラボだし当たり前なんですが、試合前に相手チームについての分析があってもいいのでは?と思ったのです。

なので、これからやっていくのは、

「次節リバプールが対戦するチームの、今節の試合レビュー」

です。僕の視聴環境によってそのチームの試合が見られない場合もありますので全試合出来るかというと微妙ですが、とりあえず出来る試合についてはやっていこうと思います。
まぁ、僕が必ずしも詳しくないチームについての記事なので、試合前に軽く頭に入れておこう、的な感じでお読み下さい。


さて、というわけで今回は、PL第12節でリバプールが対戦するサウサンプトンのPL第11節、
サウサンプトン対バーンリーの試合を、サウサンプトン目線でレビューしていきましょう。

スタメン・フォーメーション図

あんまりこの2チームに詳しくないのが申し訳ないですが、どうやらサウサンプトンはフルメンバーのようです。右センターバックについては吉田麻也とウェスレイ・フートがポジション争いになっているようで、前節ではフートが先発でしたが、今節は吉田麻也です。
バーンリーでいえば、昨シーズンユナイテッド戦で止めに止めまくってイングランド代表に選出されたことで印象深い、トム・ヒートンが負傷離脱していることぐらいでしょうか。しかし、その代役として出場しているニック・ポープも良い活躍を見せています。

試合全体の流れ

前半からサウサンプトンがボールを握って崩そうとするも、バーンリーの4-4ブロックを崩すことが出来ず。アイデアにも欠け、ガッビアディーニへのロングスルーパスとレドモンドのドリブルぐらいしか目立った攻撃がありません。バーンリーも同様で、激しいプレスを見せるというわけではなく、奪ったボールを早めにウッドにつけようとするも吉田・ダイクに空中戦で奪われる形が続き、試合は膠着。

後半に入ると、セインツの選手達が流動的に動くようになり、バーンリーの守備陣を混乱に陥れるシーンが何度か見られるようになります。セインツが優勢に試合を進めますが、中央の迫力不足で決定機寸前までは行くのですがそこからが遠い印象。

Embed from Getty Images

すると迎えた81分、バーンリーが左サイドからのドリブルでカットインし右に展開するとそこからグドムンドソンがクロス。吉田麻也を振り切った途中出場のサム・ヴォークスがヘディングをゴール右隅に流し込みバーンリーが先制。セインツは反撃を試みましたがフィニッシュまで行けない攻撃は変わらず、そのままタイムアップ。0-1でバーンリーが勝利しました。

試合スタッツ

Premier League公式サイトより引用

スタッツからも分かるとおり、セインツがボールを保持してシュートに持ち込んでいることが分かりますが、一方で枠内シュートが3対1と大差ないこと、バーンリーのクリアが35回を数えていることなど、それほど有効な攻撃を仕掛けることが出来ていたわけではないことが分かります。一方でバーンリーとしても、クリアが多くシュートが少ないことから一発を狙って耐えていたことが伺えます。

サウサンプトンの攻撃

サウサンプトンのビルドアップ時の基本的な配置は上図の通りです。
セインツの監督はマウリシオ・ペジェグリーノ。ベニテスの元でリバプールやインテルにおいて助監督を経験した後、主にスペインで監督として活躍。我々にとっては昔なじみなんですね。

昨シーズンはアラベスを指揮し、レンタルのマルコス・ジョレンテ(←レアル・マドリード)やテオ・エルナンデス(←アトレチコ・マドリード:夏の移籍市場でレアルへ移籍)を擁して躍進。その手腕を買われ、クロード・ピュエルに代わって今シーズンからセインツを指揮しています。

Embed from Getty Images

図を見てみると、ビルドアップの形は最近流行の5レーンを意識した形。今シーズンのリバプールに近いといえるのではないでしょうか。
両サイドバックが幅を取り、ウインガーが絞ってハーフスペースを占めます。バーンリーによる、セインツのセンターバックへのプレスがそれほどきつくなかったこともあり、吉田・ファンダイクは共に比較的自由にパスを出すことが出来ていました。
CBからはボランチに繋ぐパターンが多かったですが、5レーン理論の基本は「目の前の選手は同じレーンに入らない」なので、ダブルボランチはどちらか、比較的にはロメウが一列下がるパターンで縦関係になることが多かったです。ダブルボランチは基本的に縦横自由に動いてビルドアップの潤滑油としてよく働いていたように思いますし、1トップのガッビアディーニも最前線に張り付いていたわけではありません。

そこからはサイドに開いてジグザグに展開していくパターンが多かったですが、ここで印象的な活躍を見せていたというか奮闘していたのが、左のハーフスペースに入っていたレドモンドです。
ボランチからの縦パスをレドモンドが下がりながら受けるパターンが多かったのですが、不思議なのがレドモンドが下がって空いたスペースを埋める動きが一切無かったことです。そのため、レドモンドはボールを受けてからそのままドリブルで切り込んだり、サイドに流してから自分の開けたポジションに自分で入り直したりと、試合前半においてはビルドアップの出口としては有効な手立てがレドモンドぐらいという状況でした。

もう一つにはボランチからガッビアディーニへロングスルーパスを直接蹴り込むパターンがありましたが、精度やタイミングの問題で可能性は見いだせず。
ガッビアディーニはスピードもあるし飛び出しのタイミングも悪くないのですが、それほど良いボールが来なかったこともあり、この試合を通して彼は存在感を見せることが出来ませんでした。

1つ見て頂きたいデータは、WhoScored.comから、選手の試合を通じての平均ポジション図です。

WhoScored.comより引用

左がセインツ、右がバーンリーなのですが、セインツの並びはほぼビルドアップ時のポジションそのままになっていることが分かります。それほど、この試合ではセインツがボールを握っていたことが分かります。

後半になってセインツの攻撃は改善しますが、それは選手がライン間を斜めに移動したり、パスを貰いに下がってきたりする動きが活発化したため。むしろ、前半は様子見だったのではと思わせるところもあります。
また、前半には見られなかったソアレスのオーバーラップが見られるようになり、右サイドの攻撃が活性化したことも大きいでしょう。ソアレスは攻め上がりのタイミングは良かったのですが、クロスの精度がこの日はよくありませんでした。

また、ゲーゲンプレスで奪いきってからのショートカウンターの形もそれなりに見られました。

サウサンプトンの守備

試合前半はそれほど見られませんでしたが、後半になると前線からのプレスを敢行。トライ&カバーもそれなりに徹底されており、バーンリーのビルドアップ能力が高くないこともあって相手の攻撃を封じ込めることに成功しています。

どこかに追い込んで潰すというのではなくて、ゲーゲンプレスで潰しきることに成功している場面が結構多かったです。
2,3列目は精力的に走り回っており、特にダブルボランチの二人は守備範囲が広い印象を受けました。

逆に、リトリートしての守備には少し疑問点が残りました。これについては後述します。

サウサンプトンのキープレーヤー

No.22:ネイサン・レドモンド
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何度か紹介しましたが、前半はこの人が非常に奮闘していました。
アジリティが高く、スピードもあり、スタミナにも優れるようです。左のハーフスペースで受けたボールを自らドリブルで切り込んでシュートに持ち込むなど、周囲の助けがそれほどない中で気を吐いていました。

No.14:オリオル・ロメウ
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3列目以降からは、攻守のリンクマンとしてパスを散らすだけでなく、ガツンとした当たりで敵の攻撃の出鼻をくじく役目を担っていたこの選手。サウサンプトンが攻勢に出ていた時間帯においては、彼が攻守において試合を仕切っていたと言えるでしょう。

他にも、右サイドを果敢なオーバーラップで駆け上がりクロスを供給したソアレスや、安定したパフォーマンスで攻守に存在感を見せたファンダイクなどが挙げられると思います。まぁ、ファンダイクを知らないKOPはいないとは思いますが…

サウサンプトン総括

攻守にわたって曲者という感じを受けます。試合後半に限ったことですが、攻撃面ではしっかりとしたコンビネーションのもとモダンなビルドアップを実現していますし、守備面ではサボることなくハードワークしています。

ではなぜこの試合に負けてしまったのでしょうか?
それは、

  1. フィニッシュ精度の欠如
  2. リトリートしたときの守備の連携不足

この二つがあげられると思います。

まず、フィニッシュ精度ですが、崩しが悪いわけではないため、これは個々の能力に寄るところが大きい気がします。
言い換えれば、そう簡単には改善されないということです。

また、リトリートしたときの守備の連携不足については、特に両サイドにおいてサイドハーフ・サイドバック・センターバックがどのように連携するのかがイマイチはっきりしません。吉田とソアレスが共にプレスしてしまって簡単に裏を取られるシーンもありましたし、失点シーンでは左サイドでブファルとバートランドが上手く連携できず、どちらが行ってどちらが引くのか曖昧なままクロスを自由に上げさせてしまったことが失点に繋がりました。左サイドに繋がるまでの間でも、どこを取りどころにするのか明確でなく、レドモンドやデイビスのランはプレッシャーになっていません。

WhoScored.comのMatch Summaryの欄、セインツのStrengthsに書かれていた言葉はかなり辛辣です。

“Team has no significant strengths(このチームには特に強みはない)”

リバプールのキープレーヤー

サディオ・マネ
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まぁ、言ってしまえばこの人は全ての試合でキープレーヤーなのですが、今回は特にそのにおいがします。
ソアレスと吉田の連携が遅れているところを突くもよし、ソアレスがオーバーラップした空きのスペースを独走するもよし。
吉田はアジリティーがあるタイプではないため、マネに全速力のドリブルで突っかけられたら恐らくひとたまりもないでしょう。また、その快足を活かして前からのプレッシャーでも活躍して欲しいものです。CBがフートだったら…まぁ、何にせよキープレーヤーですよね。怪我の具合も気になりますが、途中出場でも違いを作れるはずです。

ジョー・ゴメス

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守備の選手からは、恐らく右サイドバックに入るゴメスをピックアップ。
個人的にはイングランドフル代表に選出され、良いメンタル状態なのではないでしょうか。代表でも調子が良いらしいですしね。
ゴメスは身体能力は高くスピードもあるのですが、逆に身体能力頼みになるところがあり、あっさりと入れ替わられたりポジショニングが悪かったりと守備戦術的な能力には疑問符がつくところがあると感じています。
レドモンドに対して、マティプと連携しながら対応ができるか。重要なポイントになるでしょう。

他にも、試合に出られればの話ですが、ハーフスペースを攻撃することにかけてはララーナは重要な存在になり得るでしょう。また、マネがセネガル代表でハムストリングを悪化させたという噂もあるため、その際にはコウチーニョのドリブルも重要なポイントになるでしょう。


さて、いかがだったでしょうか。
セインツについて真面目に分析したのはこの1試合だけなのでシーズン通しての印象や実力は違う!とお思いの方は、是非コメント欄等でお寄せ下さい。
また、この企画そのものについてのご意見や、他こんなことをやってほしい!というご要望もたくさん頂きたいと思っています!(その方がネタを考えなくて良いので…)

そういえば、KOPの皆さんの間でも、リバプールの攻撃と5レーン理論の関係について少し話題になっていましたね。そういうことやった方が良いですか?(丸投げ)

それでは、今回はこの辺で。

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