リバプールFC 2024-25シーズン・レビュー ~GK&DF編~

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コーク

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選手の分析記事や移籍の噂を メインに好き勝手書きます。 ハンネとアイコンは大好きな コカ・コーラから。

SB

トレント・アレクサンダー=アーノルド

画像出典:LFC公式HP

ピッチ外の喧騒で埋め尽くされていた今シーズンのアーノルド。たまに出るプレー面の話題も、フォーカスされるのは怠惰な守備面ばかり。とりわけリバプール退団の話が過熱したタイミングで行われたプレミアリーグ第20節のマンチェスター・ユナイテッド戦はとんでもなかった。守備はいつも通り緩く、キックは悉く相手選手に飛んでいき、終始ピッチの上をふわふわ漂っているだけ。あの試合を機に出て行ってもらって構わないと感じたファンも多かったことだろう。

多くのリバプール・ファンにとってそうであるように、私にとってアーノルドは特別な選手だった。まして同じ1998年生まれということもあり、当時高校生だった私は「ついにリバプールに同い年の選手が!」と感動し、彼の活躍に心躍ったものだ。だから、アーノルドの退団に思うところがありすぎてとてもこの項では書き切れない。まぁ、だからといって他の記事で彼について書くほどの気持ちは最早ないのだが。

アーノルドの退団について批判されている点の一つに、「移籍金を残さずクラブを去ること」がある。それは彼個人だけでなく、フリーで放出することになったクラブに対してもだ。ただ、移籍金が貰えるからといってクラブがアーノルドを契約期間内に売るようなことがあったかと言われると、そんなことは絶対なかったと私は言い切れる。クラブ視点だとアーノルドを換金していたらファンからの批判は今以上だっただろうし、アーノルド視点から見ても契約期間内に売却せざるをえないような状況(背中が痛いって騒ぐとか)を作り出して無理やり出て行ったら(クラブの抵抗を振り切って出て行くならこれぐらいする必要がある)、たとえお金を残そうがより一層、裏切り者の印象が強く残る。つまり、アーノルドが移籍するならフリーしかありえなかった。フリーでの退団は数年前から計画されていたものという報道もあるがおそらくそれは真実で、残る気がないからこその土台無理な好待遇の要求だったんだろう。だから、移籍する以上はこの形がベストだったと私は思う。

アーノルドは「90分ほとんど守備面でやられていても、キックひとつでゴールを生み出せる」という稀有なスタイルで評価を保ってきた。まるでFWである。ただFWと違ってDFなので、ダメな部分が失点に直結するという看過できないリスクを抱えているが。私はアーノルドに新しいSB像を確立してほしかったが、こういう形を望んでいたわけではない。地元出身の選手だから我慢できていた部分も、違うクラブではそうはいかないだろう。まぁ、夢の移籍を果たしたので頑張るんじゃないか、知らんけど。

それにしても退団を発表してからの言動も酷かったね。「20年間ずっと全てをリバプールに捧げてきた。僕の貢献を認めてほしい」とか言われても、「それであのやる気のない守備?」って感じだし、批判が避けられない移籍を自ら選択しておきながら変わらず愛してもらおうとしているのも虫のいい話すぎて個人的には気に食わない。そもそも数年前から出て行こうと企んでいたのはもう公然の事実なのに「リバプールのことだけ考えてきた」って、なにそれ。優勝パレードに対して「Perfect send off」って言ってたのも厳しい。主役気取りのところ悪いけど、これはクラブのリーグ優勝を祝うパレードであって、誰も君をお見送りするために参加したのではない。改めてこの選手がキャプテンになるという最悪の未来を避けられて安堵している。

だいぶ荒くなってしまった、申し訳ない。まぁ色々と書いたが、アーノルドの放出が戦力的に痛手であることは流石に否定しない。しかし、同時に彼の退団はメリットもあるし、昔と違ってクラブの先が見えないような状況でもない。せっかくなんだからクラブにはこの機会を上手く生かしてもらって、より強いリバプールになってみせよう。

これは個人的に好きなクラブ公式Twitterの投稿。本当はこんな感じで右側にアーノルドがいるんだけど、意図的にカットされていて笑ってしまう。

画像出典:LFC公式HP

コナー・ブラッドリー

画像出典:LFC公式HP

トレント・アレクサンダー=アーノルドが新しいSB像を確立できる(かもしれなかった)選手なら、ブラッドリーは正統派のSBとして最高の選手になれるかもしれない選手だと思う。アーノルドのような尖った武器はないが、速い、蹴れる、守れる、そしてなにより走れるということでSBに求められる全ての能力が満遍なく高く、ちゃらんぽらんな先輩と違ってSB(DF)として正しいマインドを持っている。守備面で甘さが見えるシーンもあれば好不調の波もまだ激しいものの、そこは若さということで目を瞑ろう。真面目にやっていないわけではないし。

そんなわけで今季もアーノルド不在時に概ねいいプレーを披露。特にキリアン・エンバペを封殺したレアル・マドリーとの一戦では目覚ましい活躍だった。ただ同時に、怪我に悩まされたシーズンでもあった。プレータイムがそこまで多くない現状でこの離脱頻度はちょっと困りものだ。ブラッドリーには絶対的な右SBとして君臨してもらいたいのに、このままではまともに場数を踏むことなく終わる可能性もある。ただ、補強するにしても(可能かどうかはさておき)現時点で完成された奴を連れて来たらブラッドリーがまた控えに甘んじて成長曲線が鈍るおそれがある。つまり、補強するならブラッドリーと共存できるいい感じのラインの右SBが欲しい。

そんな中で、十中八九レヴァークーゼンからオランダ代表のジェレミー・フリンポンがやって来る。フリンポンは右SBのみならず(というか右SB以上に)前目のポジションでも力を発揮できるタイプで、サラーの控えというオプションもあるだろう。右SH/WGでもプレータイムを得られるなら、ブラッドリーと共存しやすいはずだ。フリンポンはHGで枠も使わないし、オランダ人いっぱいいるし、馬鹿みたいに明るいキャラクターだし、なにより本人がリバプールに来たすぎて仕方ないみたいな感じだから、言い方は悪いけど雑に扱うことになってもなんとかなりそうなのが魅力。もちろん、現時点ではフリンポンに一日の長があるので、ブラッドリーにレギュラーの座が保証されているわけではない。タイプが異なるのでそこら辺はスロットが相手によって上手く使い分けてくれるだろう。お互いが切磋琢磨し成長していってくれることを願うばかりだ。

アンディ・ロバートソン

画像出典:LFC公式HP

本当に厳しい1年だった!と思う。競り合っても簡単に負けて前に入られるし、一歩が遅れるから簡単にPKを与えてしまう。攻め上がってもクロスは明後日の方向に飛んで、ブレーキが利かないのか簡単にこける…。悲しくなるぐらい身体が追いついていないように見えたし、本人もこんなはずじゃない、と何度も思ったことだろう。今までリバプールのために走り続けてきた結果がこれか、と思うと本当に切ない。

ただ、アーノルドと決定的に違うのは毎試合常に全力を出していたことだ。出来る限りのことをやった上でのことなんだからロバートソンを責めればいいってわけでもない。それに、身体が思うように動かなかったとしても怪我という怪我を全くせずにシーズンを走り切ったのは立派。厳しい言葉を浴びせ続けられた1年だっただろうけど、本人の口から出る言葉は至って冷静だったし。

そんなロバートソンだけど、去就についてはどうだろう。左SBが要補強ポイントであることは間違いないし、獲得が望まれるのは即戦力の新レギュラーだ。そうなると本職の左SBを3枚も抱えられないのでロバートソンかツィミカスのどちらかは出すことになるし、前者に関しては残っても控えに降格することになるだろう。2人同時に入れ替えるという話もあるが、些かドラスティックすぎる気がしないでもない。

個人的には、ロバートソンがバックアッパーを受け入れ、控えの立場からチームを支えてくれるというのであれば彼に残ってほしい。とはいえ、リバプールに加入してから足掛け8年ずっとレギュラーの座を守り続けたプライドはあるだろう。スコットランド代表での主将という立場も考えて、レギュラーとしてプレーできるクラブに移るという選択をしてもなにも文句はない。そうなったときは、これまでリバプールのために身を捧げた世界最高の左SBに心から感謝し、この先の武運を祈るだけだ。

コスタス・ツィミカス

画像出典:LFC公式HP

今年もツィミカスがやるべきことはそれなりにやったと思う。ただ、衰えが著しいロバートソンから終ぞポジションを奪えなかったのもまた事実。一時期のツィミカスは世界最高の左SBの控えといえるような選手だったけど、超絶甘めに見ても今その評価をするのは難しい。「これならツィミカス使った方がマシだろ…」とロバートソンがみんなに思わせた後、負けず劣らずの笑えないプレーを繰り出すツィミカスの姿は今シーズンの名物の一つだった。

ちなみにツィミカスはやらかしたとき、この世の終わりかってぐらいやっちまったって怯えた顔をするのでなんか許したくなる。「まぁ、すげー反省してるっぽいし、なんか逆に可哀想だし、いいか…」みたいな。というかもう普通に走ってるだけなのに今にも死にそうな顔してるからね。そんで、ツィミカスとは違って(失礼)責任感の強そうなロバートソンの方がミスったときに「え、なに?これ俺が悪いの?」みたいな顔をしたり、周りにブチ切れたりするから面白い。まぁそれぐらいのメンタリティの方がプロに向いている気もするので、どっちがいいってわけじゃないけどね。

ツィミカスの明るすぎるキャラクターは誰もが知るところであり、これまで見せてきた控えとしての正しい振る舞いを踏まえると、ロバートソンと彼のどちらを残すかは意見の分かれるところだろう。個人的には前述の通りロバートソンが控えの立場を受け入れて残ってくれるなら彼を選びたいが、それが叶わないならツィミカスでも構わない。7:3でロバートソンといったところだ。なんかロバートソンもツィミカスも退団しそうなコメントをしていてどうなるかわからないけど、もしツィミカスが移籍することになったら是非ともレギュラーとしてプレーできるチームに行ってもらい、毎試合のように死にかけた顔で走ってほしい。

おわりに

こういうテイストのシーズン・レビューがあってもいいかなってことで個人的に新たなチャレンジだったんですが、いかがでしたでしょうか。ちょっとでも楽しんでいただけたら幸いです。それでは続きのMF & FW編か、また別な記事で!お読みいただきありがとうございました!

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