【リバプールに居場所はあるのか】南野拓実の3年間を振り返る

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26lover

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ロバートソンが好きな人です。 ロボの影響でスコットランド代表も追ってます。 リバプールについて多角的に掘り下げていきます。

3年目の進化 そして現在の居場所

引用元:LFC公式Twitter

サウサンプトンからローンバックでリバプールに戻ってきた南野。サウサンプトンからの完全移籍の打診やスペインのセビージャからの関心も報じられたが、彼はリバプールで挑戦を続ける道を選んだ。代表の活動を早めに切り上げてリバプールのキャンプに参加する姿からは、出場機会に恵まれずとも常に努力を続ける彼の覚悟が感じられた。

今シーズンのプレミアリーグではアーセナル戦でゴールをマークしたものの、出場機会は乏しく途中出場で数分出番がある程度。さらに、この冬加入したルイス・ディアスが元々の能力の高さに加え、想像以上に素早くフィットしたことから南野はさらに厳しいポジション争いを強いられている。そんな現状からリーズ・ユナイテッドへの移籍も一部報道で取り立たされ、SNS上では『もはやリバプールに彼の居場所は無いのだから早く移籍したほうが良い』や『南野は飼い殺しにされている』といった意見を目にすることもある。

筆者は、南野が望むのであればリバプールに彼の居場所はあると考えている。確かにプレミアリーグという主要コンペティションで出場機会はほぼ与えられておらず、スタメンやコンスタントに出場できるスーパーサブとしての居場所はないといっていいだろう。

しかし、注目すべきはカップ戦での活躍だと思う。フル出場を果たした試合のほとんどで得点という結果を残し期待に応えている。特筆すべきはやはりカラバオカップ準々決勝のレスター戦だろう。レスターに2点を先行され、アレックス・オックスレイド=チェンバレンで1点を返したリバプールだったが、ジェームズ・マディソンに決定的な3点目を決められてしまった。しかしそこから南野のアシストでジョタが反撃の狼煙を上げると、95分に南野が起死回生の同点ゴール。チームはPK戦の末、準決勝へ駒を進めた。結果としてリバプールはカラバオカップ優勝を果たしている。彼の活躍なくしてこのトロフィーに手が届くことはなかっただろう。

この活躍の価値ある点は、単にカップ戦でタイトルに繋がる働きをしたことにとどまらない。カップ戦でも勝利を積み上げ、タイトルに繋げたいだけならプレミアリーグと同じようにベストメンバーで臨めば良い。しかし、リバプールはシーズン中にプレミア38試合に加えてチャンピオンズリーグ、カラバオ杯にFA杯と過密日程をこなす必要がある。怪我を回避するためにもうまくターンオーバーをしながら戦っていかなければならない。相対的に重要度の低いコンペティションや消化試合には、敗戦の可能性を受け入れつつメンバーを落として臨むことになるが、言わずもがな勝利できた方が良い。複数タイトルの獲得のみならず、資金的余裕の少ないリバプールにとって賞金の面でも美味しいからだ。そういったことを考慮すると南野はターンオーバー要員として満点に近い活躍をしたと言えるだろう。

加えて、彼はこの役回りをこなす能力を十分に兼ね備えている。今シーズン示した決定力、守備にも奔走する献身性。比較的怪我も少なく、ベストなコンディションを保つ努力をしているのだろう。何より、繰り返し先述している彼の良さである、出場機会に関わらずひたむきに努力する実直さやチームに貢献しようとする利他的な性格があったからこそ、カップ戦でいざ出番を与えられた時にベストパフォーマンスを発揮出来たのだと思う。例えば、控えポジションを争っていたシャキリは実際に出場機会を求めて移籍した。オリギは今季怪我での出場不可が続いたし、何よりコンディションに波がある。(これを異次元のミラクルスターである彼に言ってしまうのは結果論のような気もするが)

ターンオーバー要員としての現状を受け入れつつ、それでもなおリバプール残留を望み、最高のコンディションを目指して勤勉に努力することを惜しまない。これらの要素を加味すると、彼は誰もがやりたがるわけではないが、チームには必要なこの役割に適任と言えるのではないだろうか。クロップからもこの面では大きな信頼を得ているに違いない。

財政的な面に触れると、彼の給与は激安ではないが決して高いものではない。それに加え、講談社とのアンバサダーに就任したことを始めスポンサーシップなどでクラブに潤いをもたらしている。数少ないアジア人選手として、日本や周囲の国々からリバプールに注目を集めることもできる。もちろんこれだけで彼の居場所が確保されることはないが、これらの要素も彼の挑戦に前向きな影響を与えるだろう。

ここまで、彼の居場所はあくまでターンオーバー要員としてのものだという主張をしてきた。現時点ではそうなのだが、もちろんプライオリティの高い舞台で活躍するチャンスはゼロではない。筆者も彼の挑戦を応援する1人として、最後に前向きな観測を述べてこの記事を締めくくろうと思う。

彼が移籍してきてから最も良いパフォーマンスだったと思う試合が、FAカップ5回戦のノリッジ戦である。まず、課題として抱えていたボールロストに改善が見られた。この試合ではいつものように簡単にロストしてしまうことがなく、粘り強く倒れそうになりながらもボールを繋いだり、テクニックを駆使して足元でキープしたりする場面が多くあった。適切な体の使い方を覚えたのか、フィジカルトレーニングの成果が出たのか、真相は定かではない。しかし、勤勉な取り組みの結果が出たことは確かだろう。さらにポジショニングにも改善が見られた。この試合は右ウイングとして先発した南野だが、中央でのプレーにこだわりすぎることなく、適切に自分の役割を把握し大外でもボールを要求していた。(今回の起用法が彼の得意な役割に集中できる条件だったというのもあるが)探してもらうのではなく自らが適切なポジショニングを取り、リンクマンとしての役割を果たせていたのは大きな収穫だ。

南野の未来

引用元:LFC公式Twitter

出場機会に恵まれずとも諦めることなくひたむきに努力し、重要度の低いコンペティションで期待通りの結果を残して主力選手の休養に貢献。南野拓実は困難な状況に苦しみながらも、ターンオーバー要員としてリバプールでの居場所を確保した。スポンサー契約でもチームを潤し、彼はリバプールにとって必要な選手になった。

これからも南野には非常に厳しいポジション争いが待ち構えている。ディアスも加入し、厚みを増した攻撃陣に割って入るのは至難の業だ。スタメンとして活躍できる試合は多くないだろうし、プレミアリーグでコンスタントに活躍できる可能性は極めて低いだろう。しかし腐らずに努力を続ければ、主力選手のイレギュラーな欠場によってチャンスが回ってくることもあるかもしれない。

現在、南野の去就は不透明なものとなっている。仮に移籍した場合、リバプールと同じか高いレベルのチームに再び所属することは難しいだろう。そういった意味で、これは彼がどこまで上り詰められるかという彼自身との最後の戦いとも言えるのではないか。

個人的には、彼が望む限りリバプールに残留して挑戦を続ける事はできるだろうと考えている。限られた出場機会になるだろう。しかしリバプールファンとして、日本人として、彼の挑戦が終わるその日まで、1人イギリスの地で奮闘する彼の活躍を願っていようと思う。

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