木靴屋
最新記事 by 木靴屋 (全て見る)
- 何冊読んだことがある!?まごうことなきリバプール本紹介 - 2021年07月06日 火曜日 6:45 PM
- ロベルト・フィルミーノのプレースタイル/プロフィール解説│リバプール選手名鑑 - 2021年03月09日 火曜日 2:26 AM
- 何故”フェア”なVARは嫌われるのか? - 2020年11月22日 日曜日 2:41 PM
1990年4月28日、リバプールは18度目のリーグタイトルを手にした。優勝を目前としアンフィールドにQPRを迎えた一戦、早々に先制を許すもイアン・ラッシュとジョン・バーンズのペナルティで逆転勝利を収める。一方のヴィラパークでは優勝を争うホームチームが終了間際に同点を許したことで、リーグ戦2試合を残してリバプールの栄冠が決定した。しかし、当時は優勝を喜びさえすれど熱狂とまではいかなかったという。それは15シーズンで10度という優勝への“慣れ”や、それ以上に1年前のヒルズボロの悲劇で負った深い傷が原因としてあったのだろう。結局、この89-90シーズンを最後に72-73シーズンに始まる黄金期は幕を閉じ、30年もの間リーグタイトルから見放される事となるとは誰も予想しえなかったが。
89-90シーズンは 2位に9ポイント差となる79ポイントを稼ぎ優勝を果たした。アーセナルに1-0で勝利しコミュニティシールドを制す幸先のよいスタート切ったシーズンは、初戦でマンチェスター・シティを3-1で下した後の2試合はドローに終わるも、クリスタルパレス相手に9点を挙げる勝利などで首位に立つ。続くノリッジ戦でスコアレスドローに終わったことでエバートンにトップを明け渡すも、1週間後のダービーマッチによりグディソンパークでその座を取り戻す。
しかし、ここまで無敗できていたリバプールは9節でサウサンプトンに1-4で敗れたことで歯車が狂いだす。セインツ戦後の1勝を挟んでコベントリー・シティとQPRに連敗を喫してしまう。その間のカップ戦も含めるとリバプールは5試合で4敗となった。また、続く2試合の後にはヒルズボロへの帰還 という更なる試練がレッズには待ち受けていた。試合結果は0-2での敗戦であったが、それ以上に難しく、苦しいものであったとダルグリッシュは語る。
心理的に大きな壁であったヒルズボロ以降、一転してリバプールは13試合無敗を記録する。マンチェスター・シティに4-1で快勝、スタンフォードブリッジでチェルシーを5-2で下すなど、12月末には2位に4ポイント差をつけて首位を走っていた。年が明けてもリーグ戦の無敗は継続し、トッテナムに敗れるまでおよそ4ヶ月間続いた。そして、その後は黒星を付けることなく走り抜け、ホームでのQPRとの優勝決定戦を迎えた。
ダルグリッシュのもとで37試合に出場したディフェンダーBarry Venisonは「3年間タイトルから遠ざかることさえ信じられなかったのだから、30年間なんて想像もしなかった」と語る。 決まり文句となってしまっていた「89-90シーズンを最後にリーグ優勝がない」というフレーズも、ユルゲン・クロップの指揮するチームの2019-2020シーズンのプレミアリーグ初制覇により決別を果たす。クロップは昨季のCL決勝後の記者会見で「このトロフィーは始まりにすぎない」と述べたりクラブにタイトルを積み上げている。ファーガソンやベンゲルが去り、長期政権はもはや難しいと囁かれるフットボールシーンにおいて、新たな黄金期を築くことが待ち望まれる。
Embed from Getty Images【参考資料】
・the Athletic “Liverpool’s 30 years of hurt”
・Four Four Two “Remember, bigheads, we need to go and win it again!” How Liverpool reacted to their last title victory“
“How the Liverpool empire came to crumble – the whole story of the Reds’ last title win, 30 years on“
・the Guardian “‘This is only the start’, says Jürgen Klopp after Liverpool’s Champions League triumph – video“
・『エルゴラッソ』リバプール完全読本
コメントを残す