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基本プロフィール
- 選手名:ネコ・ウィリアムズ
- 生年月日:2001年4月13日
- 国籍:ウェールズ
- 身長:183cm
- ポジション:RB
- 背番号:76
- クラブキャリア:リバプール(ENG/19-20~), フラム(ENG/loan:21-22)
- 市場価格:€ 8.00Mill.
- 契約終了年:2025年6月30日
プレースタイル
ストロングポイント
弱冠19歳にしてリバプールのトップチーム入りはもちろん、ウェールズ代表でも地位を築きつつある期待株の右SB。そんな彼の持ち味は、左右どちらの足からも繰り出すことのできる鋭いキックと積極的な攻撃参加だ。
キックの能力は同ポジションの先輩でもあるトレント・アレクサンダー=アーノルドには及ばないが、それでも若手のSBとしては申し分のないクオリティを持っている。2020/21シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ・アヤックス戦にて、ボールを左足に持ち替えてからのクロス供給が功を奏し、同世代のスカウサーであるカーティス・ジョーンズの決勝ゴールをアシストしたシーンはその好例だろう。
攻撃参加への意識も高く、味方がボールを保持していれば積極的にペナルティエリア付近に侵入する姿勢を見せる。細かいボールタッチでプレスを掻い潜ったり、縦への突破を試みる味方に糸を引くようなスルーパスを通したりと、攻撃時のバリエーションも一定数持ち合わせる。2020年に行われたUEFAネーションズリーグのブルガリア戦において、試合終了間際に味方のクロスに合わせてゴール前に侵入し、ヘディングで決勝点を決めるといった一面も見せた。
この年齢にして既に様々な攻撃パターンを選ぶことができる点と、それを実行しようする度胸には目を見張るものがある。今後経験を積むにつれてどれだけ引き出しを増やしていけるか、非常に楽しみな選手だ。
守備に目をやると、一番光るものを感じさせるのは球際でのプレー。体幹はそれなりに強く、タッチライン際でボールを持った相手に積極果敢なタックルを仕掛け、攻撃の芽を摘む場面も少なくない。加えて、183cmというSBにしては恵まれたサイズも魅力。スピードに強みのある選手ではないため、筋肉量を増やしていき、純粋なパワーを伸ばしていくのも一考かもしれない。
高いクオリティを常に求められる環境下でプレーしている故に、現状のネコに物足りなさを感じるサポーターも少なくないだろう。ただ、この年齢のサッカー選手という広い括りで見た時の仕上がりは相当なものを持っているようにも思えるため、クロップが2019-2020シーズンにカーティスやハーヴィ・エリオットと共にトップチームへ抜擢したのも順当な成り行きと言えるのではないだろうか。
ウィークポイント
まず、不安材料としてあげられるのは純粋なスピード。この部分に関してはやはり物足りなさを感じさせる。せっかくボールを持って前にドリブルしても相手の選手に並ばれるが故にブレーキを強制させられ、結局横や後ろにパスをするシーンが度々見受けられる。
そのため、ストロングポイントで述べた細かいボールタッチを活かして中に切り込んで勝負するスタイルに舵を切るのも有りかもしれない。とはいえ、こちらも頻繁に成功させられる保証もなければ、そもそもそういった状況でSBが横の広大なスペースを空けて中央への突破を試みるのが賢明な判断かと問われればそうではない。
スピード以外での攻撃面では(年相応で見れば)可能性を感じるため、ネコの攻撃力を生かすか殺すかは今後彼が采配を受ける監督たちの裁量に賭かっているのかもしれない。
また、球際の強さに光るものを感じさせてくれる反面、純粋な守備力にはまだまだ不安が残る。読みの甘さから簡単にクロスを上げられたり、ドリブルで中に切り込まれたりするシーンは少なくない。前述の通りスピードがないため、一度裏を取られると簡単に追いつくことができない。そのため、ネコが守備を務めるエリアが対戦相手に狙われるのも些か仕方が無い。
ただ、守備における純粋な身体能力を差し引いた技術的な部分は年を重ねて経験を積んでいくことによって培われるものである。そういったことを考えるとむしろこの年齢の選手にいきなりクレバーな守備対応を求める方が酷と言える。これからさらに学びを蓄積し、判断能力やクレバーさを身に着ける可能性を秘めているので、まだまだ諦めるにはもったいない。
ウィークポイントというほどでもないが、可能であれば求めたいのが複数のポジションをこなす能力。現状では務められるポジションが右SBのみであるため、出場機会は乏しい。レギュラークラスのクオリティはない以上、ジェームズ・ミルナーや南野拓実のように、ユーティリティ性によって試合に出る機会を確保できると成長の速度を加速させられるのではないだろうか。
右SBには押しも押されもせぬアーノルドという高すぎる壁があり、このポジションでしかプレーできなければ彼の不在時(あるいは休養を与えたいとき)にしか出場機会を得ることができない。ただ、彼自身トップチーム入り前には攻撃的MFやウイングでのプレー経験があるとのことなので、今後他のポジションで起用される可能性が0とも言い切れない。
ここまで述べている通り、現状ネコがポジションを争うのは今やチームにとって必要不可欠な存在となったアーノルドであり、その壁はそう容易く越えられるものではない。しかし、彼が持ち合わせている武器をもっと磨き、やがて彼にしか果たせない使命を与えられる存在になった時。チームにとって何かしらの面におけるオンリーワンと言える選手になった時。彼の目の前の道は今以上に広がっていくように思える。
エピソード・小ネタ
◆彼のファーストネームである「ネコ」。偶然にも日本人からしたら愛くるしい動物を思い浮かべるだろうが、どういった意味があるのか。明確には分からないが、一説によると「勝利の人々」の意を持って名付けられるのだとか。ネコの両親がどういった意味を込めてその名を与えたかは不明だが、何にせよ滅多に見ない興味を惹かれる響きであることに変わりはない。
余談ではあるが、英語版Wikipediaで「ネコ(Neco)」という名の有名人一覧を調べると8人の人物がリストアップされるが、何とそのうち6人がサッカー選手。もしかしたらこの名前を持った男の子はサッカーをやる宿命なのかもしれない。
更に余談が続くが、リバプールのDF陣にはネコを含めて実に3人の選手の名前が日本語の動物名を持っている(ネコ・ウィリアムズ【猫】、リース・ウィリアムズ【栗鼠】、オザン・カバク【河馬】)。そして、それとはベクトルが変わるが、左サイドバックのアンドリュー・ロバートソンの通称は「ロボ」。
リバプールのDF陣が右からネコ、リース、カバク、ロバートソンという布陣になった場合、そのDFラインはiPhoneの絵文字で表現することが可能だ。
🤖🦛🐿🐱
(筆者はiPhone勢なのでこう書いたが、Android勢がどうなのかは知らない。)
◆遡ること5年前の2016年。彼はTwitterにて1枚の写真を投稿。そこに写っていたのは少年時代のネコとデイビッド・ベッカムの2ショット。ベッカムと言えば、かつてはリバプールの長い歴史におけるライバルであるマンチェスター・ユナイテッドでプレーをしていた選手。一方のネコ少年は2009年からリバプールの下部組織でプレーしている選手だ。ライバルチームのレジェンドと写真を撮ることに抵抗は無かったのだろうか。
TB to when I met david beckham 😆😮 pic.twitter.com/NTA4nshaqj
— Neco Williams (@necowilliams01) March 2, 2016
◆2020年のカラバオカップ3回戦、リンカーン・シティ戦後。この日、試合でのパフォーマンスが低調だったネコは多数のファンから心無い言葉をSNSで浴びせられた。そしてこれを受けた彼は、SNSのアイコン画像とヘッダー画像を真っ黒にするという別れた直後のカップルアカウントみたいな行為に走った。ネコの行動はひとまず置いておくとして、SNSの普及により世間のネットリテラシー低下を感じさせる出来事であったと言えるだろう。日本でもSNSを利用した有名人への誹謗中傷トラブルが後を絶たないが、こういったネット上のマナーが守れない人間は各国共通でいるということだろうか。ネコの事例に鑑みて、今一度自分自身のネットリテラシーを振り返り、トラブルを起こさないように気をつけたいものだ。
◆前述の通り、10代にしてウェールズ代表を果たした上で代表初ゴールもあげている彼。このゴール、代表デビュー2戦目で決めたものであるというところはさすがの一言。ちなみにそんなウェールズ代表の最年少出場記録を持っているのは、同じリバプールのハリー・ウィルソン。
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