リバプールのCCO、ビリー・ホーガンの紹介〜リバプールのマーケティング面を支えるプロフェッショナル〜

The following two tabs change content below.
ヘンリー

ヘンリー

ヘンリーです。FSGやオーナーであるジョン・ヘンリー関連の記事を書いていこうと思っています。基本まったりとやっていきます。

お久しぶりです、ヘンリーです。

今回の記事では、リバプールのチーフ・コマーシャル・オフィサーのビリー・ホーガンについて紹介いたします。今回の記事の流れとしては、始めにホーガンの略歴を紹介した後、ホーガンが推し進めている施策の中から「アンフィールドのメインスタンド命名権」と「アジアにおけるマーケティング」についてホーガンのコメントを入り口に紹介していきます。

今回の記事でも引用が多くなり、読みにくい点もあるかと思いますが最後までお読み頂ければ幸いです。

では、始めます。

1略歴

ビリー・ホーガンはスポーツ業界に入る前、Giant Screen Films映画会社において、映画配給担当ディレクターとして働いていました。その後、ANCスポーツ(ニューヨークに拠点を置くスポーツマネジメント会社)において、スポンサーシップディレクターとなり、2年間働いていました。

2004年にフェンウェイ・スポーツグループ傘下のフェンウェイ・スポーツマネジメントに入社し、FSGとの関係をスタートします。同じ年に、フェンウェイ・スポーツマネジメントのマネージングディレクターに就任し、同社の運営戦略をとりまとめ、推進する役割を担っています。

ホーガンが推進した主なスポンサーシップ契約は以下のようなものがあります。

  • NBAのスター選手、レブロン・ジェームズとのパートナーシップ契約
  • ボストンカレッジアスレティックスとのスポンサー契約
  • プロゴルフのPGAツアーイベント、ドイツ銀行選手権とのスポンサー契約
  • CVS薬局とのフェンウェイ・パークにおける広告契約 など

また、野球がシーズンオフの時期におけるフェンウェイ・パークでのイベント開催についても、以下のように推進しています。

  • フェンウェイ・パークでのプロアイスホッケーの試合「Frozen Fenway」の開催
  • プロサッカーチームのアメリカツアーにおける会場の提供。

その後2012年に、リバプールのチーフ・コマーシャル・オフィサー(CCO)に就任し、リバプールで働き始めます。同じ年に、ニューバランス傘下Warriorとの契約を締結し、推定年間6,500万ポンドでの6年契約を調印。2013年には、スタンダード・チャータード銀行とのユニフォームスポンサー契約を結んでいます。

2アンフィールドのメインスタンド命名権とフェンウェイ・パーク

ホーガンが取り組んでいる施策の一つに、改修したアンフィールドのメインスタンドの命名権の売却があります。

フェンウェイ・スポーツマネジメント時代にホーガンは、フェンウェイ・パークでのスポンサー契約も担当していました。フェンウェイ・パークは特徴的な構造をしており、レフトに巨大なフェンスである、「グリーン・モンスター」が存在しています。

もともとはこの「グリーン・モンスター」には座席が付いておらず、ただのフェンスとして存在していましたが、FSGが行なった球場拡張工事において座席が新設されています。

以下に挙げる二つの画像は1992年の時と2012年の時の「グリーン・モンスター」の画像なのですが、企業広告が格段に増えていることが見えると思います。ちなみに左下にあるのが前述した、CVS薬局の広告なのですが、フェンウェイ・パークのシンボルである「グリーン・モンスター」を活かし、広告収入の増加を図っていることが見て取れます。
Embed from Getty Images
(1992年のグリーン・モンスター)
Embed from Getty Images
(2012年のグリーン・モンスター)

このフェンウェイ・パークで企業広告を確保するという経験をアンフィールドでの命名権売却でも活かせるとホーガンは考えているようです。

Among the bumper commercial deals he secured for the Red Sox was one with CVS Pharmacy, who sponsor the ballpark’s high left field wall, the Green Monster.

“The fact that we’ve been through this process at Fenway Park means we’ve hopefully got that experience to take advantage of,” Hogan said.

彼がレッドソックスのために確保した商業取引の中には、球場のレフト側にある高い壁であるグリーン・モンスターをスポンサーするCVS薬局があります。

「フェンウェイ・パークでこのプロセスを進めてきたということは、その経験をうまく利用できるようになったことを意味するのです」とホーガン氏は語った。

http://www.liverpoolecho.co.uk/sport/football/football-news/exclusive—580-million-reasons-7922473より引用

以上のようにサッカーとは関係無い、野球のスタジアムについて紹介してしまいましたが、この「グリーン・モンスター」の広告とアンフィールドのメインスタンド命名権の共通点として挙げられるのが、FSGがスタジアム全体の命名権を売却するのではなく、「特徴的な一部分」を使って広告収入を増加させようとしている点です。

ホーガンは以下のように語っています。

“We wouldn’t consider selling naming rights for the stadium as a whole but in terms of the name of the Main Stand that’s something we will look at.

“We’ll be looking to bring in a number of new partners. A naming partnership for the stand would make sense.”

「我々はスタジアム全体の命名権を売ることは考慮しないだろうと思います。しかし、メインスタンドの名前に関して我々は注目しています。」

「我々は、数多くの新しいパートナーを加えようと考えていますので。スタンドのネーミングパートナーシップは理にかなうものとなるのです。」

http://www.liverpoolecho.co.uk/sport/football/football-news/exclusive—580-million-reasons-7922473より引用

アンフィールドとフェンウェイ・パークはどちらも非常に歴史のあるスタジアムです。確かに、スタジアム全体の命名権を売却すれば高額な広告収入を見込むことができますが、伝統あるスタジアムでそれをやろうとすると、ずっと呼ばれてきた名前を変えることになりますので賛否が分かれてしまいます。

以前の記事でも言及いたしましたが、FSGは両スタジアムの歴史と伝統を重視しておりますし、その重要性も認識しています。このメインスタンドの命名権における広告戦略も、フェンウェイ・パークという伝統ある球場を運営してきたFSGのノウハウを活かしたものであると言えます。

3ホーガンのコメントから見る、アジアにおけるマーケティング戦略

ビリー・ホーガンはインタビューにて、アジアにおけるマーケティングの重要性についてコメントしています。

“Asia is incredibly important for us,” he tells me in one of his first interviews since his promotion. “More than half of our fanbase is located in Asia … when you think about the most recent surveys, Liverpool’s fanbase is over 700m on a global basis and a big contingent of that is based in Asia.

「アジアは私たちにとって非常に重要です」彼は昇進以来、彼の最初のインタビューの一つで私に語っています。 「ファン層の半数以上がアジアに位置しています。最新の調査から、リバプールのファン層は世界的に7億人を超えており、その大部分はアジアに拠点を置いていることが分かっています。」

http://www.scmp.com/sport/soccer/article/2073764/how-liverpool-fcs-new-md-billy-hogan-plans-expand-clubs-reach-china-andより引用

現在、リバプールは香港へアジアツアーを行なっていますが、以前のトム・ワーナーの記事でも紹介したようにFSGは東南アジアや東アジアでのリバプールの人気を十分認知していることが伺えます。

そんな中で、何故、香港なのかというのが頭に浮かびますが、ホーガンによるとその背景にはスポンサーとインターネットが絡んでいるようです。

“Hong Kong in particular is a hotbed and that’s one of the reasons we’re focused on it … it’s also a very important market for many of our partners, especially [shirt sponsors] Standard Chartered of course.”

「香港は特にファンが盛んであり、それが、我々が香港に焦点を当てている理由の1つです。また、多くのパートナー、特にスタンダード・チャータードのような『シャツスポンサー』にとって非常に重要な市場でもあるのです。」

http://www.scmp.com/sport/soccer/article/2073764/how-liverpool-fcs-new-md-billy-hogan-plans-expand-clubs-reach-china-and より引用

Wikipediaでのスタンダード・チャータード銀行の記事によれば、本社はイギリスにある銀行ですが、イギリスでの顧客よりもアジアや太平洋地域に多く顧客を抱えています。中でも、香港は2004年には収益の30%を挙げるなど、スタンダード・チャータード銀行において重要な拠点の一つとなっています。

トム・ワーナーの記事において、リバプールを広告塔とすることを紹介しましたが、このスタンダード・チャータード銀行の例のようにリバプールという『ブランド』を利用しながら、スポンサーの価値を高めていき、その見返りとして多額の広告収入をもらい、それをチーム運営にあてるという点は、FSGの『勝利と利益のサイクル』そのものと言えます。

このリバプールという『ブランド』をさらに高め、世界的なものにしていくためにFSGが注目しているのは、ツアーを行なった際の『現地交流』と『SNS』のようです。ホーガンは以下のようにコメントしています。

“Generally the Asian market is very important, and China is very important as well as a significant part of Asia and one where sport and football is obviously growing and a major focus, not just from a corporate and fan perspective, but also government perspective with president Xi’s soccer reform movement now in place the last few years,” says Hogan.

We’re always focused on what we can be doing in those marketplaces … on-the-ground activities like touring obviously we are relatively limited in the number of times we can bring the first team out; we also do a number of on-the-ground activities in addition to LFC World.

「アジア市場は大変重要であり、アジアはもちろん、中国が非常に重要なのです。スポーツとしてのサッカーが明らかに成長しており、企業やファンの観点だけでなく、ここ数年の国家主席による政策のように政府も重視している」とホーガン氏は言う。

「私たちは、常にその市場でできることに焦点を当てています。ツアー中のような現場での活動においてファーストチームが出場できる回数が限られていることは明らかです。 そこで我々はLFC Worldに加えていくつかの現地交流活動を行なっています。」

http://www.scmp.com/sport/soccer/article/2073764/how-liverpool-fcs-new-md-billy-hogan-plans-expand-clubs-reach-china-and より引用

このLFC Worldでは、ツアー中の現地においてイアン・ラッシュやルイス・ガルシアといったリバプールのレジェンド達と現地ファンとの交流が行なわれています。

http://www.liverpoolfc.com/lfcworld

上に挙げたリンクがLFC worldの公式サイトとなります。

ここでもスタンダード・チャータードが筆頭スポンサーとなっていますが、サポーティングパートナーに日本の「KONAMI」とマレーシアの「マレーシア航空」が入っているように、アジア市場を重視していることが伺えます。

また、ホーガンは以下のようにネットワーク上にいるファンも重視していることを述べています。

“In addition to that we do work very closely on the social media side and digital media side to activate and engage with fans. One thing we’ve been working on over the last several years is not just to expand our social and digital media offering in terms of number of outlets and channels but to look at those channels in terms of local languages to be able to speak to fans directly.”

「それに加えて、ソーシャルメディアとデジタルメディアの面で非常に密接に絡ませることで、ファンを活性化し、関与させています。 ここ数年間、私たちが取り組んできたことの1つにソーシャルメディアとデジタルメディアの提供を拡大するだけでなく、ファンがより『直接』話すことができるようにすることなのです。」

http://www.scmp.com/sport/soccer/article/2073764/how-liverpool-fcs-new-md-billy-hogan-plans-expand-clubs-reach-china-and より引用

 

同じ記事にその具体的な施策が挙げられています。中国におけるTwitterであるWeiboではリバプール関連のフォロワーが200万人おり、リバプール公式のWeChatアカウントを設けるなど中国のSNSに手を広げています。また、TmallとJD.comの中国における2大電子商取引サイトにも専門店を設けるなど、オンライン上におけるリバプールファン向けの取り組みを行なっています。

http://www.liverpoolfc.com/news/first-team/142724-lfc-launch-weixin-account-in-china
(2012年のリバプール公式ホームページによるWeChat公式アカウント開設の案内)

以上のように、リバプールはアジア市場を重視しており、『現地交流』と『SNS等のオンライン』を2つの柱としていることが見えてきたと思います。

トニー・バレットがサポーター・コミュニケーション部門のチーフとなり、その中でSNSによるサポーターとの交流を行うなど、クラブとしてはスタジアムに直接来てくれるファンだけではなく、ネットワーク上のファンに向けた取り組みを重視しています。

今回の記事では、最後のまとめを入れると長くなってしまうため、この章で締めさせていただきます。ホーガン自身とリバプールの広告戦略を紹介しましたが、伝統あるスタジアムを活かした広告収入の確保とスポンサーをリバプールという『ブランド』を活かしながら、価値を高めるという戦略を行なっていることが見て取れたかと思います。

その中でも、記事内で取り上げたようなリバプールという『ブランド』を高めるためにアジア地域に焦点を当てるという面においては、我々日本とも深く結びついてくることとなりますので今後も注目していきたい点となります。

最後にホーガンのコメントを紹介し、今回の記事を締めようと思います。今回も引用が多く、長くて読みづらい記事となってしまいましたが、最後までお読み頂き、ありがとうございます。

“Developing significant revenues from our commercial business is vital to ensuring the club is successful. I wake up every morning focused on generating revenues so that this club can continue to advance.

「広告事業から大きな収入を生み出すことは、クラブが成功するために不可欠です。私は毎朝、収益を生み出すことに焦点を当てて、このクラブが進歩し続けるよう考えながら目覚めているのです。

http://www.liverpoolecho.co.uk/sport/football/football-news/exclusive—580-million-reasons-7922473より引用

参考

リバプールエコーによる、ビリー・ホーガンの紹介記事
http://www.liverpoolecho.co.uk/sport/football/football-news/exclusive—580-million-reasons-7922473

www.scmp.comによる、ホーガンへのインタビューとリバプールのアジアマーケティングに関する記事
http://www.scmp.com/sport/soccer/article/2073764/how-liverpool-fcs-new-md-billy-hogan-plans-expand-clubs-reach-china-and

ミラー紙による、ビリー・ホーガンの紹介記事
http://www.mirror.co.uk/sport/football/news/liverpool-commercial-chief-billy-hogan-4429220

リバプール公式サイトより、ビリー・ホーガンのマネージングディレクター就任(CCOと兼任)
http://www.liverpoolfc.com/news/first-team/119654-billy-hogan-joins-liverpool-fc

LFC world公式サイト
http://www.liverpoolfc.com/lfcworld

Wikipediaでのスタンダード・チャータード銀行の記事

https://ja.wikipedia.org/wiki/スタンダードチャータード銀行

フェンウェイ・スポーツマネジメント公式サイト

http://www.fenwaysportsmanagement.com

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA