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グルイッチ、ヘルタ・ベルリン2年目の現在地
COVID-19のパンデミックにより世界中でリーグの中断を強いられる中、他国に先駆けてリーグを再開したブンデスリーガ。ヘルタ・ベルリンでのローン生活の2シーズン目を過すマルコ・グルイッチはどのようなパフォーマンスをみせているのか。30節終了時点でリーグ戦25試合出場4ゴールを記録。当時の指揮官から「過去20年でクラブ最高のMF」と称された昨シーズンに引き続き、主力としてプレーしている。
再開後の戦績は上記の通り3勝1分1敗と上々の滑り出しをみせ、順位も13位から9位とEL圏も手が届く範囲に浮上した。監督交代に加え、以前のパフォーマンスを把握していないため確かなことは言えないが、中断前は4試合勝ち星から遠ざかっており、チーム状態は好転したと言えるだろう。 チームが上向きの中、グルイッチもリーグ再開後5試合全てに先発出場、終了間際に交代したドルトムント戦を除きフル出場を果たした。また、ライプツィヒ戦はCKから得点も挙げた。
ヘルタ・ベルリンは4-2-3-1 (4-4-2)をベースとして採用し、グルイッチはCMを担当する。チームの構造・グルイッチの役割は以下のように思われる。
攻撃 / 守備→攻撃
攻撃はダイレクトにゴールに向かうプレーの優先順位が高く、CF+SH+トップ下の4枚で攻撃が完結させる。したがって、「守備→攻撃」の局面ではその傾向がより顕著となるためCMが速攻に絡む場面はそう多くない。最終ラインでボールを保持するシチュエーションでも中盤を経由して前進することは少なく、SBから斜めのボールをトップ下や前線の選手に入れ込んでいく。グルイッチは中盤でコンビを組むシェルブレッドなどと比較してやや高い位置を取ることが多く、ボールを受け取る際も展開するような身体の向きは作れて(作って)いない。
カウンター以外で相手を敵陣に押し込んだ局面では、大外に近い位置からもシンプルにクロスを上げる。中央で待ち構える名手イビシェビッチはヘディングで2得点を記録する。サイドを攻略するために一気に逆サイドまで変えるプレーもみられ、グルイッチのロングレンジのキック精度は非常に高いものがあるものの再現度のある活用はなされていないようだ。
守備 / 攻撃→守備
ヘルタの守備は「攻撃→守備」では全体でゲーゲンプレスを仕掛けるよりもブロックを構築し、 定位置守備では4-4-2もしくは4-4-1-1となる。その際にSHが早いタイミングで相手のディフェスラインまでプレッシャーをかける事が多いため、その背後のスペースのケアが求められる。トップ下のダリダがあらかじめスペースを埋めるかCMがスライドし、同一サイドに圧縮することでの対応がみられた。よってグルイッチはこのような状況で比較的広いスペースを守ることが必要となるが、前方向に勢いをつけて相手を止めにいくプレーに関してはアジリティ面に難が感じられた。
ここ数試合を観る限りではリバプールにおけるIHのタスクをこなすのは困難に映るが、中断空けのコンディションやSHの背後のスペースの管理について、「その状況を許容しているか」等も含めた決め事の有無によって出せる圧力は大きく異なる点は留意すべきだろう。一方、セットした状態に入ってくる相手を刈り取る能力には長け、5試合中4試合でチーム最多のタックルを成功させている。
来季展望
2016年1月にクロップ体制最初の補強(シーズン終了まで加入元のツルヴェナ・ズヴェズダでプレー)としてリバプールに加入したグルイッチも24歳となった。リバプールとの契約は2023年6月末まで残し、本人もアンフィールドへ帰還する夢は諦めていない。しかし、Goal.comによるとオリギ、ロブレン、シャキリ、カリウス、ウィルソンと並んで放出候補として名前が挙がる。このような状況だからこそチャンスを与えるべきという論調もなくはないが、報道は概ね売却路線となっている。セルビアの大器はチェルシー戦を超えるインパクトをピッチ上でみせるチャンスを得ることはできるだろうか。
マインツで修行中 タイウォ・アウォニイ
Embed from Getty Imagesブンデスリーガではナイジェリアのアタッカー、タイウォ・アウォニイもリバプールのローン選手としてプレーする。2015年にサインして以来、ドイツ、オランダなどのクラブを転々として今季よりマインツに加入した。正直動くアウォニイは初めて観たのだが、ケルン戦は今季初ゴールを挙げただけでなく豊かなスピードを活かしたチャンスメイクから流れを引き寄せた。中断前はスカット外が続いていたものの、ここ数試合はフル出場を果たし徐々にプレー機会を増やしている。更なる飛躍に期待したい。
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