LFCラボ
最新記事 by LFCラボ (全て見る)
- LFCラボアウォーズ2023結果発表! - 2023年06月11日 日曜日 12:12 PM
- リバプールの21-22シーズン後半戦34試合を一気に振り返る【リバプール雑談ラジオ】 - 2022年08月04日 木曜日 6:40 PM
- LFCラボアウォーズ2022結果発表! - 2022年06月12日 日曜日 5:53 PM
「トニーのおっさん」のリバプール語録とは?
僕はオフィシャルメンバー登録もしてるし、定期的にアンフィールドに赴き、オフィシャルショップの店員から「あなた世界で一番オフィシャルで使ってるわ」と言われるくらいグッズを買いまくるリバプールファンではあるが、地元のファンからすれば『外国人』だ。
— トニーのおっさん (@tonynoossan) 2015年11月6日
Twitter上でリバプールを様々な角度から分析し、その知識の深さから「この人は何者!?」とリバプールファンの間で騒がれている「トニーのおっさん」さん。ご本人にご協力をいただき、リバプールFCラボでは「トニーのおっさん」のツイートを不定期でまとめて記事コンテンツとしてデータベース化していきます。「移籍考察」「試合分析」「クラブ経営」「その他豆知識」など、リバプールの理解を深める数々の語録をご覧ください。
今回はトニーのおっさんによる環境適応の重要性に関する見解をご紹介します。
フットボール選手の環境適応(以下ツイート引用)
ブンデスは移籍で獲得した選手を活躍させる為にまず一般企業における転職のデータを片っ端から集めた。ミランはクラブとして選手にイタリア語を覚えさせる事を徹底したり、アーセナルはリロケーションの専門家をクラブに常駐させた。高い金を払っている以上、選手を活躍させる義務がクラブにはある。選手は基本的に高給取りだが、高い給料が選手の適応能力を高める事は無い。しかしクラブは「高い給料を払ってるのだから」という事を理由に選手へ異なる環境の適応を求める。全く筋違いの話である。買ったものが使えないのは使う人間が悪いのだ。
この様な例の場合、多くの人が選手の移籍の判断を責める。問題はリロケーション能力をクラブが有していない事にある。プラック企業に就職した人は悪く無い。ブラック企業が悪いというのと同じ話だ。つまりこのケースはリーズが悪いのだ。リロケーションの問題は個人に属する問題ではない。誰もが異なる環境に放り出されたら適応するのに苦労するという事が分かっている。適応に対する環境を整えられるかどうかという問題になる。 こういう例もある。選手の言語能力の例だ。
プレミアのあるクラブが選手の言語能力を調べた所、問題なく英語が喋れる事が決め手となって彼を獲得した。そして彼は活躍しなかった。問題となったのは家族の言語能力だった。彼の奥さんも子供も英語が喋れず、彼の家族がイギリスという国に適応出来なかった。その為、その選手は家族の通訳となり生活における様々な処理に追われ、フットボールに専念する事が出来ず、クラブを去った。このケースにおける問題点は何処にあるだろう?もし選手だけを単身赴任させたら活躍しただろうか?ちなみに単身赴任は適応に対する障害となる事が分かっている。
代理人がリロケーションを手助けする例は確かにある。それなら選手1人に対して代理人が1人専属でつくというパターンなら大丈夫と思うかもしれない。しかしこういった例もある。環境への適応を代理人が手助けした結果、選手とその家族が代理人に生活面において依存し、活躍しないというケースだ。子供の転校手続きからパスポートやビザの取得、スーパーで買い出しや家具や家電や引越しの手続きや免許の発行や税金の納付や歯医者の予約etc
こういった事を選手がやりながらフットボールに専念出来るだろうか?もしくは代理人はこういった選手のプライベートな面までケアすべきなのだろうか?補強が上手いクラブは選手の才能を見抜く目よりも環境に適応させる能力が高い場合が多い。初めてフットボールの世界にリロケーションを取り入れたのはオランダだ。オランダは選手を育てて売るという事を突き詰めた結果、外国人選手の適応という問題にいち早く行き着き、リロケーションの専門家を雇ったその結果、オランダの得点王が他のリーグに引き抜かれて活躍しないというケースがよく起きた。そういったケースの多くは選手個人の問題として片付けられてきた。つまり、レベルの低いオランダだから活躍出来たので我々のクラブで活躍できる能力はなかったと考えられた。能力が無いのはクラブの方だ。
海外への移籍を「挑戦」という言葉で考えるのなら、移籍の問題における本質は見えてこない。何を持って成功とし、何を持って失敗と考えるかは複雑な問題になってくる。アネルカの様に移籍の度にサインフィーを要求し、莫大な資産を作った選手もいる。金、代表、タイトル、家族……心臓病の子供を抱え、その難病に対して突出した医療技術のある国へ移籍した選手の例や、愛する彼女を追ってウルグアイからヨーロッパ、リバプールからバルサへ移籍したスアレスの様なケースもある。
どんなクラブでも活躍しなかった外国人選手がいると思う。その選手が活躍しなかった原因が本当に実力不足だったのかは誰にもわからない。活躍しなかった理由の検証を誰も行わないからだ。どんな職場でも、誰かが辞めた後に「自分達が悪かったのでは?」と残った社員が考える例は少ない。だから学問の力が必要なのだ。正しく学んだリロケーションの専門家が1人組織にいるだけで、新しい人材の環境適応は極めてスムーズになる。ちなみにプレミアでは伝統的にこれをキャプテンがやっている。ジェラードの様な地元の人間がキャプテンをやった方が良いというのは、こういった面があるからだ。
そろそろ4月で新入生や新社会人を見かける時期だけど、こういった環境の変化に適応を出来るかどうかは本人の能力ではなく、組織の環境適応能力に由来すると理解していれば少しは気が楽になるかもね。職場や学校に馴染めないのは君は全然悪く無い!職場が、学校が、フットボールクラブが悪いのだ!
<了>
コメントを残す