リバプールサッカースクールが日本で躍進する「6つの理由」

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マジスタ

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LFCラボ@lfc_lab https://lfclab.jp/ |分析|選手名鑑|コラム|レビュー|インタビュー|和訳 YNWA!

クラブが掲げる「The Liverpool way」という哲学でサッカーの指導を行い、その哲学を世界中の子供達に届けているリバプールFC インターナショナル・アカデミー。

近年欧州で躍進を遂げ続けるクラブと共に世界中で人気を集めるアカデミーは、この日本の地でも大きな人気を博し、さらなる飛躍を遂げようとしてる。

人類のキャプテンと謳われたスティーブン・ジェラードを始めとするクラブのレジェンドや、近年成長著しくリバプールの未来を担うと期待されるトレント・アレクサンダー=アーノルドなどサッカー選手としても人格者としても素晴らしい彼らを育成した「The Liverpool way」を本国と同じメソッドで学ぶことが出来るリバプールスクールとはどのような組織なのか。

今回はリバプールFC インターナショナル・アカデミー ジャパンさんに取材のご協力をいただき、欧州クラブのサッカースクールの中でもリバプールのアカデミーが特に高い人気を集める下記の「6つの理由」について迫った。


  1. 正真正銘、本国のアカデミーと同じトレーニングメニュー

  2. The Liverpool way」を学ぶ、人間性を意識した質の高いトレーニングセッション

  3. 誰もがサッカーを好きになり上手くなるポジティブな練習

  4. 高い指導レベルを持つ優秀なコーチ陣

  5. デュアル言語で学ぶグローバルな練習環境

  6. リバプールというチームの成長と人気の高まり


快くインタビューに応じてくださったのはエリス・ニクソンコーチ。「世界最高の選手はモハメド・サラーで2番目は僕だ」と冗談交じりに子供達に説明する来日コーチが、アカデミーに対する想いを伝えてくれた。

①正真正銘、本国のアカデミーと同じトレーニングメニュー

マジスタ
エリスコーチ本日はよろしくお願いします!
早速ですがアカデミーで指導するうえで最も大切にしていることはなんですか?
エリス
我々が最も大切にしていることは本国のリバプールFCアカデミーで行われているプログラムを日本の子供たちに提供すること。
日本に住んでいると受けることが出来ない本国のトレーニングを、僕らが日本に来ることで全く同じものを子供たちに体験してもらうことが出来るんだ。そのことに他のスクールでは味わえない良さがあると思っているよ。

インタビューをおこなう中で最も強いこだわりを感じたのが、この「本国のアカデミーと同じトレーニングメニューを日本で提供する」ということ。
本国のアカデミーが毎年更新するトレーニングプログラムは世界中にあるアカデミーで共有され、そのプログラムを元にトレーニンングメニューはオーガナイズされるという。

ボールを扱う練習をおこなう生徒たちの様子

またプログラムの共有のために、スタッフだけがアクセスすることの出来るウェブサイトが存在し、練習前にもメインコーチ、アシスタントコーチの間でメニューの確認が綿密に行われている様子を拝見させていただいた。

指導哲学だけを学んだコーチがトレーニングを独自にオーガナイズするのではなく、直接的に本国のアカデミーと連携したコーチ陣がそれらを全員で共有し、指導を行うことで、正真正銘-ジェラードやアレクサンダー=アーノルドらも学んだ-本国で行われているトレーニングを日本で受けることを可能にしている。

世界中にアカデミーを持つことで起こりうる指導統一の難化やクラブの意思との相違がなく、「本物の」トレーニングセッションを受けることが出来るということは、他のサッカースクールには見られないリバプールのアカデミーが持つ大きな魅力として人気を博しているようだ。

②「The Liverpool way」を学ぶ、人間性を意識した質の高いトレーニングセッション

マジスタ
The Liverpool wayを学ぶ上で大切なことは何ですか?
エリス
僕がThe Liverpool wayで指導を行う上で大切にしていることは、『このトレーニングをしたからDignityを学ぶことが出来る。これを教えたからUnityをものにすることが出来る』ということではなくて、トレーニングの中にそれらを学ぶ要素を散りばめることによって、子供達が自然にこの哲学を感じとることが出来るようにすることなんだ。
マジスタ
なるほど。
それではThe Liverpool wayを学ぶことでどのような点で子供達は成長できますか?
エリス
まだまだ人として成長段階である子供達を指導するうえで大切なことは、まずは個人の人間形成、その次に集団の中でどう行動するか、最後にサッカー選手としてだと考えている。
例えば練習で使用したビブスやマーカーを自分たちで並べることもそうだし、仲間を助けることもそう。そういった人として大切なことを経験することでサッカー選手としての成長があるんだ。
一朝一夕で身につくはずのないこの概念を子供達が体系的に学ぶうえで、エリスコーチが重視するこの指導には大きな意味があると感じた。

そもそもThe Liverpool wayとは

1. Ambition 夢は叶う。不可能なことはない。
2. Commitment どんなことにも全力で挑む。情熱を注ぐ。
3. Dignity 正直でいること。誠実で信頼される人になる。
4. Unity 仲間の力を最大限に引き出す。団結する。

という4つの価値観がベースとなり形成されるリバプールの哲学のこと。

「仲間と協力し合い、ハードワークを惜しまないこと いかなる困難にも打ち克つ精神力
フェアプレーの精神にのっとり、ピッチ内外のどんな時でも品位ある態度で臨む」

とアカデミーのホームページには言語化されており、これはリバプールというクラブ自体が持つ大きな魅力の一つとなっている。エリスコーチ曰くこういった価値観を持つことは、勝利のために全員が動くと言うサッカーの本質的な部分につながると言う。

実際に取材に伺った日にも、ポジションを与えられない状態でミニゲームを開始した生徒達は、状況の中でそれぞれが今チームの勝利のためにできる動きを考え、プレーしていることを感じることができた。

ミニゲームをおこなう生徒たち(キーパーがエリスコーチ)

また筆者の足元に転がってきたボールを蹴り返してあげると「ありがとう!」と突然取材に訪れた筆者の存在に照れつつも、必ず気持ちの良いお礼の言葉が返ってきた。

サッカーの技術だけを教えるスクールではなく、リバプールの選手達も持つ優れた人間性をサッカーを通じて学ぶことが出来るスクールであるということが人気を集める理由の一つとなっているようだ。

③誰もがサッカーを好きになり上手くなるポジティブな練習

マジスタ
ボールを全く蹴ったことのない子供だったりしても練習に馴染んでサッカーを楽しむことはできるんですか?
エリス
大切なのは子供達が自信を持ってプレーすること。
特に日本だとシャイな子供がすごく多くて、初めてきた子だと練習中に泣き出してしまって、保護者のところに戻っては練習に入ってを繰り返すことも多くあるけど、3~4週間もすると普通にトレーニングに参加するようになるんだ。これは子供達が練習に参加して楽しみながら自分に自信を持ってプレーできるようになった証拠だよね。

練習に関するインタビューの中で印象的だったのが「confidence(自信)」というワードが多く発せられていたこと。

指導に熱が入るがあまりミスをした子供を怒鳴りつけてしまう指導風景は日本ではもはやお馴染みだが、このスクールでは練習中に子供達を怒鳴るようなことは絶対にしないと保護者の方は言う。
自信を持って自主的に行動することは自然にサッカーについて考えさせるようになり、保護者も大きな効果を感じているようだ。

強制しないこと、制限しないことで子供達にconfidenceを持たせることに注力する指導法は、取材中にも随所に見受けられ、練習時間を通して子供達が至極楽しそうにトレーニングに励む様子は筆者にとっても非常に楽しく心地のよい空間であった。

練習前には生徒とコーチの間でハイタッチが行われ、たわいもない会話から良いコミュニケーションが構築される。

コーチは複数の教室で大勢の子供達の指導を行っているにもかかわらず、生徒の顔と名前はもちろん、その全ての保護者の顔と名前を把握し、良質なコミュニケーションから生徒に応じた最適な指導を可能にしている様子を肌で感じることができた。

練習前にハイタッチをおこなう生徒とコーチ

また練習中にマイナスイメージの言葉が聞こえてくると、コーチの1人が「ネガティブワードはやめようぜ!」と声をかける。「注意」に対して拗ねてしまう子供達が出ないような、あくまでポジティブな「声かけ」であった。

練習中には終始コーチが手を叩き続け、貴重な時間の全てを子供達がポジティブな気持ちでサッカーを楽しめるようにデザインされた練習は、子供達が喜んで練習に向かいサッカーを好きになる大きな理由のようだ。

④高い指導レベルを持つ優秀なコーチ陣

マジスタ
リバプールアカデミーの優秀なコーチ達はどのようにして選ばれるんですか?
エリス
僕が日本に来る前はリバプールアカデミーのコーチになるための試験の採用側だったこともあるんだけど、コーチングの上手さだけじゃなくて、他の募集者のコーチングもしっかりと聞いているかや、こちらの指導をしっかりと聞けているかといった、そのコーチの「人となり」を大切にしてきたんだ。そしてコーチとして自信を持って指導できること、自分自身に確固たるものがあることが大切なんだ。

リバプールアカデミーのコーチになるためには、

といった多段階の選抜試験があり、倍率は100人中10人が合格のおよそ10倍だという。

上述してきた質の高いトレーニングは、この狭き門をくぐり抜けた優秀なコーチ陣によって行われるため、リバプールサッカースクールではプログラムとコーチングの両面で高い指導を受けることが可能になる。

またメインコーチとともに指導を行うアシスタントコーチの存在も見逃せない。個性豊かで魅力的なアシスタントコーチ陣はメインコーチに劣らない一流の指導者で、終始質の高いトレーニング時間を提供する上で欠かせない存在だ。練習をアシストすることにも高い技術が必要とされるため、定期的にアシスタントコーチが練習をおこない、それをメインコーチがフィードバックするといったことも行われているという。

徹底して指導者全員に高いレベルの指導力を求め、その全員が本国のトレーニングメニューを共有・把握することでなされる濃密な80分間は妙妙たるものであった。

コーチ陣ひとりひとりに対して一つの記事を作成できるほど様々なバックグラウンドを持つ魅力的なコーチ陣たちの紹介も本記事公開後に順に作成していければと思う。

⑤デュアル言語で学ぶグローバルな練習環境

リバプールFCアカデミーではイギリスで育ったエリスコーチやニールコーチといった来日コーチが指導を行うため、バイリンガルのコーチの通訳を介した英語と日本語によるデュアル言語指導が展開されている。

このデュアル言語指導についてエリスコーチは

エリス
日本では英語を話せることの重要性が高まってきているいることは感じているけど、やはり机に座って英語を勉強させることは難しいよね。
けど身近にあるサッカーというスポーツを通じて仲の良い友達と英語を学ぶことには大きな価値があると思うんだ。普段だと学ばない単語やフレーズも入ってきやすいしね。
不安はなかったけど、最初はチャレンジをしようと考えていた日本での指導も、日本のスタッフがとても助けになってくれるおかげで、今はとても楽しめているよ。
と話してくれた。

練習を見学していると簡単なフレーズであれば子供達は通訳を待たずに理解している様子をみることができ、保護者の方の意見を伺ってもだんだんと英語に慣れていくことを実感しているという。

またスクールには日本以外の国籍を持つ子供達も多く在籍しており、いろいろな国籍の子供達と触れ合うことが当たり前の環境となっている。

子供の頃からそういった環境でサッカーというスポーツを通して、得られる言語やコミュニケーションに関する経験はこの先かけがえのない財産になるであろうと強く感じた。

さらにこのリバプールアカデミーで経験することのできる、年に一度のとびきり特別でグローバルなプログラムとして「現地リバプールのアカデミーへ行くツアー」がある。

本国のアカデミーを訪れて、トレーニング、アカデミー施設の見学、アンフィールドへのスタジアムツアーなどをおこなうこのプログラムは一般的なサッカースクールでは経験することのできないアカデミーならではのプログラムである。

幼稚園・小学生の年代で欧州のサッカーに触れられることはとても貴重な経験になり、実際にこのプログラムに参加した子供達や保護者の方は「人生に一度経験できるかどうかの素晴らしい体験」をすることができたという。

またこのツアーでは奇跡的に当時アカデミーの監督を務めていた「スティーブン・ジェラード」に会うことができたという。
この体験は保証されたものではないにしても、羨ましいことこの上ない。

⑥リバプールというチームの成長と人気の高まり

練習の最後に行われるミニゲームでキーパーを務めたエリスコーチがビックセーブをした際には、エリスコーチ自ら

エリス
アリソーーーーーーン!

と叫び大きな盛り上がりを誘った。

自身がリバプールファンであるという方も多い保護者エリアは笑いに包まれ、KOPである筆者もにやけが止まらなかった。
「C’mon Liverpool!」とチームを鼓舞し、ゴールが決まればゴールセレブレーションを行う。練習の前後には週末のトップチームの試合の話題に触れ、練習の最中にはリバプールの選手の名前が聞こえる。そんな練習風景がたまらなく嬉しかった。

リバプールFC インターナショナル・アカデミー ジャパンの代表を務め、リバプールサポーターズクラブジャパンの会員でもある清水正和さんは
「海外では自分の親が好きなクラブに幼少の頃から親しみ、自然とそのクラブを好きになる。指導している日本の子供たちが親世代になった時に、その子供たちが自然にKOPとなっているようなサイクルを作りたい」と語る。

「ファミリー」を大切にし、この日本の地でも人気を拡大するリバプールというチームで、そのようなサイクルを築くことができれば本当に素晴らしいものであろうし、そう遠くない未来にそんなサイクルが本当に作れるのではないか。

日本でこのサイクルを見てみたいと強く思った。

左から順に、イリヤコーチ、エリスコーチ、奈美コーチ、代表の清水正和さん

最後に

マジスタ
最後に一言お願いします!
エリス
日本はサポーターズクラブもすごく大きな団体だし、日本でこうやってアカデミーをさせてもらうことにすごく意味があるんだ。
クロップが監督に就任してからリバプールはとてもいい時間を過ごせているよね。近い将来に何かタイトルが取れるんじゃないかと思うよ。
そういったときにLFCラボのようなメディアや、我々インターナショナルアカデミー、ファンといった繋がりが一緒に頑張って、リバプールを応援してクラブが盛り上がっていくことはすごく大事なことだと思うから、今回のような機会をくれたことに感謝しているよ。

最後にこのように語ってくれたエリスコーチを含む素晴らしいコーチ陣と、アカデミーへの熱い想いを秘めた代表の清水さんがつくりあげるこのリバプールスクールは、プライスレスな経験と一生モノの財産「The Liverpool way」を学べる日本でただ一つのサッカースクールであった。

子供がサッカーをしている、もしくは始めることを検討している方は、リバプールスクールで親子共々プライスレスな一生モノの体験をしてみてはいかがだろうか。

本記事が日本でリバプールのサイクルが生まれる一端となれば幸甚である。

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