赤黒の悪魔がCLに帰ってきた!ミラニスタと予習する,ACミランってどんなチーム?

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マジスタ

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LFCラボ@lfc_lab https://lfclab.jp/ |分析|選手名鑑|コラム|レビュー|インタビュー|和訳 YNWA!

度重なる選手の負傷に、アンフィールドで6連敗など、一時は本当に苦しかった20-21シーズン。それでもアリソンの逆転弾など終盤は数々のドラマがあり、苦しんで苦しんで、CL出場権を勝ち取ることができました。

やっとの思いで掴んだヨーロッパへの切符。また今年も、眠れないミッドウィークが始まります!

今回は、2006-07シーズンの決勝以来の対戦となる名門ACミランにフォーカス。
相手チームについて知り、チャンピオンズリーグの夜をより深く楽しみ尽くせるよう、ミラニスタの方へ突撃インタビューを実施しました。

快く企画に協力してくださったのはカカニスタさん。
Grande Milanというブログを運営されるミラニスタの方に、ミランの選手の特徴やキーマン、プレースタイルについて分かりやすく教えてもらいました。

カカニスタさんインタビュー(以下インタビュー引用)

今夏のメルカート(移籍市場)の評価

75点

今夏のメルカートでミランは非常に積極的に動き、その結果、実に11人もの選手を獲得しました(※昨季にレンタルで加入していた選手の完全移籍を含む)。
メルカート開幕から閉幕まで絶えず粘り強い交渉を繰り返し、厳しい財政的制約がありつつも課題の選手層を改善することに成功。中には活躍するかどうか未知数の選手もいますが、それらを考慮しても非常に良くやっていただけたのではないかと個人的に感じています。
減点要素としては「トップ下に望むタイプの選手が獲れなかった事(-10点)」、「一部余剰戦力の放出ができなかった事(-5点)」、「昨夏と同様に一部主力選手との契約延長ができず、契約満了によるフリー移籍のリスクを残したこと(-10点)」が挙げられ、以上を踏まえて75点とさせていただきました。

画像出典:AC Milan 公式Twitter

開幕後ここまでのミランの評価

100点

イブラヒモビッチを始め、多くの主力選手を欠いた状態でリーグ開幕戦を迎えたミランでしたが、ここまで2戦2勝(執筆時点)とスタートダッシュに成功。
また、主力としての活躍を期待して獲得した一部の新加入選手たちが、求められた役割をしっかりと遂行し、早くもチームの勝利に大きく貢献してくれています。

まだ2戦ですがここまでは内容・結果共に申し分のないものだと思います!

基本布陣と各ポジションの役割

ベースとなるフォーメーションは「4-2-3-1」です。ただし、攻守の局面や試合状況に応じて形は変わります(守備時は4-4-2、攻撃時は右SBやボランチを最終ラインに下がらせての3バック形成など。)

以下、各ポジションのレギュラーメンバーとなります。

GK:メニャン

昨季まで守護神を務めていたドンナルンマがPSGに移籍したことはご存知の方も多いと思いますが、その後釜としてミランは昨季のリーグ1チャンピオンであるリールからメニャンを獲得しました。
まだ今シーズンが始まって間もないですが、抜群の身体能力と反射神経を活かしたセービングや、後方からのパスの出し手として攻守にチームに貢献。特に後者のビルドアップ時の貢献については前任者にはなかった武器であり、早くも新守護神として立場を確立しつつあります。

画像出典:AC Milan 公式Twitter

DF:カラブリア、ケアー、トモリ、テオ(エルナンデス)

ケアーとトモリの両CBは双方共に対人に優れ、ハイプレス時の相手FWに対するタイトなマーキングを遂行。また、引いた際には的確なポジショニングによりクロスを弾き返していきます。

画像出典:AC Milan 公式Twitter

右SBのカラブリアも対人戦に長けており、得意のタックルで相手からボールを奪う一方で、攻撃ではパスセンスを活かしながら積極的にビルドアップに関与。彼の鋭い縦パスが攻撃の起点となる場面が度々見られます。

左SBのテオ・エルナンデスはカラブリアと比べてより攻撃的なSBです。爆発的なスピードと強靭なフィジカルを活かしたドリブルやフリーランニングで前線に侵入し、積極的にゴールに絡んでいきます。守備面の貢献度に関しては前3者に比べ低いですが、それを補って余りある攻撃力の持ち主です。

画像出典:AC Milan 公式Twitter

ボランチ:ベナセル、ケシエ

ボランチのレギュラーはケシエとベナセル。
両者ともに圧倒的な運動量を誇り、攻守両局面でチームに大きく貢献してくれる点は共通しています。

具体的に見ていくと、ケシエはよりフィジカルに優れ、特に守備面において広大なカバーリング能力を披露します。また、パスの精度・判断も大きく改善されており、PKキッカーを任されるなど攻撃面でも重要な役割を担います。
他方、ベナセルはプレス耐性が非常に高く、相手のプレッシャーをドリブルやパスでかわすことができるテクニカルなタイプです。ケシエに比べて小柄ですが、出足が速く粘り強い守備を行うことができる点も魅力の一つです。

画像出典:AC Milan 公式Twitter

しかしながら、今季は二人とも負傷やコンディション不良によりここまで出場機会はほとんどなく、スタメン出場しているのはトナーリ(成長著しいイタリアの至宝)とクルニッチ(ポリバレントな便利屋)の二人です。リバプール戦までに上記レギュラーの2人がベストコンディションを取り戻し、スタメンで出るかは現状わかりません。

2列目:サレマーケルス、ブラヒム、レオン(レビッチ)

右サイドのレギュラーを務めるのはサレマーケルス。優れたインテリジェンスと豊富な運動量を活かした流動的なポジション移動で相手を惑わすことのできる好選手です。守備の貢献度も高く、比較的目立ちませんがチームのキープレイヤーの一人です。

トップ下はブラヒム・ディアス。テクニックと推進力のあるドリブルでボールを前進させられるチームの「新」もとい「真」10番であり、今季ここまでのミランの攻撃の軸といって過言ではありません。

画像出典:AC Milan 公式Twitter

左サイドについてはラファエル・レオンとレビッチの2人がレギュラー格ですが、今季ここまではレオンがスタメンを務めています。
圧倒的なスピードとフィジカルを兼備するレオンはサイドで縦に仕掛け、そこからクロスを供給するというのが得意パターン。戦術的に解決すべき課題は少なくありませんが、潜在能力でいえば現チームの中でもトップクラスです。

CF:ジルー(イブラヒモビッチ)

今季ここまで、1トップはジルーが務めています。プレミアリーグファンであれば非常に馴染みのある選手ではないでしょうか。

ジルーは新加入ながらチームにすんなりと馴染み、ここまで公式戦2試合で2ゴールを挙げる活躍を披露。こうしたストライカー的な役目に加え、持ち前のポストプレーにより2列目以下の選手たちを活かしたり、ロングボールやクロスのターゲットになったりと様々な役割をこなしてくれています。

ところで、ミランには同ポジションにイブラヒモビッチがいるわけですが、今季ここまでは負傷により出場機会はゼロ。しかしこの代表ウィーク期間中に遂に練習復帰を果たし、今後ジルーとどのように組み合わせていくかがミランの注目ポイントとなっています。

不幸にも先日ジルーがコロナに感染してしまい、来るリバプール戦にて2人の共演が叶うかは分かりませんが、可能であればこのツインタワーによりリバプール守備陣に圧力をかけるといった事も試合展開によってはあり得るかもしれません。

画像出典:AC Milan 公式Twitter

以上、大雑把な選手紹介となりましたが、選手のより具体的な攻撃時の役割・パフォーマンスについては僕のブログ記事「ミラン選手のパフォーマンス評価その1【2021-22シーズン・セリエA第1~2節】」にて詳述しておりますので、もしよろしければご覧ください。

攻撃の基本メカニズム

ミランの攻撃は、相手の出方に応じて臨機応変に対応していきます。

例えば相手が最前線からアグレッシブにプレスをかけてきたときは、無理に後方から丁寧にボールを繋ごうとせずにロングボールも多用。その際は、「最前線のターゲットマン(ジルー、イブラ)に当てて周囲の味方が拾う形」や、「敵陣深くに蹴り出し快速アタッカー(レオン、レビッチ等)が裏に抜ける形」、「サイド深くに供給して敵陣でのスローインに持ち込む形」等を状況に応じて選択していきます。

画像出典:AC Milan 公式Twitter

一方で後方から組み立てる際は、右SBやボランチが最終ラインに下がって、C Bと3バックを形成するなどして相手の守備の基準点をずらしつつ、突破の糸口を探ります。そして、主に2列目が流動的に動いてライン間でボールを引き出すことで、相手のプレスを掻い潜り、そこから速攻へと転じていくのが得意パターンです。この点、今季のミランは先述した通りGKメニャンによる後方からのパスやブラヒムのドリブルが特に大きな武器となっています。

守備の基本メカニズム

守備時におけるミランの原則をシンプルに述べれば、それは「コンパクトかつアグレッシブ」とまとめることができると思います。
具体的に。ハイプレス~ミドルプレスを主体とするミランは、コンパクトな陣形を維持してボールをサイドに誘導。そこから同サイドに人数をかけてボール奪取・ショートカウンターを図ります。
仮にそこで相手が前方へのロングボールを選択しても、ミランには先述の通り守備範囲が広く球際に強いボランチや対人に優れたDFがいるため、そのボールを回収しやすくなっています。

画像出典:AC Milan 公式Twitter

また、ファーストプレスのライン設定は相手に応じて変更され、例えば後方からのビルドアップに優れたチームが相手であれば若干ラインを下げ、相手GKのビルドアップ参加を抑制したりプレス突破からの被速攻のリスクを軽減したりする策を採ります。とは言え、いずれにせよコンパクトかつアグレッシブな守備を志向することは基本的に変わりません。

ストロングポイント

まずは「組織力の高さ」が1つ。ピオリ監督の下で約2年かけて作り上げられた今のミランの組織はかなりの安定感を誇っており、怪我人続出などの事態に見舞われても大崩れせずに組織力で持ちこたえることができています。根底には「選手全体に根付く強い献身性」があり、そこからもたらされる「組織的な守備」が今のチームとって重要な武器になっています。

画像出典:AC Milan 公式Twitter

戦術的な側面に目を向けると、カウンターや「相手のハイプレスをかわしてからの速攻」は今のミランの大きな強みだと思います。というのも走力のある選手が多いミランにとって、彼らのスプリントが活きやすいカウンターや、プレスをかわしての速攻時は大きな得点チャンスとなるからです。

ウィークポイント

今季はまだ始まったばかりのため、昨季に見られたウィークポイントの話をしますと、その一つとして「試合中の修正能力」が挙げられると思います。
例えば開始早々に失点してしまった場合や、相手の狙いがハマって劣勢に追い込まれた場合などに、その状況を打開できずに苦しい展開になるというパターンが何度か見られました。

ただし今季は選手層が厚くなったことで戦術オプションが増えましたし、報道によれば新システムの採用も視野に入れているとのことから、上記のウィークポイントは少なからず改善されるのではないかと個人的に期待しています。

リバプール戦のキーマンとなりうる選手

まずはGKメニャンでしょうか。リバプールの強度の高いプレスに対し、彼が有力なパスの出し手として如何なるパフォーマンスを発揮し、そのプレスに対抗できるか。また、GKの本分であるゴールキーピングの面でも仕事量は少なくないはずですから、攻守両面で期待したいですね。

そしてもう1人はブラヒム・ディアスです。先述の通り彼のドリブルによる持ち運びはチームの大きな武器ですが、フィジカルは決して強くなく、そのため守備強度の高い相手にどれだけやれるかというのは懸念材料の一つです。
一方、彼がボールを引き出し、相手のプレッシャーに負けずに前を向いてドリブルで持ち運べれば速攻のチャンスに繋がるため、やはり彼のパフォーマンスは特に重要になってくる気がしています。

画像出典:AC Milan 公式Twitter

ただ正直に言うと、アウェーでリバプールに勝つにはほぼ全選手の好パフォーマンスが不可欠だと思っていまして、その意味でキープレイヤーは「全員!」というのが本音です(笑)
上記の2人はもちろん、他の選手のパフォーマンスにも強く期待しています。

ミラン側からみたリバプールの要注意選手

やはりまずはファン・ダイクでしょうか。
例えばリバプールのプレスに対し、ミランはロングボールにより素早く前線にボールを供給するといった攻撃パターンが考えられますが、その際にファン・ダイクを中心とした守備陣に制空権を握られ、ロングボールのこぼれ球を回収できないようだと一気に苦しい試合展開になりかねかないかなと。
イブラヒモビッチorジルー vs ファン・ダイクは個人的に楽しみにしているマッチアップなのですが、長期離脱明けのイブラはコンディションが未知数ですし、ジルーはコロナ感染によりリバプール戦までに復帰できるか不確かなため、現状は期待よりも不安の方が上回っているのが本音です。

その他の要注意人物としてはリバプールのトリデンテ(3トップ)、特にサラーです。
サラーと主にマッチアップするミラン選手はポジション的にテオになるはずですが、彼の守備力は他のDF陣と比べ不安定なものがあります。そのため、トランジションの局面などで前線に一気にボールを持ち運ばれ、ヘルプのない(少ない)状況で、テオとサラーの1対1というシーンを作られるとかなり危険になると考えています。

画像出典:Liverpool FC 公式Twitter

最後に

ここまで、拙文を読んでいただき誠にありがとうございました。

ミランにとって7~8年ぶりとなるCL。その初戦の相手がリバプールというのは個人的に非常に感慨深いものがあります。イスタンブールでの「アレ」や、アテネでの栄冠…。双方の出来事に対して当時抱いた感情は真逆のモノでありましたが、どちらも僕にとって一生ものの記憶であることは間違いありません。リバプールサポーターの中にも、同様の感想を持つ方がおられるかと存じます。
今回の一戦が持つ客観的価値は上記の決戦とは比べられませんが、僕にとっては今回も「暗黒期を抜け出した新生ミランのCL初戦」として等しく忘れられないものになるはずです。そのためとてもワクワクしています。

画像出典:AC Milan 公式Twitter

最後になりますが、今回このような場を提供していただいた「LFCラボ」様には改めてお礼を申し上げます。応援するチームの現状について改めて考える良いキッカケとなり、とても有益な時間を過ごすことができました。

今回の記事が、来るリバプールとミランの「再会」を皆様がより楽しむための一助となれば幸いです。

編集後記

ヨーロッパの舞台に帰ってきた歴戦の雄ミラン。
インタビューを通じて今のミランについて知れたことで、ベテランが支え、若手が輝く「新生ミラン」との対決がより楽しみになりました。

画像出典:AC Milan 公式Twitter

快くインタビューに応じてくれたカカニスタさん、本当にありがとうございました!

この記事が両クラブを応援する人にとって、対戦相手クラブについてより知り、CLでの再会をより楽しむキッカケとなれれば幸いです。

アンフィールド、サン・シーロでの素晴らしい夜が僕たちを待っています!
お互い苦しい時期を乗り越えて、この舞台に帰ってきました。応援するクラブをこの舞台で見れる喜びを噛み締めながら、最高の夜を楽しみましょう!

YNWA!

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