南野拓実はリバプールで活躍できるのか?その起用法を考えてみる

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コーク

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ライター名は大好きなコカ・コーラから。戦術・選手分析といった普通の記事から一風変わったものまで書きます。

日本代表の南野拓実が、リバプールに移籍した。1892年から紡がれてきたリバプールFCが持つ長い歴史の中において、史上初の日本人選手である。加えて、現在のリバプールはクラブ黄金期と遜色ないほどの強さを誇る、現世界王者である。そのリバプールに日本人選手が加入したという事実だけで、もう踊るしかない。

この記事では、南野拓実の簡単なプレー分析と、リバプールではどのポジションで使われ、どのような役割を期待されているのかを考察してみたいと思う。

まずは簡単なプロフィールとプレー動画を

 生年月日:1995年1月16日
 国籍:日本
 身長:174㎝
 推定市場価格:12,50 Mill.€

南野のプレー分析

前提として、南野が出場機会を争う選手たちは、ワールドクラスと評される選手たちである。比較対象はどうしてもリバプールの選手になってしまうし、そうなると分が悪いのも南野である。それを踏まえたうえでお読みいただきたい。

Physical

フィジカル的な要求水準の高いレッドブル・グループに引き抜かれたほどである。傑出したなにかがあるわけではないものの、フィジカルはある程度完成している。身体の使い方も上手く、コーディネーションも優れている。

スピードという観点から見れば、オープンスペースを一人で強襲し、独力でロングカウンターを完結させるような爆発的なスピードは持ち合わせていない。純粋なトップスピードという点でサディオ・マネやモハメド・サラーに劣るし、そもそもそういったプレーを期待されているというわけでもないだろう。

彼のフィジカル的な側面で最も期待されるのは、やはり連続したスプリントと、それに支えられるトランジションとフリーラン、プレスといった、地味ながらリバプールの強さの根源ともいえる部分。

無駄走りも厭わないスタミナと、それを実行し続けられる身体的強度は、彼のフィジカル能力の中でも特筆すべき部分。ハードワークが出来ることは前提条件であり、加点要素にはなりえないかもしれないが、それでもリバプールのフットボールに適応するだけのフィジカル能力は持っているといえる。

Technical

テクニカルな側面における南野の最大の武器は、間違いなく“turn it on 迷いはない”踊るようなターンだろう。コーディネーションの良さも相まってターンの切れ味は抜群。ファーストタッチでかわせなくとも、ドリブル中に繰り出す鋭いターンはフィルジル・ファン・ダイクですら手を焼くほど。決定的な違いを生み出すだけのクオリティを秘めている。

トップスピード下でもぶれない身体と乱れない技術はあるが、狭いスペースではドリブルよりもパスを選択して、コンビネーションで打開しようとする傾向がある。また、密集地帯でのドリブル突破はあまり得意としていないように見える。

とは言っても、アタッカー色が強く、パサーというわけでもない。ストライカーともドリブラーともいえず、絶対的な武器を持っているわけでもないので、あえてタイプ別に分類しようとしても難しい。

リバプールでいえば、最もタイプが近しいのはFW寄りであればフィルミーノ、MF寄りであればベン・ウッドバーンか? ただ、ここら辺はもう感覚の話であり、人によって見解が異なってくると思うので、この選手に似ていると感じる、という選手がいれば是非コメントしていただきたい。

話が少し逸れてしまったので、この辺で次の項目に移ろうと思う。

Tactical & Mental

秀逸なプレービジョンは見逃せない。判断能力は速さ・正確さ共に優れており、ここは流石レッドブル産と言ったところか。しかし、ナビ・ケイタでさえ、まだ彼が知らなかったスピードでプレーする周りに戸惑い、完全にリバプールにフィットしているとは言い難い状況である。加えて、ザルツブルクからライプツィヒを経てやってきたナビとは違い、南野はいきなりリバプールである。環境の変化に戸惑う可能性も否定できない。

ただし、現在のリバプールは戦術やスタイルにフィット出来ない選手を獲得するようなチームではない。フィットするまではあまり試合に出られないかもしれないが、最終的にはしっかりと戦力として活躍してくれるだろう。

ユルゲン・クロップは南野のことを「ラインの間にあるスペースを見つけるのが上手く、ボールを持っていない状況でも果敢にプレーすることができる」と評価しているように、南野の特徴はフィジカルやテクニックといった簡単に数値化されるような部分ではないのかもしれない。

難易度の高いプレーを試みる積極性、難しい局面でもボールを要求するメンタリティといった、日本人としては傑出したパーソナリティは、彼の最大の特徴といえるかもしれない。負けん気の強さは有名であり、ワールドクラスの選手たちに囲まれても物怖じせずにプレーできるだろう。メガクラブにステップアップできても、自身の能力を余すところなく発揮できなければ意味がない。南野はその点においてほとんど心配する必要がない選手といえる。

どこで使われる?

南野のバーサタイルな特性は、彼が高く評価されている部分の一つ。リバプールであれば、3トップの全てのポジション、4-2-3-1であれば2列目の全てをカバーできるだろう。或いは、インサイドハーフという選択肢もあるかもしれないが、ジェルダン・シャキリがこのポジションで使われていないことを考えると、可能性は少ないかもしれない。クロップ自身も南野を様々なポジションで使うことを考えているようだ。

これは南野が今季出場したポジションと、過去全ての試合における出場ポジション。様々なポジションで起用されているのが一目でわかるだろう。

画像出典:transfermarkt
画像出典:transfermarkt

人によって彼の最適だと感じるポジションは様々だと思うが、筆者はロベルト・フィルミーノが務めているCFの位置が、リバプールにおける彼の最適解のポジションだと感じている。リバプールにおけるCFは特殊であり、いわばゼロトップや偽9番と表現されるものだ。

フィルミーノのピッチ上での振る舞いは一つに限定されておらず、変幻自在だ。ボックス内ではプレデターのようだが、ゴールから遠ければコンダクター、相手がボールを持っていたら最前線に位置するDFに化ける。

リバプールは攻撃時にWGのサラーとマネが中央に絞ってストライカーと化し、SBのトレント・アレクサンダー=アーノルドとアンドリュー・ロバートソンが大外をカバーする。その中でフィルミーノは一列下がり、トップ下の位置を取る。これは、南野がレッドブル・ザルツブルクで時折採用されていた、ダイヤモンドの頂点(4-3-1-2の1)でプレーしていたときとほぼ同じ役割だ。

プレー面でも類似性を感じさせる。フィルミーノはストライカーとMFのミックスだが、これは南野にもまた言えることだ。ゴールを奪う為にあえてゴールから離れることのできる頭の良い選手であり、それこそクロップの言葉を少し借りれば、ボールを持っていなくても影響力を発揮できる選手でもある。南野は(少なくとも)リバプール戦において、最も試合で影響力を発揮していた選手の一人だろう。

そしてこれは、補完性がないと意味がないものでもある。リバプールの3トップは、彼らがユニットとして成立したときに初めて最大出力を放つことができる。両WGはフィルミーノがいてはじめて眩い輝きを見せ、フィルミーノのマジカルなプレーはワイドに彼らがいてより煌めく。マネやサラーがフィルミーノによって生かされていることは間違いないが、フィルミーノも彼らによって生かされているともいえるだろう。

画像出典:LFC公式Twitter

そして、最も再現するのが難しいポジションがこのフィルミーノの役割である。その特殊性から現スカッドに彼のプレーを再現する選手はおらず、フィルミーノを休ませるときは、戦術的なコンセプトを大幅に変える必要があった。

当然だが現時点のクオリティこそ彼らのレベルになくとも、サラーやマネの代わりとなる選手はまだ見つけやすいかもしれない。しかし、フィルミーノは難しい。今まで何人かリバプールのMFがゼロトップをチャレンジしたが、フィルミーノのプレーを再現することはできなかった。南野に期待されている部分は、まさしくこの部分なのではないだろうか。

結局のところ、南野はリバプールで活躍できるのか?

画像出典:LFC公式Twitter

現在のリバプールは、なんのプランもなく選手を獲得するようなクラブではない(大切なことなので二回ってやつ)。そしてなにより、冬の移籍市場で獲得したことが南野に対する期待の表れともいえる。過去何年にも渡って彼を追っていたという話もあるほどだ。当たればいいな、程度の考えではないだろう。先行投資の意味合いであれば南野よりももっと若い選手を獲得するはずで、間違いなくスカッドをアップデートする補強という位置付けである。

あとは南野がどれだけ早く環境に適応し、フットボールに集中できるか。ここばかりは蓋を開けてみないと分からないが、リバプール初の日本人選手。大いに期待したいところである。

1 個のコメント

  • FAカップでデビューした彼が「懸命に身振り手振りでボールを要求」

    する姿に好感が持てました・・・この調子で早くチームに溶け込んで

    欲しいですねっ!!。

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