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基本プロフィール
- 選手名:アレックス・オックスレイド=チェンバレン
- 生年月日:1993年8月15日
- 国籍:イングランド
- 身長:175cm
- ポジション:CMF, AMF, WG
- 背番号:15
- チームキャリア:サウサンプトン(10/11~)、アーセナル(11/12~)、リバプール(17/18~)
- 市場価格:35,00 Mill. €
- 契約終了年:2022年6月30日
プレースタイル
ストロングポイント
最大の武器は豪快なドリブル突破。身体能力が高い上にトップスピードでも乱れないボールコントロールは圧巻で、独力で相手の守備陣を崩せるだけの切れ味を持つ。
フィジカル的な観点から見ると、まず目を瞠るのが傑出したスピード。快速自慢のモハメド・サラーやサディオ・マネにも引けを取らず、加えて彼らよりもプレーエリアが低いため、チェンバレンと対峙する相手はまずそのスピードに慣れることから始めないといけない。
ボディも分厚く、当たり負けしないどころか逆にマーカーを弾き飛ばすシーンもしばしば。そのため、彼が好む中央で起用されても、サイドに比べ格段に相手選手の当たりが激しくなるにも拘わらずそれを全く苦にしない。
オープンスペースで相手をぶっちぎるスピード、密集地帯でのコンタクトでもぶれないパワー。リバプールのMF陣において、この2つの能力を最も高いレベルで兼ね備えている選手と言っていいだろう。
これだけ優れたフィジカル能力を持っていると、往々にしてそれに頼りがちになるが、チェンバレンは上述の通りボールスキルも抜群。スキルの高さはもちろんドリブルにも現れているのだが、もう一つの特筆すべき武器は卓越したキックの技術。
得意のドリブルで相手を引き付けてから放つ質の高いラストパス、引いた相手の守備ブロックを無力化するミドルシュート、球種が豊富でレンジの広いプレースキックなど、キックに関しての能力は精度・威力共に満点に近い。
創造性の欠如が叫ばれて久しいリバプールのMF陣において、チェンバレンのドリブルとキックの能力は代えがたい貴重なもの。アーセナル時代はゴールに絡む頻度が少ないとの指摘があったが、リバプール移籍後はファイナルサードでの殺傷能力を高めるアタッカーとして評価を上げている。
また、秀逸なユーティリティ性も見逃せない魅力だ。本人は中央でのプレーをより好んでいるが、だからといってワイドでのプレーを嫌っているわけではなく、試合展開によってはワイドにポジションを移すことも少なくない。
サラーかマネのどちらかを休ませたいが、彼らのスピードは失いたくない、という状況でチェンバレンをワイドに配置すれば、彼らの驚異的なスピードを再現できる。左右のどちらで起用してもクオリティにそこまで差がないのも嬉しいところだ。
純粋なフィジカル的資質で言えば彼はよりサイドの方が向いているが、そのフィジカル的資質を余すところなく中央で発揮できているのは、彼が高いインテリジェンスを持ち合わせていることの証明でもある。
守備の意識が高いことも◎。決して守備が上手いわけではないが、負けず嫌いな性格も相まって切り替えが速く、攻撃的な選手でありながら守備の強度を下げるタイプではない。
ナビ・ケイタと少しプレースタイルが似通っているが、より守備的なナビに対し、チェンバレンはよりアタッカー色が強い。ドリブルとパスで相手守備陣を切り崩し、時にはゴールまで奪ってくるプレーのクオリティや頻度は、現時点でナビよりも優れている。
チェンバレンの攻撃に関する総合的な能力はリバプールのMF陣の中でもトップクラスで、ファイナルサードで違いを生み出すための貴重なアクセントになっていえる。成長の余地もまだ残しており、今後の発展が楽しみな選手である。
ウィークポイント
チェンバレン最大の欠点は怪我の多さだろう。キャリアを通じて怪我に泣かされており、シーズンで最大でも2600分弱しかプレーしたことがない。シーズンを通してのフル稼働を求めるのはもはや厳しく、リスクを回避しながらプレーをさせる必要のある選手になってしまっている。
プレースタイル的に怪我が減る見込みもなく、癖になっている部分も否定できない。彼の持つ才能が怪我によって邪魔されている現状は非常にやるせない。壊れないのも才能の一つだが、怪我さえなければ、の文句が付いて回るのは本人とっても不本意だろう。
純粋なプレー面における彼の改善点について触れていくと、狭いスペースで状況を打開する能力はやや欠ける。一度ボールを収めて前を向けば迫りくる相手をなぎ倒して前に運ぶことはできるが、その一つ前のプレー、具体的にはボールを呼び込む動きや、前を向くまでの一連の動き(身体の向きやトラップの精度・方向)は向上が求められる。
ポジションを争うナビやアダム・ララーナにはこの部分で及ばない。単騎で相手守備陣に風穴を開ける能力では勝るが、ボールを運んで前線と繋げるという点はやや物足りなさが残る。しかし、これはトレーニング次第で向上が見込めるので、是非とも身につけてほしい。
アーセナル時代は精神的な未熟さや一貫性のなさも批判を呼ぶ一因だったが、リバプールではそれもかなり改善されている。極端なプレーのムラがなくなり、影響力を発揮できなかった試合はチームにフィットしてからというものほとんどなくなった。
また、過去にティエリ・アンリから「ずっと彼を見てきたけど、未だになにが強みの選手なのかわからない」とまで言われてしまったことも。たしかにアーセナル時代の彼はある程度はなんでもできる選手だったが、絶対的な武器を持つ選手というわけではなかった。とはいえ、リバプールでは中盤で良いプレーを見せており、移籍は自身が成長するためには正しい判断だったといえる。
エピソード・小ネタ
・生まれはポーツマス。ルーツはジャマイカにある。お父さんは元イングランド代表で8キャップを記録しているマーク・チェンバレン。そしてサウサンプトンのアカデミー出身。
・2012年にジョーダン・ヘンダーソンとテニスボールを使ったリフティング対決をやっている。ヘンドが小刻みに一定のリズムで正確にリフティングする中、チェンボはあっちいったりそっちいったりするリフティングを披露。両者のプレースタイルが現れた面白い企画なので、是非チェックを。
・光陰矢の如し、アンドレ・マリナーがチェルシーvsアーセナル戦で「人違い退場」させてしまったことを覚えているだろうか?あの「人違い退場」からもう3年以上経っているが、その当事者の1人がチェンバレンである。エデン・アザールのシュートを手でブロックしたチェンバレン、しかし、退場させられたのはキーラン・ギブスであった。そのギブスはこの夏にウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンに移籍。奇しくも同じタイミングで両選手ともアーセナルを去ることになった。ネット上では「リバプールに来るのはギブスなのでは?」などと早速ネタにされているが、そうならないことを願おう。
・アーセナルがサウサンプトンからカラム・チェンバースを獲得した際、自身のツイッターに「ニックネームに関する裁判の準備は出来ている」とポスト。というのも、チェンバレンは「チェンボ」の愛称で親しまれており、新加入のチェンバースも同じく「チェンボ」がニックネームだからである。とはいえ同じセインツ育ちで両者の仲は良く、お互いの関係性だからこそできたツイートともいえる。リバプールでも「チェンボ」と呼ばれることが多くなりそうだが、もう一つの候補、「Ox(オックス)」も捨てがたいところ。
・慈善活動の一環として、ロイヤル・フリー病院に入院している子供たちへクリスマス・プレゼントを届けるために訪れたチェンバレン含むアーセナルの選手御一行。だが、とある少年に「アーセナルは嫌い… 。リバプールの選手はいないの?」と言われてしまったらしい。しかし、チェンバレンは逆にこの少年を気に入ったらしく、このエピソードを自身のインスタグラムにて明かしている。晴れてリバプールの選手となった今、是非この少年に会いに行ってほしいものだ!(2014年12月19日の投稿)
・代表でのインタビューにて、「ダンスが一番下手な選手は?」という質問に、ラヒーム・スターリングと答えている。曰く「1000%スターリング。スターリッジが一緒にジョーダン・アイブやスターリングと踊ってるビデオを見たんだけど、あいつのリズム感には驚かされたね。リズム感がまるでないんだ。信じられなかったよ。」
・アジアツアーでシンガポールを訪れた際、そこで開催されたファンミーティングにて、司会者に「アーセナルのレジェンドとプレーできるなら、誰とプレーしてみたいですか?」と聞かれたチェンバレンが答えたのは、ティエリ・アンリでもデニス・ベルカンプでもなく、なんとあの “ベントナー卿” こと、ニクラス・ベントナー!彼の笑撃の回答に会場は爆笑の渦に巻き込まれた。
・彼女はイギリスの歌手ペリー・エドワーズ。人気ガールズ・グループ 「Little Mix」 のメンバーの一人でもある。代表曲の「Wings」はNHKのサッカー番組のBGMとして使われており、耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないだろうか。ロンドンからリバプールへ環境が変わるチェンバレンだが、この移籍がビッグカップルの今後の展開にどう影響をもたらすのか目が離せない。
・もはやお馴染みの「Wenger Out」。ヴェンゲルの退任を要求するアーセナル・ファンの合言葉のようなものだが、チェンバレンが間違ってファンのこのツイートを「誤いいね」してしまい話題に。すぐに取り消してヴェンゲルに謝りに行ったそう。ちなみにヴェンゲルはなんのことなのかよく分かっていなかった様子だったとのこと。
・リバプール移籍に伴い、軽めのインタビューに答えたチェンバレン。インターナショナル・ブレイクということもあり多くは語っていないが、子供の頃はリバプールのサポーターだったと明かしている。この手の話は多く見かけるが、彼の場合は本当だったと信じていいだろう。というのも、彼の少年時代のアイドルは我らがスティーブン・ジェラード。BTスポーツのインタビューを受けたチェンバレンは、解説として現場にいたジェラードの御前で「僕が本当にやりたいのはCMF。なぜなら、僕はずっと貴方を目標にやってきたから。」と明かしている。
・リバプールに移籍する際、アンリには「未だになにが強みの選手なのかわからない」と言われ、ギャリー・ネヴィルには「この移籍で得をしたのはアーセナル」とまで言われてしまっていたが、見事に見返している。そんなチェンバレンに対しアンリは「今の彼は、アーセナルが望んでいるような選手だ」と称賛している。
・リバプールはクリスマスの時期に地域奉仕の一環で選手たちが地元の小学校に訪れているが、チェンバレンの人気は微妙なもので、中には「もっと頑張ってよ、じゃないと好きになれない。」と本人に向かって言う子までいた始末。しかし、年が明けてからのチェンバレンのプレーは圧巻の一言で、今ではリバプールで最も愛される選手の一人にまでなった。
・17/18シーズンのCLローマ戦で大怪我を負い、CL決勝どころか夏のロシア・ワールドカップの出場も叶わなくなったチェンバレン。しかし、彼のその後の振る舞いは素晴らしく、彼のポジティブな姿勢はチームを支える一つの力になっていた。そんな彼のキャラクターは、サポーターに対する姿勢にも現れている。以前、試合後にジョー・ジャガーの息子ボビー君にユニフォームをプレゼントしたチェンバレン。そんなジョーは熱心なリバプールのサポーターで、CLの試合もすべて訪れていた。もちろん決勝のキエフ行きの航空券もホテルも確保していたが、最も重要な観戦チケットは手に入らず。とてつもないショックを受けたジョーはそんな心境をSNSで吐露。そんな彼らに幸運をもたらしたのが他でもないチェンバレン。ジョーのポストを見たチェンバレンは、彼らのために2人分のチケットを確保してプレゼントしたのである。チェンバレンは以前ユニフォームをあげた小さな男の子のことを覚えていたのだ。試合後にユニフォームをスタンドのサポーターにプレゼントすること自体はめずらしい行為ではなく、むしろ日常といっていい。しかし、一サポーターを覚えており、そんな彼らに対してチケットまでプレゼントする彼の対応は感動を覚えるほどだ。忘れてはならないのが、彼自身は今後1年はプレーできないであろう程の大怪我を負い、CL決勝とW杯を棒に振ることになった直後ということだ。そんな自身の辛い状況下でも他人に優しくできるチェンバレンの人柄は、一人の人間として尊敬に値する。
・リバプール・サポーターズクラブ日本支部が、懸命にリハビリを取り組むチェンバレンに対し、日本文化である千羽鶴をプレゼントするプロジェクトを実施。千羽鶴を受け取ったチェンバレンの反応は下記のツイートから。
Big thank you to the fans from the @LFCjp supporters club that took time to make and send me messages of support in over 1000 origami!Truly humbled. Big shout out to my boy Yujiro as well for flying in to gift it to me. Things like this blow my mind! Arigatōgozaimashita 🇯🇵 #YNWA pic.twitter.com/hLYoJIa04U
— Alex Ox-Chamberlain (@Alex_OxChambo) November 10, 2018
参考サイト
transfermarkt:世界のサッカー選手の移籍情報を中心としたデータベースサイトです。
WhoScored:欧州サッカーのスタッツや最新ニュースが掲載されているサイトです。
[最終更新日:2019年7月21日]
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