左ウイングか、インサイドハーフか。コウチーニョの起用法をバルセロナ移籍のカラクリとともに考える

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コーク

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好きな事を書いていくだけの大学生。戦術的な記事の他に選手名鑑や小ネタなどなど、色々な事を書いていきます。

Philippe Coutinho:LFC公式Twitterより

リバプールで最も欠かすことのできない選手であるフィリぺ・コウチーニョ。抜群のキープ力を誇るドリブル、一瞬で守備網を切り裂くパス、守備ブロックを無力化させるミドルシュート、そして精度・威力が桁違いに増したFKと、多種多様なトリックでアンフィールドを沸かせるリトル・マジシャンは、今や押しも押されもせぬリバプールの大黒柱です。(いきなり余談で申し訳ないのですが、「押しも押されぬ」という言葉は間違いで、正しくは「押しも押されもせぬ」です。かくいう私も過去に間違って使っていたので、知らなかった方はぜひ正しい使い方をしてみてください。)

親友のネイマールが会うたびにバルセロナ移籍を勧めてくるコウチーニョ(ここに一つの疑問とバルセロナ移籍に隠されたカラクリを感じます。詳しくは後述)ですが、リバプールでは基本的に4-3-3の左ウイングとしてプレーしています。しかし、彼は本当にこのポジションで持てる能力を発揮できているのか?というのを今回は考えてみました。ユルゲン・クロップは来シーズン以降、コウチーニョをインサイドハーフで起用しようと考えているそうですが、それについても併せて考えていきたいと思います。

 

消えている時間

コウチーニョは好調時であれば数秒、あるいはワンプレーで試合を決める力がある選手です。しかし、いわゆる「消えている時間」が多いため90分を通してみると試合に関与する頻度は少なめ。ほぼなにも出来ないままピッチを去ることも少なくありません。

当然ですがこれはコウチーニョのクオリティを考えればもったいないことです。ではなぜ彼は「消えている時間」が多いのか? 筆者は、左ウイングでプレーしていること、そして、コウチーニョを生かそうとしていること、だと考えます。

コウチーニョのプレースタイル

アタッカーにも様々なタイプがいますが、個人的に分類するのであればコウチーニョは「パサー」であると考えています。SASが猛威を振るっていた1314シーズン、コウチーニョはダイヤモンド型中盤の左インサイドハーフを務め、ルイス・スアレスとダニエル・スターリッジの2トップに何本ものスルーパスを通し、スティーブン・ジェラードと共に破壊的なリバプールの攻撃力を引き出していました。

 

最近のコウチーニョは数年前と比べてスルーパスでチャンスを創り出すというプレーが明らかに減少しました。ウイングである以上ボールを持った時の第一の選択肢はドリブルなので仕方のないことですが、彼の持ち味を殺しているように思えます。

コウチーニョはアジリティが高く、頭の回転も速いですが、純粋な縦方向へのスピードは現代の基準では飛び抜けているわけではなく、1人で何人ものマーカーをぶっちぎってゴールを奪うだけの圧倒的なスピードはありません。つまり、カウンターの際にウイングとしてボールを受け取ったとき、可能であれば最も期待したいプレー=独力でゴールを奪ってくるということは厳しいというのが私の見解です。サディオ・マネのような爆発的なスピードのあるアスリート能力の高い選手をウイングで起用したほうが現代的な潮流としても合っているのが現状です。

また、コウチーニョは使われて生きる選手ではなく、人を使うことに長けた選手であるとも考えます。前述の1314シーズンで、彼はパサーとしてSASを生かしていましたが、現在のリバプールではチーム全体が「コウチーニョを生かす」あるいは「最後に彼にボールを預ければなんとかしてくれる」という雰囲気になっています。もちろん悪いことではないのですが、コウチーニョに決めてもらうのではなく、彼にゴールのお膳立てをしてもらうほうがゴールの期待値は上がります。

前節のウェストハム戦、ピッチ中央にプレーエリアを移したコウチーニョの美しいスルーパスからスターリッジのラインブレイクで先制点が生まれました。1314シーズンを思い出したのは筆者だけではないはず。これこそがコウチーニョの真骨頂だと思います。

コウチーニョをインサイドハーフで使うメリット

そこで私が推奨したいのがコウチーニョをウイングではなくインサイドハーフとして起用することです。ピッチの中央で過ごす時間帯を増やせば「消えている時間」は減り、より多くボールに絡んでいけるはずです。

ジェラードが去って以降、リバプールは組み立てのクオリティが極端に下がりました。加えてリバプールには司令塔タイプの選手がいません。そういった中でコウチーニョのインサイドハーフ起用によるパサー化は、組み立てのクオリティを劇的に高めうる特効薬になると考えています。それと同時に彼の本来の持ち味である「生かすこと」をより出せるようになるはずです。もっと言えば、コウチーニョの一撃必殺のミドルシュートは周りを生かしている最中、相手DFが受け手に気を取られているときに狙ったほうが落ち着いて打てるのではないでしょうか。

なぜネイマールは執拗にバルセロナ移籍を勧めてくるのか

コウチーニョにはバルセロナ移籍の噂が常につきまとい、CL行きの切符を掴んだミドルスブラ戦後、インタビュアーに「あなたは来シーズン、リバプールとバルセロナのどちらでCLを戦うのですか?」という質問をされるほどです。コウチーニョ自身はリバプールに留まることを誓っていますが、いつかはバルセロナでプレーしたいと心の底では思っているはず。そこで、少しだけコウチーニョのバルセロナ移籍に関するカラクリについて考えてみたいと思います。

まず、コウチーニョをバルサに勧誘しているのは彼の親友であるネイマール、そしてルイス・スアレスだとされています。特にネイマールは熱心にコウチーニョを口説いており、一緒にプレーしたいと強く希望しているようです。しかし、ここでバルサ移籍に関する最大の疑問が浮かびます。それは、「コウチーニョとネイマールはポジションが同じである」ということです。

リバプールもバルサも基本システムは4-3-3。そしてコウチーニョもネイマールも主戦場は左ウイングです。もし、ネイマールが、あるいはバルサがコウチーニョを現在プレーしている左ウイングとして計算しているのであれば、彼らを同時に起用することは不可能です。ブラジル代表のように右ウイングで使うか?これもリオネル・メッシがメッシであり続ける限りありえません。端的に言えば、ネイマールがコウチーニョにバルサ移籍を勧めているということは、「俺の控えになれよ」と言っているようなものです。

そんなことはあるはずもなく、そうであるならば、バルサはコウチーニョをウイングではなく、インサイドハーフ(スペインでいうインテリオール)で使おうと考えているのではないでしょうか?また、コウチーニョとネイマールの関係性を考えれば深い話もできるはず。ここまで来ると完全に筆者の憶測になりますが、コウチーニョは中央でプレーしたいという希望を持っており、そのことを知っているネイマールは「バルサに来ればインテリオールでプレーできる」と誘っているのではないか?

つまり、リバプールがコウチーニョをインサイドハーフで起用することは、彼を慰留させる一つのカギになるかもしれないということです。

 

最後に

実はLFCラボが開設される前に、私個人のブログで16年の8月にこの記事を出していまして、当時はコウチを左ウイングで使うのはもったいないだろ~と思っていたことを書いただけだったのですが、クロップが来シーズン以降インサイドハーフでの起用の構想を明かしたことを機に、記事を作り直してこちらで再UPという形を取らせて頂きました。元記事は削除済みです。ところで、コウチをインサイドハーフで起用するとなるとここの定位置争いは激化しそうですね。夏のマーケットでの立ち回りにも大きな影響を与えそうです。

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8 件のコメント

  • コークさん
    コウチーニョに関する記事ありがとうございました。
    ウェストハム戦はキレキレでしたね!
    確かにSASの時代はコウチ、ヘンドともにサイドハーフ(センターハーフに近い)位置での活躍でしたね。
    コウチのインサイドハーフで懸念はやはり守備でしょうか。
    ララーナなんかは守備力は高いわけではありませんが、走力でカバーしてる部分がありますが、コウチの場合だとそこが唯一の懸念点ですかね。

    • コメントありがとうございます!

      そうですね、守備面はもちろん、フィジカル的な側面で苦戦を強いられることは多くなると思います。
      ただ個人的には、インサイドハーフにバルセロナではシャビとイニエスタ、マンシティではシルバとデブライネといった軽量型を並べているグアルディオラの形が一種の理想かな?と思っています。
      成功例も上記のようにありますし、戦術そのものが個人の守備力よりも全体で連動したプレスが鍵なので、そこまでネガティヴな要素にはならないと思っています!

  • 投稿お疲れ様です。コークさんの記事には、毎度楽しませてもらっています。

    コウチーニョの起用法ということですが、個人的にはシャドー的な役割が適しているのではと思います。
    今シーズンのプレミアリーグを席巻したチェルシーやスパーズを例にすると分かりやすいかと思いますが、デレアリやエリクセン、アザールをシャドー的なポジションに配置して(それぞれタイプは異なりますが)クリエイティビティを存分に発揮させるというアプローチが採られています。エリクセンに関しては中盤まで降りてきて、組み立てに関与することも多く見られました。
    こうして見ると、ハマーズ戦、ボロ戦で見られたような低めのエリアで多く関わることが主な試合から、トップ6戦のような試合まで様々なシチュエーションに対応できるようなるとに思いますし、何より上記の3人にも負けないコウチーニョの特徴がより引き出されると感じます。

    長文失礼しました。今後ともコークさんなりの記事を楽しみにしています!

    • コメントありがとうございます!

      コウチのシャドー起用に関してはとても面白いと思います。ロジャース政権末期に3バックを採用した際はコウチの良さを存分に発揮出来ていたとは言いづらいですが、あのときはチームそのものが崩壊しつつあったので今現在であればまったく別のプレーを披露してくれそうですよね!
      ただ問題点を挙げるとすれば、ワントップ+ツーシャドーのような形を取る時、リバプールには前線でポストをこなせるストライカーがいないことは大きな課題かなと。チェルシーとスパーズにはそれぞれジエゴ・コスタとハリー・ケインの2人がおり、彼らが相手DFとやりあうことでシャドーが自由にプレーできるだけのスペースや時間を作り出しています。フィルミーノは持ち前の機動力やテクニックで相手守備陣を混乱させることは出来ますが、前線で体を張ってボールをキープするようなポスト役は不向きです。フィルミーノ以外でも、他の3人のストライカーはコスタやケインのようなプレーを得意とはしていません。
      そういう意味でも私は新しいストライカーは必須だと感じています。もし強力なストライカーを獲得出来ればコウチのシャドー化はとても魅力的な選択肢になると思います!オプションが多いに越した事はないですね。

      大変嬉しいお言葉ありがとうございます。記事を書く上で、自分のリバプールに対して考えていることをしっかり書く、というのを大切にしています。ときにはデイビスさんや他の読んでくださった方と異なる考えになることもあるとは思いますが、是非そのときはまたコメントをくださると嬉しいです。また次も、良いと思われる記事を書けるように励みます!

  • 的はずれな掲載記事おつですわw

    熱心にコウチーニョを口説いた理由はネイマールはチームの王にしいてはバロンドールを獲りたいがためバルサを出たかった。その後釜にどう?ってことでしたぬ

    もっと推測して核心たる記事を書けるようお願いします

    • コメントありがとうございます!まず、全くもって予想外な結果になったことをお詫びしたいと思います。

      言い訳がましいですが、まさかコウチーニョをバルセロナへ最も熱心に勧誘していたネイマール自身が、バルセロナを離れるという選択をするとはこれっぽっちも予想出来なかったです。

      しかし、「ネイマールはチームの王にしいてはバロンドールを獲りたいがためバルサを出たかった。その後釜にどう?ってことでしたぬ」という往年のファンタジスタさんの『推測』ですが、ネイマールの誘い文句は「コウチーニョと一緒にプレーしたい」でしたし、それはどういう事なのかな?と思います。それに、ブラジル代表で合流した際、ネイマールはコウチーニョに「バルサに行くのはやめておいた方がいい」なんて言ったという話もありますし、だとしたら「俺、バルサ抜けっから、俺の代わりにバルサ行かね?」なんてネイマールがコウチーニョに言うなんて、自分には考えられないです。そこら辺、往年のファンタジスタさんはどう思いますかぬ?

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