嵐, くるり, Suchmos… YNWAの精神を感じさせるJ-POPを選んでみた

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コーク

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Life Easy / Suchmos

画像出典:amazon.co.jp

くるりの『琥珀色の街、上海蟹の朝』の項でもちょろっと名前の出たSuchmosです。覚えてますか?もしあなたがこの名前をもう忘れているとしたら、流石に鶏並みの記憶力と言わざるをえないか、もしくは俺の記事が死ぬほどつまらないかのどちらかです。後者だとしたら逆によくここまで読んだな、といった趣なので多分前者でしょう。これもうカネコアヤノも忘れてるだろ。まぁ実際鶏って記憶力そんな悪くないらしいですけど、そんなことはどうでもいいんですわ。

これに限らずけっこうこのサイトでSuchmosの記事を書いてきたので、そろそろ「Suchmosといえばコーク」が定着してきてもいい頃合いだと勝手に思っているのですが、世の中はそんなに甘くないですよね。コーク=Suchmosという等号が成り立たないどころか、未だにSuchmosを知らない人もきっと多いことでしょう。実はこのバンド、現在活動休止中なんですよね。嵐みたいなもんということです。ということは、俺は嵐でもある…?

時計の針を少し巻き戻しましょう。そう、あれは2017年の春。田舎から都会の大学に進学した私は胸を膨らませていました。「都会の洒落た大学生なら、みんなSuchmosを知っているに違いない!」と。ところがどっこい、どこを探しても見つからないではありませんか。これぞまさにSTAY TUNE状態。まぁ、俺の目をかわすGood girlはいっぱいいたんですけれども。仕方ないので、会う人会う人にSuchmosを勧めまくりました。冗談抜きで「俺をSuchmosだと思ってくれてかまわない」って意味のわかんないこと言ってましたからね。

とりあえずSuchmosがなんなのかを話すと長くなるので説明は下記の記事に任せますが、すげー簡単に言うとボーカルのYONCE(河西洋介)が大のリバプールファンなんですね。そして、それをまるで隠そうとしそうしない。今回は取り上げませんが、『WATER』という曲に至っては歌詞の中にリバプールという単語が出ててきますからね。プロの仕事と言わざるをえない。

SuchmosのYONCEとは何者か?そのリバプール愛に迫ってみる

2020.08.05

そして今回取り上げさせもらうのは、Suchmosの記念すべき初の音源である『Essence』に収録されている、アンコールの定番『Life Easy』という楽曲。Suchmos、いやYONCEレベルともなると訳すのではなく、歌詞の中にそのままYou‘ll Never Walk Aloneをぶち込むのです。格の違いっていうのはこういうところに現れるんですねぇ。

しかも、曲の途中のとこではなく、歌い出しっていうのもポイントが高い。カラオケでこの曲を調べると、歌い出しの欄には燦然と輝くYou‘ll Never Walk Aloneの文字。笑っちゃいますね。ちなみにそのあと続く言葉は〈fuckin’ brother〉。そして続く〈いつでもBestなTakeをChoice〉。ここまでくるともはやルー大柴よりルー大柴っぽい。藪からスティックどころの話じゃないですよ、これ。

ただ、YNWAの言葉が入っているにはいますが、曲の構成というか全体的な特徴としてはそこまで近くなく、YONCE曰く「悠々自適に行こうぜ」って感じの曲で、常にゆったりとしたテンポ。そういう意味ではYNWA指数はあまり高いとはないかもしれません。とはいえ、間違いなくYNWAの精神は宿っているので皆さんしっかりと聴きましょう。

VOLT-AGE / Suchmos

画像出典:amazon.co.jp

最後にお届けするのもSuchmos!だって仕方ないじゃない、これも『Life Easy』と同じくYou‘ll Never Walk Aloneそのものが入ってるんだから。こちらの曲はロシア・ワールドカップが開催された2018年のNHKサッカー・テーマソングであるため、サッカーファンであれば一度は耳にしたことがあるかもしれません。

それに加えて、同年の第69回紅白歌合戦でも披露しています。各方面から自分のLINEに「紅白出場おめでとう!」とお祝いのメッセージが来たことを今でも鮮明に覚えてるなぁ。俺が出るわけでもないのに。ちなみに当時自分がYONCEであると錯覚していた俺は、あまりに感化されすぎてアディダスのジャージを毎日色違いで着て大学に通っていました。もうあの頃がすでに懐かしくて泣きそうな新社会人です。

『VOLT-AGE』はサッカーのテーマソングとして作られただけあって、Suchmos(というか主にYONCE)のサッカー観が強く現れているように思います。その結果が、歴代のNHKサッカー・テーマソングとは大きく異なる曲になったのは間違いないでしょう。

サッカーのテーマソングとして考えた場合のこの曲に付いては賛否両論あり、否の方でよく言われているのは「『VOLT-AGE』は盛り上がりに欠ける」というものを多く見かけます。

たしかに、近年同じくワールドカップ・イヤーでテーマを担当したSuperflyの『タマシイレボリューション』や椎名林檎の『NIPPON』に比べれば、圧倒的な疾走感や爽快感、爆発的なエネルギーといったものは、スローなテンポの『VOLT-AGE』からはあまり感じないため、サッカーひいてはスポーツのテーマソングとして見れば理解できる批判ではあると思います。

また、「キャッチーなサビがない」というのも特徴の一つで、これによってやや消化不良というか、聞き手に難解な印象を与えてしまっているように思います。とにもかくにも、『VOLT-AGE』はお洒落でクールすぎる。Suchmosというバンドのバックグラウンドを理解している人ならいざ知らず、そうではない大半の人に理解されないのも然もありなんと言ったところです。

でもね、この媚びないというか、ニーズに合わせて作るわけじゃなくて「自分たちの作りたいものを作る」って姿勢がSuchmosなんですよね。多数派に流されるなんて恥ずかしいことはせず、少数派でも自分を貫く。自分たちが信じてあるべき姿を実現しようとするのがいいんですよ。「付いてこれる奴だけ付いてくればいい」みたいな?

紅白だってさ、『VOLT-AGE』じゃなくて『STAY TUNE』を歌った方が絶対ウケはよかったと思うんですよね。NHKの繋がりで呼ばれた側面があるのは間違いないにせよ、別に『VOLT-AGE』縛りではなかったと思う。いや、流石にそんなことないか。でもその年の曲じゃなくてバンドの代表曲だっていいじゃない。ゴールデンボンバーなんて何回『女々しくて』で紅白に出てると思ってるんだ。まぁでも初出場でそれはないし、そもそも「『STAY TUNE』を歌ってください」って言われてたら断ってたと思う。そういう人たちなんですよね。

ここで『VOLT-AGE』がサッカーのテーマソングとして相応しかったのかどうかの話をするとこれまた長くなるので、それは別の記事に任せることにします。興味がある方は読んでみてください。ここからは、リバプールのサポーターだからこそ感じ取れる要素をお届けしたいと思います。

まずは、〈月さびの世界 ひとりで歩く人たちのオペラ〉。『You‘ll Never Walk Alone』の起源は、モルナール・フェレンツの『リリオム』を原作とした、ミュージカル『回転木馬』の劇中歌。オペラとミュージカルは厳密には異なるものですが、接点は多く、そもそもミュージカルの原型はオペラです。

そんでもって、私たちが理解しているYNWAのメッセージは「君は一人で歩いていても、一人じゃないんだよ」といったものですよね。〈ひとりで歩く人(たち)〉も〈オペラ〉も、YNWAを連想させます。

そして、この歌詞のすぐあとにYNWAが出てくるわけですが、個人的には伏線を貼っていたとしか思えません。初めて聞いたこの曲を聴いたとき、「これYNWAのことだろ!」と思っていたら、実際にその言葉が出てきて思わず笑っちゃいました。

そして、そのあとに続く〈Across the space〉という言葉。直訳すると“空間を横切る”といった感じで、サッカーを連想させる言葉ではありますが、“Space”には“空間”以外に“宇宙”という意味がありますよね。歌詞はさらに〈星の数のように〉と続くので、サッカーと宇宙のダブル・ミーニングかもしれません。

余談だけどこのテキスト、今のデュエマ知らない人が見たら理解できなさそう(画像出典:タカラトミー)

ここからは俺の中のMr.都市伝説・関暁夫に話を任せてみましょう。さて、この〈Across the space〉に似た言葉で私が頭に思い浮かべるのは、そう、ビートルズ。彼らには『Across The Universe』って曲があるんだよね。“Space”と“Universe”は視点の違いこそあれど、同じ“宇宙”を意味する言葉なわけでしょ?そしてYONCEはもちろん、Suchmosのメンバーはビートルズのことをとてもリスペクトしているんだよね。そんなビートルズのメンバーがどこ出身か、当然ご存知だよね?そう、リバプール(エコーを効かせたボイス)。

そんなリバプールのエースと言えば、モハメド・サラーだよね。彼はエジプト出身だけど、エジプトと言えば?そう、ピラミッド。繋がっちゃったよね。ピラミッドに描かれたプロビデンスの目を象徴にしている秘密結社“フリーメイソン”。パンドラの箱はもう開いちゃってるんだよね。信じるか信じないかは、あなた次第です。

上手く着地できそうになかったので、Mr.都市伝説の力を借りました。一度このテイストで書いてみたかった。

それにしてもSuchmosはいつ復活するんですかね。なんか彼らのキャラクター的にそうすぐには復活できないみたいな感じがしちゃって僕は悲しいです。

例えばギター担当のTAIKINGはSuchmosの活動休止に対する個人のコメントで「俺個人としてはまだまだ音楽で楽しいことをしていきたい」と言っていました。じゃあなんすか、もう音楽で楽しいことをしていきたくないって思ってるメンバーもいたってことすか。

活動休止を発表してからの去り際みたいなものも後味がよくなかったというか、ぬるっと終わった(正直、全員笑顔で円満に決断した!って感じにはとても見えない)ので、Suchmosとしての復活は当分ないかなぁと思っています。というか、ここまで来るとSuchmos知らない人からしたらなんのこっちゃって話ですよね、すみません。

ただ彼らが立ち上げたF.C.L.S.(というソニー傘下のレーベル)の存在を考えれば、今後このレーベルから発表がある限りファンは「Suchmos復活か⁉」と嫌でも期待しちゃいますよね。実際、F.C.L.S.側もそのファン心理を利用したようなティーザー広告を打ち出したりしてるし。個人的には、一夜限りの復活とかはあるかもだけど、普通にバンド再始動って形は10年単位でないと思っています。

そういえばこの前、田村保乃(櫻坂46)目当てでテレビ見てたらSuchmosの『SEAWEED』がBGMで使われるという奇跡が起きました。これは実質共演と言っても過言ではないでしょう。バンドが活動していなくても、音楽は残り続けますからね。ましてSuchmosは後々評価を上げていくタイプだと思っているので、これからもこうやって使っていってくれると嬉しいです。まぁいつまでも復活待ってますよ、はい。

おわりに

活動休止中のアイドルグループで始まり、活動休止中のロックバンドで終わる今回の記事でしたが、お楽しみいただけたでしょうか。案外「君は一人じゃない」的な歌詞はあったりするので、今一度ご自身のプレイリストの中から探してみてください。もしかしたらYNWAの精神を感じさせる曲があるかもしれません。

それではまた別な記事で。最後までお読みいただきありがとうございました!

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