ナサニエル・クラインのプレースタイル/プロフィール解説│リバプール選手名鑑

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基本プロフィール

画像出典:101greatgoals.com

  • 選手名:ナサニエル・クライン
  • 生年月日:1991年4月5日
  • 国籍:イングランド
  • 身長:175㎝
  • ポジション:RSB, LSB
  • 背番号:2
  • チームキャリア:クリスタルパレス(08/09~)、サウサンプトン(12/13~)、リバプール(15/16~)
  • 市場価格:20,00 Mill. €
  • 契約終了年:2020年6月30日

プレースタイル

画像出典:クライン公式Twitter

溢れ出る性格の良さや、陽気なキャラクターでピッチでのクオリティをなんとか誤魔化してきたフルバックが多かったリバプールに颯爽と現れた、良い奴なだけじゃない確かな実力と安定感を兼ね備えた右フルバック。信頼と書いてクラインと読む、それぐらい頼りになる選手である。

試合に出ればどんな時でも水準以上の出来を披露してくれる。翌日の紙面を飾るような派手なプレーをするわけではないが、総じてクオリティの高い非常にプロフェッショナルな選手である。

ストロングポイント

上背があるわけではないが頑強な身体を持ち、基本的なアスリート能力は高い。特に持久力や回復力はスタミナお化けが揃うリバプールの中でも屈指。それでいてスピードも抜群であり、対峙するアタッカーに簡単に走り負けるようなことは滅多にない。そのずば抜けたタフさから、ユルゲン・クロップからは「マシン」と呼ばれているそう。

絶対的なパワーという部分では、他のビッグ6の右フルバックと比べてセンチメートル/キログラムの点で劣ってしまうために少し物足りないものの、身体のコーディネーションに優れており、体幹が強いので対人能力極めて高い。

クラインは非常にインテリジェンスに満ちた選手であり、持って生まれたフィジカル能力だけに頼ったプレーをするわけではない。居るべき場所に居る、するべきことをする、といった目立たないことも怠らず真面目に繰り返すことができ、果敢な攻撃参加のみならず、守備でも自身の役割をしっかりと果たすことができる。

多くの試合でビッグクラブはボール支配率が高くなり、そのほとんどの時間帯を敵陣で過ごし、フルバックは高い位置をキープし幅を取る。ゆえに敵陣でプレーする機会が必然的に増えるため、フルバックでありながら求められる能力やプレーはSHやWGに近いものとなる。ビッグクラブになればなるほどフルバックが攻撃的になっていくのはこのような理由がある。

近年はこの潮流から、勢いや自慢のフィジカル能力に任せたフルバックが跋扈する中で、堅実な守備と安定感が最大のウリであるクラインは、ある意味で異色なフルバックと言えるかもしれない。

ウィークポイント

最大の弱点は空中戦。純粋なサイズだけでなく、飛ぶタイミングもあまりよろしくないので、セットピースやロングボールの標的をクラインにされたら負けを覚悟しておくべき。プレミア屈指のエアバトラーとクラインの空中戦なんて目も当てられない。

また、日進月歩の成長を遂げているトレント・アレクサンダー=アーノルドと比較すると、精度や強弱、種類といった総合的なパスのクオリティ、アイデアやタイミング感覚、セットピースでキッカーの選択肢になり得ない点、といったオフェンス面で劣っている。

キーパスがゼロというわけではないが、ビルドアップの起点になるほどではない。パスの質は高いとは言えず、少々雑でずれることもしばしば。稀にミドルシュートも放つが、大抵はGKの真正面に飛んでいく。ほとんど流されるがスローインは半分ファールスロー。独力でのドリブル突破を試みることもあまりない。

このようにクラインが攻撃の局面で意外性のあるプレーを見せることは滅多になく、良く言えば自分の能力を知った上で堅実な選択をしているのだが、ファイナルサードで多くのものが求められるリバプールでプレーする以上、この部分の向上を期待したい。

ただ、逆に考えれば攻撃的に行きたいときはアーノルドを起用し、攻守のバランスを考えたときはクラインを起用すると言ったように、柔軟な起用法を可能にできるという点で、クラインの価値はまだまだ高い。

残念ながらモハメド・サラーとほとんど共にプレーしたことがなく、ここのコンビネーションの構築は期待されるところ。成長の余地は十分に残しており、パスやクロスの精度、独力での突破などのクオリティに磨きをかければ、より攻守において隙のないフルバックになることは間違いない。

 

エピソード・小ネタ

画像出典:クライン公式Instagram

・ロンドン生まれロンドン育ち。アーセナルのトライアルに落ちた後、トッテナムのアカデミーに加入したが、南ロンドンに住むクライン一家にとってトッテナムのトレーニング施設は遠く、結果的に自宅から近い南ロンドンに本拠地を構えるクリスタルパレスに移ったという過去がある。ちなみに、アーセナルもトッテナムと同じく北ロンドンだが、トライアルに合格していたら通い続けたのだろうか。

・クライン、と言ったらドイツの数学者フェリックス・クラインが考案した『クラインの壺』を想像する人も多いが、スペルはリバプールのクラインが「CLYNE」なのに対し、こちらは「KLEIN」である。ちなみによく『クラインの壺』と混同されることの多い、「見方によって、向き合う人間の顔にも、ただの壺にも見える」図は『ルビンの壺』である。

・かなり多くのタトゥーを入れている。左腕にある幼児は自身が3歳の頃のものだそう。

画像出典:クライン公式Twitter

・地元紙リバプール・エコーが2015年の夏に行った「この夏、リバプールに欲しい選手は?」というアンケートで、クラインは、マルコ・ロイス(ドルトムント)、アレクサンドル・ラカゼット(当時リヨン)と共にトップ3に入るという結果になった。

・マンチェスター・ユナイテッドもクラインの獲得に熱心であった。実際にユナイテッドはクラインに対してリバプールよりも良い週給を提示し、加えてCLへの出場権を持っていたが、それを蹴ってリバプールに移籍した。

・記者に「リバプールはタイトルを獲れるクラブか?」という少し意地悪な質問をされた際、「逆になんで獲れないと思うの?俺にはそれがわからないね。」と返している。

・非常に勤勉である。対戦相手のWGのビデオを何時間も見て研究しており、本人曰く「(DFとは違って)WGは誰と対峙することになるかわからないので(もっと言えば、試合中に相手が変わることも普通のこと)、誰とマッチアップすることになってもしっかりと対応できるようにしなければならない」。陽気なセビリア・ボーイはおそらくしていないと思われる。

・左フルバックにコンバートされ、それにすぐさま適応したジェームズ・ミルナーに対して「ミルナーは、フルバックなんて簡単に出来てしまうポジションだとみんなに思わせてしまう。正直イライラするよね。」とジョーク半分に答えている。

・トレント・アレクサンダー=アーノルドを非常に可愛がっている。また、そのアーノルドもクラインのことを「イングランドでナンバー・ワンの右フルバック」と尊敬してやまない。

参考サイト


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3 件のコメント

    • 仰る通りで、攻撃力の差がそのままカイル・ウォーカーとの差になってしまっていると思います。キックの質が改善されれば文句無しでワールドクラスですね!
      彼女さんはたしかに意外な人選ですね〜。もっと落ち着いた方と一緒だと思っていました笑

  • リバプールでもっとも過小評価されている選手だと感じる。
    かつてサイドバックのポジションでこんなに悩みの無い状態があったか?派手さは無いがここ10年で最高の右SB!(フィナンより上)
    ブラジルワールドカップでウォーカーと競う様に圧巻のプレーを披露した時は、彼の攻撃的ポテンシャルを魅せつけられた。

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