ユルゲン・クロップ「リバプールを去る決断を下した理由」

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平野 圭子
LIVERPOOL SUPPORTERS CLUB JAPAN (chairman) My first game at Anfield was November 1989 against Arsenal and have been following the Reds through thick and thin
[問]あなたがリバプール・ファンにメッセージがあるということでしたが?

[JK]私は今季末でこのクラブを去る。それを知ってショックを受ける人がたくさんいるだろうということは理解している。初めてこれを知った人は。だから、私はその決断の背景を説明したいと思っている。説明しようと頑張るつもりだ。

私はこのクラブのことが大好きだ。全てだ。この町が大好きだし、サポーターも大好きだ。チームも大好きだ。スタッフも大好きだ。全てが大好きだ。それでも私は去る決断をしたということだ。その理由は、どう言えばよいか迷うのだが、エネルギーが尽きたという感じだ。今現在は大丈夫だ。この決断を伝えようとしてからしばらくたつが、今は大丈夫だ。

ただ、ずっとこのまま続けることはできないということは分かっている。これまでずっと共にやって来て、信頼関係を築いてきて、お互いに大好きだという気持ちを築いてきたあなた方に対して、私は真実を語る責任があると思っている。

そして、これが真実だ。

 

[問]詳細な説明ありがとうございます。これはファンにとって物凄いニュースです。何故?ということはどうしても気になると思います。ファンが心配することだと思いますが、体調とかは大丈夫でしょうか?

[JK]大丈夫だ。体調は全く問題ない。もちろん、トシと共に少しずつ衰えているが。でも、心配してもらうような状態ではない。

実は、私は今季末で去るという決断を11月にクラブに告げていた。外の人々に対してはもう少し説明が必要だと思う。私は毎試合でタッチラインに立って、そしてトレーニングに出ている。そのような日々を送っている。そして、常に次のことを考えねばならない。シーズン開幕したと同時に、来季の計画を立てねばならない。どのような戦力を補強するか、などだ。

そのような生活に、私は今後ずっと、続けることが出来るだろうかということが疑問になった。これ以上は無理だ、と思う時がくると。というか、その時が来るだろうということを考え始めた。

皆が知っている通り、昨季は大変なシーズンだった。普通のクラブならば、「今までありがとう。さようなら」と言われてクビ切られているようなシーズンだった。でも、このクラブではそれはあり得ない。私にとって、それはものすごく重要なことだった。そのおかげで、チーム再建の計画を進めることが出来た。私が考えていたことはそれだけだ。

そして、今は非常に良いチームだと思う。潜在的に素晴らしいものがある。年齢的にも性格的にも、全てが素晴らしい。そして、私は自分のことを考えた。(今の状態を残して)去るということは100%正解だと。

 

[問]このタイミングで公表する理由は?

[JK]理想の世界では、シーズン末まで秘密を貫いて、優勝杯を取って、そしてシーズンが終わった瞬間にさようならということだ。しかし現実は違う。今の世界は、このようなことを隠し続けることは不可能だ。むしろ、(11月に決まっていたのに)今まで隠せたことの方が驚きだ。

このようなことには大きな影響を伴う。スタッフは早い時期に分かったし、クラブには早々に伝えた。その人々が、事実を知りながら秘密を保つということは大変なことだ。

そして、秘密にしている間はクラブは公には何もできない。必要なことが出来ない。何かやろうとすると、秘密にしていることを明かす必要が出てくるからだ。

長いこと、私はこのクラブで重要な存在として見られてきた。実際は違うのだが、でも世間はそう見ている。そうでなければよかったのにと思うことがあるくらいだ。

だから、私は思った。決断を下すならばちょっと早めの方が良い、と。ちょっと遅れたならば悲惨なことになる可能性がある。遅すぎた、となったら最悪だ。

例えば、来季まで続けたとして、9月になっていきなり体力が尽き果ててもうできない、となったとしたら、大変なことになる。クラブはシーズンの途中でばたばたになってしまう、など。

このクラブは、これまで長いこと欠けて積み上げてきた素晴らしい土台を持っている。今後の可能性を持つクラブだ。唯一、残念なのは、私が体力尽きてしまう状況に至りつつあることだ。

だから、私は出来る限り早いタイミングでみんなに伝えたかった

 

[問]今この時期に公表することでシーズン末までの残り試合に影響はないですか?

[JK]その質問は100%理解できる。そして、私の回答は、そうならないために頑張るのが我々の務めだ、ということだ。ドルトムントでも同じような状況を経験した。バックグラウンドは違ったが、でも、同じような状況だった。それは否定できない。

今日のこの発表の後は、記者会見を開いて説明する必要があると思うし、そのようなことがあると思う。

ただ、それが一段落したら、試合に100%集中する日々に戻る。まだまだ今季末までにやらねばならないことは莫大だ。残り試合は30試合?他のリーグならほぼ1シーズンの全試合、と言ってもいいくらいの試合数が残っている。

どうやり抜くかは我々にかかっている。我々は、チームとして一体化して頑張るということをやり続けているし、今回のことはそれと同じだ。

これまで何度も言ってきたが、今も同じだ。私のために何かする必要はない。私のためにどうの、ということは不要だ。だから、そんなことは考えないで。チームをサポートしてくれることが最も重要だ。

影響があるか?という質問だが、(去ることを伝えた)11月から今までの間に、ネガティブな変化はなかったということはわかると思う。良い方向に変わったことはあったかもしれないが。

大変な決断だったが、同時にほっとしたということもある。このままずっとやり続けるエネルギーがあれば最高なのだが、残念ながら、そうでないので。

ここ数年の間に起こったことは、私がやったことのように世間には見えているかもしれないが、それは違う。多くの人々が力を合わせてやったことだ。だから、私の立場は変わるが、クラブは変わらない。このクラブは安泰で、今後良い方向に向かっている。

私のキャリアを振り返ると、非現実的だ。自分の出身を考えると、リバプールの監督として終われることになるとは、想像できなかったくらいだ。それは、100,000%集中し続けてやっとできたことだ。生活の全てを捧げてやっとできたことだ。私は普通の人間だ。(ノーマル・ガイ)。最初に行った通り、今も普通の人間だ。今は、普通の人間の生活を送っていないだけで。そして、私は普通の人間の生活を、遅すぎたとなる前に、その生活をやりたい。そして、それをやるには今が最適だと思った。来季から、今までと同じだけのハードワークはできないと思ったので。つまり、この仕事を続けるにふさわしい人物ではない、と。

 

[問]決断を告げた時のオーナーの反応はどうでした?

[JK]私はオーナーとの間で良い関係を築いてきたので、オーナーは理解してくれた。私がそれを言うということはどれだけのことか、ということを理解してくれた。ふらふらした状態でとりあえず言ってみよう、という感じではないと。

だから、受諾してくれた。これまでずっと良い関係で理解し合ってきたので。もちろん、喜ばれなかったが。

決断を告げた人の中には、本当にがっかりした人もいる。もちろん、私も嬉しくはない。ただ、正しい決断だと思っている。

他に去るきっかけと言えば?クビになることとか、もしくは体調不良で続けられなくなるとか?そのような理由で、みんながその監督が辞めることを喜ぶような状況で去る、とか。

幸い、というべきか、不運なことに、というべきか、私の場合はそうではない

私は重要な人物だと見られているが、私自身はそう思っていない。記者会見を開いて、正式な発表をして、という一連のことが終わったら、ノリッジ(次の試合)に専念する。その次のチェルシー、アーセナル、と、試合のことに集中する。

私が(この決断のことで)試合に集中できないかもしれないという心配は不要だ。私は間違いなく100%集中する。

 

[問]この決断の発表の後は、通常に戻るということですか?

[JK]その通りだ。しばらくは悲しい顔に出会うことが多いと思うが。このような変化が起こることはそんなにあることではないが、でもあるとしたら最適なタイミングだと思う。今後何が起こるかということは誰も分からないことだ。ただ、土台は素晴らしいものが出来ている。今のチームは本当に素晴らしい。

私が10歳若かったら、大喜びで監督をやるのだが。

残念ながら、私はすでに24年間監督をやってきて、自分の人生について考える時期に差し掛かっている。自分の人生は何か?と。私は分からない。ただ、遅すぎた、となる前にそれをやりたい。

契約更新にサインした時には本当に嬉しかった。その時はそれが最も正しいことだと思った。唯一、わからなかったことは、その時には自分の体力がいつまで続くかということだった。

既に説明したことだが、例えば私はスポーツカーだとする。まともなスポーツカーだ。時速160kmとかで走れるくらいの性能は残っている。ただ、そろそろオーバーホールが必要だと感じていて、それは自分しかわからないことだ。

ただ、今季末までは持つので心配しないで欲しい。それまでは全く問題ない!

 

[問]2022年に契約更新した時は奥さんの影響があったとのことでしたが、奥さんは今回のことでどういってますか?

[JK]説明が必要だった。もちろん、大賛成!という反応ではなかった。何故?と問い詰めれた。今、あなたに説明したような内容を彼女に説明した。プライベートな会話もはさみながら。ただ、概要な同じだ。そして、奥さんは私の決断を尊重してくれた。それが私にとって最も良いことだと分かったので。私はこのようなことを軽い気持ちで決断するような人間ではないことを理解しているので。

そして、賛成してくれた。

これから、いろいろなことが続く。チームをどうするか、などなど。私はそれを楽しんでやれると思っている。今後永遠に続くのではないと分かっているから。

これからのことを考える必要もある。将来的に、また監督として働くことがあるだろうか?今この時点では、ノー、だ。もちろん、この先どのような考えになるかわからないが。ただ、断言できるのは、イングランドの他のチームの監督になることはあり得ないということだ。100%、ない。リバプールに対しての感情が強すぎて、そんなことは絶対に出来ない。私のクラブに対する気持ち、地元の人々、サポーターの人々に対する感情が強すぎて、それは出来ない。私の人生の一角と言っていいくらいだ。私のホームだ。あり得ない。

それ以外のことは?どうだろう?たぶん、自分の性格から考えるといつまでも何もせずにいるとは思えない。ただ、これから1年間の間にどこかのクラブか代表チームの監督になるということはないと思う。

それは出来ないと思っているし、やりたくない。

ちょっと奇妙な感じだ。エネルギーが尽きたから、という説明をしているのに、そのようなことを言うとは。ただ、私はくびになるわけではなく自分の決断だ。自分が、今後の行方として最良のことだと判断して決めたことだ。

そして、今は本当にノリッジ戦を楽しみにしている。ホームの試合だ。そしてチェルシー。ホームだ。近々ホーム・スタンドは完成してフルになる。私がいる間に、楽しみなことがたくさん待っている。本当に楽しみだ。

 

[問]リバプール市への愛情について。フリーダム・オブ・シティ受賞について

[JK]本当に光栄だと思っている。それも含めて、いろんなことを語り合う日が来ると思う。シーズンが終わった時にはじっくり話したい。いつでも言ってくれれば!

6月末まで契約があるので、その後は何でも話が出来る時間ができる!

今日は決断を発表する日だから、必要なことを言うだけにとどめる。あとから時間が出来るので。

私にとって、リバプール市はホームのように感じているだけでなく、ホームそのものだ。それは明らかだ。この市に住んでいることは、私の人生の中の重要な時だ。こんなに素晴らしいことは想像すらしていなかった。本当にスペシャルだ。私を名誉リバプール市民、あるいは名誉スカウサーとしてくれたので。

ただ、今この時点では話すタイミングではないということがたくさんある。

 

 

[問]最後に、ファンに対してのメッセージは?

[JK]ファンへのメッセージとしては、まずは私の決断を受け入れて欲しいということだ。それだけで嬉しいことだ。もう一つ、あるとして、スタジアムで今から私の歌を歌わないで欲しいということだ。そして、これからの試合を私の試合にしないで欲しいということだ。

私がファンの皆さんにお願いしたいことは、チームに対して全面的にサポートして欲しいということで、それは今まで通りだ。私に対してではなく。

最後の試合はちょっと違うかもしれないが。どのスタジアムが最後の試合になるかわからないが。どの国の試合かもわからないが。(お別れをするための)場はくるのだから、今はこれまで通りチームのサポートに専念して欲しい。

世間は、今回のことでいろいろ反応するだろうし、ジョークのネタにしたりするかもしれない。でも、我々はリバプールだ。大変な道を共に歩んできた。私が来る前にもあなた方は大変な道を歩んできたのだから、その強さを見せて欲しい。

このシーズンを、後から振り返った時に微笑んで語れるようなシーズンにしましょう。よろしく!

 

 

*本記事はご本人のご承諾をいただきkeiko hiranoさんのブログ記事を転載しております。

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