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この夏、プレミアリーグの半数に当たる10クラブで主将の交代が必要となった。チェルシーのセサル・アスピリクエタ(アトレチコマドリード)、マンチェスターシティのイルカイ・ギュンドアン(バルセロナ)など、輝かしい業績を作った後で新天地に向けて去っていったベテラン選手たちがあり、クリスタルパレスのルカ・ミリボイェビッチ、トットナムのウーゴ・ロリスなど、行先はまだ未定だがフリーエージェントとして心機一転を目指す事例もあった。
ウエストハムのデクラン・ライス(アーセナル)やウルブスのルベン・ネベス(サウジアラビア)ら、中堅選手が各々の事情で移籍したために主将がいなくなった例や、マンチェスターユナイテッドのように、戦略的な理由で主将を交代したクラブもあった(ハリー・マグアイアが解任され、ブルーノ・フェルナンデスが主将に就任)。
期せずしてその10の中に入ったLiverpoolは、7月31日に正式な人事が発表された。クラブ主将はフィルジル・ファン・ダイク、副主将はトレント・アレクサンダー・アーノルド、加えて、アンディ・ロバートソン、アリソン、モー・サラーの3人がリーダー・グループを形成することになった。
「これから新たなカルチャーを作ることになる。非常に楽しみだ」と、新リーダー・グループ発表に際してユルゲン・クロップは語った。
そもそも、クロップは、これまでほぼ22年間の監督歴の中で、1つのクラブで主将が交代するのはこれが初めてだった。スタートとなったマインツでは、クロップに代わって主将となったダイモ・バッヘは、クロップが去るまで長期間主将を務めた。ドルトムントでも、セバスティアン・ケールがクロップにとっての唯一の主将だった。
Liverpoolでは、クロップが就任した2015年10月に主将だったジョーダン・ヘンダーソンが去ったことで、急きょ主将の選出が必要となった。「私にとってはLiverpoolの主将というとヘンドだけだった。監督として最も長く在任した主将だったヘンドがいなくなることは非常に悲しい」と、クロップは、ヘンダーソンに対する感傷的なメッセージを表明した。
今回発表されたリーダー・グループは、それを乗り越えて、新たなカルチャーを作る中枢となるべく人材だった。
クロップが長期間の主将と共に働いてきたと同時に、Liverpoolのクラブ史でも特にここ20年間は、1人の主将が長年勤める安定したリーダーシップを伝統としていた。2003年に主将に就任したスティーブン・ジェラードは12年間勤め、その後任のヘンダーソンは8年間主将を務めた。
いっぽうファン・ダイクは、現在32歳でLiverpoolとの現在の契約は2025年までだった。その後がどうなるかは現時点では全く不明だが、前任の2主将に匹敵する期間を予測することは難しかった。
ファンの間では、昨季終幕に、ジェームズ・ミルナーが去ることが判明した時点から、2023-24季からの主将人事に関する議論が交わされてきた。さらに、ヘンダーソンが去ったことで、少なくないファンが、「クロップの第二期黄金時代に向けてチーム再建が始まる2023-24季は、長期的な視野に立つ必要がある」と、トレントの主将就任に賛意を表明した。
ただ、常に一体となってまとまっているチームに波風を立てるリスクは避けるべき、という見解が多数派で、昨季まで、主将と副主将の両方が出ない試合でアームバンドを着けていたファン・ダイクが主将となるのは「順当な人事」と、誰もが納得していた。
「トレントは、今季はミッドフィールド専任になるのかライトバックでフリーロールを続行するか、いずれにせよ自分のプレイに専念することが必要だ。主将として追加の責任をこなせるようになるまで2-3年間、ファン・ダイクの補佐として経験を積むことがベスト」と、ファンは頷いた。
トレント自身、2019年の時点で既に、Liverpoolの主将になることを最終的な目標と宣言していた。「夢はLiverpoolの主将になることだ。それを隠すつもりはない」と、トレントは、BBCラジオ5のインタビューで断言した。「それが実現するか否かはわからない。主将を任命するのは僕ではないので。ただ、僕にとって、Liverpoolの主将になることは子供の頃からずっと抱いてきた目標で、それを実現させるために全力を尽くすという励みになっている」。
そのトレントの夢を、クロップがすくい上げた。「新たなカルチャーを作る過程に向けて、副主将が若くなったことは重要だし、トレントはこのクラブの全てを知り尽くしている人間だ。我々のスカウサーで、このクラブの伝統を象徴する存在だから」。
*本記事はご本人のご承諾をいただきkeiko hiranoさんのブログ記事を転載しております。
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